ベルリン-東と西が出会う場所。ドイツにありながらドイツではない町。歴史の影に彩られた栄光と悲運の世界都市。そんなベルリンの奥深い魅力をリアルタイムでお届けするブログです。Since 1. August 2005


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中村真人 (Masato)
神奈川県横須賀市生まれ。早稲田大学第一文学部を卒業後、2000年よりベルリン在住。ベルリンの映像制作会社勤務を経て、現在はフリーのライター、ジャーナリスト。


ベルリンガイドブック
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本書は2009年10月発行「素顔のベルリン」の増補改訂版です。2013年に改めて新規取材を行い、データを更新。レストランやショッピング、コラムなどのページも増量し、より充実したガイドブックに生まれ変わりました。

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地球の歩き方シリーズ初、待望のベルリンガイドブック誕生!比類なき歴史を抱えつつ、明日へ向かって日々進化し続ける首都ベルリン。「ドイツで最もドイツらしくない」といわれるこの町の知られざる魅力を、現地在住著者が12のエリアにわけて徹底紹介。


現在のトップ画像は、ベルリン在住のイラストレーター、高田美穂子さんによるオリジナル作品です(詳しくはこちらより)

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早稲田大学交響楽団のベルリン公演2015

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ベルリン・フィルハーモニーに登場した早稲田大学交響楽団
© Waseda Symphony Orchestra

3月8日、
早稲田大学交響楽団がベルリン・フィルハーモニーに客演し、センセーショナルともいえる成功を収めました。

同楽団は、音楽を専門としない早稲田大学の学生のみで構成されているにもかかわらず、1978年にベルリンで行われた青少年オーケストラ・コンクールで優勝して以来、国際的な経験を積み重ねてきました。今回のベルリン公演は、ドイツ、オーストリア、フランスの13都市を巡る第14回海外公演「ヨーロッパツアー2015」の一環として行われたものです。

公演の冒頭では、先頃亡くなったワイツゼッカー元大統領のために、ダヴィッド作曲のトロンボーンと管弦楽のための小協奏曲から「葬送行進曲」が急きょ追悼演奏されました。ワイツゼッカー氏は2005年に早稲田大学の名誉博士号を授与されており、過去3回の同楽団のベルリン公演の客席にもその姿がありました。「我々に多大な支援をしてくださったカラヤン氏は『音楽は政治的な対立を超え、国際的な相互理解を実現するための最善の手段』と語りましたが、ワイツゼッカー氏もまた、平和や戦争というものに対して明確なメッセージを出した方。世界に暴力がはびこる今こそ、その遺志を受け継ぎたいと思いました」と語るのは、同楽団の八巻和彦会長。追悼演奏では、首席トロンボーン奏者の水出和宏さん(商学部4年)が、プロ顔負けの堂々たるソロを披露しました。

続くR.シュトラウスの交響詩「ツァラトゥストゥラはこう語った」では、有名な冒頭部分から、若き音楽家たちが持てる力を全力でぶつけてきます。難易度の高いシュトラウスの作品を、技術的にクリアしているだけにとどまらず、作品に込められた文学性や芳香な雰囲気までもが、日本の学生オーケストラの演奏から聴こえてきたのは驚きでした。

後半の、石井眞木作曲の日本太鼓とオーケストラのための「モノ・プリズム」は、著名な和太鼓奏者である林英哲&英哲風雲の会との共演。雫石が滴り落ちるような和太鼓のピアニシモからホールを揺るがす大音量まで、和と洋の楽器による協奏はまさに圧巻で、心の底から揺り動かされたと言わんばかりに、ベルリンの聴衆は総立ちで喝采を送ったのでした。

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左から楽団員の水出さん、藤井さん、福嶋さん

演奏会後のレセプションで、何人かの楽団員に話を聞きました。「このツアー中で今日が一番まとまって演奏できたと思います。お客さんの反応には感動しました」(コンサートミストレスの藤井琳子さん。政経学部3年)

「我々素人がベルリンやウィーンで演奏会をできるのは、全員が一丸となっているから。1人では何もできませんが、上級生からの財産をしっかり受け継ぎ、100人が同じ方向に向かって取り組めば、きっと何かがお客さんに伝わる。それがオーケストラの神髄だと思っています」(ツアーマネージャーの福嶋雅和さん。教育学部4年)

この公演は、ベルリン・フィルのデジタル・コンサートホールを通してインターネットで生中継されました。ほぼ3年毎に行なわれてきた同楽団のツアー。次の来訪が楽しみです。

So, 08. Mär. 2015 11 Uhr
WASEDA SYMPHONY ORCHESTRA TOKYO
MASAHIKO TANAKA Dirigent

Auf Einladung der Berliner Philharmoniker

Richard Strauss
Also sprach Zarathustra op. 30
Richard Strauss
Don Juan op. 20
Richard Strauss
Salomes Tanz aus der Oper Salome op. 54
Maki Ishii
Mono-Prism für japanische Trommeln und Orchester op. 29

by berlinHbf | 2015-03-28 21:28 | ベルリン音楽日記 | Comments(2)

マーラーの《復活》に挑む!

