ベルリン-東と西が出会う場所。ドイツにありながらドイツではない町。歴史の影に彩られた栄光と悲運の世界都市。そんなベルリンの奥深い魅力をリアルタイムでお届けするブログです。Since 1. August 2005


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中村真人 (Masato)
神奈川県横須賀市生まれ。早稲田大学第一文学部を卒業後、2000年よりベルリン在住。ベルリンの映像制作会社勤務を経て、現在はフリーのライター、ジャーナリスト。


ベルリンガイドブック
「素顔のベルリン」増補改訂版
¥1,680
ダイヤモンド社
(Amazon、全国各書店にて発売中)

本書は2009年10月発行「素顔のベルリン」の増補改訂版です。2013年に改めて新規取材を行い、データを更新。レストランやショッピング、コラムなどのページも増量し、より充実したガイドブックに生まれ変わりました。

Amazonにてネット購入ができます。



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豊富なビジュアルとドイツ語フレーズを楽しめる1冊。基本のあいさつ表現から、街にまつわるドイツ語豆知識まで、ガイドブックとともに旅に役立つ会話集です。




『素顔のベルリン 過去と未来が交錯する12のエリアガイド 』
¥1,575
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地球の歩き方シリーズ初、待望のベルリンガイドブック誕生!比類なき歴史を抱えつつ、明日へ向かって日々進化し続ける首都ベルリン。「ドイツで最もドイツらしくない」といわれるこの町の知られざる魅力を、現地在住著者が12のエリアにわけて徹底紹介。


現在のトップ画像は、ベルリン在住のイラストレーター、高田美穂子さんによるオリジナル作品です(詳しくはこちらより)

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タグ:アート(Kunst) ( 66 ) タグの人気記事

マルティン・グロピウス・バウのテルアビブ美術館展

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ワシリー・カンディンスキー『ムルナウ、緑の家のある風景』(1909年)
© VG Bild-Kunst, Bonn 2015


2015年は、ドイツとイスラエルの国交樹立50周年という節目の年。これを記念して、ポツダム広場から近いマルティン・グロピウス・バウ(Martin-Gropius-Bau)でテルアビブ美術館展が開催されています。

西ドイツ(当時)とイスラエルとの間で国交が結ばれたのは、1965年5月12日のこと。第2次世界大戦中、ナチス・ドイツにより約600万のユダヤ人が犠牲になったホロコーストの記憶は、この両国の間に重く複雑なしこりを残しました。1932年に創設されたテルアビブ美術館は、特に20世紀の近現代の作品で充実したコレクションを誇りますが、今回展示される作品のうち約70点は、初めて欧州、またはベルリンで公開されるといいます。

同展では、絵画、彫刻、グラフィックアートの分野で重要な潮流を生み出した20世紀の作家の作品がテーマごとに展示されており、さらに、それに並行して現代イスラエルのビデオアートやインスタレーションが対峙して紹介されているのが特徴です。

「都市と田舎」と題された最初の部屋では、ポール・シニャックやワシリー・カンディンスキーらの牧歌的な風景画の傍らに、テルアビブの街中で撮られた映像作品が並んでいます。また、「混乱した惑星」という部屋には、抽象表現主義のマーク・ロスコやジャクソン・ポロック、シュルレアリスムのマックス・エルンストらの作品と並んで、「ガザ地区が地震により内陸部から隔てられ、もはや紛争のないリゾート地に変貌した」という架空のプロモーションビデオ「ガザ運河」が上映されるなど、現在のイスラエルの政治状況ゆえに人々が求めるユートピアへの憧れも感じられました。

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マルク・シャガール『孤独』(1933年)
© VG Bild-Kunst, Bonn 2015 / Photo Elad Sarig


奥の「ベルリン」という名の部屋には、マックス・リーバーマンの自画像、ルートヴィヒ・マイトナー、マックス・ペヒシュタインら、戦前ベルリンで活躍した表現主義の画家の作品が並びます。1933年から47年まで美術館の初代ディレクターを務めたカール・シュヴァルツはベルリン出身の美術史家で、それゆえドイツの表現主義のコレクションが多いのだそうです。そのほか、ピカソ、シャガール、ムンク、モネ、ジャコメッティといった著名な芸術家の作品も、展示の大きな目玉になっています。

この展覧会は、ベルリンとテルアビブ両都市のキュレーターによって構想されたとのこと。重く複雑な歴史背景を持つドイツとイスラエル。しかしまた、それゆえに両国の間には唯一無二の関係が育まれてきたと言えるのかもしれません。開催は6月21日まで。
Jahrhundertzeichen. Tel Aviv Museum of Art Visits Berlin: www.gropiusbau.de
ドイツニュースダイジェスト 6月5日)

by berlinHbf | 2015-06-08 10:18 | ベルリン文化生活 | Comments(0)

