ベルリン-東と西が出会う場所。ドイツにありながらドイツではない町。歴史の影に彩られた栄光と悲運の世界都市。そんなベルリンの奥深い魅力をリアルタイムでお届けするブログです。Since 1. August 2005


by berlinHbf

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中村真人 (Masato)
神奈川県横須賀市生まれ。早稲田大学第一文学部を卒業後、2000年よりベルリン在住。ベルリンの映像制作会社勤務を経て、現在はフリーのライター、ジャーナリスト。


ベルリンガイドブック
「素顔のベルリン」増補改訂版
¥1,680
ダイヤモンド社
(Amazon、全国各書店にて発売中)

本書は2009年10月発行「素顔のベルリン」の増補改訂版です。2013年に改めて新規取材を行い、データを更新。レストランやショッピング、コラムなどのページも増量し、より充実したガイドブックに生まれ変わりました。

Amazonにてネット購入ができます。



『街歩きのドイツ語 』
¥1,575
三修社

豊富なビジュアルとドイツ語フレーズを楽しめる1冊。基本のあいさつ表現から、街にまつわるドイツ語豆知識まで、ガイドブックとともに旅に役立つ会話集です。




『素顔のベルリン 過去と未来が交錯する12のエリアガイド 』
¥1,575
ダイヤモンド社
(2009年発売)

地球の歩き方シリーズ初、待望のベルリンガイドブック誕生!比類なき歴史を抱えつつ、明日へ向かって日々進化し続ける首都ベルリン。「ドイツで最もドイツらしくない」といわれるこの町の知られざる魅力を、現地在住著者が12のエリアにわけて徹底紹介。


現在のトップ画像は、ベルリン在住のイラストレーター、高田美穂子さんによるオリジナル作品です(詳しくはこちらより)

ベルリン更新情報
2013/02/20 up

ベルリン個人ガイドのご案内

執筆、ガイド、コーディネートなどのご依頼、お問い合わせはこちらまで(これまでの出版・寄稿実績)→
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ベルリン中央駅発の夜行列車を眺めて(2)

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Berlin Hauptbahnhof (2013-07-06)

少しでも夏の旅気分をということで、ベルリン中央駅から発着する夜行列車の後編をお届けします。

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この日は本の仕事が一山超えたので、中央駅構内のイタリアンのお店のソファーに座ってワインを一杯。ほろ酔い気分になったところで、地下ホームに向かいました。そのまま寝台車に潜り込めれば最高なのですが、今日もホームから眺めるだけです^^;)。

まずは、22時11分発のチューリッヒ行きのCNL(毎日運行)。車体もきれいで、寝台車も居住性がよさそう。

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発車の時刻が近づいてきました。女性の車掌さんが合図を送ります。これに乗れば翌朝9時17分にスイスの湖畔の町に到着。いいですなあ。

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チューリッヒ行きの列車が出た頃、隣のホームには別の列車が発車を待っていました。6両ぐらいの短い編成で、オール3段の簡易寝台。いかにも夜汽車という雰囲気をたたえた古めかしい列車ですが、乗車率はよく、80%以上は埋まっているように見えました。

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行き先はMalmö Centralとあります。ピンとこない方も多いと思いますが、マルメはスウェーデン南部の町。橋を隔ててコペンハーゲンとも近い距離にあります。2007年に大学オケの演奏旅行でマルメを訪ねたことがありますが(その時の記事はこちら)、まさか直通列車が走っているとは!

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運行は週3回。ドイツ鉄道のHPを見ても、料金は表示されないのですが、車体にはベルリンーマルメ45,20ユーロからと書かれています。

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ドイツとデンマーク、スウェーデンは陸路で結ばれていないので、つまりは列車ごとフェリーに乗り込むことになります。ベルリン中央駅を22時30分に発車すると、途中どこにも停車しないまま、翌朝8時10分マルメ中央駅に到着する不思議な列車です。ベルリンの知人が乗車体験記をブログで綴っているので、ご興味のある方はお読みください。

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ベルリン中央駅の写真を整理しながら、4月に一時帰国したときの記憶がよみがえってきました。上野の東京文化会館の喫茶店で知人と会い、新橋での次の約束に向かう際、駅の行き先案内板で「北斗星」の文字が目に入ったのでした。少し時間があったので、急ぎ足で件のホームに降りていました。

もはや風前の灯とはいえ、ブルートレインの青い車体を前にして、無性に懐かしい気分になりました。小学校の一時期、寝ている間に見知らぬ町に連れて行ってくれるブルートレインは、私にとってたまらなく不思議な魅力を持った存在でした。

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当時、家族で東京に出かけたときはわざわざ東京駅に寄ってもらい、9、10番線ホームから夜行列車が発車する情景を眺めていたこともあったほどです。その後の私に影響を及ぼした出来事もあったので、それについてはいつか綴ってみたいと思っています。
by berlinHbf | 2013-07-28 14:20 | ベルリン中央駅 | Comments(8)

ベルリン中央駅発の夜行列車を眺めて(1)

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Berlin Hauptbahnhof (2013-06)

