ベルリン-東と西が出会う場所。ドイツにありながらドイツではない町。歴史の影に彩られた栄光と悲運の世界都市。そんなベルリンの奥深い魅力をリアルタイムでお届けするブログです。Since 1. August 2005


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中村真人 (Masato)
神奈川県横須賀市生まれ。早稲田大学第一文学部を卒業後、2000年よりベルリン在住。ベルリンの映像制作会社勤務を経て、現在はフリーのライター、ジャーナリスト。


ベルリンガイドブック
「素顔のベルリン」増補改訂版
¥1,680
ダイヤモンド社
(Amazon、全国各書店にて発売中)

本書は2009年10月発行「素顔のベルリン」の増補改訂版です。2013年に改めて新規取材を行い、データを更新。レストランやショッピング、コラムなどのページも増量し、より充実したガイドブックに生まれ変わりました。

Amazonにてネット購入ができます。



『街歩きのドイツ語 』
¥1,575
三修社

豊富なビジュアルとドイツ語フレーズを楽しめる1冊。基本のあいさつ表現から、街にまつわるドイツ語豆知識まで、ガイドブックとともに旅に役立つ会話集です。




『素顔のベルリン 過去と未来が交錯する12のエリアガイド 』
¥1,575
ダイヤモンド社
(2009年発売)

地球の歩き方シリーズ初、待望のベルリンガイドブック誕生!比類なき歴史を抱えつつ、明日へ向かって日々進化し続ける首都ベルリン。「ドイツで最もドイツらしくない」といわれるこの町の知られざる魅力を、現地在住著者が12のエリアにわけて徹底紹介。


現在のトップ画像は、ベルリン在住のイラストレーター、高田美穂子さんによるオリジナル作品です(詳しくはこちらより)

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発掘の散歩術(7) - シェーンハウゼン宮殿 凝縮された歴史 -

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庭園側から望むシェーンハウゼン宮殿

今から来年のことを話していたら鬼に笑われてしまうかもしれないが、2012年はフリードリヒ大王(1712~86)の生誕300周年。そのメモリアルイヤーに向けて、縁のあるベルリンとブランデンブルクでは記念行事の準備が着々と進められている。大王と言えばポツダムのサンスーシ宮殿が名高いが、今回はその影に隠れてはいるものの、実に興味深い歴史を持つ、もう1つの宮殿をご紹介しよう。

U2の終点パンコウ駅で降り、オシエツキー通りを北に進むと、緑に囲まれたのどかな風景の向こうに、どこか女性的な優美さを備えたバロック様式の宮殿が見えてくる。これがシェーンハウゼン宮殿だ。

宮殿の歴史は17世紀後半にさかのぼる。オランダ出身で名門ドーナ家の伯爵夫人がこの地を買い取り、オランダ風の館と酪農場を建てさせたのが始まりらしい。その後、館は建て替えられ、新興国のプロイセンがこの地を買い取った。初代フリードリヒ1世はバロック様式の宮殿へと規模を拡大し、裏手に豪華な庭園を作り上げた。

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シェーンハウゼン宮殿前のエリーザベト・クリスティーネ(1764年以降)

プロイセン時代、ここのもっとも有名な居城主は、フリードリヒ2世(大王)の「妃」だったエリーザベト・クリスティーネである。よく知られているように、厳格な父親による強制的な結婚は、2人に幸福な結果をもたらさなかった。大王は最初から彼女に関心がなかったようで、ほどなくして別居状態に陥った後、ポツダムに籠る。失意のエリーザベトは1740年から没するまでの60年近く、毎年夏の3カ月をここで過ごすこととなった。

1階はそのエリーザベトに関する展示。暖炉や家具類は当時のもので、訪れる者を18世紀の宮廷生活に誘う。200年以上も昔のものとは思えない、花をモチーフにした壁紙の美しさには特に目を見張った。

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圧巻だったのは、2階中央にあるフェストザール(祝祭の間)。この宮殿の中で、唯一完全にロココの内装が残された部屋だ。まるで生きた植物と見紛う天井の装飾の見事さは(丹念な修復技術も特筆されるべきだろう)、言葉にならないほど。