エネルギー問題をテーマにした展覧会

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連邦外務省で行われた展覧会より

ベルリン市中心部のジャンダルメンマルクト広場やフンボルト大学などから近い連邦外務省では、定期的に展覧会が開催されています。10月16日から約1カ月間、Lichthofと呼ばれる入り口のホールで、日本の新進作家から成るグループ「団DANS」が、エネルギー問題をテーマにした展覧会を行いました。

麻生和子氏がオーガナイザーを務め、計11人の作家がそれぞれの作品を披露した今回の展覧会のタイトルは、「Thinking of ENERGY - from the experience of FUKUSHIMA」。団DANSはその趣旨をこう説明しています。

「津波によって引き起こされた福島の原子力発電所の事故は、日本に住む人だけでなく、世界中の人々に問題を提起しました。特に日本に住んでいる私たちにとって、今人々が求めている豊かな社会を実現するのにエネルギーは不可欠で、安い原子力エネルギーには誘惑を感じます。そして、今も将来においても原子力エネルギーを使い続けることには問題があると、皆が十分気付いているにもかかわらず、私たちは日々の生活を何も問題がないかのように(気付かぬふりをして)過ごしています」

インスタレーション、彫刻、絵画、写真など多彩な表現手段の作品が並ぶ中、私はある映像に引き込まれました。人通りが皆無な福島県双葉町で、除染服を着た男性が自らビデオを回しながら語っています。彼が卒業したと思われる学校の前では、校歌を歌い始めました。それは、悲痛というものを越えた叫びのようでした。

この作品を作った太湯雅晴さんが説明してくれました。ビデオを回していた男性は双葉町に住んでいた大沼勇治さん。町の商店街の入り口に掲げられ、後に原発推進の象徴にもなった「原子力 明るい未来のエネルギー」の標語の作者です(小学6年だった当時、学校の宿題として作ったと言います)。太湯さんは、大沼さんを取材した映像と、その裏側のネオン管で作った標語とで作品を構成しました。

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原発推進の標語をテーマに作品を制作した太湯雅晴さん

「あの標語は、地元住民と電力会社との一種の『共犯関係』で成り立っていました。大沼さん自身、後悔の念が強いようです。ただ、私はこの作品によって何らかの意見や答えを示すつもりはありません。原子力発電所を中心としながらも、一歩引いた視点から、その周辺で何が起きたのか、大沼さんの個人的な視点と体験を通して提示したかった」と語ります。

明快な答えの見付けにくいエネルギー問題を、アートという形で問い掛けた連邦外務省での展覧会。太湯さんに話を伺っている横でも、地元の訪問者が作品の前で立ち止まっては見入っていました。http://dandans.jp
ドイツニュースダイジェスト 11月21日)
by berlinHbf | 2014-11-22 13:13 | ベルリン文化生活 | Comments(0)

イラストレーター高田美穂子さんが描くベルリン・パノラマ(晩秋編)

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今日から当ブログのトップ画像が変わりました。前回に続いてベルリン在住のイラストレーター、高田美穂子さんによるオリジナルの新作です。今回美穂子さんが紅葉の季節に合わせて描いてくださったのは、プレンツラウアー・ベルク地区にあるマウアーパーク(壁公園)の丘の上からのパノラマ。ベルリンにお住まいだったり、ここに来たことのある方ならば、すぐにピンとくる景色だと思います。こちらはテレビ塔方面の風景。木々の間からはトラムが顔をのぞかせています。芝生の斜面でくつろぐ人々の心地よさが伝わってきますね。

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丘の上にあるこのブランコは、壁公園に来たことのある方ならきっとご存知でしょう。手前の2人は私たち夫婦をモチーフにしてくださっているのだそうです^^;)。奥にはヴェディング地区の街並が見え、上を見上げると白いバルーンがいくつも空に浮かんでいます。これは(前回の記事でもご紹介した)壁崩壊25周年の「光のバルーン」なのだそう。今の賑やかな壁公園を歩いているとつい忘れがちですが、この場所にはベルリンとドイツを東西に分断する壁が立ちはだかっていました。「かつては分断されていた場所が、今やたくさんの人たちが思い思いに自由を楽しむ場所に変わった、というところが壁公園の魅力なのだな…と描いていて感じました」と、美穂子さんからこのようなコメントをいただきました。

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奥に見えるのは、毎週日曜日にここでパフォーマンスを行っているRupert's Kitchen Orchestraというストリート・ファンク・バンドだとか。この愉快なバンドのことは、美穂子さんのご主人のゲンキさんより教えてもらい、私もかなり興味を持ちました(詳細については、ゲンキさんのブログの記事をご覧ください)。


落葉の時期もほぼ終わりを迎えましたが、しばらくはこのイラストを毎日眺めながら秋の気分に浸れます。美穂子さん、壁崩壊の記念年にふさわしい作品を贈ってくださり、どうもありがとうございました!
by berlinHbf | 2014-11-18 10:06 | ベルリンの人々 | Comments(1)

