ベルリン-東と西が出会う場所。ドイツにありながらドイツではない町。歴史の影に彩られた栄光と悲運の世界都市。そんなベルリンの奥深い魅力をリアルタイムでお届けするブログです。Since 1. August 2005


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中村真人 (Masato)
神奈川県横須賀市生まれ。早稲田大学第一文学部を卒業後、2000年よりベルリン在住。ベルリンの映像制作会社勤務を経て、現在はフリーのライター、ジャーナリスト。


ベルリンガイドブック
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本書は2009年10月発行「素顔のベルリン」の増補改訂版です。2013年に改めて新規取材を行い、データを更新。レストランやショッピング、コラムなどのページも増量し、より充実したガイドブックに生まれ変わりました。

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現在のトップ画像は、ベルリン在住のイラストレーター、高田美穂子さんによるオリジナル作品です(詳しくはこちらより)

ベルリン更新情報
2013/02/20 up

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発掘の散歩術(42) -生を見つめ直すクレマトリウム-

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29本の柱が並び立つバウムシューレンヴェーク・クレマトリウムのホール (2013-11-24)

プロテスタント教会の暦では、第1アドヴェントの直前の日曜日を死者慰霊日(Totensonntag)と呼ぶ。毎年この日、ベルリンにある2つの火葬場が一般公開されるのが定例だそうだ。その数日前、たまたまそのことを地下鉄のテレビで知った私は、建築物としても評価が高く、以前から興味を持っていた火葬場の1つを訪ねることにした。

東の郊外、トレプトウ地区にあるSバーンのバウムシューレンヴェークの駅から徒歩15分ほど。両側に広大な墓地が広がり、バウムシューレンヴェーク・クレマトリウム(火葬場)の門が見えた。

キリスト教社会において、火葬の歴史というのは比較的新しい。それまでは主として土葬だったからだ。ヨーロッパで最初の火葬場がミラノに造られたのは1876年。ドイツでも、人口の急増による土地不足や衛生上の理由により、火葬場を造る動きが出てくる。このバウムシューレンヴェーク・クレマトリウムは、今からほぼ100年前の1913年に完成した。

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ドイツの連邦首相官邸を思わせるクレマトリウムの外観

その当時造られた三角屋根の古い門を抜けると、キューブを思わせる幾何学的なデザインを持つ、打ち放しコンクリートの斬新な建物が現れた。「首相官邸にそっくり!」というのが私の最初の感想。それもそのはず、1999年に再建された現在のクレマトリウムの設計者、アクセル・シュルテスとシャルロッテ・フランクは、ほぼ同時期に「洗濯機」の愛称を持つ連邦首相府や、「連邦の絆」と呼ばれる一連の建築群も設計しているのだ。

関連記事:
首相官邸訪問! (2006-08-27)
祝U55開業@ブンデスターク駅 (2009-08-11)

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大きな自動ドアが開いて中に入ると、そこは円柱がいくつもそびえ立つホール。屋根を支える柱の支柱には丸い開口があり、天井から入る光によって、静謐な空間が作られている。これほどコンクリートを多用しているのに、人工的な匂いがまるでない。私は森の中をさまようように歩いた。壁に沿った正方形の穴に敷かれたさらさらの砂は、砂時計の砂が落ちて、消え去った時間を象徴しているそうだ。ホールの真ん中の丸い池の上には、キリスト教において復活や実りのシンボルである小さな白い卵が浮かんでいる。その周りに葬儀を行うチャペルが計3つある。

とはいえ、このクレマトリウムではキリスト教の象徴である十字架はほとんど見掛けなかった。様々な宗教の儀式にフレキシブルに対応しているところが、多文化が混ざり合うベルリンらしい。

この日は地下部分も見学することができた。ヨーロッパ最新鋭を誇る施設であるだけに、628体を保管できる遺体安置所から火葬炉まで、電動システムによる管理が行き届いている。日本と違うと感じたのが、火葬された骨は完全な粉になるまで砕くこと。ガイドの方が「これが骨を挽く機械です」と紹介すると、挽く(mahlen)という単語に私は、反射的にコーヒー豆の機械を連想してしまった。そして最後に紹介されたのは、小さな骨壺。

人の世は必ずしも平等ではないけれど、1国の首相であろうが、どんな国や宗教に属していようが、死は必ず訪れるという点においては平等だ。新年早々、火葬場の話で恐縮だが、限りある人生の時間を意識することで、逆に今という時が大切に思える。今年はどんな目標を立てようか。
ドイツニュースダイジェスト 1月3日)


Information
バウムシューレンヴェーク・クレマトリウム 
Krematorium Baumschulenweg


1911年にプロイセンが火葬を許可した後、ベルリンの2番目の火葬場として造られた。1992年から99年にかけて再建。柱がそびえるホールは、建築家がエジプトの神殿とコルドバのモスクからインスピレーションを受けて設計したという。これとよく似た地下鉄U55のブンデスターク駅も同じ建築家のデザインによるもの。
住所:Kiefholzstr. 221, 12437 Berlin
電話番号: 030-63958121
URL: www.krematorium-berlin.de


