ベルリン-東と西が出会う場所。ドイツにありながらドイツではない町。歴史の影に彩られた栄光と悲運の世界都市。そんなベルリンの奥深い魅力をリアルタイムでお届けするブログです。Since 1. August 2005


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中村真人 (Masato)
神奈川県横須賀市生まれ。早稲田大学第一文学部を卒業後、2000年よりベルリン在住。ベルリンの映像制作会社勤務を経て、現在はフリーのライター、ジャーナリスト。


ベルリンガイドブック
「素顔のベルリン」増補改訂版
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(Amazon、全国各書店にて発売中)

本書は2009年10月発行「素顔のベルリン」の増補改訂版です。2013年に改めて新規取材を行い、データを更新。レストランやショッピング、コラムなどのページも増量し、より充実したガイドブックに生まれ変わりました。

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『街歩きのドイツ語 』
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豊富なビジュアルとドイツ語フレーズを楽しめる1冊。基本のあいさつ表現から、街にまつわるドイツ語豆知識まで、ガイドブックとともに旅に役立つ会話集です。




『素顔のベルリン 過去と未来が交錯する12のエリアガイド 』
¥1,575
ダイヤモンド社
(2009年発売)

地球の歩き方シリーズ初、待望のベルリンガイドブック誕生!比類なき歴史を抱えつつ、明日へ向かって日々進化し続ける首都ベルリン。「ドイツで最もドイツらしくない」といわれるこの町の知られざる魅力を、現地在住著者が12のエリアにわけて徹底紹介。


現在のトップ画像は、ベルリン在住のイラストレーター、高田美穂子さんによるオリジナル作品です(詳しくはこちらより)

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タグ:ベルリン・フィル ( 64 ) タグの人気記事

カラヤンを支えた名コンサートマスター

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今年は指揮者ヘルベルト・フォン・カラヤン(1908~1989)の生誕100年にあたる。各種CDが復刻発売されるほか、ゆかりの地では記念コンサートが予定されているようだ。カラヤンが指揮したベルリン・フィルハーモニー管弦楽団の演奏が、20世紀後半以降のクラシック音楽に及ぼした影響は計り知れない。このカラヤンとの黄金期を約30年にわたって支え続けた往年のコンサートマスター、ミシェル・シュヴァルベ(Michel Schwalbé)氏にベルリン・ダーレムの自宅で話を伺った。

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シュヴァルベ氏は現在88歳。しかし、いったん話し始めるとその鋭い眼光とエネルギーに圧倒される。7ヶ国語を流暢に使いこなし、頭の回転の速さにも驚くばかりだ。1957年のベルリン・フィル初来日以来、無類の日本好きでもある。

氏のこれまでの歩みは、ヨーロッパの歴史そのものといえる。両親は現在のウクライナに住んでいたが、ロシア革命を逃れて1000キロ以上を“歩いて”ポーランドに渡った。1919年にそこで生を受ける。9歳でヴァイオリンを始めるやいなや、たちまち神童として名をとどろかせ、特例により12歳でワルシャワ音楽院を卒業、その後パリに留学。国際コンクールで優勝するなど、輝かしいキャリアをスタートさせたが、第2次世界大戦により南フランス、次いでスイスへ逃れる。そこで指揮者アンセルメに見出され、25歳でスイス・ロマンド管弦楽団のコンサートマスターに就任する。

カラヤンとの出会いは、戦後まだ間もないルツェルン音楽祭にて。その後、ベルリン・フィルの指揮者となったばかりのカラヤンから、コンサートマスターになってもらえないかと要請を受けた。

「私は当時、教授職、コンサートマスターなど、5つの職を兼任していた。すでにスイスは自分にとって第3の故郷となっていたし、彼らも私を引き留めるのに必死だったよ。最終的にベルリン行きを決断させたのは、音楽への愛とカラヤンという磁力の存在だった」

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ロンドン公演後のカーテンコールで、カラヤン(右)といっしょに

「カラヤンは私が出会った指揮者の中で最大の天才だ。その能力には初めて会ったときから惚れ込んでしまった。音楽的才能、敏捷性、首尾一貫性、賢明さなどで私を驚かせただけでなく、人間的にもこの上なく愛していたよ。私たちはほかの誰よりもお互いを理解し合っていた。ウィーン・フィルなど世界的なオーケストラがその後私を引き抜こうとしたけれど、カラヤンとベルリン・フィルへの強い忠誠心ゆえ、私は西ベルリンという政治的に不安定な街に留まったんだ。カラヤンも、私が病気で参加できないときにはレコーディングを中止するほど私を信頼していたし、私の意見にはいつも耳を傾けた。彼との信頼関係は最後まで変わらなかった」

