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ベルリン-東と西が出会う場所。ドイツにありながらドイツではない町。歴史の影に彩られた栄光と悲運の世界都市。そんなベルリンの奥深い魅力をリアルタイムでお届けするブログです。Since 1. August 2005


by berlinHbf

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中村真人 (Masato)
神奈川県横須賀市生まれ。早稲田大学第一文学部を卒業後、2000年よりベルリン在住。ベルリンの映像制作会社勤務を経て、現在はフリーのライター、ジャーナリスト。


ベルリンガイドブック
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本書は2009年10月発行「素顔のベルリン」の増補改訂版です。2013年に改めて新規取材を行い、データを更新。レストランやショッピング、コラムなどのページも増量し、より充実したガイドブックに生まれ変わりました。

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現在のトップ画像は、ベルリン在住のイラストレーター、高田美穂子さんによるオリジナル作品です(詳しくはこちらより)

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発掘の散歩術(45) -ナチスの「机上の殺戮者」の館-

発掘の散歩術(45) -ナチスの「机上の殺戮者」の館-_e0038811_21470743.jpg
オラニエンブルクにあるかつての強制収容所監査部跡 (2014-02)

※ザクセンハウゼン強制収容所の一連のルポの最後に、最近ドイツニュースダイジェストの連載に取り上げた「強制収容所監査部」の記事を転載したいと思います。


フリードリヒシュトラーセ駅からSバーンに乗って約45分、列車は終点のオラニエンブルク駅に到着した。ここにやって来る旅行者の多くは、ザクセンハウゼン強制収容所跡の訪問が目的だ。バスの本数は少ないので、私は歩いて行くことにした。駅の北側から長く延びるベルナウアー通りを東に進むと、「統一通り(Str. der Einheit)」にぶつかる。ここを左に曲がれば強制収容所跡だが、さらに5分ほどまっすぐ歩くと、左手に大きな建物が広がった。「強制収容所のテロの中心」と記された看板が手前に立っている。


「強制収容所監査部(通称IKL)」。ドイツのすべての強制収容所を管理していた組織の建物が、ザクセンハウゼン強制収容所のすぐ隣に現存していることはあまり知られていない。

この日は土曜日で、入り口にはほかに誰もいなかった。やや不安になって扉を開けると、守衛のおじさんが「展示は上の階だよ」と淡々と教えてくれた。現在は税務署として使われている建物を上がって行くと、2階正面の一室が展示室になっていた。

1934年にベルリンで設立されたIKLは、その4年後にオラニエンブルクに移ってきた。それは隣のザクセンハウゼン強制収容所が、ナチスのモデル収容所の役割を担わされたことと関係がある。ナチス・ドイツの支配領域には32の強制収容所があったが、トップダウン式の管理機構が徹底していたナチス統治下では、各収容所がそれぞれ独自に決断を下していたわけではなかった。毎月、遠方からも含めて全収容所の指揮官がここに集まり、囚人の食料、衣服、処刑に関すること、果ては人体実験といった事柄までもが取り決められた。ホロコーストが本格化して以降、アウシュヴィッツで初めて投入された毒ガス「ツィクロンB」もIKLを通して輸送された。膨大な数のユダヤ人だけでなく、シンティやロマといった少数民族、ソ連兵をはじめとする戦争捕虜などが、ごく少数の支配者の手に操られ、無惨な死を遂げていった。

発掘の散歩術(45) -ナチスの「机上の殺戮者」の館-_e0038811_21471584.jpg
展示されていたツィクロンBの空き缶

もっとも、「いかに効率良く人を殺すか」という任務に当たっていた“Schreibtischtäter“(机上の殺戮者)が「ごく普通の」人たちだったことは、最近日本でも公開され話題を呼んだ映画『ハンナ・アーレント』に登場するアドルフ・アイヒマン(ホロコーストで指揮的役割を担ったナチスの親衛隊員)を例に取れば分かるだろう。ブランデンブルク州の歴史記念施設の館長であるギュンター・モルシュ氏はこう説明する。「1941年8月末に行われた会議では、ソ連の戦争捕虜の殺害が議題になりました。ここに集まった各収容所の指揮官にザクセンハウゼンで考案した殺害方法が紹介され、実際に7〜9人の捕虜が銃殺されました。その後、彼らは笑いながら会議室に戻り、コーヒーやコニャックを飲みながら別の殺戮法について話し合ったのです」。

展示室にはツィクロンBの空き缶も置かれていたが、ここから指令された犯罪の規模を実感することなど到底できなかった。IKLの総督を務めたテオドール・アイケとリヒャルト・グリュックスは1945年までに死亡したが、ここで働いていた約100人の親衛隊員のうち、戦後有罪判決を受けたのはわずか2人だけだったという。かつて総督の執務室だった部屋には、この日、2月にしては穏やかな光が差し込んでいた。


Information
強制収容所監査部跡 
Insepektion der Konzentrationslager (IKL)

1938年から45年にかけて存在した、ナチスの強制収容所のシステム全体を管理した本部(建物の形からT棟と呼ばれる)。昨年10月から、IKL総督の執務室だった部屋で「強制収容所監査部 1938〜45 テロの構造」という常設展が行われている。ザクセンハウゼン強制収容所跡にほぼ面しているが、収容所跡の入り口へはそこから大回りする必要がある。説明は英独併記。

開館:月〜金8:00〜18:00、土日12:00〜16:00
住所:Heinrich-Grüber-Platz, 16515 Oranienburg
電話番号:03301-810912
URL:www.stiftung-bg.de/gums


ザクセンハウゼン強制収容所跡 
Gedenkstätte und Museum Sachsenhausen

オラニエンブルク駅から徒歩20分の距離にある強制収容所跡。1936年に建てられ、首都の近くのモデル収容所として、ナチズムの強制収容所の中でも特別な役割を担っていた。施設内は極めて広く、ベルリンからの見学にはほぼ丸1日かかると見た方が良い。インフォメーションに日本語の案内書(1ユーロ)が置かれている。どちらの施設も入場無料。

開館:8:30〜18:00(3月15日〜10月14日)、8:30〜16:30(10月15日〜3月14日)。博物館、資料館は月曜定休。
住所:Str. der Nationen 22, 16515 Oranienburg
電話番号:03301-200-0
URL:www.stiftung-bg.de/gums

by berlinHbf | 2014-04-27 15:07 | ベルリン発掘(東) | Comments(0)

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