シンポジウム「文化政策による中小都市の再生」

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ベルリン日独センターで行われたシンポジウムの様子

この夏、日本に一時帰国して改めて感じたのが、東京からそれほど離れていない中規模都市の疲弊具合でした。私の出身地の神奈川県横須賀市は、2013年の人口減少数が全国で最も多かったそうで、少年時代に過ごした街角で子どもの姿をほとんど見掛けなくなったのを寂しく感じました。人口減少や高齢化、大都市への人口集中がこのまま続くと、40年には全国の約30%、実に523の地方自治体が消滅する危険があるというショッキングな推計(日本創世会議)も出ており、これから本格的に準備が始まる20年の東京五輪・パラリンピックという国家的行事の陰で、非常に危惧すべき問題です。

9月4日にベルリン日独センターで行われた国際シンポジウム「文化政策による中小都市の再生――ドイツ・中欧と日本の対話」は、共通の問題を抱える日本とドイツ、中欧の各都市からのパネリストや参加者が集まり、「都市の再生のため文化に何ができるか」を議論する意義深い機会となりました。

前半の趣旨説明では、ニッセイ基礎研究所の吉本光宏氏による徳島県神山町の事例報告が大きな注目を集めました。吉本氏によると、古くから林業を主要産業としていた神山町では過疎化や高齢化が急速に進み、人口はかつての3分の1以下の6000人にまで落ち込みました。しかし、1999年にNPO法人主宰の「アーティスト・イン・レジデンス」が始まると、国内外からやって来たアーティストと彼らをサポートする地元の高齢者との間で創造的な気風が生まれます。町の情報発信のサイトを立ち上げたところ、神山への移住需要が顕在化し、古民家や空き店舗を利用した「ワーク・イン・レジデンス」という仕組みにより、今度は働き手や起業家を「逆指名」していきました。すると、商店街の再生が進み、神山町の自然や人の魅力に惹かれてIT企業までもが次々と神山へ進出・起業するようになったというのです。このような地域再生が行政組織ではなく、主に高齢者の住民から成るNPO法人によって推進されていることに驚きました。

関連サイト:
神山町の情報発信サイト「イン神山

その後のパネルディスカッションでは、同志社大の河島伸子氏が「文化は経済のお荷物ではなく、文化こそが経済を助け、動かす」という文化・創造経済の視点で語り、神戸大の藤野一夫氏は「特に日本の場合、国土の70%を占める森という資源を見直し、文化政策とエネルギー政策を結び付ける形で地域の自立性を養うべきだ。人々が当事者として判断し、問題を解決していく、強くしたたかなコミュニティーを作ることが、日本やドイツの小さな地域や町が生き残っていく上で重要ではないか」と力説しました。

この日のシンポジウムには東大や神戸大、同志社大、獨協大などの学生も多数参加。彼らはその後、ポーランドとの国境の町ゲルリッツに向かい、ツィッタウ・ゲルリッツ大学と共同のワークショップに取り組んだそうです。藤野氏が語るような「強くしたたかなコミュニティーを作る」ための芽がここから育つことを期待したいと思います。

by berlinHbf | 2014-09-19 20:25 | ベルリン文化生活 | Comments(3)

東京新聞7月27日(日)朝刊「写真家 古屋誠一インタビュー」

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文章を書く仕事をしている関係からか、ベルリン在住の特派員の何人かの方とお付き合いがあります。皆さん取材で飛び回っていることが多いので、頻繁にというわけではないものの、時々食事などをご一緒しながら仕事や旅、好きな本の話などをしては、刺激を受けています。

東京・中日新聞の宮本隆彦記者も親しくさせていただいている一人。昨年の春頃だったか、近所の中華のお店でお会いした際、宮本さんがある写真家のノンフィクションについて熱く語っていました。それが、『メモワール 写真家・古屋誠一との二〇年』(小林紀晴著)という本でした。宮本さんは、学生時代にたまたま古屋誠一という写真家の作品に出会って以来、興味を持っているのだとか(私は正直それまで知りませんでした)。今年に入って、宮本さんからこの本を借りて読んだのですが、これまで味わったことのないような読後感の残る本でした。古屋誠一は若い頃に渡欧し、そこでオーストリア人のクリスティーネと出会い結婚します。しかし、やがて彼女は精神を病み、1985年10月、当時古屋の仕事の関係で滞在していた東ベルリンの高層アパートから飛び降りて自殺を遂げます。古屋はクリスティーネとの8年間を克明に記録し続け、『Mémories』と題した写真集をこれまで何冊も発表してきました。詳しい内容についてここではこれ以上触れませんが、「人はなぜ撮るのか、作品を残そうとするのか」という表現の根幹にも問いを投げかける、ある種の衝撃を受けたノンフィクションでした。
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6月頭、私の友人の写真家のTwitterで、古屋さんの新しい写真集のプレゼンテーションがポツダム通りのThomas Fischerというギャラリーで行われることを知り、宮本さんを誘って出かけてきました。古屋さんはこのイベントのために自宅のあるオーストリアのグラーツからやって来られたそうですが、ご覧の通りの大盛況。キュレーターとのトークセッションでは、作品が生まれた経緯などを流暢なドイツ語で語っていました。