ドイツ在住は50年になり、自分の「もう一つの家」だというベルリン・フィルの演奏会には、杖をつきながら今でもほぼ毎回聴きに出かけている。

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カラヤンの“愛弟子”、小澤征爾氏と

若い人々に何かを遺したいという思いがとりわけ強い。昨年1月には自宅を訪れたヴァイツゼッカー元大統領と、ヨーロッパ、特にドイツやポーランドの若者の将来について2時間にわたって議論したという。

「音楽は人間の思考力や感情表現の成長に、計り知れないほどいい影響を及ぼす。私はいまでも若い人々に音楽を教えることに熱意を持っているし、彼らのために何ができるかいつも考えているんだ」
ドイツニュースダイジェスト 2月8日)

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by berlinHbf | 2008-02-12 23:08 | ベルリン音のある街 | Comments(10)

NHK FM ベストオブクラシック -ベルリンの演奏会から-

私の知り合いの方が番組制作に携わっているNHKのFMにて、今日から4日間、昨年行われたベルリンでのコンサートが放送されるそうです。4日(月)と5日(火)は、マリス・ヤンソンスとネーメ・ヤルヴィ指揮のベルリン・フィルのコンサートを2回に分けて(それぞれマーラーの「巨人」とベルリン・フィル初演となるハンス・ロットの交響曲がメイン)、6日(水)は「ベルリン・フィル12人のチェリストたち」の結成35周年の記念コンサート、7日(木)はベルリン音楽祭2007からベルナルト・ハイティンク指揮、ロイヤル・コンセルトヘボー管という充実のラインナップです(番組の詳細はこちらより)。

ベルリンからのライブをどうぞお楽しみください。

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by berlinHbf | 2008-02-04 11:11 | ベルリン音楽日記 | Comments(8)

フィルハーモニーのランチコンサート

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昨年秋に別の場所に書いた記事を転載します。

10月16日、ベルリン・フィルの今シーズンの新企画「ランチコンサート」が始まった。ランチコンサートとは、シーズン中(来年5月13日まで)のほぼ毎週、火曜日の13時からフィルハーモニーのホアイエで開催される室内楽コンサートで、ベルリン・フィルのメンバーだけでなく、同フィルのアカデミー生やベルリンの他のオーケストラのメンバーも出演する。演奏時間が30分から40分と手ごろな上、なんといっても入場無料というのが目玉だ。お昼休みのサラリーマンやフィルハーモニーを見学に来た旅行者にも気軽に足を運んでもらえたいと主催者側は呼びかけている(ランチコンサートだけあってコンサートの前後には食事も用意されるが、こちらはもちろん有料とのこと)。

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さて、第1回目は1980年生まれのベルリン・フィルの若きトロンボーン奏者、トーマス・ライエンデッカーによるソロ・プログラム。トロンボーンのソロを聴く機会自体、普段そうそうないだけに、一体どれだけの人が集まるだろうかと思ってフィルハーモニーに足を運んでみたのだが、これがすごい人出でびっくり!設置された椅子はすぐに埋まり、階段に座って聴く人や立ち見の人も続出した。結局600人近くが集まったらしいのだが、関係者もさすがにここまでは予想していなかったようだ。

この日は中世のダンス音楽、バッハの無伴奏チェロ組曲からの編曲、現代曲2曲が演奏された。トロンボーンという楽器が持つ、表現や音色の多彩な可能性に目覚めた人は多かったのではないだろうか。拍手は鳴り止まず、ライエンデッカーはアンコールも1曲プレゼントしてくれた。

ランチコンサートのプログラムは1ヶ月ほど前からベルリン・フィルのHPで発表され、編成も曲目も多種多様。モーツァルトやブラームスといった王道から、通常のコンサートではなかなか実現できない意表を衝くプログラムに出会えることにもなりそうだ。
(2007年10月)

