ベルリン-東と西が出会う場所。ドイツにありながらドイツではない町。歴史の影に彩られた栄光と悲運の世界都市。そんなベルリンの奥深い魅力をリアルタイムでお届けするブログです。Since 1. August 2005


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中村真人 (Masato)
神奈川県横須賀市生まれ。早稲田大学第一文学部を卒業後、2000年よりベルリン在住。ベルリンの映像制作会社勤務を経て、現在はフリーのライター、ジャーナリスト。


ベルリンガイドブック
「素顔のベルリン」増補改訂版
¥1,680
ダイヤモンド社
(Amazon、全国各書店にて発売中)

本書は2009年10月発行「素顔のベルリン」の増補改訂版です。2013年に改めて新規取材を行い、データを更新。レストランやショッピング、コラムなどのページも増量し、より充実したガイドブックに生まれ変わりました。

Amazonにてネット購入ができます。



『街歩きのドイツ語 』
¥1,575
三修社

豊富なビジュアルとドイツ語フレーズを楽しめる1冊。基本のあいさつ表現から、街にまつわるドイツ語豆知識まで、ガイドブックとともに旅に役立つ会話集です。




『素顔のベルリン 過去と未来が交錯する12のエリアガイド 』
¥1,575
ダイヤモンド社
(2009年発売)

地球の歩き方シリーズ初、待望のベルリンガイドブック誕生!比類なき歴史を抱えつつ、明日へ向かって日々進化し続ける首都ベルリン。「ドイツで最もドイツらしくない」といわれるこの町の知られざる魅力を、現地在住著者が12のエリアにわけて徹底紹介。


現在のトップ画像は、ベルリン在住のイラストレーター、高田美穂子さんによるオリジナル作品です(詳しくはこちらより)

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『素顔のベルリン』が完成しました

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先日お知らせした私の初の著書、『素顔のベルリン~過去と未来が交錯する12のエリアガイド~』(ダイヤモンド・ビッグ社)が完成しました。最後の仕事として残っていた表紙はこんな感じに仕上がりました。

約150ページのコンパクトサイズとはいえ、本を1冊書くというのは並大抵の作業ではなかったです。しかし、熱心なスタッフの方々に恵まれ、また妻や家族友人、他にもベルリンが好きな多くの方々に助けられたり励まされたりしながら、出版にまでたどり着くことができました。この場を借りて心よりお礼を申し上げます。

配本予定日は10月2日となっていますが、実際に書店に並ぶのはその数日後になることが多いようです。多くの方に読んでいただき、また活用していだけるとうれしく思います。
どうぞよろしくお願い致します。

(以下、本の帯より)
-----------------------------------------------------------------
地球の歩き方シリーズ初、
待望のベルリンガイドブック誕生!

比類なき歴史を抱えつつ、
明日へ向かって日々進化し続ける首都ベルリン。
「ドイツで最もドイツらしくない」といわれる
この町の知られざる魅力を、
現地在住著者が12のエリアにわけて徹底紹介!

掲載エリア
ベルリン東地区
 ミッテ地区1~3
 プレンツラウアー・ベルク地区
 フリードリヒスハイン地区

ベルリン西地区
 ティーアガルテン地区1,2
 シェーネベルク地区
 シャルロッテンブルク地区
 クロイツベルク地区1,2
 ノイケルン地区

ベルリン全体図&交通路線図のほか、
各エリアごとにおすすめの散策ルート付き!

コラム
 ベルリン現代史(上下)
 ベルリンとユダヤ人
 映画に見るベルリン
 黄金の20年代

上記のほかにも、「素顔のベルリン」を
知るためのミニコラムが満載!