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この新しい写真集のタイトルは『Staatsgrenze 1981-1983』。「国境」という意味です。1981年から83年にかけて、古屋さんは家族を連れてオーストリアとの国境線に沿って車で走り、記録に収めました。新作と言っても30年以上前に撮影された作品をまとめたものですが、長年Mémories』に取り組んできた古屋さんにとって、新たな一歩となる作品となったようです。

宮本さんは当初、「せっくの機会だから名刺だけでも渡せたら」というぐらいの気持ちだったそうですが、イベント終了後古屋さんに挨拶した際、インタビューの打診をしたら快く応じてくれ、その2週間後にはもうグラーツに飛んでいました。インタビューの翌日、宮本さんから届いたメールには、古屋さんの自宅にまでお邪魔して計5時間ぐらい話を伺ったことに加え、「当然、小林紀晴さんの『メモワール』の印象に引っ張られていたわけですが、 (今回のインタビューで)それが修正されるような部分もありました」と書かれており、私もその中身が気になっていました。実は先週、久々に宮本さんに会って今回の話を聞く予定だったのですが、ウクライナの旅客機撃墜事件で宮本さんは急遽ウクライナに飛ぶことになり、約束は流れてしまいました。

明日7月27日(日)の東京新聞の朝刊に、宮本記者による「古屋誠一 ロングインタビュー」が掲載されるそうです。以上のような経緯から、私もどんな内容なのか全然把握していないのですが、興味深いインタビューになっているのは間違いないので、ここでご紹介しようと考えた次第です。ご興味がありましたら、ぜひ明日の東京新聞を手に取っていただけたらと存じます。

by berlinHbf | 2014-07-26 11:41 | ベルリンの人々 | Comments(0)

イラストレーター高田美穂子さんが描くベルリン・パノラマ

今日から当ブログのトップ画像が変わったのにお気づきになられたかと思います。これは、ベルリン在住のイラストレーター、高田美穂子さんがこのブログのために特別に描いてくださったもの。高田ゲンキ・美穂子さん夫妻と出会ったのはちょうど1年ぐらい前のことでした。出身地が近いことに加え、すぐ近所にお住まいということで、とても仲良くさせていただいている方々です。やはりイラストレーターであるご主人のゲンキさんは、MacやITシーンにも造詣が深く、私のMac使いの先生でもあります(最近はブログでも積極的に情報発信をされています)。

今回美穂子さんにイラストをお願いしたのはひょんなことがきっかけでした。春に食事をご一緒した際、小説現代に掲載された中澤日菜子さんの『ことこと電車』(高松を走る「琴電」が舞台の小説)のために最近挿絵を描いたというので、見せてもらったところ、柔らかいタッチとどこか懐かしさを感じさせる情景にとても惹かれたのです。「こんな雰囲気の絵を自分のブログのために描いてもらえないものか」と思ってふと口にしたら、あっさり快諾してくださいました。私が出したリクエストは、ベルリンのランドマークをパノラマ風に描いた絵であることと、「ベルリン中央駅」という名のブログなので、好きな駅か電車をどこかで登場させてくれたら^^、というものでした。

テレビ塔やブランデンブルク門などを横一列でランダムに並べた、たまにお土産のデザインでも見かけるような絵を私は想像していたのですが、しばらく経って、美穂子さんが「こんな絵を描いてみたんですが、ここからどれかを選んでもらえますか?」と、スケッチブックを開いて見せてくれたのは、予想とまったく違うものでした。そこには、3つの場所のパノラマが案として描かれており、いずれもベルリンに実際ある風景。その周到な準備と着眼点のセンスに私はびっくりし、中でも意表を衝かれた場所から描いた絵をお願いしました。それがこちら。クロイツベルクのドイツ技術博物館のテラスからのパノラマで、鉄ちゃんの間では地下鉄U1がよく見えるポイントとして知られているそう(笑)。

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U1 Möckernbrückeにて(2009年撮影)

そしてつい最近、完成した作品が送られてきました。私が感激したのは言うまでもありません。この作品、大変
緻密に描かれており(水彩画のようなタッチですが、実際はPC上で1つ1つを丹念に描いて出来上がったもの)、細部にこそ面白さが宿っているので、いくつか拡大してご紹介したいと思います。

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ラントヴェーア運河を行く遊覧船。その後ろには、ベルリンの街角でよく見かけるクマさんが!