次の部屋へ入った瞬間、別の時代にいきなりタイムスリップしたような感覚を味わった。どこかレトロなピンク色の壁紙とグリーンの椅子。東独のデザインに特別の関心がなくても、ここに来ればピンとくる人は多いはずだ。エリーザベトの没後、荒れ果てていた宮殿は東ドイツの建国と共に長い眠りから覚め、約10年間、東独大統領の居城として使われたのである。初代大統領ヴィルヘルム・ピークの執務室がその横に並ぶ。当時、東独の最高幹部たちはすぐ近くのマヤコフスキー環状通りに住んでいたため、この周辺一帯は外部世界と完全に隔離されていたという。

最後に見たのは、1964年以降、外国からの国賓のゲストハウスとして使われていた部分。ホー・チ・ミンやカストロ、カダフィらがここに宿泊し、最後の客人は1989年10月、東独建国40周年の式典でベルリンを訪れたソ連のゴルバチョフ夫妻だった。その1カ月後、壁は崩壊。翌年6月、ドイツの再統一に関する「2プラス4会議」が開催されたのも、この宮殿に面した別の建物である。

見学を終えて、私は思わずため息をついた。ベルリンとポツダムにプロイセンの宮殿は数多くあれど、18世紀の優雅なロココから20世紀末の激動の再統一まで、ドイツの歴史をこれほど凝縮した場所もそうはない。ともかく一度は訪れる価値のある宮殿である。
ドイツニュースダイジェスト 2月11日)


Information
シェーンハウゼン宮殿
Schloss Schönhausen

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花をモチーフにした18世紀の壁紙(1階)
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東独時代、国賓のゲストハウスのバスルーム(2階)

宮殿の展示は、王妃の居城、宮殿と公園の歴史、ドーナ=シュロビッテン家の芸術コレクション、東ドイツ時代に関するもの、に大きく分けられる。少し町外れに位置するが、中心部からパンコウ(Pankow)駅まで地下鉄1本で、そこからは徒歩約15分。裏手の庭園は散歩にも最適だ。2009年末の再オープン以来、客足は好調だという。

開館:10~3月は土日の10:00~17:00(ガイドツアーによる見学のみ)。4~9月は月曜を除く10:00~18:00
(火~金はガイドツアーによる見学のみ)。
住所:Tschaikowskistraße 1, 13156 Berlin
電話番号:(030)4039 4926 10
URL:www.spsg.de


ガストハウス・マヤコフスキー
Gasthaus Majakowski


かつて東独の最高幹部たちが住んでいたマヤコフスキー環状通りにあるレストラン。19世紀の邸宅を生かして造られただけあって、優雅な雰囲気の中、季節の素材を生かした新感覚のベルリン料理を味わえる。もちろんカフェとしても利用できるので、シェーンハウゼン宮殿を見学した後に立ち寄ってみてはどうだろう。

営業:月~金12:00~。土日祝11:00~。
ただし、11~5月の毎週月曜は定休日。
住所:Majakowskiring 63, 13156 Berlin
電話番号:(030) 4991 8250
URL:www.majakowski-gasthaus.de

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by berlinHbf | 2011-02-13 13:09 | ベルリン発掘(東) | Comments(0)

パンコウの貨物駅跡で観る演劇

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Ehemaliger Güterbahnhof Pankow (2010.07.10)

もう半年近く前になりますが、昨年7月、ちょっと面白い場所で演劇を観る機会がありました。地下鉄U2の終点、パンコウの駅で降り、東に延びるグラニッツ通り(Granitzstr.)を歩いて行くと、左手に広大な敷地が視界に入ってきます。私は初めてここに来たのですが、「ベルリン市内にまだこんな空き地が残っていたのか!」と目が開かれる思いでした。こんな場所で演劇をやるという発想に、さらにワクワクしてきます。

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実はここは、かつてパンコウの貨物駅の敷地だったという場所です。開業は1904年、そして1997年に廃止になった後は、40ヘクタールの広大な空き地になっていました。