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by berlinHbf | 2009-09-14 11:45 | ベルリンを「読む」 | Comments(43)

『ドイツの原子力物語』(P.アウアー原著)

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昨年末、日本のある新聞社のベルリン支局にお邪魔した時、たまたま本棚にこの本が目に入った。ちょっと気になる内容だったのだが、短い時間だったので貸してくださいとも言えずそのままになっていた。それから半年以上経ったある日、家のポストに小包が入っていて、空けてみたら何とこの本だった。送り手はベルリンの知り合いの方。その方の知人がこの本の翻訳をしたそうで、私が以前このブログで原爆について何かを書いたのを覚えており、「興味がおありのようなので」と送ってくださったのだった。ちなみに、その方には数年前何度かお会いしただけである。こういう目に見えないところでのつながりというのは、本当にありがたいと思う。

原題は「ダーレムからヒロシマへ」というドイツ語の本で、訳者は外林秀人と外山茂樹の両氏。そのうち外林氏はベルリン在住の化学者で、自身が広島の被爆者ということでお名前は存じ上げていた。たまに講演などもされているようなのだが、残念ながら私はまだ直接お目にかかったことはない。

この物語の核となっている人物は、1938年12月に核分裂を発見した化学者オットー・ハーンと研究員のフリッツ・シュトラスマン。そしてもう1人、リーゼ・マイトナーという重要な女性物理学者がいるのだが、彼女はナチスのユダヤ人迫害により、その時スウェーデンに亡命していた。話は20世紀初頭のマイトナーとハーンの出会いから始まる。最初は純粋な科学的真実の究明だったのが、いつの間にかマンハッタン計画と結びつき、ポツダム、そしてヒロシマへと至る過程が、わかりやすい言葉で書かれている。私はツェツィーリエンホーフ宮殿に比較的よく行くので、広島の原爆投下がアメリカ大統領のトルーマンによってポツダム郊外で決定されたことは知っていたが、その根本の原理であるウランの核分裂反応が発見されたのも、ベルリン南のダーレムであることは知らなかった。

ハーンとシュトラスマンが核分裂反応を発見したダーレムのカイザー・ヴィルヘルム化学研究所は、現在「オットー・ハーン会館」として残っているというので、場所を調べてみたら、このブログで何度か紹介しているイエス・キリスト教会から300メートルと離れていないことがわかった。記念碑も掲げられているらしいので、人類の歴史を変えたその場所を今度訪れてみたい。


「ドイツの原子力物語」-幕開けから世紀をこえて-
総合工学出版会

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by berlinHbf | 2009-09-06 23:28 | ベルリンを「読む」 | Comments(3)

最近買った本・読んでる本

たまに日本に帰ってくると、いつもながら真っ先に本屋に向かってしまう。できるだけ多くの本をベルリンに持って帰ろうとすると、どうしても新書か文庫本が中心になるが、それでも本はかさばる。もう少し楽に運べないものだろうか・・・。


最近、永井荷風が、そのライフスタイルも含め再び注目されているらしい。
東京をよく歩き、舞台に書いた人として、私も大変興味があるので、まず「荷風随筆集(上下)」と「墨東綺譚」(岩波文庫)を、関連本として「荷風語録」と「大正幻影」(川本三郎著、岩波現代文庫)を買った。これはベルリンに戻ってから、カフェでゆっくり読もうと思う(日本では落ち着いて本を読める場所が少ない。時間の流れ方のせいもあるかもしれない)。

久々に寄ったブックオフでは、街歩き(路上観察)ものの古典(?)、「パリ 旅の雑学ノート」(玉村富男著、新潮文庫)を購入。

ちくま学芸文庫から、「武満徹 エッセイ選」(小沼純一編)というのが出ていたので、即購入。新潮社から出ていた武満の著作は、大型サイズの上高価だったので、文庫での再登場は大変うれしい。今月同時発売の「言葉を育てる―米原万里対談集」と「カフカ・セレクション」も買って帰ろうと思う。

