U-Bahnhof Gleisdreieck付近。地下鉄の車窓より（8月17日）

ベルリン在住の方、あるいは旅行などでベルリンにいらしたことのある方は、この風景に見覚えがないだろうか。ツォー駅方面から地下鉄2号線、つまりＵ２に乗って前回お話したGleisdreieckの駅に差し掛かる直前、列車はこの地点で左へ大きくカーブする。速度は時速15キロ以下にまで落ち、その時「キキキキー」と異常にきしむ音がすることを覚えておられないだろうか。実はU２のこの区間は、冒頭の写真を撮った翌日から12月の初頭まで運転を休止しているのだが、それはこのカーブと大きく関係がある。

真ん中の2本は真新しいが、その左横に見えるレンガ造りの橋の支柱にご注目いただきたい。

見るからに古そうだが、実はこの鋼鉄製の橋とレンガ造りの支柱は、19世紀末に作られ1902年の地下鉄開業以来ずっと使われてきたというものなのである。しかし、いくら頑丈に見える橋でも、100年の重みというのは相当なものだったようで、その上を走る地下鉄の走行に支障をきたすようになってきた。
現在この付近の橋を新しく作り変えているのは、こういう理由からなのである。

さて、Gleisdreieckの駅に隣接して、前回お話した廃墟が横たわっている。戦前までその頭上を旅客用の鉄道が走っていたわけだが、その横に広がる敷地は当時貨物駅だった。あまりに広々としているので、ここをちょっと歩いてみたくなった（実は立ち入り禁止の場所だったことに後で気付く＾＾;）。

ここから見ると、遠くに聳え立つポツダム広場のビル群が幻影のように見えなくもない。

そして、後ろを振り返ると、こういう光景が広がっている。何というギャップだろうか。

そこから西に向かって歩いてみた。私がベルリンに来た当初は、この辺りはまだ戦前からの線路が敷かれていたのだが、それらはいつの間にか取り払われ、気が付くとゴルフの打ちっ放し練習場ができていた（笑）。ここからポツダム広場目がけて放つ一振りは、さぞや気持ちのいいものであろう。

ところで、このGleisdreieckの広大な敷地はこれからどうなるのだろうか。
住宅街にするのか、それともビルを乱立させて新たなオフィス街でも作るのか。

ベルリンはそのどちらの道も選ばなかった。
今までこの用地の活用を巡ってはいろいろ議論されてきたのだが、この夏ついに結論が出たのである。

Gleisdreieck周辺、そしてその隣の旧アンハルター駅の敷地は、公園として新たに生まれ変わることになったのだ。これは、先ごろ行われたコンクールで一等に輝いたクロイツベルクの建築事務所Loidlのプラン。工事は8月末にすでに始まり、完成予定は2011年と言われている。もともと緑の多いベルリンの中心部に、広大な緑地が新たに生まれることになるわけで、個人的にはとてもうれしい。スポーツ施設やカフェなども一緒に作られるそうだ。

100年の重みに耐えた橋もついに解体され、前回ご紹介した戦前の建物の廃墟もおそらく近い将来になくなるだろう。だが、ビルが乱立するのではなく、緑地になるというのだから、この周辺の風景は幸い大きく変わることはなさそうだ。

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