ベルリン-東と西が出会う場所。ドイツにありながらドイツではない町。歴史の影に彩られた栄光と悲運の世界都市。そんなベルリンの奥深い魅力をリアルタイムでお届けするブログです。Since 1. August 2005


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中村真人 (Masato)
神奈川県横須賀市生まれ。早稲田大学第一文学部を卒業後、2000年よりベルリン在住。ベルリンの映像制作会社勤務を経て、現在はフリーのライター、ジャーナリスト。


ベルリンガイドブック
「素顔のベルリン」増補改訂版
¥1,680
ダイヤモンド社
(Amazon、全国各書店にて発売中)

本書は2009年10月発行「素顔のベルリン」の増補改訂版です。2013年に改めて新規取材を行い、データを更新。レストランやショッピング、コラムなどのページも増量し、より充実したガイドブックに生まれ変わりました。

Amazonにてネット購入ができます。



『街歩きのドイツ語 』
¥1,575
三修社

豊富なビジュアルとドイツ語フレーズを楽しめる1冊。基本のあいさつ表現から、街にまつわるドイツ語豆知識まで、ガイドブックとともに旅に役立つ会話集です。




『素顔のベルリン 過去と未来が交錯する12のエリアガイド 』
¥1,575
ダイヤモンド社
(2009年発売)

地球の歩き方シリーズ初、待望のベルリンガイドブック誕生!比類なき歴史を抱えつつ、明日へ向かって日々進化し続ける首都ベルリン。「ドイツで最もドイツらしくない」といわれるこの町の知られざる魅力を、現地在住著者が12のエリアにわけて徹底紹介。


現在のトップ画像は、ベルリン在住のイラストレーター、高田美穂子さんによるオリジナル作品です(詳しくはこちらより)

ベルリン更新情報
2013/02/20 up

ベルリン個人ガイドのご案内

執筆、ガイド、コーディネートなどのご依頼、お問い合わせはこちらまで(これまでの出版・寄稿実績)→
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東京新聞7月27日(日)朝刊「写真家 古屋誠一インタビュー」

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文章を書く仕事をしている関係からか、ベルリン在住の特派員の何人かの方とお付き合いがあります。皆さん取材で飛び回っていることが多いので、頻繁にというわけではないものの、時々食事などをご一緒しながら仕事や旅、好きな本の話などをしては、刺激を受けています。

東京・中日新聞の宮本隆彦記者も親しくさせていただいている一人。昨年の春頃だったか、近所の中華のお店でお会いした際、宮本さんがある写真家のノンフィクションについて熱く語っていました。それが、『メモワール 写真家・古屋誠一との二〇年』(小林紀晴著)という本でした。宮本さんは、学生時代にたまたま古屋誠一という写真家の作品に出会って以来、興味を持っているのだとか(私は正直それまで知りませんでした)。今年に入って、宮本さんからこの本を借りて読んだのですが、これまで味わったことのないような読後感の残る本でした。古屋誠一は若い頃に渡欧し、そこでオーストリア人のクリスティーネと出会い結婚します。しかし、やがて彼女は精神を病み、1985年10月、当時古屋の仕事の関係で滞在していた東ベルリンの高層アパートから飛び降りて自殺を遂げます。古屋はクリスティーネとの8年間を克明に記録し続け、『Mémories』と題した写真集をこれまで何冊も発表してきました。詳しい内容についてここではこれ以上触れませんが、「人はなぜ撮るのか、作品を残そうとするのか」という表現の根幹にも問いを投げかける、ある種の衝撃を受けたノンフィクションでした。
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6月頭、私の友人の写真家のTwitterで、古屋さんの新しい写真集のプレゼンテーションがポツダム通りのThomas Fischerというギャラリーで行われることを知り、宮本さんを誘って出かけてきました。古屋さんはこのイベントのために自宅のあるオーストリアのグラーツからやって来られたそうですが、ご覧の通りの大盛況。キュレーターとのトークセッションでは、作品が生まれた経緯などを流暢なドイツ語で語っていました。