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Gethsemanekirche (2013-01-30)

コンツェルトハウスでの自分たちの演奏会がいよいよ今晩(5日)に迫った。アマチュア音楽家として、幸運なことに今までいろいろな曲と直に触れることができ、貴重な経験をさせてもらってきたけれど、今回のグスタフ・マーラーの交響曲第2番《復活》は、その中でも際立ったスケールと内容の深さを持つ作品の一つであることに間違いない。かれこれ3ヶ月この大曲と付き合ってきたので、「今日でもう終わりか」という名残惜しい気持ちがある一方、不安を抱えたまま臨まなければならない箇所もあって、なんだかいつになくソワソワしているのが正直なところ。この数ヶ月を振り返って、《復活》とのあれこれを思いつくままに綴ってみたいと思う。

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そもそもアマチュアのオーケストラがなぜこんな大曲に挑むことになったかというと、2年半前からメンバーに入れてもらっているオーケストラ(Junges Orchester der FU)の創立20周年の記念公演の演目に選ばれたから。ベートーヴェンの第9やベルリオーズの幻想交響曲なども演目の候補に上がったらしいのだけれど、指揮者の強い意向などもあってマーラーの《復活》に決まったらしい。この作品は、大編成のオーケストラに加え、合唱、ソプラノとメゾソプラノのソリスト、さらに金管楽器の別働隊(バンダ)も要するとあって、プロのオーケストラでもそうそうは取り上げられない。ましてや、アマチュアではなおさらのこと。今回の合唱団は3つの団体からなる混合(そのうち一つはドレスデンから参加)で、ソリストにはベルリン国立歌劇場の若手歌手が駆けつけてくださった。演奏者が総勢何人になるのかはわからないが、よくぞこれだけの人々が集まったものだと思う。

3ヶ月練習してきた中で、とりわけ印象に残っている瞬間がいくつかある。一つは、1月初頭の週末、オーケストラの合宿に参加し、集中的にリハーサルをしたときのことだ。場所はメクレンブルク州の田舎街ブルク・シュターガルトのユースホステル。正直、私はこのとき気分があまり優れなかった。自分の中に潜んでいるネガティブな感情が吹き出していたというか、なんだかやたらと悲観的なことばかり考えていたのだ。そんな中、日曜の午後、最後の通し練習が行われた。《復活》を最初から最後まで通して演奏するのは、このときが初めてだった(演奏時間は80分にも及ぶ)。第5楽章の途中まで、比較的冷静な気持ちで吹いていたのだが、本来合唱が加わって感興が頂点に達するあの箇所で、私は電流に打たれたように感動してしまったのだ。そのときはオーケストラだけの演奏だったにも関わらず。
Sterben werd ich, um zu leben!
私は生きるために死のう!
Auferstehn, ja auferstehn wirst du,
よみがえる、そうだ、おまえはよみがえるだろう、
mein Herz, in einem Nu!
わが心よ、ただちに!
この日の午後、雲の動きが早く、空は刻々とその色合いを変えていた。そして、これは単に私の勝手な思い違いである可能性が高いのだが、記憶の中では、この箇所に差し掛かったあたりで、窓から光が差し込んで、指揮者にまさに後光が射したように見えたのだ。練習が終わると、不思議なことに、私の中のネガティブな感情はさっぱり消えていた。宿を出た時、肌に当たる冷気が清々しく、帰りの車の中から眺めるメクレンブルク州の田舎の風景は、何もかもが美しく見えた。あのときの幸福な気持ちは、その後も1週間ぐらい続いたのだ。

そして、もう1つはつい数日前、最初の本番の会場であるゲッセマネ教会でのプローベのこと。それまでずっとオーケストラだけで練習をしてきて、この日初めて合唱とソリストを交えてリハーサルをしたのだった。「よみがえる、そうだ、おまえはよみがえるだろう」の合奏の導入が自分のすぐ後ろからピアニシモで聴こえてきたときは、人間の声の持つ力というものにじんときた。ソプラノ独唱が「おお、信じよ、おまえは空しく生まれたのではない!」と歌いだし、やがてアルト独唱と力強い掛け合いになるところでは、「ああ、ひょっとしたら自分は、この時間を味わうためにドイツに来たのではないだろうか」などと思ってしまったほどだった。


そもそも、マーラーが作曲した《復活》が史上初めて音として立ち現れたのは、ベルリンにおいてだった。1895年12月13日、マーラーは私財を投じてベルリン・フィルや合唱団、ソリストを雇い、全曲の初演にこぎ着けたのだそうだ。当時マーラーのアシスタントだったブルーノ・ワルターがこの場に居合わせ、感動的な回想録を残している。
実際この演奏会の圧倒的印象は、私の回想の中で、最もすばらしいもののひとつなのである。私は、終楽章の偉大なるラッパで世の終わりを告げた後に、復活の神秘的な鳥の歌を聴いた時の息もつけぬような緊張感、それに続く合唱「よみがらん汝は」も導入される部分における深い感激を今でもはっきり耳にすることができる。もちろんそこには、反対者があり、誤解があり、軽蔑があり、冷笑があった。しかしその作品の壮大なこと、独創的なこと、かれの個性の強力なことの印象の方が余りにも深く大きかったので、その日から、マーラーは、作曲家として、最高の地位をもって迎えられるようになったのであった。
(ブルーノ・ワルター『マーラー 人と芸術』(音楽之友社より)
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今回ピッコロと3番フルートのパートを受け持つ私が特に緊張しそうなのが、ワルターのこの回想録にある「復活の神秘的な鳥の歌」の箇所だ。マーラーが「最後の審判」を描いたとされる管弦楽の咆哮が頂点に達した後、突如静寂が訪れ、舞台裏のホルンがこだまのようなエコーを奏でる。そして、フルートとピッコロが鳥の音を奏で始める。同じ鳥でも、ベートーヴェンの《田園》やマーラーの《巨人》に出てくる明朗なカッコウなどと違って、夜の暗闇の中から夜鶯の音が密やかに聞こえてくる感じだ。舞台裏のトランペットとも音が交錯するこの箇所、練習で合わせる回数が少なかったこともあって(言い訳になるが)、不安なまま本番に臨むことになってしまった。本物の鳥のように無心で奏でられたらなあ、と思う。