この夜上演されたのは、ルネ・ポレシュ演出の通称「ルール3部作」なるもの。これは昨年のルール地方の欧州文化年に合わせて作られた3つの連作で、それぞれ別々に上演してきた作品を、この日は一気に上演してしまおうというフォルクスビューネらしい何とも酔狂な試み。まともにやったら6時間近くになったのではないでしょうか。ところが、当日行ってみると、何かの理由で2部のみの上演になったそうで、ちょっとほっとしました(笑)。

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ベルト・ノイマンによる舞台美術が、奇抜でどこかキッチュで、でも魅力的。

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ワールドカップ南ア大会で、ドイツが3位決定戦で勝利した夜、のんびりしたムードの中、22時近くになって最初の「Tal der Fliegenden Messer」が始まります。内容はもううろ覚えになってきているのですが、本物の車を使ったカーチェースがあったり、役者が拡声器でがなり立てるシーンがあったりと、大変にインパクトの強い作品でした。

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時々、敷地内の向こう側をSバーンが駆け抜けて行きます。結局第2部が終わったのは深夜2時近くで、最後の方は睡魔との戦い(笑)。一緒に観た大学時代の先輩とタクシーを拾って中心部に戻りました。

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ところで、つい数日前の新聞に、この場所の将来をめぐっての記事が掲載されていました。家具メーカーのHöffnerがこの敷地の大半を使って、ショッピングセンターとテーマパークを作ろうと計画しているのだとか。しかし、ベルリン市側はこの計画に対して慎重で、まだ建設の許可を与えていないという内容でした。どうなるのでしょうね。この北側に大きな大きな公園(Schlosspark)があるので、緑地として残されることはないのかもしれませんが、もう少し他に有効な使い道はないものかと思います。

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by berlinHbf | 2011-01-16 23:57 | ベルリン発掘(東) | Comments(2)

フリードリヒ通り駅ガード下のインビスBier's

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ここ数日、久々に気温が8〜9度まで上がっていますが、12月30日ぐらいまでは本当に寒かった。そんな寒い日の午後、フリードリヒ通り駅近くを歩いていたら、久々にあるものが食べたくなり、引き寄せられるようにガード下のお店に入ってしまいました。

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駅とフリードリヒ通りがちょうど交差する地点にあるインビス、Bier'sというお店です。通りをはさんだちょうど向かいが、ケバブのインビスといえば、わかる方もいらっしゃるでしょうか。それにしても、なぜ店の名前が「ビール」なのかと思って少し調べたら、店主の名前がKlaus Bierさんというだけのことでした(笑)。しかし、「ビールさん」て面白い名字ですね。

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店内は狭いですが、暖房はちゃんと効いているのでほっとします。もちろん、カリーヴルストを注文しました。ここのカレーソーセージはベルリンの相場からしたら少し高めなのですが(確か2.1ユーロでした)、その分味はいいです。今回は、前から気になっていた自家製のソース(30セント)を付けてみました(写真左)。これはかなり辛くて、ニンニクが効いているのですが、ソーセージにもフライドポテトにもよく合って、うまかったです(マヨネーズよりもいいかも)。Bier'は10時から明け方の5時まで営業しているので、夜遊びをする方にもいいかもしれません。もちろんビールと一緒に??

Bier's Friedrichstraße
Friedrichstraße 142, Am Eingang S-Bahnhof, 10117 Berlin

追記:
2014年春、このお店の前を通ったら、いつの間にか跡形もなくなっていました。残念です。

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by berlinHbf | 2011-01-07 22:53 | ベルリン発掘(東) | Comments(10)

橋口譲二『Hof ベルリンの記憶』とプレンツラウアー・ベルク(2)

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橋口譲二さんが20年前に撮ったプレンツラウアー・ベルク地区の写真を見ながら歩くと、いかにこの地区が変貌したかを今更ながら実感する。その時の橋口さんの感慨は、「ミッテの朽ちたアパートから見えるもの」で書いたことがある。注意して歩くと、きれいに改装されたアパートの一部分に、アパートの壁に戦前の看板文字が残されているのを見つけることがあった。Särge(棺)とかBestattung(埋葬)などの文字が見えるから、葬儀屋の看板に違いない。とはいえ、この周辺はあまりにきれいになってしまい、こういう生々しい形での過去の痕跡は、本当にわずかばかりになってしまった。