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この新しい写真集のタイトルは『Staatsgrenze 1981-1983』。「国境」という意味です。1981年から83年にかけて、古屋さんは家族を連れてオーストリアとの国境線に沿って車で走り、記録に収めました。新作と言っても30年以上前に撮影された作品をまとめたものですが、長年Mémories』に取り組んできた古屋さんにとって、新たな一歩となる作品となったようです。

宮本さんは当初、「せっくの機会だから名刺だけでも渡せたら」というぐらいの気持ちだったそうですが、イベント終了後古屋さんに挨拶した際、インタビューの打診をしたら快く応じてくれ、その2週間後にはもうグラーツに飛んでいました。インタビューの翌日、宮本さんから届いたメールには、古屋さんの自宅にまでお邪魔して計5時間ぐらい話を伺ったことに加え、「当然、小林紀晴さんの『メモワール』の印象に引っ張られていたわけですが、 (今回のインタビューで)それが修正されるような部分もありました」と書かれており、私もその中身が気になっていました。実は先週、久々に宮本さんに会って今回の話を聞く予定だったのですが、ウクライナの旅客機撃墜事件で宮本さんは急遽ウクライナに飛ぶことになり、約束は流れてしまいました。

明日7月27日(日)の東京新聞の朝刊に、宮本記者による「古屋誠一 ロングインタビュー」が掲載されるそうです。以上のような経緯から、私もどんな内容なのか全然把握していないのですが、興味深いインタビューになっているのは間違いないので、ここでご紹介しようと考えた次第です。ご興味がありましたら、ぜひ明日の東京新聞を手に取っていただけたらと存じます。

by berlinHbf | 2014-07-26 11:41 | ベルリンの人々 | Comments(0)

東京の本屋がベルリンに

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クロイツベルクの書店「Motto Berlin」に並んだ日本の書籍

3月末から2週間、「ベルリンの街に東京の本屋がやって来た!」をコンセプトに、東京の独立系書店5店が選んだ日本のアートブックと文房具がクロイツベルク地区の書店で展示販売されました。


地下鉄U1のSchlesisches Tor駅から徒歩3分。大通りから中庭に抜けると、アートブックを中心に扱う書店「Motto Berlin」が構えています。今回のイベントを企画したのは、ベルリン在住の原田潤さん。東京の大学を卒業後、グラフィックデザインを学び、現在は本とデザインにまつわる活動をしている彼に、そもそもなぜ日本の本をベルリンに紹介しようと思ったのか聞いてみました。

「一昨年、フランクフルトの書籍見本市で日本の本が紹介されている様子を見たのですが、僕らが楽しんでいる東京の本屋の雰囲気とずいぶん違うなと感じたのです。自分がやってきたことを生かして、日本の面白いものをドイツの人々に媒介できないかと思いました」。

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今回のイベントを企画した原田潤さん

店内に並ぶ書籍は、日本語を解さなくても楽しめる写真集など、70タイトル以上のビジュアルブックやバイリンガル表記の本が中心。2014年の木村伊兵衛賞を受賞した写真家・森栄喜さんの最新刊や、2012年にカッセルの現代美術の国際展「ドクメンタ」に出展した大竹伸朗さんの作品集のほか、戦後間もない時代の九州の街角を収めた井上孝治さんの写真集『想い出の街』といった古書まで、独自の視点で選ばれた幅広い年代の本が並びます。中学生の頃から神保町の古書店に通っていたという原田さんは、「古書を混ぜることで、時間軸に奥行きが出てくるんです」と、本への愛情を込めて語ってくれます。「デジタル書籍が増える中で、本の身体性というものを考えていきたい」との想いから、装丁やパッケージがユニークな本も何冊か置かれていました。