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かつてアンハルター駅に続いていた歩道橋。下の方に写っている、運河の方を眺めている男女は、僕ら夫婦がモチーフなのだとか^^;

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黄色い地下鉄も丁寧に描いてくださっています。岸辺沿いを走る自転車、気持ち良さそう!

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その背景には中心部の情景が。ベルリン一のランドマークであるテレビ塔を強調した絵は多いですが、美穂子さんの作品では、あくまで全体の中で控えめに描かれています。

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西側に目を移すと、ポツダム広場のソニーセンターや高層ビル群が見えます。街路樹の豊かさもベルリンらしいですね。

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手前の方に目を寄せると、3人の男の子が取っ組み合いをしているようなシーンが描かれていることに気付きます。実はこれ、シュプレー川に浮かぶ「分子の人」(Molecule Man)という有名なオブジェをモチーフにしているのだそう。美穂子さんの説明を受けて、思わず膝を叩きたくなってしまいました^^

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あれ?BVG(ベルリン交通局)の建物の上に腰掛ける男の姿が・・・。よく見ると羽を付けています。どうやら、映画『ベルリン・天使の詩』の主人公の中年天使の一人であり、昨年亡くなったオットー・ザンダーさんが、上空からこの街の人々を見守ってくれているようです。

美穂子さん、本当に素敵な作品をありがとうございました!

by berlinHbf | 2014-07-03 01:09 | ベルリンあれこれ | Comments(8)

雨田光弘「音楽の絵画展」@ベルリン日独センターのご案内

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© AMADA Mitsuhiro, Foto: IGARASHI Miya

ベルリン日独センターより、展覧会のオープニングのご案内をいただきました。雨田光弘さんの「音楽の絵画展」。どこかで見たことのある絵だなと思ったら、雨田さんは長年日本フィルのグッズやカレンダーに絵を描かれているそうなので、きっとそれを通してだと思います。6月10日のオープニングには、ベルリン・フィルのヴェンツェル・フックスさん(クラリネット)やクヌート・ウェーバーさん(チェロ)らによるミニコンサートもあるそうなので、ぜひ足をお運びください。


オープニング:2014年6月10日(火)、19時30分開会
会場: ベルリン日独センター (JDZB, Saargemünder Str. 2, 14195 Berlin-Dahlem)
オープニングコンサート: ヴェンツェル・フックス/クラリネット (ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団団員) クヌート・ウェーバー/チェロ (同上)、ホルガー・グロショップ/ピアノ

1935年生まれの画家兼音楽家、雨田光弘。音楽をテーマにした彼の作品は、日本のみならず海外の音楽・美術ファンの間で非常に人気がありますが、本展はその雨田光弘のドイツ初個展です。
雨田は、著名な画家・彫刻家である雨田光平を父に持ち、その影響で幼いころから絵画に親しんでいました。また、雨田はプロのチェリストとして日本フィルハーモニー交響楽団のソロチェリストを長年に渡り勤め、その後フリーの演奏家としても活躍しています。
雨田の作品では、音楽家の多くが猫や他の動物になぞらえられて描かれています。ユーモアにあふれ、『鳥獣人物戯画』を連想させるような簡潔な運筆スタイルですが、音楽を奏でる動物たちは個性にあふれ、見る者に本物の音楽家たちとの類似点を見出させることでしょう。
大人の方のみならずお子様にも楽しんでいただける展覧会です。

観覧時間:月曜日~木曜日10時~17時、金曜日10時~15時30分、入場料無料
展覧会会期: 2014年6月11日~2014年8月15日

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Ausstellung: Musikbilder von Amada Mitsuhiro
Eröffnung am 10. Juni 2014 um 19:30 Uhr
im Japanisch-Deutschen Zentrum Berlin (JDZB, Saargemünder Str. 2, 14195 Berlin-Dahlem)
Musikalische Umrahmung: Wenzel Fuchs/Klarinette und Knut Weber/Violoncello (Mitglieder der Berliner Philharmoniker) und Holger Groschopp/Klavier

Der 1935 in Tôkyô geborene Künstler Amada Mitsuhiro ist in Europa noch weitgehend unbekannt. Das JDZB präsentiert seine Werke zum ersten Mal in Deutschland. In Japan werden sie unter Musik- und Kunstliebhabern gleichermaßen geschätzt, denn das zentrale Thema seiner Kunst ist die Musik.
Die Malkunst erlernte er bei seinem Vater Amada Kôhei, einen sehr bekannten Maler und Bildhauer. Amada Mitsuhiro ist aber auch Musiker. Er spielte viele Jahre als Solocellist im Japan Philharmonic Orchestra und später als freiberuflicher Musiker.
In seinen Bildern werden die Musiker überwiegend als Katzen dargestellt. Humorvoll bringt er sie mit wenigen Pinselstrichen im Stil des Chôjû jinbutsu giga (Karikaturen von Menschen in Tiergestalt) zu Papier. Seine charaktervollen, musizierenden Katzen lassen den Betrachter durchaus auf Ähnlichkeiten mit lebenden Musikern schließen.
Eine Ausstellung nicht nur für Erwachsene!