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続いて遭遇したのがStubbenkammerstr.にあるこのアパート。突き出た円柱のバルコニーと屋根の形。この地区で改修されずに時が流れるまま朽ちているアパートはもはや珍しい。今度こそこれではないかと、私は建物を凝視した。

よく見ると結局これでもなかったのだが、同じプレンツラウアー・ベルク地区内でも共通して見られるアパートの建築スタイルがあるのは、ちょっとした発見だった。ゼーネフェルダー通りをさらに歩くと、次に曲がるのがレーマー通り。その角に差し掛かったところで、私は思わず「あっ」と声を上げ、そのまましばらくぼうっと佇んでいた。

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橋口譲二さん撮影の写真(1990年代初頭)

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Raumerstraße (2010.11)

今度は細部を確認する必要はなかった。一瞬でここだと確信したからだ。通りの店は全て変わっていたが(おそらく大部分の住人も?)、2枚の写真を見比べるといかにオリジナルに忠実に修復したかがよく見て取れる。寒い日の午後だったが、私の気分は高揚していた。橋口さんからの依頼がなかったら、プレンツラウアー・ベルクの普通のアパートに、これほどまでに感動的に「出会う」ことはなかっただろうと思う。

家に戻って早速橋口さんに報告したら、大変喜んでくださり、「このまま中村さんのブログで書かれたらどうでしょう。住所探しとはいえ、ウロウロされることで、中村さん自身が発見をされているからです。ウロウロするのは、僕と中村さんは分野は違えど基本中の基本です」と長年ベルリンを歩いてきた方ならではのことを書いてくださった。実はその後もいくつか似た依頼をいただいたが、そちらの建物は結局どうしても見つからず、とても残念だった。写真集『Hof ベルリンの記憶』の発売予定日は、当初の予定から遅れ、年明けの1月25日になったそうです。ベルリンの1つの文化遺産にもなり得る写真集を、皆さんにもじっくり見ていただきたいと思います。私も非常に楽しみです。

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by berlinHbf | 2010-12-16 12:15 | ベルリンを「読む」 | Comments(7)

橋口譲二『Hof ベルリンの記憶』とプレンツラウアー・ベルク(1)

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11月の半ば頃、写真家の橋口譲二さんからメールをいただいた。橋口さんの新しい写真集『Hof ベルリンの記憶』(岩波書店)の年内の発売が迫り、今回本に掲載されるある写真の現在の住所を調べてもらえないだろうか、という内容だった。メールに添付されていたのが上の写真(発売前にも関わらず掲載許可をくださった橋口さんには感謝申し上げます)。壁崩壊直後の90年代初頭、橋口さんがミッテやプレンツラウアー・ベルクを歩き回って撮影した膨大な写真の中の1枚で、凝った円柱が印象的なアルトバウのアパートが克明に記録されている。

橋口さんによると、シェーンハウザー・アレーのエバースヴァルダー通り駅の近くではないかとのこと。ある日の午後、U2のゼーネフェルダー広場から、シェンハウザー・アレーの左右を注視しながら北に歩いてみた。結局、北端のSバーンのシェーンハウザー・アレー駅まで歩き切ったが、件のアパートはついに見つからなかった。文化財としても価値あるこの古いアパートが取り壊されている可能性は少ないだろう。だが、プレンツラウアー・ベルクといえど広い。正直「これは結構な難題だな」と思った。

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「ひょっとしたらシュターガルダー通りかもしれません。これで見つからなかったら諦めましょう」という橋口さんからのメールを頼りに、その数日後、シェーンハウザー・アレーから東に延びるStargarder Straßeを歩いてみた。なるほど、確かにゲッセマネ教会の周辺など、壮麗なアパートが多く構えている。橋口さんの写真のコピーを見ては建物を見上げ、ということを繰り返しながらゆっくり歩いた。だが、似ている建物にはいくつか出会ったものの、先へ進むにつれ、建物の造りは次第に地味になっていった。