もう一つ、いつも興味深く拝見している音楽ジャーナリスト、林田直樹さんのLinden日記(2013年11月2日)から引用させていただく。その少し前に横浜で行われたインバル指揮東京都交響楽団のマーラーの交響曲第6番の演奏会について、林田さんが書かれた文章だ。
第1楽章や第3楽章アンダンテにも出てくるカウベル(牛の首につける鈴)の音響的効果は、個人的に大好きなところ。今回の演奏を聴きながら改めて思ったのは、マーラーの交響曲の中に、避けがたく動物の雰囲気が入ってくるということの魅力である。

マーラーが人生を語ろうとするときに、そこに動物や鳥や虫たちや、山岳地帯の草原や青空や陽光が必ず混入してくるような、そういう世界観のあり方じたいが、素晴らしいと思うのである。「自然がなければ人は生きられない」ということを、マーラーの交響曲ほど身を持って感じさせてくれるものはない。

都会にいながらにして、自然の空気をたっぷりと吸い、草の中に寝転んで、のどかな牛たちの雰囲気を感じながら、一時的に去って行った人生の闘争から離れ、つかの間の安堵の時間を過ごす――あのアンダンテが連れて行ってくれる世界は、本当にかけがえがない。
《復活》にカウベルは登場しないけれど、私もこの曲のあらゆる楽章で、自然の情景や田舎のあぜ道がふと脳裏に浮かぶ瞬間がある。あのときのメクレンブルク州の田園風景も。

最近《復活》の中に登場する楽器で気になるのは、ルーテと呼ばれる硬いブラシ状の桴(ばち)の一種だ。マーラーがどういう意図でこの楽器を使ったのかはわからないけれど、私には、第3楽章でこのルーテが後ろでゴソゴソやったり跳ねたりしているのが虫の音に聞こえて仕方ない。

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この雑文の最後に、小澤征爾さんと村上春樹さんの対談本『小澤征爾さんと、音楽について話をする』(新潮社)の中で、小澤さんがマーラーの音楽について率直に語っている言葉を抜き出して、今夜本番に臨む仲間と自分自身への励まし(?)としたい。
小澤 結局ね、マーラーってすごく複雑に書いてあるように見えるし、またたしかに実際にオーケストラにとってはずいぶん複雑に書いてあるんだけど、でもマーラーの音楽の本質っていうのはね—こういうものの言い方をすると誤解されそうで怖いんだけど—気持ちさえ入っていけば、相当に単純なものなんです。単純っていうか、フォークソングみたいな音楽性、みんなが口ずさめるような音楽性、そういうところをうんと優れた技術と音色をもって、気持ちを込めてやれば、ちゃんとうまくいくんじゃないかと、最近はそう考えるようになりました。

村上 うーん、でもそれって、口で言うと簡単だけど、実際にはすごく難しいことじゃないんですか?

小澤 うん。もちろんそりゃ難しいんだけど……あのね、僕が言いたいのは、マーラーの音楽って一見して難しく見えるんだけど、また実際に難しいんだけど、中をしっかり読み込んでいくと、いったん気持ちが入りさえすれば、そんなにこんがらがった、わけのわからない音楽じゃないんだということです。ただそれがいくつも重なってきていて、いろんな要素が同時に出てきたりするもんだから、結果的に複雑に聞こえちゃうんです。
(『小澤征爾さんと、音楽について話をする』(新潮社)より)

小澤さんが言うところの「うんと優れた技術と音色」は、アマチュアの僕らは残念ながら持ち合わせていないけれど、少なくとも精一杯の気持ちを込めて、この高い峰のような作品に挑みたいと思う。
by berlinHbf | 2014-02-05 13:09 | ベルリン音楽日記 | Comments(0)

ショスタコーヴィチとの2日間

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Philharmonie Kammermusiksaalのゲネプロより

あれから早1週間が経ってしまいましたが、私にとってはやはり大きなイベントだった、フィルハーモニー室内楽ホールでの本番のことを書いておきたいと思います。2月15日のコンサートは、昨年よりもお客さんがたくさん来てくださり、(舞台後方の席はともかく)舞台から見た前方と左右両側は、かなり埋まっていました。

さて、そんな感じで本番が始まったのですが、並笛(一般のフルート)で臨んだ冒頭のリストの《死の舞踏》。どうも唇が楽器の歌口にベストポジションに当たっていない感じが続き、個人的にはやや不本意な出来となってしまいました。その前の教会と違って、ご存知のようにフィルハーモニーは、舞台の全方向が客席に囲まれているので、客席を意識し出してしまうと、どんどんナーバスになってきてしまう・・・。続く新作ではアルトフルートのソロが1箇所あるのですが、今まで1回のブレスで吹けていたのに、変なところで余分に息継ぎをしてしまいこちらも反省。「音楽にとって絶対的に大事なのは呼吸」と先日聞いた対談で鈴木雅明さんもおっしゃっていましたが、体が硬直してしまうと、呼吸も自然にできなくなってしまうのですね。

そんな感じで個人的には少し残念な結果だったのですが、ハンス・アイスラー音大で学んだスイス人ピアニストBeatrice Berrutさんの演奏は素晴らしかったし、オケのメンバーであり、映画音楽の分野ですでに活躍しているHector Marroquinさんのソプラノとオーケストラのための新作も、上々の評判でした。