最近、書店や雑誌で佐藤勝という名前を本当によく目にする。遅ればせながら、デビュー作の「国家の罠」(新潮文庫)を読む。驚くべき内容の本だ。近著の亀山郁夫氏との対談本、「ロシア 闇と魂の国家」(文春新書)も中身が濃そう。

そうこうするうちに、前々から一度読んでみたかった「ベルリン」(平井正著、せりか書房)全3巻が届く。父が古本サイトで調べたら、3冊で6000円の提供品を見つけ注文してくれたのだった(発売当時の定価は1冊5000円)。さて、この重い本をどうやってベルリンに持って行くか。1冊だけ持って帰ってもあまり意味のなさそうな本であるし・・・。平井正氏といえば近著の、「オリエント急行の時代」(中公新書)という面白そうな文化史の本も買う。やはり新書か文庫がありがたい。

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by berlinHbf | 2008-09-29 15:13 | ベルリンを「読む」 | Comments(6)

最近読んだ本と気に入っているCDから(備忘録風に)

『ベルリン 歴史の道』(平井正著。光人社)
東京の知人からいただいた本。平井正氏はベルリンについての著作をたくさん残しているので、一度読んでみたかった。これはドイツ統一直後の1992年にベルリンを訪れたときの記録だが、当時の自分を振り返るとそれほど昔の話ではないのに、写っている風景や街の描写も今とまるで違うのに唖然とする。氏の代表作であるベルリン三部作もそのうち読んでみたい。

『今日からデジカメ写真がうまくなる』(久門易。ソフトバンク新書)
これも知人からいただいた本。写真を撮るのは好きだけれど、知識はロクにない自分にとって、さらっと読めて得るところも少なくなかった。
「いい写真とは、写真に写っていない何かを感じさせることができるということです」

「うまい写真とは、写っているのが何か、はっきりわかる写真のことです。言い方を換えると、写真を撮った人が何を撮りたかったか―がはっきりわかる写真ということです」
シンプルな言葉だが、なるほどと思った。

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by berlinHbf | 2008-08-16 20:44 | その他 | Comments(6)

「嘘つきアーニャの真っ赤な真実」(米原万里著)

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先日、ごくたまに訪れる日本食レストランに足を運んだら、日本に完全帰国するお客さんが最近置いていったという本を店のオーナーからいただいた。その包みの中に入っていた1冊。ロシア語の名通訳、米原万里さんの本は数冊読んでいるが、これは初めてだった。

1960年から64年までの5年間、日本共産党員だった父親の仕事の関係で、当時米原さんが通っていたプラハのソビエト学校で出会った友人3人を巡る話。ギリシャ人でありながら、一度もギリシャの空を見たことのないリッツァ、とんでもない豪邸に住んでいるルーマニア人のアーニャ、ユーゴスラビアからやって来たヤスミンカと、いずれも複雑な政治事情をかかえている。とはいえ、あくまで1人の人間として接する彼女たちとの思い出は、時に甘美でさえあるのだが。ベルリンの壁とソ連が崩壊した90年代に入って、米原さんはかつてのクラスメートを探し出す旅に出かけた・・・。

文庫で簡単に手に入るようなので、興味のある方は一読をおすすめしたい。一気に読めてしまうほど、大変に面白い本である。全3編の最後にヤスミンカの話が置かれているのは納得できる。米原さんの一番の親友だったようだし、ユーゴの内戦が始まった後だけに、探し出すまでの話がスリリング、読む側もハラハラしてしまう。結局ヤスミンカは生きており、感激の対面を果たすのだが、当の米原さんが2年前すでに亡くなっているということを思うと、感慨が一段と深まる。惜しい人を亡くしたものだ。

この本を読んで思ったのは、昨年夏にインタビューさせてもらった友人の話を早くまとめなければということだった(参考:東ドイツ最後の3年間 - ホテルの元ウェイターに聞く -)。締切日があるわけでも、原稿料をもらえるわけでもないが、これはどうしてもまとめておきたい。何とか夏までに、と自分に活を入れるためにもここに記しておく。

