ベルリン-東と西が出会う場所。ドイツにありながらドイツではない町。歴史の影に彩られた栄光と悲運の世界都市。そんなベルリンの奥深い魅力をリアルタイムでお届けするブログです。Since 1. August 2005


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中村真人 (Masato)
神奈川県横須賀市生まれ。早稲田大学第一文学部を卒業後、2000年よりベルリン在住。ベルリンの映像制作会社勤務を経て、現在はフリーのライター、ジャーナリスト。


ベルリンガイドブック
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現在のトップ画像は、ベルリン在住のイラストレーター、高田美穂子さんによるオリジナル作品です(詳しくはこちらより)

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地下鉄クロステル街駅

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U2 Klosterstrasse(2006年12月26日)

山根寿代さんのお話の最終回は準備がもう少し必要なので、今回は別の話題を(といってもいくらかは関連がありますが)。私の好きなベルリンの地下鉄の駅を一つご紹介します。U2のKlosterstrasseで、この界隈が描かれる森鴎外の『舞姫』での表記にならってクロステル街駅としましょう。

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ベルリンの地下鉄(特に古い路線)は駅ごとに個性があって面白いのですが、この駅は照明といい柱の装飾といい、一際レトロチックな雰囲気にあふれています。開業は1913年。ベルリン市750周年の1987年に改修された際、ホームの両面に歴代のバスや地下鉄の絵が掲げられ、ちょっとした交通博物館にもなっています。

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その中で私が好きなのはこれ。1890年の馬車鉄道を描いたものです。森鴎外や山根正次がちょうどベルリンに留学していた頃、こういうものが街の主要な交通手段だったわけです。車体の行き先票を見ると、クロイツベルクのGörlitzer BahnhofからMoritz Platzを経由してFriedrich Strasseまで結んでいたことがわかります。

e0038811_884059.jpg
この駅の周辺は、また別の機会にご案内しましょう。

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by berlinHbf | 2008-08-28 02:03 | ベルリン発掘(東) | Comments(8)
Commented by la_vera_storia at 2008-08-28 10:04 x
クロステル街...「舞姫」の以下の部分は鮮やかな記述ですね。

>寒さは強く、路上の雪は稜角(かど)ある氷片となりて、晴れたる日に映じ、きら/\と輝けり。車はクロステル街に曲りて、家の入口に駐まりぬ。この時を開く音せしが、車よりは見えず。馭丁に「カバン」持たせて梯(きざはし)を登らんとする程に、エリスの梯を駈け下るに逢ひぬ。

私にとっておもしろいのは以下の部分です。彼はクロステル街までどういうルートをとったんでしょうか? 想像してみると実にわくわくします。是非ベルリンでマサトさんと探求してみたい気がしますよ(笑)。

>最早(もはや)十一時をや過ぎけん、モハビツト、カルヽ街通ひの鉄道馬車の軌道も雪に埋もれ、ブランデンブルゲル門の畔(ほとり)の瓦斯燈(ガスとう)は寂しき光を放ちたり。立ち上らんとするに足の凍えたれば、両手にて擦(さす)りて、漸やく歩み得る程にはなりぬ。足の運びの捗(はかど)らねば、クロステル街まで来しときは、半夜をや過ぎたりけん。こゝ迄来し道をばいかに歩みしか知らず。
Commented by la_vera_storia at 2008-08-28 11:13 x
クロステル巷の古寺、これがどこかについては諸説ありますね。それはともかく、以下の散歩ルート....これが不自然なことはベルリンのお詳しいマサトさんならすぐわかると思います。

>或る日の夕暮なりしが、余は獣苑を漫歩して、ウンテル、デン、リンデンを過ぎ、我がモンビシユウ街の僑居(けうきよ)に帰らんと、クロステル巷の古寺の前に来ぬ。(中略) 今この処を過ぎんとするとき、鎖(とざ)したる寺門の扉に倚りて、声を呑みつゝ泣くひとりの少女(をとめ)あるを見たり。年は十六七なるべし。(中略)人の見るが厭はしさに、早足に行く少女の跡に附きて、寺の筋向ひなる大戸を入れば、欠け損じたる石の梯あり。これを上ぼりて、四階目に腰を折りて潜るべき程の戸あり。少女は(さ)びたる針金の先きを捩(ね)ぢ曲げたるに、手を掛けて強く引きしに、中には咳枯(しはが)れたる老媼(おうな)の声して、「誰(た)ぞ」と問ふ。