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後半のショスタコーヴィチの交響曲第12番。こんな曲を自分で演奏することなど最後だろうという思いで吹きました。この交響曲は第1楽章が規模・技術からいって一番難しい。ピッコロはいままでいろいろな曲を吹いてきましたが、これほど激しく細かく動き回る上、High CやHが多く出てくる曲は初めてです。1917年のロシア革命を描いているだけあって、「壮絶」「絶叫」という表現を使いたくなる箇所が多い一方で、突如不気味なまでの静寂が訪れる瞬間があり、2楽章の「ラズリーフ」など、人の気配が皆無の極北の場所に連れて行かれたような趣さえあります。このコントラスがショスタコーヴィチを味わう醍醐味のひとつなのかもしません。変拍子のリズムが特徴的な3楽章の「アヴローラ」の後半、ついに10月革命の火ぶたが切られ、われわれも白熱したまま「人類の夜明け」と題されたフィナーレへとなだれ込んでいきました。

アマチュアゆえの稚拙な部分はありましたが、オーケストラも指揮者のAntoine(最近ハンス・アイスラー音大の指揮科を卒業したばかり)も、そして私も(笑)、持てる力を出し切れたのではないかと思います。たくさんの拍手をいただいた上、友人・知人も結構来てくれて、まあとにかく格別な夜でした。

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演奏会後の打ち上げもあって、まだ興奮覚めやらない翌日、今度はコンツェルトハウスへ。ちょうどコンツェルトハウスで開催中の「ロシア・フェスティバル」の一環で、ショスタコーヴィチの交響曲第13番が取り上げられたのです。第12番と第13番は、ショスタコーヴィチの交響曲の中で唯一作品番号が連続している2曲で、どちらも演奏される機会が極めて稀。それを2日続けて聴けるのも何かの縁かと思い、足を運んだのでした。

キタエンコ指揮のオーケストラの演奏が始まってすぐに、渋く濃い色合いのオーケストラの響きに魅せられました。暗みがかった世界がすっと体に入ってくる感じ。さすが東のオーケストラというべきか、ベルリン・フィルが演奏してもおそらくこういう音にはならないでしょう。プラハ・フィルの男性合唱団がまた、この感情の振幅の激しい音楽を見事に歌い上げていました。ウクライナのバビ・ヤールのユダヤ人虐殺や反ユダヤ主義を描いた重苦しい第1楽章、第2楽章「ユーモア」の圧倒的な迫力。スターリン時代の恐怖政治を描いた第4楽章で、暗闇の中をもがいているような感覚を味わっているうち、ふっと光が差し込んできたようなフルートの2重奏から、最終楽章へと入ります。自分が中に入って体験した第12番の壮絶な世界から、1つの連作という形でここまでたどり着いたような気がしました。ショスタコーヴィチの作品に対してさらに愛着が深まり、機会があれば自分でもまた演奏したいと強く思った、今回の音楽体験でした。

KONZERTHAUSORCHESTER BERLIN
PRAGER PHILHARMONISCHER CHOR (Männer)
DMITRIJ KITAJENKO
ARUTJUN KOTCHINIAN Bass

Nikolai Rimski-Korsakow
"Die Sage von der unsichtbaren Stadt Kitesch" - Suite aus der Oper
Modest Mussorgsky
"Lieder und Tänze des Todes", für Bass und Orchester bearbeitet von Edison Denissow
Dmitri Schostakowitsch
Sinfonie Nr. 13 b-Moll op. 113 für Bass, Männerchor und Orchester (nach Gedichten von Jewgeni Jewtuschenko)
by berlinHbf | 2013-02-23 16:45 | ベルリン音楽日記 | Comments(2)

ベルリンで楽しむアマチュアオーケストラ

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Erlöserkirche Potsdam (2012-07)

1年半ぐらい前から、再びアマチュアのオーケストラでフルートを吹いています。ベルリン自由大学より援助を受けているJunges Orchester der FUというオーケストラ。学生オケの部類に入るのかもしれませんが、年齢制限のようなものはないので、私を含めて「元学生」の人もかなり混じっています(笑)。

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リハーサルは、学期期間中の毎週日曜日の夜に3時間。本番のコンサートは、基本的に2月と7月の年2回です。去年2月の本番では、チャイコフスキーの交響曲第5番、メンデルスゾーンの《フィンガルの洞窟》とヴァイオリン協奏曲を演奏しました(これがそのときの様子。フィルハーモニーの室内楽ホールが会場)。個人的には、大好きなメンデルスゾーンの2作品を演奏できたことが何よりうれしかったです。

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去年7月のコンサートは、リムスキー=コルサコフの《シェラザード》がメインの演目でした。このときはピッコロを吹いたのですが、いくつかの難所も含めて、大変やり甲斐のある作品でした。これはクロイツベルクのエマウス教会での本番の様子。

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練習は週1回とはいえ、仕事をしながら毎週参加するのは、ときに負担に感じることもあります。それでもなかなかやめられないのは、やはり楽しいからなのでしょう。1つの作品に、半年近く浸れるのはアマチュアの1つの特権(?)というべきか、それが名作の場合、喜びはさらに高まります(プロの場合は、大抵数回のリハでもう本番ですからね)。今回のメインの曲は、ショスタコーヴィチの交響曲第12番というかなり珍しい曲。一般的にショスタコの中ではあまり世評の高い作品ではないのですが、やはり何ヶ月も付き合うと、自然と愛着が沸いてきます。CDを通して聴いただけではわからないであろう、リズムの面白さや細部への発見があったり、全曲を通して吹いたときのエネルギーの放出感を体で感じたりなど。