書籍に加えて展示されていたのが、日本発の文房具。ライフやツバメノート、印刷加工連といった日本の高い職人技術を感じさせる美しい紙文具、使いやすい筆記具や机周りの小物など、こちらも思わず欲しくなってしまうものばかり。

今回のイベントは、フィンランドのヘルシンキに次いでベルリンが2都市目の開催で、原田さんは「日本の出版物やものづくりに対するヨーロッパの人々の関心の高さを感じています。今後もドイツやヨーロッパの他都市で紹介していけたら」と意欲を語ります。

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「Motto Berlin」の"副店長"Tinte(写真提供:原田潤さん)

「Motto Berlin」は、アートブックに興味のある方にはお勧めの書店です。ひょっとしたら入り口で、店主が飼っている黒猫の「Tinte」(=「インク」の意)が迎えてくれるかもしれません。
www.mottodistribution.com

MOTTO BERLIN
Skalitzer Str. 68, im Hinterhof
10997 Berlin
U1 Schlesiches Tor
Ph: +49 (0)30 48816407
Fax: +49 (0)30 75442120
Open Monday – Saturday: 12h-20h

by berlinHbf | 2014-04-17 12:40 | ベルリンを「読む」 | Comments(1)

『ベルリンガイドブック〜「素顔のベルリン」増補改訂版』のご案内

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拙著『素顔のベルリン』は、2009年の発売以来、お陰さまで多くの方に手に取っていただいてきました。この度、ダイヤモンド社より増補改訂版として新たな形で発売されることになりましたので、ここで紹介させていただきたいと思います。

今回の改訂では以下のようなことがポイントになっています。

- 全体で16ページ増強し、新しいテーマのコラムをいくつか追加。読み物としてもボリュームが増しました。
- それまでは各エリアの最後に紹介していたカフェ&レストランの情報を、東地区と西地区のそれぞれ最後にまとめて掲載。それにより、カフェ&レストランや名所・見どころの情報も一層充実させることができました。
- 初版の写真も多く残してありますが、この4年間のベルリンの町の移り変わりを鑑みて、適宜写真を差し替えました。ベルリン在住の方やコアなベルリンファンの方も楽しんでいただけたらと願っています。
- 全ての情報や記述を入念に再チェック。地図には新たに縮尺を付け、さらに使いやすくなったと思います。
- これは些細なことですが、基調カラーが青から赤に、そして表紙の紙質も変わりました。マットな感じなのにつるつるしていて、触っていて心地よい感じがします(笑)。

今回はゼロから作るわけではないとはいえ、それでもこの2ヶ月間はとてもハードでした。1日中通りに出て写真を撮る日もあれば、部屋にこもって執筆に追われている日もありました。それでも充実した時間だったと思えるのは、ベルリンという町の面白さに改めて魅せられたゆえだと思っています。これほど集中的に町を歩いたのも久々だったのですが、日々発見の連続で、飽きることがありませんでした。その気持ちが、改訂版のページのところどころに表れているといいのですが。

今回も編集部の伊澤慶一さんやデザイナーの椎名麻美さん、地図製作や印刷所の方など多くの方にお世話になりました。また、妻に多くの取材に同行してもらったことで、この本に女性の視点も盛り込むことができたように思います。ここで心より感謝したいと思います。

Amazonではこちらよりご予約いただけますし、書店には7月19日頃から並び始めるとのことです。『素顔のベルリン』が多くの方に読まれ息の長い本になったことを感謝すると共に、新しい『ベルリンガイドブック』もどうぞよろしくお願いいたします。

ベルリンを舞台にしたノンフィクションを書き上げるのが私の次なる目標です。
by berlinHbf | 2013-07-17 23:57 | ベルリンを「読む」 | Comments(12)

三浦哲郎『赤い衣装』朗読会@ハノーファーのお知らせ

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来週ハノーファー在住の知人が朗読会を開催するので、ここでご案内させていただきたいと思います。