先日久々にランチコンサートに足を運んだら(ヴィオラの清水直子さんが出演)、最初の頃にあった椅子はほとんどなくなっていました。皆さんを見ていると、立って聴いたり、階段や地べたにべったり座りながらだったり。お昼の時間帯に気楽に足を運べるこのカジュアルさがいいのかもしれません。クラシックを生で聴いてみたいけど何から聴いたらいいかわからないという方にもおすすめです。

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by berlinHbf | 2008-01-21 23:28 | ベルリン音楽日記 | Comments(16)

大晦日のコンサート2題

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「アウシュヴィッツへの旅」は何とか年内に書き終えたかったんですが、どうやら無理そうなので、2007年の最後は大晦日らしい華やかなコンサートの話で締めくくりたいと思います。いずれの公演も、本番前のGP(ゲネプロ)を運よく聴けたので、その感想です(本公演のチケットはどちらも早々と完売でした)。

まずはお馴染みのベルリン・フィルのジルベスターコンサート。これは数時間後に日本でも衛星生中継されるので、楽しみにされている方も少なくないのでは。今年はボロディンとムソルグスキーというロシア・プログラム。コンサートはライブレコーディングされ、年明けに最速リリースされるだけあって(ジャケットはもう出来上がっています↑)、演奏も仕上がりの高さを感じさせました。有名な「だったん人の踊り」からベルリン・フィルの機能性を存分に見せ付けられます。ここでは何といっても、ソロ・オーボエのジョナサン・ケリーの歌い回しがすばらしい!ボロディンの交響曲第2番というのは初めて聴きましたが、情熱的な冒頭部分からぐわっと心をつかまれました。「展覧会の絵」は、圧巻といっていい出来だと思います。この2ヶ月近く何人かの客演指揮者の棒でベルリン・フィルを聴きましたが、自分の意図をオケの隅々まで浸透させることができるという意味では、やはりラトルは頭一つ抜き出ていると実感しました。「古城」のサックスソロなど、普通ならもっと朗々と歌わせるのでしょうが、彼の指揮の元では全体の響きのバランスが崩れることが決してありません。「キエフの門」での圧倒的なクライマックスに向けての音響設計も巧みでした。やはりロシアもので統一したアンコール曲も、大いに盛り上がることでしょうね。

Berliner Philharmoniker
Sir Simon Rattle

Alexander Borodin
Polowetzer Tänze aus der Oper Fürst Igor
Symphonie Nr. 2 h-Moll
Modest Mussorgsky
Vorspiel zur Oper Chowanschtschina
Bilder einer Ausstellung
(Orchesterfassung von Maurice Ravel)


さて、大晦日のコンサートの2本目はヤノフスキ指揮のベルリン放送響の第9です。日本と違ってドイツでは12月に第9を演奏する習慣がないので、この時期ベルリンで第9が聴けるのはこのヤノフスキとバレンボイム指揮のシュターツカペレぐらいなんです。びっくりしたのはテンポの速さ。細部まで磨かれた先ほどのラトルに比べると、ヤノフスキは曲全体の流れを重視しているというか、音楽が滞ることなくサクサク進んでいきます。それは少々そっけないほどでもあり、テンポが速いのでオケのアンサンブルは時々乱れますし、聴いていてもう少し響きの余韻が欲しかったり、メロディーにゆったり浸らせてくれてもと思わないでもありませんでした。でも、これはこれで充実した第9で、オケはドイツのオーケストラそのものという分厚い響きを出していました。先日のクリスマス・オラトリオに続いて、ベルリン放送合唱団のハーモニーがすばらしく、豪華歌手陣を集めたソロも傑出。個人的には何となく気の晴れない年末でしたが、ベートーヴェンの第9を聴くと新しい1年に希望を持とうという気になってくるから不思議です。


今年1年このブログにお付き合いいただき、どうもありがとうございました。
皆さん、どうぞよいお年をお迎えください。

Rundfunk-Sinfonieorchester Berlin
Rundfunkchor Berlin
Marek Janowski
Camilla Nylund Sopran
Petra Lang Alt
Robert Gambill Tenor
Kwangchul Youn Baß

Ludwig van Beethoven Sinfonie Nr. 9 d-Moll op. 125 mit Schlußchor über Schillers Ode »An die Freude«

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by berlinHbf | 2007-12-31 15:31 | ベルリン音楽日記 | Comments(2)