あともう一つ、アマチュアオケの中で演奏してみると、それを通してその国の社会が見えてきます。と言うとちょっと大げさですが、少なくとも人と人との関係性が見えてくるというのはありますね。例えば、リハーサルの様子を見ていると、彼らがどういう学校教育を受けてきたか、授業がどんな雰囲気で行われているのか、ということが何となく伝わってくる。とにかく、日本の学生オケとは全然違います。日本だと、指揮者やトレーナーの方が立場が上で、静かに、ありがたくお話を拝聴するというムードがありますが、こちらでは指揮者(それがベテランだろうが、学生指揮者だろうが)とオーケストラは基本的に対等の関係で向かい合っているように思います。だから、指揮者が指示を出しても、そこで自然とやり取りが生まれるし、「どうして?」と理由を問うときもある。それはもちろん、彼らが学校や家庭でそういう教育を受けてきたからでしょう。

まあその一方で、日本の「真面目な」世界からやって来た者としては、「忍耐力がないなあ」と感じることもしばしば。プローベ中なのに、休みの小節が長いと本やレポートを読み出したり、時には後ろからハリボのグミが回ってきたり(笑)。これが日本だったら、血相を変えて怒ったり、注意したりする先輩がいるでしょうが、そういう人もいないので、私もまあそういうものかと思うようにしています(笑)。こういう環境で、授業をする学校の先生は大変だろうなと想像したり・・・。

でも、音楽の楽しみ方が自然でいいなあと感じることも多いです。例えば、ベルリン・フィルのライブを観ていると、エマニュエル・パユとアルブレヒト・マイヤーが演奏中なのに向かい合って、冗談めかした仕草をするときがありますが、アマチュアでもそういう「遊び」が自然と起こる(日本だったら、こういうところでも血相を変えて怒る先輩がきっといますが)。あと、日本が初めて出場した1998年のワールドカップフランス大会で、日本代表が本選の直前にフランスのアマチュアチームと練習試合をした際、「フランス代表より全然下手なのに、パスの回し方は(フランス代表と)同じだった」というようなことを日本の選手が言ったそうですが、それと同じようなことは音楽にも当てはまるように感じます。

私にとっては、音楽を通して得られる、とても面白い異文化理解の場といえるかもしれません。

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今回私にとってちょっと特別なのが、1回のコンサートで3種類のフルートを吹くこと。リストでは並笛を、新作ではアルトフルートを、ショスタコーヴィチではピッコロを吹きます。こんなことは初めてなので、ちょっとドキドキしています。

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アマチュアの演奏ですので、積極的にお誘いすることもできないのですが^^;)、もしご興味がありましたら、足をお運びいただけると幸いです。10日(日)がクロイツベルクのエマウス教会、15日(金)がフィルハーモニーの室内楽ホールで行われます。

Konzerte im Wintersemester 2012-13
Sonntag 10.02.2013 16:00
Emmauskirche, Lausitzer Platz (U Görlitzer Bhf)

Freitag 15.02.2013 20:00
Kammermusiksaal der Philharmonie

Programm:
Franz Liszt
Totentanz für Klavier und Orchester

Hector Marroquin
El Enemigo für Sopran und Orchester (Uraufführung)

Dmitri Schostakowitsch
12. Symphonie "Das Jahr 1917"

Junges Orchester der FU - Berlin
Künstl. Leitung - Antoine Rebstein
Klavier - Beatrice Berrut
Sopran - Julia Baumeister

Eintritt:
Kammermusiksaal: 15 / 12 / 8 €
Emmauskirche: 10 €
by berlinHbf | 2013-02-09 00:52 | ベルリン音楽日記 | Comments(6)

早稲田大学交響楽団のベルリン公演2012

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ベルリン・フィルハーモニーに登場した早稲田大学交響楽団 © Tetsuro Kanai

東日本大震災から1周年となる3月11日、早稲田大学交響楽団がベルリン・フィルハーモニーで公演を行い、大成功を収めました。

早稲田大学交響楽団は、同大学の学生約300人からなるアマチュア・オーケストラ。1978年にベルリンで行なわれた第5回青少年オーケストラ・コンクールで優勝して以降、定期的に海外公演を行うようになり、世界的にも知られる存在となりました。

今回のベルリン公演は、2月から3月にかけてドイツとオーストリアの12都市をめぐる第13回目の海外公演「ヨーロッパツアー2012」の一貫として行われたもの。ツアーの日程はかなり前から決まっていたそうですが、奇しくもベルリン公演が3月11日に重なったことから、東日本大震災の追悼演奏会となりました。指揮は、長年に渡って同交響楽団の指導を務めてきた田中雅彦氏です。

前半のR.シュトラウスの「アルプス交響曲」は、大規模な楽器編成と高度な演奏技術が要求される、アマチュアが取り上げることは稀な作品。しかし、冒頭の夜明けから荒々しい嵐の場面まで、若い学生たちがオーケストラとしての高い表現力を存分に披露します。約1時間の大曲ですが、低音に重きを置いた豊かなハーモニーが途切れることなく、聴衆からは驚きに満ちた空気が生まれていました。

後半のハイライトを飾ったのは、今回のツアーが初演という、由谷一幾氏の「和太鼓と管弦楽のための協奏曲」。過度にエキゾティズムに偏らない緻密な論理性に貫かれた音楽で、3人の和太鼓奏者とオーケストラとの息を呑むような緊張感に満ちた交感の後、堰を切ったようにブラボーの嵐が起こりました。