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by berlinHbf | 2008-05-29 22:01 | ベルリンを「読む」 | Comments(12)

「情報のさばき方―新聞記者の実戦ヒント」(外岡秀俊著)

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先日、小学校時代の同級生に渋谷で久々に会った際、「物を書いて何かを伝えていくつもりなら、ぜひ読んでおくといい。あの佐藤優も推薦しているみたいだし」と言って勧められた新書。筆者は朝日新聞の編集局長で、「情報をつかむ」「よむ」「伝える」の3章に分け、記者としての長年の経験をわかりやすく、惜しげもなく披露している。とてもいい本だった。本書のひとつの「鍵」となっているのが疋田桂一郎さんという筆者の先輩記者の言葉で、本の中で何度も紹介されるのだが、これが示唆に富んでいる。

自分がとりわけ興味深く読んだのは、最近自分でも関わる機会のある「インタビュー」についての箇所(カッコ内は疋田さんの言葉)。
上手なインタビューとは、相手が話しながら、自分でも想定していなかった言葉を見いだし、その言葉の発見に思わず心を動かすような場面を引き出す対話です。下手なインタビューとは、これまでのインタビュー記事をなぞるような定型の問答に終始し、相手も自分も、何の発見もなく終わる対話です。

「取材の時は、どういう順序で聞いたら相手が答えやすいかを考える。記事にまとめる時は、どうしたら理解しやすいかで順序を考える。多くの場合、両者は一致しない。質問のしかた、質問内容も実際と記事では全く違ってくる。これは話し言葉と書き言葉の違いだけではない」

「間違っても、こちらの論理を押しつけて相手を誘導することがないようにと心掛ける。とりわけ寡黙なひとの場合に、そうする。じれないで、何分間でも、その人の答えが出て来るのを待つ」。ここが肝心です。自分の頭で考えた論理を押しつけて、相手の発言にしてしまう取材には説得力がありません。相手が自分の言葉を見つけるまで待ち、その人ならではの言葉を発見したときに、初めて語ったという喜び、聞き出せた、という嬉しさがこみあげます。その感動を共有できたときに、インタビューは成功した、といえるでしょう。
この他にも、「情報力の基本はインデックス情報」、「文章における『事』『理』『情』のバランス」、「『位置情報』の基本は地理と歴史」、といったテーマから、メモをとるコツや写真を撮るときの重要な点にも触れられ、お得感の高い1冊でした。

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by berlinHbf | 2008-04-16 14:29 | その他 | Comments(2)

日本よりベルリン関連本が届く!

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数日前、日本から箱に入った重い小包が届きました。送り主は東京のgramophonさんという方。80年代に西ベルリンの在住経験があり、このブログも以前から読んでくださっています。昨年末に「置き場所のなくなったベルリン関連本を差し上げたく船便で送ります」というメールをいただいたことは覚えていましたが、箱を開けてみてびっくり。いまや絶版の貴重な本ばかりだったのです。例えば、50年代の西ベルリンの建築を紹介した写真集(写真左)とか、橋口穣二さんが80年代から90年代初頭にかけて撮った非常に印象的な写真集「自由」と「Berlin」、まだ観たことがないレニ・リーフェンシュタールの『意志の勝利』のDVDなどで、中でも驚いたのがE.ロータース編の「ベルリン 1910-1933 芸術と社会」(岩波書店)という1995年に出版された本。図版が豊富で、定価1万3000円という豪華本です。まったくこんな貴重な本の数々をいただいてしまっていいのだろうかと思いましたが、gramophonさんからのメールによると、
自分で取って置きたいのですが、もう場所がありません。
古本屋に賣つたところで、端金にしかなりませんから、
それなら、大事にしてくれる友人に差し上げた方が本の爲でもあります。
とのことで、実際にお会いしたことは一度もないというのに本当にありがたいことです。せいぜい私の今後のベルリン研究(?)に役立てたいと思いますし、印象に残ったものはブログでも折に触れて紹介していきます。
gramophonさん、本当にどうもありがとうございました!