ドヴォルザークのレクイエムを聴く

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12月は宗教音楽のコンサートがとても多いのですが、めったに聴けないという意味で貴重な機会だったのが、ベルリン・フィルが演奏するドヴォルザークのレクイエムでした(7日)。「新世界」や「ドボコン」などと比較するまでもなく、この「ドボレク」は本当に演奏されることが稀で、ベルリン・フィルがこの作品を取り上げるのも実に44年ぶりだとか!しかしこれがすばらしく、充実の1時間40分でした。

ドヴォルザークのレクイエムはあの交響曲第8番やピアノ3重奏曲の「ドゥムキー」とほぼ同時期に書かれ、1891年にバーミンガムで初演されたことを見ると、この作曲家の円熟期の作品のひとつと見ていいのでしょう。全体は13部から成り、ヴェルディほど激烈な表現は見られないものの、ドラマチックな迫力は十分ですし、代わりにドヴォルザークならではと言うべきか、自然からそのまま零れ落ちてきたような瑞々しいメロディーが随所から聴こえて来ます。

何といっても、プラハ・フィルハーモニー合唱団が出色の出来でした。わざわざプラハから呼んで来ただけのことはあります。ドラマティックな部分では時にベルリン・フィルのトゥッティを突き抜けてくるほどの迫力でしたし、響きのバランスも最上。ところどころで聴かれる男声合唱のアカペラは、本当に息を飲むような静寂な時間でした。壮大なスケールのフーガが登場する第2部は特に圧巻で、それらに触発されたのか、ニコラ・ルイゾッティ(写真)のイタリアオペラを思わせるやや派手でドラマチックな音楽作りも、ここではプラスに作用していたように思います。聴けてよかったです。

Berliner Philharmoniker
Nicola Luisotti, Dirigent
Anja Harteros, Sopran
Nino Surguladze, Mezzosopran
Giuseppe Sabbatini, Tenor
Giacomo Prestia, Bariton
Prager Philharmonischer Chor
Lukáš Vasilek, Einstudierung

Antonín Dvořák
Requiem op. 89

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by berlinHbf | 2007-12-25 15:35 | ベルリン音楽日記 | Comments(2)

ハイティンク指揮のブルックナー

先週の金曜日、ベルナルト・ハイティンク指揮ベルリン・フィルの演奏で、ブルックナーの交響曲第8番を聴きました。

ハイティンクは音楽の流れに的確な輪郭を与えつつも、オケから自由を奪うということをしません。音楽の中心には確かにハイティンクがいるのですが、ときどき指揮者の存在がふっと消えて音楽そのものしか聴こえてこないような瞬間があり、お互いのいい緊張感の中から、ブルックナーのあのさざなみのような壮大なクレッシェンドが生まれてくるのです。深い呼吸に満たされた確固たる構築性の中に、自由な息吹きさえ感じさせる演奏でした。

人づてに聞いた話ですが、ベルリン・フィル往年のコンマスのシュヴァルベさんも、この日のハイティンクに対しては特に絶賛されていたとか。

Berliner Philharmoniker
Bernard Haitink Dirigent

Anton Bruckner
Symphonie Nr. 8 c-Moll
(Fassung von 1890)

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by berlinHbf | 2007-10-09 14:07 | ベルリン音楽日記 | Comments(6)

ベルリン・フィルのシーズン開幕公演

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●8月25日、ベルリン・フィルの2007/08シーズン開幕公演を聴いた。毎年この日だけは通常より1時間早い19時開演で、私は2年前それに引っかかってしまったことがある(そのときの話はこちら)。

●この日のメインはマーラーの交響曲第9番。フィルハーモニーでこの曲を聴くのは初めてだった。プログラムによると、ベルリン・フィルがこの作品を取り上げること自体、1999年9月のアバド以来とのこと。

●まずその巨大な編成に圧倒される。コントラバスだけで10本並ぶ様は壮観。ヴァイオリンは左右対称に並べるやり方で、その効果も十分あった。実はこの曲をCDであまり熱心に聴いたことがなかったのだが、やっぱりいい曲だなあと思った。特に1楽章。万感の思いが込められた、冒頭の弦楽器のメロディーからその世界に引き込まれてしまう。大管弦楽の響きは圧倒的ともいえる迫力だが、突如室内楽的ともいえるひそやかな音が聞こえてきたり、思わぬ場所からソロが聞こえてきたりと、舞台を見ているだけでもドキドキした。最後まで暗譜で指揮したラトルは、これだけの大編成にも関わらずオケを細部に至るまでコントロールし、大げさな絶叫やセンチメンタリズムとも無縁なのがありがたかった。これは昨年のブルックナーの4番でも感じたこと。
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●生命力と不気味さが同居した2楽章のグロテスクなワルツ。続く3楽章の終結部での猛烈なスピードと迫力は、私がこの曲を初めて聴いたバーンスタイン指揮ベルリン・フィルの録音もさぞや、と思わせるものだった。急き込むようにこの楽章が終わると、間髪おかずにフィナーレへ。