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2013年には創設100周年を迎える早稲田大学交響楽団 © Tetsuro Kanai

アンコールでは「荒城の月」が追悼曲として奏でられ、最後の「ベルリンの風」では口笛が飛び交い、聴衆は総立ちに。ベルリン・フィルが本拠地とするこのホールでもめったに起こらない、幸福な一体感が生まれたのでした。

終演後、楽団員代表の高野和也さん(教育学部4年)に話を聞きました。
「これまで各地の公演で温かい拍手をいただきましたが、ベルリンのお客さんの反応はダントツでした。全く驚いたというのが正直なところで、一生忘れられないと思います」

今回の演奏会は、ベルリン・フィルの映像配信サイト「デジタル・コンサートホール」による生中継が実現。インターネットでこのコンサートを聴いていた東京在住の知人が、後でこんな感想を送ってくれました。
「最後の『ベルリンの風』は、この1年ずっと心の中に半旗を掲げる想いで過ごしてきたその重しを一瞬外してくれたような気がして、改めて音楽の持つ力の大きさに気付かされました」

音楽を専門としない学生から成るアマチュア・オーケストラが、30年以上に渡ってベルリンはじめ、欧州の檜舞台で公演を続けてきたという例は世界的に見ても稀でしょう。この日、ベルリンの聴衆から送られた温かくも熱狂的な拍手は、毎年少しずつメンバーが入れ替わりつつも、時間を掛けて積み重ねられた彼らとベルリンの友好関係を物語っているようで、3.11から1年ということもあり、一層の重みをもって感じました。
ドイツニュースダイジェスト 4月6日)

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by berlinHbf | 2012-04-04 23:14 | ベルリン音楽日記 | Comments(0)

しばらく旅の日々 - ワセオケ・ベルリン公演 -

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ベルリンの壁が飾られていたHotel Westin Grandにて(3月7日)

約2週間に及んだ旅の日々が終わり、一昨日母が帰国の途につきました。
フランクフルト・オーダー以降の日々をここでざっと振り返ってみたいと思います。

7日(土)
お昼頃、ワセオケ(早稲田大学交響楽団)のベルリン公演を聴くために駆けつけた真ん中の弟が合流。仕事の都合上、ベルリンに2泊しかできない強行日程ながらも、あまり疲れもみせず、午後からは満足げにレンタカーを運転していました。翌日はポツダムにも行ったのですが、落ち着いた雰囲気がとても気に入ったようです。

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夜は近所にあるお気に入りのギリシャレストランで食事した後、フリードリヒ通りとウンター・デン・リンデンの角にあるHotel Westin Grandへ。東ドイツ時代の末期に建てられた豪華ホテルで、山根寿代さんが壁崩壊のちょうど1ヶ月前にここに宿泊された時の話を聞いて、私も機会があればいつかと思っていました。hotel.deで調べたら、5つ星の割にそこまで高くなかったので、私たちも一緒に泊まることになったのでした(笑)。地上階から天井へまで続く吹き抜けが特徴的で、開放感ある造り。天井のドームもきれい。実は自宅から20分しか離れていないのに、この夜は旅の延長で、非日常の気分を味わいました。

8日(日)
11時からついにフィルハーモニー大ホールにてワセオケのベルリン公演。この日はいつも聴きに行くホールということは忘れ、ウィーン、ライプチヒ、フランクフルト・オーダーと公演を重ねて来た彼らの心情に自分を重ね合わせてみました。すると、このホールで演奏することの感慨が実感を持って迫ってきます。お客さんは8割以上入りました。そして若い彼らを迎える拍手があたたかい!《オイリアンテ》序曲、《英雄の生涯》と学生たちは最高の演奏を披露したと思います。今シーズンのベルリン・フィルのユースオケシリーズでは、昨年9月に聴いたドゥダメル指揮ベネズエラ・ユースオケの技術とパッションは確かにすごかったけれど、音楽的な充実度においてはワセオケの方が高かった。これはもう偽らざる実感です。今シーズンのコンミスの安田さんも持てる力を出し切ったのではないでしょうか。

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この公演は日曜日のマチネーの上、和太鼓の曲があったためか、小さいお子さん連れのお客さんも多く、(残念ながら)静かな部分で何度か子供の声で遮られてしまいました。それまではまだ和やかな雰囲気が支配していましたが、《日本太鼓とオーケストラのためのモノプリズム》が始まる前の指揮者の睨みが効いて(笑)、ホールにきーんとした緊張感が生まれます。和太鼓の極度のピアニッシュモによる遥かなる冒頭は、1つ1つの音がくっきりと聞こえる。やはりフィルハーモニーの響きはすばらしい!と実感しました。終盤では、和太鼓が持つ多彩な技法・響きとオーケストラの不協和音が激しくぶつかり合い、圧倒的なクライマックスが築かれます。ワセオケの2006年のベルリン公演もすばらしかったけれど、今回のお客さんの熱狂ぶりは明らかにそれ以上でした。ベルリンでもめったに見られないスタンディングオーベーションを前に胸が熱くなります。弟はアンコールの《ラプソディー》で大太鼓を叩き、よく話していた最後の締めもうまくいったよう。2曲のアンコールを含め2時間50分のやたらと長いコンサートでしたが、親しい知人や友人もたくさん聴きに来てくれて喜びを分かち合うことができ、本当に忘れられない1日となりました。

この後のドレスデン公演も母と聴きに行ったので、我ながら物好きだったとも思いますが(笑)、彼らの演奏に不思議と飽きることはありませんでした。ワセオケのヨーロッパツアーも、明日(14日)のパリ・シャンゼリゼ劇場での公演が最後。平凡な言い方ですが、日頃忘れがちになっている何かを呼び起こさせてくれた気がします。本当にありがとう!