ドイツ在住歴の長い文化ジャーナリスト、小町英恵さんと知り合ったのは2008年初頭のことでした。それまで何の面識もなかった私に、このブログだけを見て、ハノーファーの現代美術館ケストナーゲゼルシャフトで開催される町田久美さんの個展のカタログ翻訳を依頼してくださったのでした。その後、ハノーファーを訪ね、小町さんと地元の新聞社で文化部長を務めるご主人のヘニングさんにもお会いすることができました。

今年、小町さんは三浦哲郎(1931-2010)の『赤い衣装』という短編小説をドイツ語に翻訳されました。小町さんは三浦の生前から彼の作品をドイツ語で出版する企画を進めており、当初は長編小説の『白夜を旅する人々』を翻訳したかったそう。とはいえ、ドイツの出版社からは「ビジネスにならない」ということで断られ続け、やっとのことでハノーファーの小さな学術系出版社の協力を得て、『赤い衣装』を出版できることになったそうです。それがこちらの本。日本画の町田久美さんが友情出演で特別に描いてくれたという表紙絵も素敵です。「アンソロジーの形で翻訳されたことはあるみたいですが、三浦哲郎の著者名でドイツで本が出るのはおそらく初めてだと思います」(小町さん)。

これを読んだドイツ人の方々からは「本当に心が揺れた」、「他にこの作家の作品がドイツ語でないか探した」など、嬉しい感想が寄せられているとのこと。正直私は、三浦哲郎という作家については、その名前を知っている程度だったのですが、ドイツ語版の『赤い衣装』を読んで、豊かな叙情と構成の妙に感銘を受けました。三浦の出身地(青森の八戸)同様、東北の町が舞台になっているのですが、ドイツ語の文章から日本の北国の情景を想像するのも新鮮な感覚でした。

この三浦哲郎の『赤い衣装』の朗読会は、ハノーファーのケストナーゲゼルシャフトで日独交流150周年のプログラムとして開催することになりました(入場無料)。
以下に小町さんより送られてきたドイツ語の案内文を転載します。当日は日本から町田久美さんもいらっしゃるとのこと。ハノーファー近辺にお住まいの方、よかったらぜひいらしてください。

Liebe Freunde,

ich möche Euch (Sie)
zu meiner kleinen Lesung am 1. Dezember ab 19 Uhr in die kestnergesellschaft einladen. Es geht um die Erzählung Das rote Kostüm von Tetsuo Miura, die zum ersten Mal von mir ins Deutsche übersetzt wurde. Es ist auch ein Wiedersehen mit der Künstlerin Kumi Machida, die das Titelbild entworfen hat.

Es wäre schön, wenn Ihr (Sie) dabei wären.
Hanae Komachi

Danach gibt es ein Gläschen Sake zu Ehren von "150 Jahre Freundschaft Deutschland Japan".
Der Eintritt ist frei

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»Das rote Kostüm« von Tetsuo Miura | Lesung von Hanae Komachi

Dieses Jahr blicken Deutschland und Japan gemeinsam auf eine 150jährige Beziehung zurück. Diese Freundschaft wird in beiden Ländern das ganze Jahr über mit verschiedenen Veranstaltungen gefeiert. Hanae Komachi, seit 28 Jahren in Deutschland ebende japanische Designjournalistin, und Kumi Machida, in Tokio lebende Nihonga-Künstlerin, haben aus diesem Anlass gemeinsam an einem Buchprojekt gearbeitet und werden das vorstellen und die Erzählung lesen. Vorher gibt es eine Einführung ins Leben des Schriftstellers Tetsuo Miura (1931–2010), das allein schon einem Roman gleicht. Zum Schluss dann ein kleiner Umtrunk mit japanischem Reiswein "Sake" zu Ehren Miuras, der in diesem Jahr 80 geworden wäre.