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このまままっすぐ歩いてもダメだと思い、右側のゼーネフェルダー通りへと折れてみた。そこですぐに出会ったのがこのアパート。円柱のある出っ張ったバルコニーが、橋口さんの写真のとよく似ている。ひょっとして・・・。が、ネオ・ルネサンス様式(?)の特色ある屋根の形がやはり違う。橋口さんが20年前に撮影したアパートに近づいているような、いやそうでもないような、漠然とした感覚を頼りにうろうろ先へと進んで行った。

(つづく)

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by berlinHbf | 2010-12-14 14:37 | ベルリンを「読む」 | Comments(2)

ベルリン王宮の再建が延期に

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王宮の完成図が壁に描かれた「フンボルト・フォーラム」のインフォ・ボックス。1ユーロ払えば屋上から眺めることが可能

先頃、連邦政府は2014年までに建国以来最大とも言われる総額800億ユーロ(約9兆2000億円)の歳出を削減する方針を明らかにしました。今後、社会保障などさまざまな分野での歳出削減が予想されますが、首都ベルリンでも、ある巨大事業のプランが大きく方向転換を迫られることとなりました。

ホーエンツォレルン家の王宮の再建です。プロイセン時代に端を持ち、1950年に東独政府によって爆破されたバロック様式の王宮の再建は、近年ベルリンにおける最大のプロジェクトと言われています。この王宮は、プロイセン文化財団の博物館や図書館などを収容する複合文化施設「フンボルト・フォーラム」として生まれ変わる予定で、建設費用は総額5億5200万ユーロ(約634億8000万円)と見積もられています。うち、連邦政府が全体の約8割に相当する4億4400万ユーロ、ベルリン市が3200万ユーロを負担し、残る8000万ユーロは募金で賄われることになっています。とにかく途方もない額であることは確かです。

昨年1月、イタリア人建築家フランコ・ステラの建築プランが採用されることに決まった際、当レポートでは「2010年着工、14年完成予定」と伝えましたが、今回の歳出削減策により、「早くとも14年からの着工」と決められたのです。

この決定に対する政治家の反応は、さまざまです。ベルリンのヴォーヴェライト市長は「この短絡的な決定によって、『フンボルト・フォーラム』の将来は完全に不確実なものとなった」と非難。それに対し、緑の党の建築専門家は「王宮の外観と、世界の文化の対話の場という『フンボルト・フォーラム』の理念は一致しない」、左派党のフリエール前文化大臣は「(莫大な費用が掛かる王宮の復興という形にはこだわらずに)現代建築のコンペを新たに行うべきだ」などと、王宮の再建にそもそも否定的な発言をしています。

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王宮建設予定地。共和国宮殿の解体後は芝生になり、市民の憩いの場に

一方、最近の世論調査では、ベルリン市民の約8割が「この財政危機の中で、王宮再建は諦めるべき」との考えであることが明らかになりました。どうやら一般市民も、古風なバロック様式のお城を再建することに、あまりポジティブな思いを抱いていないようなのです。

博物館島やダーレム博物館が建てられた時の例を見ても、ベルリンの巨大プロジェクトには予定よりも大幅に時間が掛かるのが常とはいえ、王宮再建においても今後さらなる紆余曲折が予想されそうです。ちなみに、ブランデンブルク門からアレクサンダー広場までの地下鉄U5の工事は、予定通り続けられるとのこと。
ドイツニュースダイジェスト 7月30日)

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by berlinHbf | 2010-07-30 08:33 | ベルリンのいま | Comments(2)

フリードリヒ通りのBocca di Bacco

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思うようにブログが更新できないまま、6月ももう終わりに近づいてしまいました。今日はちょっとお気楽な話題を1つ。先日、フリードリヒ通りのBocca di Baccoというイタリアレストランでランチを食べてきました(笑)!