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by berlinHbf | 2009-03-13 23:57 | ベルリン音楽日記 | Comments(11)

早稲田大学交響楽団ベルリン公演のご案内

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私もかつて在籍していた早稲田大学交響楽団のベルリン公演が近づいてきたので、ここでご案内させていただこうと思います。同オケ3年ぶりのヨーロッパツアーで、ベルリンは3月8日(日)の午前11時よりフィルハーモニー大ホールにて。今回の公演はベルリン・フィル主催のユースオケシリーズの1つに組み込まれており、これはなかなかすごいことだと思います。プログラムを見ると(下記参照)やたらと盛りだくさんですが(笑)、目玉は日本の学生オーケストラがR.シュトラウスの《英雄の生涯》を本場ドイツで演奏するということ。そして、石井眞木の《日本太鼓とオーケストラのためのモノプリズム》の再演でしょうか。前回聴きに来てくださった何人もの方から、「こんなにすばらしいとは思わなかった」という声をいただいたので、今回も(特に)ベルリン在住の方々にぜひおすすめしたいと思います。お越しいただけると幸いです(詳細はこちらより)。

関連記事:
早稲田大学交響楽団ベルリン公演 (2006-03-06)

今回のプログラム:
Waseda Symphony Orchestra Tokyo
Masahiko Tanaka Dirigent
Gabriel Schwabe Violoncello
Taiko-Trommler

Carl Maria von Weber
Ouvertüre zur Oper Euryanthe op. 81
Richard Strauss
Ein Heldenleben op. 40
Johann Sebastian Bach
Präludium und Fuge für Orgel Es-Dur BWV 552 (Orchestrierung von Arnold Schönberg)
Camille Saint-Saëns
Konzert für Violoncello und Orchester Nr. 1 a-Moll op. 33
Maki Ishii
Mono-Prism für japanische Trommeln und Orchester op. 29

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by berlinHbf | 2009-02-21 22:38 | ベルリン音楽日記 | Comments(8)

合宿より戻って

一昨日の夜、オケの合宿より帰って来ました。
このブログはプロ・アマ問わず実際のオーケストラに関わっている方も読んでくださっているようなので、今回の合宿がどういう内容のものだったか、簡単に紹介してみたいと思います。

今回訪れたのはベルリンの北東約70キロのGroß Döllnという村(?)にある休暇施設でした。携帯の電波さえ届きにくいど田舎でしたが、さすがに空気はきれいで湖にも面したいいところ(が、ベルリン在住の方ならわかってもらえるでしょうが、先週末は天気が荒れに荒れて大変でした)。そこのコテージに分かれて宿泊し、DDR時代に建てられた施設内のホールを借りて練習します。練習は9時から12時まで、午後は15時から18時まで、夜は19時から22時ぐらいまでと1日3コマ。セクションごとのプローべとトゥッティ(全体での合奏)が半々ぐらい。それ以外にも来学期の候補の曲をいくつか初見で演奏しました。個人的には夜の10時まで練習した後に、チャイコフスキーの「悲愴」を通しで吹いた日が一番きつかったものの^^;)、自由な時間もそれなりにあり、がんじがらめという感じはありません。そして、夜の練習が終わると自然と「飲み」になるわけですが、それも自由参加なので寝たい人は寝てもいいわけです。何かを強制されるわけではないので気分的には楽ですが、私がかつて日本の学生オケの合宿で体験した体育会系の濃密な時間がちょっと懐かしく感じられたのも事実かも(笑)。このオケのメンバーの年齢層とか雰囲気などはまた別の機会にお話しましょう。

3日間の集中的な練習のおかげで、音楽も少しずつ形になってきた感じがします。このオケで残念だなあと思うのは、金管と打楽器の常時メンバーがいないこと。おそらく直前になって音大生を中心としたうまい人たちが助っ人として来てくれるのでしょうが、そこまでうまくなくてもホルンやティンパニの人が常にいてくれたらブラームスなどは特にハーモニーの厚みが全然違うのになあと思います。弦はチェロを中心とした中低音がなかなかがんばっています。それに比べると、ヴァイオリンは人数が若干足りないこともあって、もう少し響きのボリュームがほしいなというところです。

3日間の練習の仕上げに最後、ストラヴィンスキーとブラームスを全曲通して演奏したんですが、事故が多発しまくりで、本番まで1ヶ月なのに大丈夫かなあとちょっと不安になりました。こんなとき、日本の学生オケだったら間違いなく「反省会」が始まるところでしょうが、よくも悪くもみんなのびのび音楽を楽しんでいるのがこちらの学生オケの特徴。このくらいのこと(?)で顔色を変えて怒り出すような人はいません(笑)。

ともあれ、本番に向けての残り1ヶ月が楽しみになってきました。

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by berlinHbf | 2007-05-30 02:08 | ベルリン音楽日記 | Comments(17)

「合宿」に行ってきます

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モルトケ橋よりベルリン中央駅を望む(5月1日)