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by berlinHbf | 2008-02-28 23:57 | ベルリンあれこれ | Comments(2)

「音楽紀行」(吉田秀和著)

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しばらく前のことになるが、評論家吉田秀和さんの「音楽紀行」(中公文庫。廃刊中)という本を久々に再読した。1953年から54年にかけて、吉田さんが初めて海外に出かけ、アメリカとヨーロッパでコンサートやオペラを観て聴きまくったときの記録である。あとがきで述べられているように、50年代前半のこの時期は欧米の音楽界の転換期だった。フルトヴェングラー、トスカニーニ、ヴァルターといった巨匠が引退、あるいは亡くなる直前で、一方でカラヤンやケージといった音楽家が注目を集めつつあり、吉田さんは彼らのコンサートを全てライブで体験しているのだからすごいというほかない。今でこそ、海外までコンサートを聴きに行くのは特別なことではなくなってしまったけれど、戦後間もない当時の日本の音楽ファンが吉田さんの海外レポートに対して抱いたであろう「別世界感」は、想像がつきにくいものがある。

ほかの多くの人同様、私も吉田秀和さんの著作でクラシック音楽の楽しさを教えてもらった1人である。表現が巧みでわかりやすいだけでなく、文章そのものに替えがたい魅力があるからだと思う。例えばこの本の中で私が好きなのは、ニューヨークで聴いたピエール・モントゥーの印象を綴った箇所。こんな感じです。

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by berlinHbf | 2008-02-03 02:15 | ベルリン音楽日記 | Comments(5)

「ウェブ進化論」(梅田望夫著)を読んで

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2006年2月に出た新書。一時期話題になったようなので、読まれた方もいらっしゃると思う。自分としては、夏に読んだ「フューチャリスト宣言」(ちくま新書)という本との関わりで読んでみたいと思っていたのだが、やはり一読の価値はあった。特に第4章の「ブログと総表現時代」が、個人的には一番身近に感じられて面白かったので、以下に思ったことを書いてみたい。

このブログを始めて2年以上になるが、「よくあんなマメに書けますね」と人から言われることがある。よく続いているなと自分でもたまに思ったりもする。だが、私はもともと「書く」ということに対してとても怠惰な人間だった。日記を付けるという習慣もあまりなかったし、旅行をして旅行記を書き綴るということもしなかった。読書感想文の類は小学生の頃から大嫌いで、大学のレポートなども一夜漬けの連続。悲しいかな、そういうものを楽しいと思って取り組んだ記憶が全くない。だが、ブログになるとなぜか別で、書きたいことや伝えたいことが次から次へと出てくる。ブログは何がそんなに特別なのだろうか?技術的に見たらそれほど革命的なものとは思えないし、私自身「所詮簡易型ホームページに過ぎないのでは」とブログへの不満を書いたこともある。だが、長く続けてみると、やはりブログは使い勝手がいいと思う。一体どこがいいのか?

大分昔、高村薫さんのエッセーでこういう話を読んだ。高村さんはサラリーマン出身の作家だが、文章を書くことに目覚めたのはワープロとの出会いだったらしい。彼女は自分の筆跡が気に入らなかったためか、手書きの文章というのがどうしても嫌いだった。ところが、文字を常に正確無比に打ち込めるワープロという「知的生産道具」を手にしたことによって、文章を書くことの根本的な何かが変わったというのである。10年以上前に大学受験の小論文の模試で読んだ話なので記憶は曖昧だが、なぜかとても印象に残った。