Ein junger Mann in einer kleinen Hafenstadt im Norden Japans, seine Schwester und das Schicksal in Gestalt eines roten Minirocks: Die bewegende Erzählung »Das rote Kostüm« bietet einen Blick auf ein Japan jenseits von Manga und Millionenmetropolen. Tetsuo Miura, einer der wichtigsten Schriftsteller Japans und in Deutschland leider kaum bekannt, hat ein umfassendes Werk mit Romanen, Erzählungen und Essays hinterlassen. Wegen seines klaren Stils gilt er als der Purist unter Japans Schriftstellern.
»Das rote Kostüm« erscheint (im Wehrhahn-Verlag Hannover) zum erstem Mal auf Deutsch.

Miura ist in der Stadt Hachinohe geboren, deren Hafen an der Nordost-Küste am Pazifischen Ozean liegt, wo im vergangenen März der Tsunami Japan überrollte. Die Geschichte von "Das rote Kostüm" spielt genau dort.
Das Titelbild stammt von Kumi Machida: Klassisch moderne, aber gleichzeitig sehr traditionelle japanische Literatur begegnet hier einer aus dem Rahmen der Tradition gefallenen zeitgenössischen neujapanischen Kunst. Der Abend ist auch ein Wiedersehen mit der Künstlerin, die 2008 in der kestnergesellschaft ausgestellt hat. Dieses Jahr erregten Machidas Gemälde in der "Bye Bye Kitty" Ausstellung in New York Aufsehen.
Kumi Machida wird nach Hannover kommen und über den Entwurf des Titelbildes sprechen.


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by berlinHbf | 2011-11-25 23:46 | ドイツ全般 | Comments(4)

『街歩きのドイツ語』(三修社)のご紹介

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先日お知らせした『街歩きのドイツ語』(三修社)が5月末に無事発売されることとなったので、今日はもう少し詳しくこの本をご紹介したいと思います。

旅行会話集って、何となく旅先に持って行くけれども、結局あまり使わないで終わってしまうことが多いと思うんです。この本のお話をいただいた時、旅先で実際に使ってもらえる本になるよう、思わず口に出してみたくなるフレーズがたくさん載った、そしてドイツ人は実際にこういうことを言っているのか現地で確かめてみたくなるような、そんな本にしたいと思いました。もちろん実用性を重視しての上です。文法の説明はごく最低限に留めてあり、また通して話すのが難しいような長いフレーズもほとんど入れていません。私が初めてドイツに来た時、持参した会話集の最初のページには、「はじめまして」のドイツ語訳として"Ich freue mich, Sie kennenzulernen."と書かれていましたが、不思議なことにこのフレーズをドイツ人の口から発せられるのを一度も聞いたことがありません。もっともらしく聞こえるけれど、実際使われることがほとんどない言い回しは省き、例えばカフェのシーンなど、日常の中で頻繁に耳にするやり取りばかりを厳選して選びました。

といっても、個人旅行でドイツに来た場合、道を聞いたり、カフェやスーパーに入る時以外は、ドイツ人と会話のやり取りをする機会はそうないのが普通です。そのことを考え、単なるフレーズ集でなく、街を歩く時、こういうことを頭に入れておくと便利、もしくは歩くのが一層楽しくなる、という視点から(日本とは違う)ドイツの日常をたくさん紹介しています。例えば、トイレの使い方、番地を見つける時のコツ、街の看板や標識、アパートの建築様式、街で見かける動物、歴史プレート、スーパーでの買い物の仕方といったようなことで、旅行ガイドブックには意外と載っていない情報ばかりです。写真が豊富なちょっとしたドイツのミニ生活カタログ(?)として、いますぐ旅行に行く予定のない方にも楽しんでいただけたらと思っています。

著者は私になっていますが、いろいろな方々が寄せてくださった視点や意見を通して、本書は出来上がりました。出張でたまにドイツに来る友人、ベルリンに住み始めたばかりのカップル、ドイツ人の知人夫婦、他の街に留学している友達など、様々な立場の方から、「こういうフレーズを紹介しては?」とか「地下鉄に乗る場面で、あのことを説明してほしい」といった有益な意見をたくさんいただきました。特に、ベルリン在住2年の妻には多くの場面で助けてもらい、最後の方では連日の徹夜のチェック作業にも付き合ってくれました。10年もドイツに住んでいていると、大体のことが当たり前になってしまい、滞在して間もない人の意見に気付かされることが多かったです。