Öffnungszeiten: Mo–Do 10–17 Uhr; Fr 10–15:30 Uhr, Eintritt frei!
Ausstellungsdauer: 11. Juni bis 15. August 2014

by berlinHbf | 2014-06-09 16:18 | ベルリン音楽日記 | Comments(1)

Japan Syndrome 20.–29.5.2014 @HAU 日本語プログラム

今日から29日まで、クロイツベルクのHAU(Hebbel am Ufer)にて「ジャパン・シンドローム─フクシマ以後の芸術と政治」と題した大規模な演劇・パフォーマンスのフェスティバルが開催されます。私の大学時代の友人や先輩も何人か関わっていて、最近続けて案内をもらいました。プログラムの日本語訳をいただいたので、以下にご紹介します。現地在住の日本人にとっても、さまざまな表現を通して現在の日本の状況を多角的に知る貴重な機会ではないかと思います。ぜひ足をお運びください!

ジャパン・シンドローム─フクシマ以後の芸術と政治 プログラム
5月20日(火)
時間未定 / HAU2(屋外)
田口行弘「オープンハウス:Confronting Comfort #2」

19時 オープニングイベント / HAU2
(入場無料)
高嶺格「ジャパン・シンドローム─ベルリン・バージョン♯3」
インスタレーション─21日〜29日まで毎日18時より開催

20時/ HAU2
岡田利規/チェルフィッチュ「現在地」
演劇─日本語上演(英語・ドイツ語字幕)[20€ / 15€ / 12 €]


5月21日(水)
18時 オープニングイベント / HAU1
「道程 3.11」(入場無料)
参加作家・作品
高山明「国民投票プロジェクト」(2011/2014)
藤井光「3.11 Art Documentation」(2011-継続中)
ニナ・フィッシャー&マロアン・エル・サニ
  「Spirits Closing Their Eyes」(2013)
  「PET Bottle Shield」(2014)               
  「Contaminated Home」(2014)
鈴木光「Mr.S&ドラえもん」(2012)
インスタレーション─22日〜29日まで毎日17時より開催

19時/ HAU2
岡田利規/チェルフィッチュ「現在地」
演劇─日本語上演(英語・ドイツ語字幕)[20€ / 15€ / 12 €]

21時/ HAU1
工藤冬里&Maher Shalal Hash Baz
(マヘル・シャラル・ハシュ・バズ)
コンサート [15€]


5月22日(木)
17時30分 サロン3.11 / HAU1(入場無料)
藤井光
ステファン・バウアー(キュレーター)
トーク─ドイツ語&日本語(ドイツ語通訳あり)

19時 / HAU3
村川拓也 「ツァイトゲーバー」(ヨーロッパ初演)
演劇─日本語上演(英語・ドイツ語字幕) [13€]

20時30分 / HAU1
藤井光 「プロジェクト FUKUSHIMA!」
ドキュメンタリー映画(日本、2012、90分)─日本語(英語字幕)
*会場ではNPO 法人プロジェクト FUKUSHIMA!のためのカンパを受け付けます(入場無料・カンパ制)

5月23日(金)
17時30分 サロン3.11 / HAU1(入場無料)
高嶺格
シュテフィ・リヒター(日本学者)
トーク─ドイツ語&日本語(ドイツ語通訳あり)

19時 / HAU3
村川拓也 「ツァイトゲーバー」(ヨーロッパ初演)
演劇─日本語上演(英語・ドイツ語字幕) [13€]

20時30分 藤井光 「ASAHIZA」/ HAU1
ドキュメンタリー映画(日本、2013、74分)
              ─日本語(英語字幕)[5€]
上映終了後 藤井光と高山明によるアフタートーク
モデレーター:シュテフィ・リヒター
ドイツ語&日本語(ドイツ語通訳あり)


5月24日(土)
15時 サロン3.11 / Cuvry-Brache
オープンハウス(参加無料) 
「Dis-Cuvry-Confronting Comfort #1」
田口行弘&キアラ・チッチェレルロ&ルッツ・ヘンケ
(集合場所:Schlesische Str. / Ecke Cuvrystr.)