そんな話を思い出したのも、自身ブロガーである梅田さんがブログのことを「限りなく理想に近い『知的生産の道具』」と見ているからだ。彼はその根拠として以下の点を挙げるが、確かになるほどと思わせられる。
(1)時系列にカジュアルに記載でき容量に事実上限界がないこと。(2)カテゴリー分類とキーワード検索ができること。(3)手ぶらで動いていても(自分のPCを持ち歩かなくとも)、インターネットへのアクセスさえあれば情報にたどりつけること。(4)他者とその内容をシェアするのが容易であること。(5)他者との間で知的生産の創造的発展が期待できること。
私がブログを続ける原動力となった点として、特に(4)と(5)は見逃せない。ブログを始めて毎日のように更新していた最初の頃、「情報をあまりタダで流さない方がいいよ」と忠告してくれた人がいた。私が無償で書いている記事の情報をパクる人が出てくるのではと心配して言ってくれたようなのだが、ネットの海の中では確かにそういう可能性もないわけではない。そういう考えもありかとその時は思った。では、自分がベルリンで見たものや日々感じたことを自分の中だけに、あるいはごく身近な人の範囲内のみに留めておけばよかったのだろうか?いや、そんなことをしたらあまりにもったいなかったと、今でははっきり思う。梅田さんはこのことに関して、あるブログの一節を引用してこう語る。
「ブログを通じて自分が学習した最大のことは、『自分がお金に変換できない情報やアイデアは、溜め込むことよりも無料放出することで(無形の)大きな利益を得られる』ということに尽きると思う。」(中略)

情報は囲い込むべきものという発想に凝り固まった人には受容しにくい考え方だろう。しかし、長くブログを書き続けるという経験を持つ人たちにとっては、実感を伴って共感できる内容に違いない。ブログという舞台の上で知的成長の過程を公開することで、その人を取り巻く個と個の信頼関係が築かれていくのである。
自分が知的に成長しているかどうかはさておき、このブログでは不思議な出会いが何度もあった。DDR時代の東ベルリンのことを書いたら、あの時代に連れ戻されるかのような体験談を書いてくれた方がいた。クロイツベルクのある写真家のことを紹介したら、80年代にその写真家のもとで居候をしていたというカナダ在住の日本人の方から、長いメールをいただいたこともあった。他にも、いただいたコメントを読んで刺激を受けたり、うれしかったり、考えさせられた例は数知れない。そんなこともあって、多くの人にとってはまずどうでもいいと思われるようなことでも、ひょっとしたらこの情報を必要としている人がどこかにいるかもしれないと思って書くようになった。誰に読まれているかわからないことへの不安もないわけではないが、だからこそ面白いという気持ちの方が私は強い。

ブログとは何か?少々中途半端な引用だが、梅田さんの以下の視点にもはっとさせられた。
たとえば、「ブログとは『世の中で起きている事象に目をこらし、耳を澄ませ、意味づけて伝える』というジャーナリズムの本質的機能を実現する仕組みが、すべての人々に開放されたもの」に他ならないではないかと自問するとき、新聞記者たちの内心は穏やかではいられない。そういう心理はごく自然なものだ。

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by berlinHbf | 2007-12-04 00:43 | ベルリンを「読む」 | Comments(7)

「がんばれ、ブランデンブルク州!」(塚本晶子著)

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前回、「ベルリンの壁崩壊」というおそらく今後も語り継がれるであろう輝かしい歴史の瞬間について書きましたが、18年後の現在、ベルリンとその周辺地域を覆う現実は、かなり厳しいものがあるのは確かだと思います。実際、旧東ドイツ地域に関するニュース(特に日本語を通して伝わるもの)には、ほとんど明るい話がありません。「教育水準の高い東出身の若い女性がどんどん西側に流れている」、「アンケートによると、再び壁が建設されることを望んでいる人がこれだけいる」、「ネオナチが台頭し、社会に不安の影が射している」等々。なるほど、それらは確かに事実かもしれません。でもだからといって、そういう暗い話ばかりが現実ではないだろうと、大雑把な報道の仕方に突っ込みを入れたくなるときがあります。