ゲリヒト通りのウルネン墓地 
Urnenfriedhof Gerichtstraße


地下鉄U6とSバーンのヴェディング駅からほど近い公共墓地。1912年に完成した、ベルリンで最初のクレマトリウムがこの中に残されている。現在は火葬場としては使われていないが、古典様式の寺院を模した立派な外観は一見の価値あり。将来的には、ギャラリーやアトリエなどを収容する文化施設として、再利用される計画もあるという。
住所: Gerichtstr. 37-38, 13347 Berlin
by berlinHbf | 2014-01-06 21:39 | ベルリン発掘(東) | Comments(1)

発掘の散歩術(12) - 眠りから覚めたシュプレーパーク -

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一見、行楽客で賑わうどこかの遊園地の写真かと思われるかもしれない。だが、よく見るとどこか違う。恐竜のオブジェは無惨にも肢体がバラバラになり横たわっている。奥の大きな観覧車は錆び付き、人を乗せて回ることはもはやない。

ここは「かつて」遊園地だった場所なのである。5月末、ベルリンの演劇シーンをリードするHAUことヘッベル劇場の企画「Lunapark Berlin」で、トレプトウ地区にある「シュプレーパーク」が長い眠りから覚めた。

シュプレー川に面した89ヘクタールの広大な森、プレンターヴァルトの北側にあるアミューズメントパークの歴史は東ドイツ時代にさかのぼる。1969年、東独唯一の常設遊園地である、クルトゥアパーク(文化公園)・プレンターヴァルトがオープンした。西側のテーマパークに比べると、アスファルトがむき出しのシンプルな外観だったそうだが、高さ45メートルの観覧車といった目玉のアトラクションが人々を引き寄せ、年間170万人が訪れたという。

1990年からは西独出身の経営者が引き継ぎ、シュプレーパークと名前を変えて再出発。観覧車の下のアスファルト部分を池に造り替え、さらにローラーコースターや西部劇村などが加わって、よりテーマパークらしくなった。一方で、90年代後半以降の経営は借金との戦いになり、訪問客も年間40万人にまで落ち込んだ。2001年、シュプレーパークは倒産、経営者たちはペルーに夜逃げした。

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あれから10年、シュプレーパークは今どうなっているのか。東独時代からの遊園地が4日間限定でよみがえるという企画は多くのベルリーナーの心をとらえたのか、最終日に訪れてみたところ、入り口前には長い行列ができていた。5ユーロの入場料を払って中に入ると、遊園地はほぼ手つかずの状態で残っていたが、さすがに10年の間に、コースターの滑走路は錆び付き、草木は無造作に生い茂り、ところどころにビオトープが出現しているという具合。子どもたちは廃墟のアトラクションと戯れ、大人たちは物珍しそうにカメラのシャッターを切る。期間中、いくつもの見学ツアーのほか、ショーやコンサートも行われ、大いに盛り上がっていた。

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だが、これが遊園地だった過去を懐かしむだけのイベントでないことは、明らかだ。観覧車の近くに、1枚の大きなパネル写真が置かれていた。チェックポイント・チャーリー跡でアメリカ兵に模した青年と観光客が並び、2人の顔の部分だけ穴が空いている。そこに自分の顔をはめ込んで記念撮影をするという、観光地で見かけるあれだ。この東西検問所跡に行ったことのある人ならわかると思うが、ひっきりなしに訪れる観光客が兵隊の格好をした若者と笑顔で記念写真に収まり、あっという間に立ち去って行く様子は、遊園地のそれと何ら変わるところがない。現在ベルリンの観光業は右肩上がり、新しいホテルは増える一方だが、「ベルリンが観光客向けの1つの巨大なアミューズメントパークになりつつあることへの問いかけをしたかった」とキュレーターのシュテファニー・ヴェナー氏は語る。

シュプレーパークの将来はいまだ白紙だという。この場所の将来を考えることは、ベルリンの未来を問うことでもある。
ドイツニュースダイジェスト 7月8日)


Infornation
シュプレーパーク
Spreepark


通常は中に入れないが、実は定期的に内部見学ツアーが行われている。旧シュプレーパーク入り口が集合場所で、約2時間ガイドの説明と共に、廃墟と化した遊園地をじっくり歩いて回る(要予約。参加費は15ユーロ。ツアーは基本的に週末に開催されるが、日程の詳細は以下ウェブサイトをご参照下さい)。

住所:Kiehnwerderallee 1-3, 12437 Berlin
電話番号:(0176)831 43 138
URL:www.berliner-spreepark.de


ヘッベル・アム・ウーファー
Hebbel am Ufer (HAU)

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2003年、クロイツベルクの川沿いの大中小3つの劇場が統合して生まれた1つの劇場組織。芸術監督のマティアス・リリエンタールが「常に『摩擦を起こすこと』を試みている」と語る通り、革新的な作品を世に送り続けている。年間120ものプロジェクトが手掛けられ、今回のように舞台が都市そのものになることも。

住所:Hallesches Ufer 32, 10963 Berlin(チケットオフィス)
電話番号:(030)259004 0
URL:www.hebbel-am-ufer.de

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by berlinHbf | 2011-07-08 11:31 | ベルリン発掘(東) | Comments(0)

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