Bocca di Baccoは、ベルリンではかなり有名なイタリアンのお店。高級店ゆえ、これまでなかなか縁がなかったのですが、あるお客さんに連れられて行って参りました。

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ランチメニューは、2品で16.50ユーロ、3品で19.50ユーロ。前菜とメインは、2種類の中から好きな方を選べます。私が選んだ前菜は、カラメルがけをしたトミノチーズと、ウイキョウとイチゴのサラダ。トミノチーズというのはかなりにおいが強いのですが、さわやかなイチゴとのハーモニーが素敵でした。

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メインはマグロのステーキとグリーンアスパラのサラダ添え。ミディアムに焼かれた高品質のマグロ、こちらも大変おいしくいただきました。食前に出てきたオリーブ、そしてパンとそれに付けるオリーブオイルに至るまで、クオリティーの高さには納得。食後にカプチーノをいただき、ちょっと豪華なランチを満喫しました。

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最寄り駅はU6 Französische Straße駅。北側出口のほとんど目の前で、重厚な歴史建築の中にあります。機会があれば、ディナーも食してみたいところです。

Bocca di Bacco
Friedrichstraße 167
10117 Berlin
Tel. 030 2067-2828‎
boccadibacco.de

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by berlinHbf | 2010-06-26 14:04 | ベルリンあれこれ | Comments(6)

東独製品を網羅したカタログ『ニセドイツ』(伸井太一著)

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先日、ミッテを歩いていたら、東の時代のこんな車に出会い、思わず写真を撮ってしまいました。トラバントは今や多くの人に知られていますが、この車の知名度は大分低いのでは。ヴァルトブルク(Wartburg)といって、東ドイツ時代はトラバントよりワンランク上だった「高級車」です。

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車に詳しくない私が、これを見てすぐに「ヴァルトブルクだ!」とわかったのも、昨年秋に出たこの本のお陰。『ニセドイツ ≒東ドイツ製品』(伸井太一著。社会評論社)というちょっと変わったタイトルの本で、Vol.1では、東ドイツの工業製品や都市のシンボル的なものを写真付きで紹介しています。車、バイク、鉄道、自転車、飛行機、カメラ、テレビ、集合住宅など、テーマは驚くほど多岐に渡ります。

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同時発売のVol.2では、生活用品がテーマ。こちらも食べ物から、歯磨き粉、トイレットペーパー、ファッション雑誌、ポルノ、テレビゲームに至るまで、よくここまで集めたものだと感心しました。ほとんど全てのページで駄洒落を織り込んだサブカル系の軽妙なタッチで書かれていますが、筆者の伸井太一さん(実は個人的にも存じ上げている方です)はドイツ現代史の専門家でもあるだけに、各項目の記述は執拗かつ正確です。

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冒頭のヴァルトブルクですが、『ニセドイツ』での次のページをめくったら、思わず「おお!」と声を上げてしまいました。4年前に北駅の前でたまたま見付け、あれは何だろうと気になっていた車の正体が突然わかったからです。やはりDDR時代のバルカス(Barkas)という名のワゴン車。一般的な輸送のみならず、秘密警察の輸送車としても使われていたことも知りました。

『ニセドイツ』は、前書きに書かれている通り「カタログ式の読み物」なので、私自身最初から最後まで読み通すというよりは、折に触れ眺めては「ほー」と驚き、時には呆れ、調べもの等にも活用させてもらっています。本の帯の言葉を借りると「勝手に東ドイツ国営企業カタログ」。今は亡き国家を知り、そこでの生活を(時に笑いながら)追体験できる貴重な2冊といえるでしょう。

伸井さんによると、現在第3弾の執筆中だそうで、完成を楽しみに待ちたいと思います。

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by berlinHbf | 2010-04-26 23:57 | ベルリンを「読む」 | Comments(4)

コンクリートになったオストクロイツ駅

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Berlin Ostkreuz(2月25日)

先週、ケペニックに行った帰り、久々にオストクロイツ駅に通ったら、風景が激変していました。考えてみたら、最後にこの駅の様子をお伝えしてから1年になるんですね。というわけで、ベルリン好きにはファンが多い(?)、オストクロイツ駅の最新の様子です。