●長大な4楽章は、私には身をもてあますというか聴いていてつらい気分になるときがある。自分にはマーラー晩年のこの世界が、まだよくわからないのかもしれない。ただ、彼岸のような最後の静かな部分には息をのんだ。コールアングレが加わってのやわらかい響き。永遠を感じさせる最後のヴィオラのふしも実に印象的に奏でられた。

●この日は舞台と聴衆との間にいい緊張感があった。最後の和音が消えると30秒ぐらい沈黙があり、それから熱狂的な拍手へと変わっていく。ホルンソロのラデク・バボラクには一際盛大なブラボーが飛んでいた。11月にはこの第9に加え、マーラーが生前聴くことのなかった10番と「大地の歌」が、3週間の間で集中的に演奏されることになっている。

Berliner Philharmoniker
Sir Simon Rattle Dirigent

Magnus Lindberg
Seht die Sonne Uraufführung eines Auftragswerks der Stiftung Berliner Philharmoniker gemeinsam mit San Francisco Symphony
Gustav Mahler
Symphonie Nr. 9 D-Dur

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by berlinHbf | 2007-09-01 17:42 | ベルリン音楽日記 | Comments(10)

「カラヤンとフルトヴェングラー」(中川右介著)

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2日間通った週末のビールフェスティバルの余韻がまだ抜けませんが^^;)、最近読んだ本のこととかも少しずつ書いていきたいと思います。

まずは先月読んだ「カラヤンとフルトヴェングラー」という新書。
フルトヴェングラーとカラヤン、そして題名には入っていないがチェリビダッケという3人の指揮者をめぐる、戦中、戦後の混乱期の血みどろの権力争いが、筆者のかなり強い主観も交えて描れている。

これまであまり知ることのなかったフルトヴェングラーの意外な一面にも結構驚いたが、私としては「帝王」になる以前のカラヤンの話がとりわけ面白かった。
「カラヤン」は間違いなく私をクラシック音楽の世界に誘ってくれたうちの一人であるけれど、この人の録音や経歴を知るにつれていろいろな疑問が湧いてくることがある。例えば、

「1938年のカラヤン最初の録音は、(ベルリン・フィルでなく)なぜベルリンのシュターツカペレだったのか?」
「カラヤンが合唱曲で必ずといっていいほど起用するウィーン楽友協会合唱団というのはどういう団体なのか?(他の著名指揮者がこの団体を起用することはまずないので)」
「1953年の時点で、カラヤンがそれまでベルリン・フィルを振ったのは10回に満たないのに(ちなみに、ライバルのチェリビダッケはすでに403回も振っていたという)、なぜその数年後ベルリン・フィルの監督になれたのか?」

この本を読むと、それらの出来事の裏にある生々しい政治的な背景、カラヤンの策謀やその時々の思いが浮かび上がってくる。カラヤンにとって大きな転機となった、1955年のベルリン・フィルの初めてのアメリカ・ツアーが「首相のアデナウアー自身が企画したようなものだった」というのにも驚いたが、いまでもドイツでは政治と芸術の結び付きが日本とは比較にならないほど強いのをよく感じる。

ところで、今年創立125周年を迎えるベルリン・フィルは、記念の年にこれまで深くメスの入ることのなかったナチス時代のこのオケについて追求することを発表している。8月末からホール内で展示会が始まる他、ミシャ・アスターによる「帝国オーケストラ」という本の出版もその一環だ。中でも興味を引かれるのが、rbbで11月に放映される75分のドキュメンタリー番組(監督は"Rythm is it!"のエンリケ・サンチェス・ランチ)。1945年以前にベルリン・フィルで演奏していた最後の生き残りメンバー2人のインタビューも含まれているらしく、ぜひ見てみたいと思う。