あと結構重要なポイントとして、この本はアクセントを入れて読むべきほぼ全ての箇所を太字にしてあります。これは結構な労力を必要とし、ボールド入れをしていない会話集もあるので、どうしようかと悩みました。最終的には、ネイティブチェックを引き受けてくださったOさんの、「ドイツ語はイントネーションが違うと、全く通じないことがあるから入れた方がいい」との意見から、彼に全てのフレーズを読んでもらって太字入れをしました。編集者やデザイナーの方にもかなり面倒な作業だったことと思います。この場を借りて、ご協力いただいた全ての方々にお礼を申し上げます。

ご覧のように、デザインも素敵な感じに仕上がりました。ドイツの三色旗のカラー、バウハウスの字体なども取り入れたデザインにもご注目ください。今月末発売の『街歩きのドイツ語』(三修社)、どうぞよろしくお願いいたします(Amazonでの予約はこちらから)。

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by berlinHbf | 2011-05-14 13:06 | ベルリンを「読む」 | Comments(12)

三修社より『街歩きのドイツ語』を出版します!

今月末、語学書籍などの出版で知られる三修社より『街歩きのドイツ語』という新書サイズの本を出版させていただくことになりました。平たく言えば、ドイツ語の旅行会話集なのですが、ドイツ語の知識ゼロで旅行に来るという方はもちろん、ドイツ語がある程度できる方やドイツに住んだことのある方にも面白く読んでもらえる本にしようと努めました。また、日本と違うドイツの日常もたくさん紹介しています。ベルリンを中心とした街角の写真も私が撮ったものです。すでにAmazonのサイトにて予約できるようになっていますので(こちらより)、興味がおありの方、どうぞよろしくお願いいたします。詳細はまたこのブログで案内させていただくつもりです。

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by berlinHbf | 2011-05-06 15:29 | ベルリンを「読む」 | Comments(9)

2010年に読んだ本から -香港、ソ連、中国、エルベの東-

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2010年のことをロクに振り返らないまま年が変わってしまった。今回は、昨年読んだ本の中から印象に残った何冊かを書き記しておこうと思う。

日本語の本を読みたいだけ読める環境にないので、数は自ずと限られてしまうのだが、とりわけ深く心に残ったのは『オリガ・モリソヴナの反語法』(米原万里著。集英社文庫)と『転がる香港に苔は生えない』(星野博美著。文春文庫)の2冊。もう何年も前に出た本なので、読まれた方も多いかもしれない。前者はスターリン時代を中心とする旧ソ連と60年代のプラハ、後者は返還直前の香港を舞台にした長い物語。フィクションとノンフィクションという違いはあれど、人間への好奇心と深い洞察(かつ柔軟な視線)を持ち合わせた筆者による、ある種の気迫と執念に貫かれた作品であることなどは共通していて、しばらく忘れていた読書の醍醐味を味わわせてくれた。お二方ともジャーナリストではないので、何かを伝えるのに統計やデータの提示から入ることはしない。だが、何の予備知識がない読み手をもその世界に引き込み、スターリン時代のソ連の非人間的な恐怖政治だったり、返還直前の香港の人々の心のざわつきだったりを眼前に鮮やかに伝えてくれるところが素晴らしい。これは並の歴史家やジャーナリストではそうできない仕事だろう。心からおすすめしたい本。

星野さんの著作では、他に『愚か者、中国をゆく』(光文社新書)も読んだ。これは1980年代にご自身が経験した中国旅行の話。硬座の過酷な体験談も出てくるが、それでもこれを読んだらいつか列車に乗って中国を旅してみたくなる。でも、ベルリンからはやはり遠い世界だ。久々に日本に帰ると、1日でも日本に長くいたいと思ってしまうから、アジアを旅するのはまだしばらく先になるかなあ。