不自然な散歩ルート...これには隠された理由があると私は考えています。
Commented by la_vera_storia at 2008-08-28 13:09 x
以下の記述...ここに、ある「記号」を読み解くことによって「エリス=ユダヤ人」説の根拠にしようとした人がいます。

>貧苦の痕を額(ぬか)に印せし面の老媼にて、古き獣綿の衣を着、汚れたる上靴を穿(は)きたり。エリスの余に会釈して入るを、かれは待ち兼ねし如く、戸を劇(はげ)しくたて切りつ。
>戸の内は厨(くりや)にて、右手(めて)の低きに、真白(ましろ)に洗ひたる麻布を懸けたり。左手(ゆんで)には粗末に積上げたる煉瓦の竈(かまど)あり。正面の一室の戸は半ば開きたるが、内には白布(しらぬの)を掩へる臥床(ふしど)あり。

「舞姫」、この作品はベルリンに詳しい人でないとよくわからない「秘密」が隠されていると思います。今までの鴎外研究家などの文学プロパーの方々ではこの「秘密」を解き明かしているようには思えません。ちなみに上にあげた2つ、その「記号」を読み取ることによって「エリス=ユダヤ人」説の根拠にしようという説は実に興味深いですが、私は賛成できません。
いずれにせよ、クロステル街.....ここは実に興味尽きない場所です。
Commented by キートス at 2008-08-28 16:04 x
「馬車鉄道」って面白い発想なんですよね。しかも当時から2階建てであったのが印象的!僕にとってこの駅の最大の魅力は、ホームの東側に展示されている「12番車両」ですよ。1910年に、シェーネベルク地下鉄(現U4)で就航し、戦後(そっか、あまりにも古いから第二次世界大戦であったことを述べないとね)は東ベルリンで何と1969年までベルリーナーの足を務めていた。この駅は色んな意味でベルリンの歴史を物語っていますね!
Commented by noriko-happylog at 2008-08-29 11:26
こんにちは^^この写真を見て、以前ここに来たことを思い出しました。面白いなーと思いながらこの絵を見ていた記憶があります。
ですがここが、舞姫に出てくるクロステル街駅だとは気づきませんでした;なんだか懐かしく思えました。また舞姫を読んでみようと思います。
下の写真の夜の風景もまたいいですね。

***
このブログのリンクを貼らしてもらっても構いませんか?
Commented by berlinHbf at 2008-08-30 22:44
>la_vera_storiaさん
ミステリーのように興味深いお話をありがとうございます。「舞姫」の舞台にアルト・ベルリンの代表格たるクロステル街が選ばれていることは、この作品に独特の陰影を加えている気がします。鉄道馬車が出てくる情景は、わたしも好きな場面です。

>余は獣苑を漫歩して、ウンテル、デン、リンデンを過ぎ、我がモンビシ
>ユウ街の僑居(けうきよ)に帰らんと、クロステル巷の古寺の前に来ぬ。

獣苑(ティアガルテン)からウンテル、デン、リンデンを過ぎるまではいいですが、そこから先が地理関係を考えると明らかにおかしいですよね。どうしてこういう記述になったのか不思議です。

クロステル街周辺については、現在の風景も併せ、何回かに分けてそのうちご紹介したいと思っています。「舞姫」を再読する必要も出てくるでしょう。
Commented by berlinHbf at 2008-08-30 22:49
>キートスさん
「12番車両」(最初の写真の奥にわずかながら写っていますが)の由来、そういうことだったんですか!60年近く現役の地下鉄車両だったとは。今度近くを通ったらじっくり眺めて、ついでにご苦労様となでてあげたいですね(笑)。馬車鉄道には一度乗ってみたかった。
Commented by berlinHbf at 2008-08-30 22:51
>noriko-happylogさん
ベルリン観光でこの駅を訪れるなんて、なかなかの通ですよ(笑)。もちろん鴎外の時代にまだ地下鉄はありませんでしたが、クロステル街は何度も出てきます。リンクはもちろん歓迎です。これからもどうぞよろしく!

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