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写真は昨年再オープンしたフリードリヒ・シュトラーセ駅前のアドミラル・パラスト(Admiralspalast)。旧フィルハーモニーが44年に1月に空爆されてから、この劇場に移して終戦直前までベルリン・フィルのコンサートは続けられたという。


今日は広島の原爆の日だ。あの年から62年。昨年の秋に初めて広島を訪れたので、いろいろな情景が目に浮かんでくる。

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by berlinHbf | 2007-08-06 14:20 | ベルリン音楽日記 | Comments(6)

ヴァルトビューネ2007体験記

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さて、今回は先週日曜日のヴァルトビューネのコンサートの話をしよう。コンサートそのものについては別の場所でも書くかもしれないので、ここでは写真を交えながら場の雰囲気を中心に伝えられたらと思う。

私がヴァルトビューネでのベルリン・フィルのコンサートを初めてテレビで見たのは、1992年の夏だった。指揮はジョルジュ・プレートル。当時私は高校生だったが、「クラシックのコンサートでこんなのがあるんだ」とひたすら驚き感動したのを昨日のことのように覚えている。以来いつか生のヴァルトビューネを体験したいなと漠然と思っていたが、15年経ってその希望が叶うことになった。

ヴァルトビューネ(「森の舞台」の意)はベルリンの西の郊外シャルロッテンブルク地区にある。Sバーンの最寄り駅はオリンピックスタジアムの隣、Pichelsbergだ。7時に友達と駅で待ち合わせ、人の流れに沿って細い遊歩道を歩いて行く。まさにピクニックコンサート。この道のりをたどるときから、森の劇場でのコンサートはすでに始まっているといえるのかもしれない。

10分近く歩くと、スタジアムの西側のGlockenturmにたどり着く。この塔までは来たことがあった。その目の前がヴァルトビューネへの入り口になっており、すごい人だかりだ。私の知り合いは中に入るだけで1時間近くも並んだという。私たちは開演が近づいていたこともあってか、10分ぐらいで順番が回って来た。そこで荷物チェックを受けて中に入るのだが、サッカーなどに比べると大分甘いようだ。それもそのはず、隣のオリンピックスタジアムには何度も来ているけれど、お客さんの顔ぶれがサッカーとはかなり違う。すでに酔っ払って大声を上げている男どもはいないし、大事な試合の前の殺気立った雰囲気もない。家族やカップルで来ている人たちが多いようだった。みんな、1年に1度のこの日を心待ちにして来ているのだ。

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入り口を抜けてなだらかな森の坂を下っていくと、視界が開けてくる。テレビでおなじみのあの風景が目に飛び込んできた(冒頭の写真)。まだコンサート開演40分前なのに、席はもう9割近く埋まっているのに驚く。開場はすでに6時からで、ブロック内は自由席なので席を確保するため早くから来ている人が多いようだ。手作りの弁当を食べながら、みんなわいわい楽しくやっている。なぜか私は、小学生のとき初めて西武球場で生の野球を見たときの記憶がよみがえってきた。「そういえばあの球場も森に囲まれていたな」と、そんなことを思い出しながら歩いていると、自分もわくわく楽しい気分になってきた。

さて、前半が始まって感じたこと2つ。まず巨大スピーカーを通して伝わってくるベルリン・フィルのサウンドに、最初は相当な違和感を覚えた。正直これだったらテレビで見た方が音はいいのでは、と思ったくらい。だが、こればかりは言ってもしょうがないし、時間が経つにつれて耳は大分慣れてきた。そしてもう一つ意外だったのは、みんな静かに聴いているということ。なにせこれだけ多くの人が集まっているわけだから、演奏中も客席は何となくざわついているイメージがあったが決してそうではなかった。2曲目のディーリアスの「ブリッグの定期市」という曲のことを知っていた人はこの中に何人いただろう。時折子供の泣き声とかは聞こえてくるものの、2万人のお客さんがこの美しい音楽に静かに耳を傾けているのは、私にはなかなか不思議な光景だった。ヴァルトビューネのコンサートは確かに一つのお祭りかもしれないけど、それでもみんな音楽を聴くためにここに集まって来ているのだ。

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Stephen Houghによる見事なピアノソロによるラフマニノフが終わって(さらにアンコール付き)、前半は終了。これは休憩中の様子。ヴァルトビューネは、もともとはヒトラーが古代ギリシャの野外劇場をイメージして作らせたもの。傾斜が思いの外きつい。階段でつまづいたら大怪我をしそうだ。