中国関連では、佐藤千歳さんの『インターネットと中国共産党』(講談社文庫)も面白かった。佐藤さんは私の大学のオーケストラ時代の先輩で、現在北海道新聞の記者をされている。最初の2冊に比べると、まさに新聞記者の視点で書かれているが、目まぐるしく動く社会と報道の現実を「人民網」編集部の現場にいた経験を元に、丁寧かつスリリングに伝えてくれる。この本が出た後、佐藤さんは同社の北京支局長になられたそうで、今後のご活躍にも期待したい。

ドイツ関連では、最近読んだ『ドイツの二大文化圏―ドナウの南とエルベの東<ドイツ地誌入門>』(鈴木喜参著。大学教育出版)をご紹介しておきたい。教科書のような客観的なスタイルで書かれているので、どこか無味乾燥な解説本を想像していたのだが、実際読んでみたら筆者の長年の研究とフィールドワークが生かされた、静かな情熱が伝わって来る本だった。同じドイツでもベルリンとミュンヘンが全く異なる雰囲気の街であることは誰でも知っているが、その文化圏の相違がどのように生まれたか、自然・歴史・宗教・産業・社会などさまざまな角度から、わかりやすく解説した本はありそうでなかったと思う。旅行でドイツに行かれる方にもおすすめ。

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by berlinHbf | 2011-01-10 12:54 | ベルリンを「読む」 | Comments(3)

東独製品を網羅したカタログ『ニセドイツ』(伸井太一著)

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先日、ミッテを歩いていたら、東の時代のこんな車に出会い、思わず写真を撮ってしまいました。トラバントは今や多くの人に知られていますが、この車の知名度は大分低いのでは。ヴァルトブルク(Wartburg)といって、東ドイツ時代はトラバントよりワンランク上だった「高級車」です。

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車に詳しくない私が、これを見てすぐに「ヴァルトブルクだ!」とわかったのも、昨年秋に出たこの本のお陰。『ニセドイツ ≒東ドイツ製品』(伸井太一著。社会評論社)というちょっと変わったタイトルの本で、Vol.1では、東ドイツの工業製品や都市のシンボル的なものを写真付きで紹介しています。車、バイク、鉄道、自転車、飛行機、カメラ、テレビ、集合住宅など、テーマは驚くほど多岐に渡ります。

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同時発売のVol.2では、生活用品がテーマ。こちらも食べ物から、歯磨き粉、トイレットペーパー、ファッション雑誌、ポルノ、テレビゲームに至るまで、よくここまで集めたものだと感心しました。ほとんど全てのページで駄洒落を織り込んだサブカル系の軽妙なタッチで書かれていますが、筆者の伸井太一さん(実は個人的にも存じ上げている方です)はドイツ現代史の専門家でもあるだけに、各項目の記述は執拗かつ正確です。

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冒頭のヴァルトブルクですが、『ニセドイツ』での次のページをめくったら、思わず「おお!」と声を上げてしまいました。4年前に北駅の前でたまたま見付け、あれは何だろうと気になっていた車の正体が突然わかったからです。やはりDDR時代のバルカス(Barkas)という名のワゴン車。一般的な輸送のみならず、秘密警察の輸送車としても使われていたことも知りました。

『ニセドイツ』は、前書きに書かれている通り「カタログ式の読み物」なので、私自身最初から最後まで読み通すというよりは、折に触れ眺めては「ほー」と驚き、時には呆れ、調べもの等にも活用させてもらっています。本の帯の言葉を借りると「勝手に東ドイツ国営企業カタログ」。今は亡き国家を知り、そこでの生活を(時に笑いながら)追体験できる貴重な2冊といえるでしょう。