19時 / HAU3
村川拓也 「ツァイトゲーバー」(ヨーロッパ初演)
演劇─日本語上演(英語・ドイツ語字幕) [13€]

終演後 村川拓也とハンス=ティース・レーマン(演劇学者)によるアフタートーク
ドイツ語&日本語(ドイツ語通訳あり)

20時30分/ HAU2
マンガという現象─日本のマンガと3.11
ジャクリーヌ・ベルント(マンガ研究者)
シュテフィ・リヒター
ドイツ語(日本語通訳あり)


5月25日(日)
18時 サロン3.11 / HAU1
原サチコ「ヒロシマサロン」
ドイツ語&日本語上演 [5€]

20時 / HAU2 (参加無料)
「安全地帯の崩壊? フクシマ以後の芸術と政治」
相馬千秋(キュレーター)
丸岡ひろみ(キュレーター)
高山明
シュテフィ・リヒター
モデレーター:シュテファニー・カープ(キュレーター)
ドイツ語&日本語(同時通訳あり)

5月26日(月)
17時30分 サロン3.11 / HAU1(入場無料)
小泉篤宏(サンガツ)
クリストフ・グルク(キュレーター)
トーク─ドイツ語&日本語(ドイツ語通訳あり)

20時 / HAU2
ニナ・フィッシャー&マロアン・エル・サニ
「3.11後の生きものの記録」
(ドイツ&日本、2014、29分) [8€]

上映終了後 岡田利規&ニナ・フィッシャー&マロアン・エル・サニによるアフタートーク
モデレーター:エルケ・ブア(ジャーナリスト)
ドイツ語&日本語(ドイツ語通訳あり)

黒澤明「生きものの記録」
(日本、1955、103分)日本語(ドイツ語字幕)


5月27日(火)
18時 サロン3.11 / HAU2(屋外)(入場無料)
オープンハウス
「Dis-Cuvry-Confronting Comfort #2」
田口行弘&キアラ・チッチェレルロ&ルッツ・ヘンケ

20時 / HAU1
サンガツ
コンサート [15€]

5月28日(水)
17時30分 サロン3.11 / HAU1(入場無料)
都築響一
クリストフ・グルク(キュレーター)
トーク─ドイツ語&日本語(ドイツ語通訳あり)

20時 / HAU2
岡田利規/チェルフィッチュ
「スーパープレミアムソフトWバニラリッチ」
演劇─日本語上演(英語・ドイツ語字幕)[20€ / 15€ / 12 €]


5月29日(木)
17時30分 サロン3.11 / HAU1(入場無料)
岡田利規
ペーター・ラウデンバッハ(ジャーナリスト)
トーク─ドイツ語&日本語(ドイツ語通訳あり)

20時 / HAU2
岡田利規/チェルフィッチュ
「スーパープレミアムソフトWバニラリッチ」
演劇─日本語上演(英語・ドイツ語字幕)[20€ / 15€ / 12 €]

22時 / HAU2
都築響一による深夜のレクチャーパフォーマンス
英語上演 [5€]

*公演チケットはインターネット(www.hebbel-am-ufer.de)およびHAU 2窓口にて発売しております。(営業時間:月曜日〜土曜日の15時〜19時)
*各種割引および3公演のセット券[40€]もご用意しております。
*当日券は公演当日、開演1時間前より各劇場にて発売いたします。

■「ジャパン・シンドローム」に関するお問い合わせ
チケット窓口 +49 (0)30-259 004-27 (ドイツ語・英語)
制作担当直通 +49 (0)30-259 004-283 (ドイツ語・英語・日本語)

Hebbel am Ufer Berlin www.hebbel-am-ufer.de
HAU 1: Stresemannstr. 29 / 10963 Berlin
HAU 2 : Hallesches Ufer 32 / 10963 Berlin
HAU 3 : Tempelhofer Ufer 10 / 10963 Berlin

by berlinHbf | 2014-05-20 21:03 | ドイツから見た日本 | Comments(0)

アイ・ウェイウェイの展覧会“EVIDENCE”

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マルティン・グロピウス・バウに並んだアイ・ウェイウェイの作品“Stools”
© Ai Weiwei


今、ベルリンでは中国の現代美術家アイ・ウェイウェイ(艾未未)の展覧会“EVIDENCE(証拠)”が開かれています。同氏の個展としては世界的に類を見ない規模である上、4月3日のオープニングからわずか2週間で訪問者数が6万人を超えるなど、話題性は十分。週末には長い行列ができると聞いていたので、平日の午後、会場のマルティン・グロピウス・バウに足を運んできました。

中へ入ると、いきなりインパクトのある展示が目に飛び込んできます。屋根付きの中庭に、6000脚もの木の椅子がぎっしりと敷き詰められています。これは、明の時代に実際に使われていたものだそうで、私はなんとなく中国という国の広大さを実感しました。

1957年北京に生まれたアイ・ウェイウェイは、中国政府へ批判の声を上げ続けていることで知られています。2008年の北京五輪では、「鳥の巣」と呼ばれる北京国家体育場の建設に携わりましたが、後に五輪の政治プロパガンダ性を批判し、開会式を欠席。彼は当局から繰り返し圧力を受けながらも、作品を生み出し続けています。