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さて後半。コンサートが始まる前はやや曇り気味だったが、空の表情は刻々と変化し、後半が始まった頃には抜けるようなブルーの空になった。グルーネヴァルトの森の冷気が肌に心地よい。そして時折聞こえてくる小鳥のさえずり。これはテレビで見ていたときはわからなかったものだ。

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最後の数曲に入ると、花火をたく人がちらほら出てくる。これは上の屋台で売られているらしい。

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やがて、私のすぐ後ろの女性2人(親子だろうか?)や開演前に食べ物を分けてくれた隣のおじさんにもその波は広まり、掛け声を出す人も増えてきてますますにぎやかに。

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アンコール2曲の後、ラトルと聴衆との楽しい掛け合いがあってから、待ってましたとばかり恒例の「ベルリンの風(Berliner Luft)」へ!手拍子する人や踊りだす人。そして急斜の客席に口笛がこだまする(こんな感じです)。

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最後はご覧のように総立ちに。
8時15分から始まったこのコンサート、終わったのは10時40分を回っていた。人ごみをかき分け、違うブロックで聞いていた友達と合流し、最寄の駅にたどり着いた頃には11時半近くになっていた。今年のヴァルトビューネはかなり渋めのプログラムだったけれど大変楽しめたし、私としてはあの場にいられただけでうれしかった。

Sonntag 17. Juni 2007 20:15 Uhr
Berliner Philharmoniker
Sir Simon Rattle Dirigent
Stephen Hough Klavier
Wenzel Fuchs Klarinette

Emmanuel Chabrier
España
Frederick Delius
Brigg Fair: an English Rhapsody
Sergej Rachmaninow
Rhapsodie über ein Thema von Paganini für Klavier und Orchester op. 43
Antonín Dvořák
Slawische Rhapsodie D-Dur op. 45 Nr. 1
Claude Debussy
Première Rapsodie für Klarinette und Orchester
George Enescu
Rumänische Rhapsodie Nr. 1 A-Dur op. 11 Nr. 1

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by berlinHbf | 2007-06-22 13:51 | ベルリン音楽日記 | Comments(14)

「音楽の友」7月号 - ベルリン・フィル特集 -

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クラシック音楽の老舗雑誌「音楽の友」7月号に2ページの記事を寄稿させていただきました。今月の特集の一つはベルリン・フィルです。先日行われた来シーズンの記者会見を取材し、2007/2008シーズンの展望をまとめました。このオーケストラのファンの方はもちろん、日頃このブログを読んでくださっているベルリン好きの方も、ご覧(ご購入)いただけると大変うれしく思います。

以下、「音楽の友」HPより。

●特集Ⅰ

栄光のベルリン・フィル、125年の軌跡

ベルリン・フィルが今年創立125年を迎えた。ビューロー、ニキシュ、フルトヴェングラー、カラヤン、アバド、そしてラトルと、それぞれの時代をリードしてきた指揮者がシェフを務め、つねに世界最高峰のオーケストラとして君臨してきた同フィルの歴史を振り返りながら、ラトル時代もクローズ・アップ! 最新情報満載の総力特集です。

[内容]サイモン・ラトルとの対話(S.メーシュ&A.ティーマン/岡本 稔)/ベルリン・フィル「2007/2008シーズン」記者会見から+2007/2008シーズン・プログラム(中村真人)/名門ベルリン・フィル、125年の歩み(諸石幸生)/初来日から50年! 日本におけるベルリン・フィルの足跡(藤田由之)/ベルリン・フィル略年表(堀内 修)/データと写真で綴る「ベルリン・フィルが日本に残していったもの」(真嶋雄大)/ラトル時代のベルリン・フィル(岡部真一郎)/首席トロンボーン奏者ゲスリングの語る「ベルリン・フィルの首席指揮者像」(城所孝吉)/ベルリン・フィルとザルツブルク・イースター音楽祭(岡本 稔)/日本人音楽家とベルリン・フィル(近藤滋郎)/ベルリン・フィル歴代の名プレイヤーたち(歌崎和彦)/進取の気性に富んだベルリン・フィルのディスク厳選20枚!(浅里公三)/次回日本公演、大胆予測!(山田真一)

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by berlinHbf | 2007-06-19 11:56 | ベルリン音楽日記 | Comments(6)

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