伸井さんによると、現在第3弾の執筆中だそうで、完成を楽しみに待ちたいと思います。

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by berlinHbf | 2010-04-26 23:57 | ベルリンを「読む」 | Comments(4)

Coyote No.39 特集:スペイン彷徨

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最近発売されたCoyoteという雑誌に、「ひとつの駅のふたつの世界」というタイトルのルポルタージュを書かせていただきました(大分後ろの方のページです)。夏に『コヨーテ』の編集部の方から執筆のご依頼をいただいたとき、恥ずかしながらこの雑誌の存在は知りませんでした。でも、出版元の「スイッチ・パブリッシング」という名前にはピンときました。学生時代、好きでよく眺めていた沢木耕太郎の『天涯』という写真集を出していた出版社だったのです。他にも一時期よく読んでいた藤原新也や池澤夏樹といった書き手も、ここから本を出されており、不思議なご縁だなあとうれしくなりました。

旅心にいざなわれる1冊です。今回の特集の「スペイン彷徨」の終着点、サンチャゴ・デ・コンポステーラは11年前私が初めてヨーロッパを訪れたときの街。懐かしさとともに、ダイナミックな美しい写真の数々に圧倒されました。ご一読いただけると幸いです。


COYOTE No.39
フランスからスペインのガリシア地方まで約1500キロ続く道がある。サンティアゴ・デ・コンポステーラを目指す巡礼の道だ。悠々と自然のなかに身を置き、未だ見ぬ聖地を目指して前へと進むとき、人は何を想うのだろう。千年以上前から人々を魅了してやまない巡礼の道を歩く
2009年10月10日発売 価格1470円(税込)

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by berlinHbf | 2009-10-17 20:12 | ベルリンを「読む」 | Comments(3)

『素顔のベルリン』、発売中!

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たびたびこの話題で恐縮ですが、私の初の著作『素顔のベルリン』が今週から日本の書店に並んでいるようです。友達や知人から、「買ったよ!」「読んだよ!」というメールが私のもとに届き始めています。まだすべてにお返事できていないのですが、いずれも大変うれしく拝読しています。まずはどうもありがとうございます。

書店に並ぶのより一足早く、先週、私のもとに本の入った小包が届きました。何度もチェックしたので、内容はもうわかっていたのですが、本になった状態のものを手にした時の気分はやはり格別でした。PDFファイルを眺めていただけではわからなかった紙の質感も、とてもしっくりくるものだったのでよかったです。

カラフルな表紙も気に入っているのですが、裏表紙の写真には、思わずニヤリとしてしまいました。このページの写真は、オーバーバウム橋か郊外のトイフェルスベルクからの眺めにするかで最後まで悩んだのですが、前者にしてよかったのではと思っています。背後の壁に描かれているちょっと不気味なグラフィティー、実は1人1人の人間で構成されているのですが、おわかりいただけるでしょうか。

それぞれの章についても触れたいことはいろいろあるのですが、今回1冊の本作りに携わってみて、企画から編集、校正、デザイン、印刷製本に至るまで、本当にいろいろな方の熱意と協力に支えられて成り立つものなのだと肌で実感でき、この経験は自分にとって大きな財産になりました。デザイナーの方など、一度もベルリンに来られたことがないにも関わらず、私が伝えた希望とご自身の想像力、勉強によってだけで、この素敵なデザインに仕上げてくださったのですから驚きです。

私自身、この半年間は本の仕事で知識をアウトプットする一方だったので、また時間をかけてさまざまな知識と経験をインプットしていきたいと決意を新たにしています。

『素顔のベルリン』が、多くの方々に(できれば末永く)受け入れられ、また活用されることを願って。どうぞよろしくお願い致します。

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(12月27日追記)
横須賀中央モアーズ内の平坂書房さんが、こんなPOP付きで紹介してくださいました。担当のサイカさん、どうもありがとうございました!

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by berlinHbf | 2009-10-06 14:01 | ベルリンを「読む」 | Comments(34)

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