今日からオーケストラの合宿でベルリンを離れるので、次回の更新は来週の月曜日以降になります。「合宿」という日本語、ドイツ語ではどう訳すんでしょう?"Probewochenende"とか"Probenreise"とかいう言い方はありますが、「合宿」という日本語の中にある、あの汗臭い(!)ニュアンスはありません。とはいえ、ある共通の目的を持った若者(自分もその中に含めるかどうかは別として・・・)の団体が郊外のどこかの宿舎に寝泊りし、昼間は練習なりトレーニングをして夜は飲み語るということに変わりはないので、やはり「合宿」と呼ぶべきなんだろうと思います。

今回は、私がいま所属しているJunges Ensemble Berlinという学生を中心としたオーケストラの合宿です。2月末に週1回の練習(プローべ)が始まり、6月末のフィルハーモニーの室内楽ホールでの本番に向けて回を重ねているところです。今学期取り組んでいる曲は、ストラヴィンスキーのプルチネッラ組曲とブラームスの交響曲第1番。いまさらながら両方ともほれ込んでいます^^)。

ドイツの学生オケは日本のそれとははっきりいってかなり違います。機会があればいつかレポートしたいですね。ドイツは今週末、聖霊降臨祭(Pfingsten)で月曜日もお休みです。

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by berlinHbf | 2007-05-25 01:29 | ベルリン音楽日記 | Comments(10)

早稲田大学交響楽団ベルリン公演2006

昨日の日曜日は早稲田大学交響楽団のフィルハーモニーでの本番だった。それは期待以上にすばらしいものだった。普段ベルリンという「音楽の都」で足繁くコンサートに通っても、めったに味わうことのない種類の感動だったし、音楽とはどうあるべきなのか、そんなことまで考えさせられてしまった。

ベルリンにはベルリン・フィルを始めとしてすばらしいオーケストラがいくつもあるが、一期一会と言えるようなコンサートに出会うことは年に数回あるかないかだ。こういう言い方はちょっと失礼かもしれないが、プロのオケは大抵の本番において、80~85%ぐらいの力で演奏しているような印象を私は受ける。プロはまず本番の数が違うし、次から次へと新しいレパートリーをこなさなければならない。1つのプログラムだけで2回も3回も本番があることも多いので、力をセーブしなければならないのはある意味当然のことといえる。だがそれが時としてマンネリにつながってしまうこともあるのかもしれない。上出来とは言い難い現代曲を演奏している時の奏者の顔は楽しそうではないし、指揮者との愛称が悪いとぎくしゃくしたまま本番が終わってしまうこともある(もちろん、プロとしてオケで演奏できるなんて本当にうらやましいことだと思うが)。

昨日のワセオケ(このオーケストラの愛称)のコンサートはその意味で対極的だったのかもしれない。メンバーのほとんどは音楽を専門にしない早稲田大学の「普通の」学生。彼らはこのヨーロッパツアーで演奏する曲にほぼ絞って、1年間(ひょっとしたらそれ以上?)の厳しい練習を積んできた。このフィルハーモニーを始め、今回のツアーの公演地であるムジーク・フェライン・ザール(ウィーン)やゼンパー・オーパー(ドレスデン)といった輝かしい舞台で演奏できるのも、ほとんどのメンバーにとって最初で最後だろう。音楽の伝統が宿るそのような場で、十分に練り上げてきたレパートリーを聴衆の前で披露できる喜び。そして彼らには若さがある!

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それがどういった形になって聴衆の耳と心に届くのか、久々に思い知らされることになった。一曲目の「ドン・ファン」の出だしから心を掴まれた。不覚にも、音楽を聴いて久々に涙が出てきた。コンサートの詳細は省くが、アンコール最後の「ベルリンの風」の後、フィルハーモニーでも珍しいスタンディング・オーベーションが起こったことが、この日のお客さんの素直な気持ちの反映だろう。こんなに褒めまくりだと自分でもちょっと恥ずかしくなってくるが^^;)、一緒に聴いたドイツ人の知り合いの方や音大生の友達たちも社交辞令でない賛辞をおくってくれたし、何より心から楽しんでくれたようだ。終演後、興奮気味に楽屋を訪ねてみたら、もうみんな普通の学生に戻っていた。それにしても、ベルリンの町を案内したあのフルート吹きの子たちが、あんなすごいことをやってのけるなんて・・

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ところで、この公演にはかのヴァイツゼッカー元大統領が聴きに来ておられた(昨年早稲田大学はこの元連邦大統領に名誉博士号を贈ったとのこと)。戦後ドイツの偉大な政治家の一人であるヴァイツゼッカー氏も、この4月で86歳になるという。足取りは少々おぼつかなくなっていたが、あの鋭い眼光は健在だった。

オケのメンバーはこの日の午後、ドレスデンに向けて旅立って行った。ちなみにこの後の予定は、7日ドレスデン、8日ライプチヒ、10日アーヘン、12日パリとのことで、現地にお住まいの方はよかったら聴きにいらしてはいかがでしょう(詳細はこちら)。

久々に心ときめく音楽を聴かせてくれたワセオケのメンバーに心から感謝し、ツアー後半の成功を祈りたい。

Waseda Symphony Orchestra Tokyo
Masahiko Tanaka DIRIGENT
Nana Murata ORGEL
Taiko-Trommler

Richard Strauss Don Juan op. 20
Camille Saint-Saëns
Symphonie Nr. 3 c-Moll op. 78 »Orgel-Symphonie«
Richard Strauss Tanz der sieben Schleier aus Salome op. 54
Maki Ishii »Mono Prism« für japanische Trommeln und Orchester

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by berlinHbf | 2006-03-06 23:57 | ベルリン音楽日記 | Comments(14)

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