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ここ半年の最大の変化といえば、環状線の古いホームと土台部分が完全に解体されたことでしょうか。渋い色の赤煉瓦が織りなす風景は、ほぼ完全に過去のものとなりました。

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この跨線橋から眺める(奥の)ホームで電車を待つ人々の様子を、私の知人は「アンゲロプロスの映画のワンシーンのようだ」と評していましたが、全てがコンクリート製になってしまうと、何とも味気ないものですなあ。

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一方では、おそらく余命わずかながら、残された古い建物も。

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ゾンターク通り側出口付近の「Schnellinbiss」と書かれた昔のインビスの建物もまだありました。

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記録用にもう1枚。この小さな建物をめぐっては、「黄昏のオスト・クロイツ駅」に書いてくださった方のコメントが興味深いです。

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写真奥の鉄橋も、昨年夏以来、列車はもう走っていません。着々と変貌を遂げる駅の横を、ICEが通り過ぎて行きました。

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by berlinHbf | 2010-02-28 17:37 | ベルリン発掘(東) | Comments(8)

ベルリン・ブランデンブルク空港のいま

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人里離れたBBI-Infotowerのバス停(1月18日)

昨年12月、シェーネフェルトに2011年10月末開港予定の新空港の正式名称が、「ベルリン・ブランデンブルク空港」(Berlin Brandenburg Airport)に決まり、さらに愛称として元西ドイツ首相ヴィリー・ブラントの名前が冠せられることになりました。現在は“BBI”の略称が用いられていますが、開港後の空港コードは、シンプルに“BER”となることが見込まれています。

ところで、現在行われているヨーロッパの空港工事の中でも最大と言われるこの新空港の工事現場を、きれいに見渡せるスポットがあるのをご存知でしょうか?先日、その「BBIインフォタワー」に足を運んできました。

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未来的なフォルムのインフォタワーは、毎日10~16時の間オープン

Sバーン46号線の終点に近いグリューナウ(Grünau)駅で降り、263番バスに乗ります。この路線、平日は1時間に1本(毎時14分)しか出ていないので、ベルリン交通局(BVG)のHPで事前に調べてから行かれることをお薦めします。バスが住宅地を通り過ぎて森の中に入り、いったいどこまで行くのだろうと不安になり始めた頃、視界が開けて遠くに巨大なクレーンが見えてきます。終点のBBI-Infotowerで降りると、そこは完全に人里離れた場所。特異にねじれた形のインフォタワー以外には何もありません(帰りのバスの時間をチェックするのもお忘れなく)。

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建設中の旅客ターミナル。手前の広大なスペースの地下は鉄道駅になる

入り口で入場料2ユーロを払って、らせん階段かエレベーターで上ります。32メートルの塔のてっぺんからは、一面雪に覆われた銀世界のすばらしい眺望が楽しめました。塔内に展示されている空港の設計図を頭に入れて眺めると、サッカー場2000個分と言われる広大な敷地にこれから建つ予定のものをより具体的にイメージできるでしょう。クレーンがいくつもそびえる一番大きな工事現場は旅客ターミナル。今年前半には上棟式が行われる段階まで進みます。展望台に設置された双眼鏡らしきものを覗いてみると、そこには見た先の未来映像が広がっていました。タワーの入り口ホールには完成後のシミュレーション映像が流れ、中央駅から電車で空港の地下へ到着し、荷物チェックを受けるところまで想像できました。私が夢見たのは、将来ここから日本への直行便が飛んで、ベルリンとの距離が縮まることです。

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隣接するシェーネフェルト空港

素人目には、果たしてこのペースで来年の秋までに完成するのだろうかとも思いましたが、一度はここに来られることをお薦めします。天気の良い日にはテレビ塔方面まで望めるそうですし、何よりベルリンの未来予想図がリアルに感じられるはずです。
ドイツニュースダイジェスト 2月19日)

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by berlinHbf | 2010-02-19 00:07 | ベルリン発掘(全般) | Comments(6)

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