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アイ・ウェイウェイ氏
© Gao Yuan


18の部屋、3000㎡におよぶ展示の規模は壮観。いくつかの作品には、彼の歩んできた道が生々しい形で刻印されていました。ある部屋の真ん中には、「81」という名の仮設住宅のようなインスタレーションが置かれていました。11年4月、アイ・ウェイウェイは北京空港で当局により拘束されますが、これは彼が81日間の刑務所生活を送った独房を再現したインスタレーションなのです。内部には監視カメラが仕組まれ、彼が1日24時間監視下にあったことが暗示されています。

別の部屋には、ねじ曲がった鉄骨を使ったオブジェがいくつも置かれていました。08年の四川大地震では5000人以上の児童が校舎の下敷きとなって死亡しました。中国政府が被害の全貌を明らかにしなかったことに対し、アイ・ウェイウェイは自身のブログを通して独自の調査を試みましたが、やはり当局からの激しい妨害を受けることになります。彼は作品を通して犠牲者を追悼し、建築構造のずさんさとその背景にあるものを告発しているわけです。

さらに進むと、島の地形を再現したような大理石のオブジェに出会いました。これは、日中間の争いの焦点になっている尖閣諸島をモチーフにした作品。島の周りは海域を模した線によって仕切られ、そこを越えて足を踏み入れると、係員から注意されてしまいます。

随所で中国の伝統的な素材を用いながらも、作品には中国の今日の姿が浮かび上がり、観る者は表現の自由という問題に直面するでしょう。同展のパンフレットの言葉を借りるなら、この展覧会は中国と西側世界の対話を呼び掛ける作家自身からの“Flaschenpost(海に流された瓶入りの手紙)”と呼べるのかもしれません。今も中国政府の監視下にあるアイ・ウェイウェイ本人が、ベルリンでのオープニングに姿を現わすことはありませんでした。
開催は7月7日まで。www.berlinerfestspiele.de

by berlinHbf | 2014-05-15 18:19 | ベルリン文化生活 | Comments(0)

生誕100年 ヴィリー・ブラントの写真展

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ヴィリー・ブラント写真展のチラシより

先日、地下鉄の駅で印象的なモノクロ写真を使ったポスターを見掛けました。列車の食堂車の中で、中年の男性が通路を隔てて座る女性に渋い表情の眼差しを向けた瞬間をとらえたもの。報道写真というよりは、主演俳優と女優を映した映画のワンシーンのようだと思いました。

この男性は、かつて西ドイツの首相を務めたヴィリー・ブラント(1913~1992年)。1913年12月18日のブラント生誕100年を記念し、クロイツベルク地区にある社会民主党(SPD)本部、通称「ヴィリー・ブラント・ハウス」で行われた写真展に足を運んできました。

政党本部での展覧会というと、日本では馴染みがないかもしれませんが、ドイツの政党や政治家は美術品の収集に熱心ということが少なからずあり、特にこのSPD本部では定期的に展覧会が開催されています。

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ヴィリー・ブラント・ハウスのアトリウム

三角形のモダンな外観の建物の中に入ると、そこは天井ガラスで覆われた大きなアトリウムで、光がたっぷり差し込んでいます。写真展は2部に分かれ、1階は長年ブラントを撮り続けたポートレート写真家、コンラート・ルーフス・ミュラーの作品。暗闇を背景に、近距離からブラントの表情を捉えた写真が中心で、表情の豊かさと刻まれた深いしわが彼の歩んだ激動の道のりを物語っているようでした。

静的なミュラーの作品に対し、2階には、4人の報道写真家によって収められた躍動感溢れる写真が多く並びます。シュテルン誌の委嘱を受けてブラントを追い続けた彼らの写真は、西ベルリン市長時代から連邦首相、さらにその後まで、さながらブラントの政治家人生を一望できるボリュームがありました。モノポリーで遊び、家族と過ごす時間などを収めたプライベートショットでは、くつろいだ表情を見せています。本業の政治の方では1970年、初の東西ドイツ首脳会談のためにエアフルトを訪れた際の緊張感が印象に残りました。ほかにも、やはりドイツの首相として初めてイスラエルを訪問したときの様子、ベルリンの壁が崩壊した直後の感慨に満ちた表情、そして談話に応じる際、いつも左手に持っていたタバコに焦点を当てた写真等々。

それにしても感じたことは、あの冷戦時代、しかも相手に手の内を見せないことが美徳とされる政治の世界で、ブラントが見せた率直な表情は人間味があり、絵になる人だなということでした。そんなヴィリー・ブラントの写真展は2月1日まで開催されています。火~日曜の12:00~18:00オープン。入場は無料ですが、パスポートなどの身分証の提示が必要です。
www.willy-brandt-haus.de
ドイツニュースダイジェスト 1月17日)
by berlinHbf | 2014-01-17 10:30 | ベルリン文化生活 | Comments(0)

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