では、私が「新しい連邦州」と呼ばれる旧東ドイツ地域、もっと限定してベルリンの周辺地域の現実をどれだけ知っているかというと、正直心もとないのです。いくら巨大な負債を抱えていても、ベルリンは「ドイツの首都」という(ある意味)特権的な立場にあり、ここにずっといると、周辺の地域がやや見えにくくなるのは事実。相変わらず新しい建物はぼんぼん建っているし、一体この街のどこがそんなに貧乏なのかということさえ、時によくわからなくなります。

前置きが長くなりましたが、ベルリンを取り囲むブランデンブルク州のいまを知るための実に心強い1冊が出版されました。「がんばれ、ブランデンブルク州!」(作品社)という本です。筆者、塚本晶子さんは私の友達で、同じクロイツベルクに住むご近所さんでもあります。もともと旧東ドイツに全く興味がなかったという彼女は、ベルリンに来て出会ったパートナーがブランデンブルク州出身ということもあってこの地域に興味を抱くようになり、現在はフンボルト大学でジェンダー学とヨーロッパ民俗学を専攻しています。休みの度にブランデンブルク州のあちこちに自転車を持って出かけているという話は去年から聞いていましたが、あれよという間に1冊の本にまとめてしまいました(本と同名の彼女のブログはこちら)。
観光地でないブランデンブルク州は、予備知識なしで訪れると何も「見えない」ところです。しかしそれは「何もない」とは違います。この本では、街があり、歴史があり、人々の暮らしがある、私が「見た」ブランデンブルク州をご紹介します。
と前書きにある通り、この本では「旧東ドイツの過去の悲劇」をことさら強調するのでもなく、ましてやアンケートや統計を整理しただけでもなく、彼女が実際に目で見て歩いたブランデンブルク州の現在が非常に地に足の付いた形で描かれています。

本ではまず、ブランデンブルク州の自然や人々、周辺地域を含めた基礎知識、旅する際の実用的な情報などが取り上げられます。続く「DDRを感じる旅」という章で紹介される「製鉄所の街アイゼンヒュッテンシュタット」と「石油コンビナートの街シュヴェート」は、まさにDDRと共に栄え衰退していった街ですが、私はこの本を読んで大変興味を持ちました。近いうちにぜひ行ってみたいと思ったほどです。

州南部に住む少数民族ソルブ人の話も関心を誘いますし、ベーリッツの特産品シュパーゲル(白アスパラ)についてもしっかり取り上げられています。かつての炭鉱地帯ラオジィッツの人口湖開発計画はヨーロッパ最大の地域開発事業と言われているのだとか。石炭採掘に使われたF60という宇宙ステーションのような超巨大マシンにはまさに唖然としました(こちらを参照)。

かつて、ブランデンブルク州はプロイセン王国の時代に、歴史の表舞台に立ったことがあります。この本ではあえて取り上げられていないポツダムのサンスーシ宮殿以外にも、プロイセン時代の宮殿が意外と残っていることを知りました。第11章の「Cゾーンの旅」では、ベルリンから気楽に訪れることのできるスポットが紹介されています。

本文の読みやすさも見逃せません。ブランデンブルクというと、ベルリンの「ブランデンブルク門」やバッハの「ブランデンブルク協奏曲」のイメージしかないという(私を含めた)多くの人も、まず間違いなく最後まで読み通せると思います。

ベルリンが好きという旅行者にはリピーターが多いような気がします。確かにベルリンだけでも何日と費やす価値はありますが、ときには市内を少し離れてみるのはいかがでしょう。それによって、ブランデンブルク州の海に浮かぶベルリンという島も、また違った風に眺められるかもしれません。本書はそのためのよきガイドとなるはずです。

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by berlinHbf | 2007-11-12 20:03 | ベルリンを「読む」 | Comments(16)

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