夏のバカンスシーズン真っ盛り、ベルリンも素晴らしい天気がしばらくずっと続いています。どこかに旅したいなあと思いますが、来月少し遠出するので、いまは我慢。せめて旅行気分をということで、今回はこんな写真をお届けしたいと思います。

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最近発売になった『ベルリンガイドブック』のベルリン中央駅のコラム(エリア6内)の写真を差し替えたいと思い、6月末、中央駅に何回か通いました。この駅の国際的性格を示そうと、ここから発車する長距離夜行列車の写真を使いたかったんです(結局本に採用されたのは、写真のベルリン−ワルシャワ・エキスプレスだったのですが)。

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この日のお目当ては地上ホームから出るモスクワ行きの夜行列車。が、いざホームに行ってみると、何かの事情からベルリン・リヒテンベルク駅始発になったとの表示が。まったくいい加減なものです。この駅では地下ホームから発着する夜行列車の方が多く、このスリリングなエスカレーターに乗って地下へ向かいます。

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ベルリン中央駅の地下ホームはあまり趣きはないのですが、それでも普段Sバーンから見ることのない重々しい列車が横たわっていると、ヨーロッパが地続きであることを実感します。これは18時10分発のプラハ経由ブダペスト行き。ブルーの車体にPRAHAと書かれていたので、チェコ製なのかもしれません。

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20時07分発、パリ東駅行きのCNL(City Night Line)。個室寝台も備えた優等列車ですが、外観は地味で、薄汚れています(「たまには洗車したら・・・」と思うのはICEなどを眺めてもよく思うこと)。それでも、発車の際は、端から見ていてもじんとくる別れのシーンに出合うこともあります。

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これは昨年秋に撮ったものですが、こんな夜行列車があるのをご存知でしょうか。パリ発モスクワ行きのユーロナイト(EN 453)。

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現在の時刻を調べてみると、パリ東駅を土曜日の9時28分に発車するこの列車は、その日の21時頃にベルリン中央駅に到着。そこからワルシャワ、ミンスクを経由して、終点のモスクワ・ベラルースキー駅に着くのは翌23時58分。実に36時間30分かけて走り切るわけですが、その間運転手や車掌は何回交代するのだろう?

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この列車の愛称はOst-West-Express。考えてみたら、地図を見るとベルリンは西のパリと東のモスクワのほぼ中間に位置することがわかります。この3都市のシンボル的な塔が描かれているのが面白いですね。

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先頭の機関車は、ドイツのシンボルカラーでした!

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ヨーロッパの西と東の代表的な都市を結ぶだけあって、中の寝台はホームから覗き込んでもかなり豪華な印象を受けました。一度乗ってみたいものですねえ。そしてこの食堂車。人件費削減で昔に比べれば減っているのかもしれませんが、それでもいまだ多くの長距離列車で食堂車が連結されていることは、ヨーロッパを鉄道で旅することの楽しみのひとつと言えそうです。

(つづく)
by berlinHbf | 2013-07-25 23:57 | ベルリン中央駅 | Comments(11)

『ベルリンガイドブック〜「素顔のベルリン」増補改訂版』のご案内

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拙著『素顔のベルリン』は、2009年の発売以来、お陰さまで多くの方に手に取っていただいてきました。この度、ダイヤモンド社より増補改訂版として新たな形で発売されることになりましたので、ここで紹介させていただきたいと思います。

今回の改訂では以下のようなことがポイントになっています。

- 全体で16ページ増強し、新しいテーマのコラムをいくつか追加。読み物としてもボリュームが増しました。
- それまでは各エリアの最後に紹介していたカフェ&レストランの情報を、東地区と西地区のそれぞれ最後にまとめて掲載。それにより、カフェ&レストランや名所・見どころの情報も一層充実させることができました。
- 初版の写真も多く残してありますが、この4年間のベルリンの町の移り変わりを鑑みて、適宜写真を差し替えました。ベルリン在住の方やコアなベルリンファンの方も楽しんでいただけたらと願っています。
- 全ての情報や記述を入念に再チェック。地図には新たに縮尺を付け、さらに使いやすくなったと思います。
- これは些細なことですが、基調カラーが青から赤に、そして表紙の紙質も変わりました。マットな感じなのにつるつるしていて、触っていて心地よい感じがします(笑)。

今回はゼロから作るわけではないとはいえ、それでもこの2ヶ月間はとてもハードでした。1日中通りに出て写真を撮る日もあれば、部屋にこもって執筆に追われている日もありました。それでも充実した時間だったと思えるのは、ベルリンという町の面白さに改めて魅せられたゆえだと思っています。これほど集中的に町を歩いたのも久々だったのですが、日々発見の連続で、飽きることがありませんでした。その気持ちが、改訂版のページのところどころに表れているといいのですが。

今回も編集部の伊澤慶一さんやデザイナーの椎名麻美さん、地図製作や印刷所の方など多くの方にお世話になりました。また、妻に多くの取材に同行してもらったことで、この本に女性の視点も盛り込むことができたように思います。ここで心より感謝したいと思います。

Amazonではこちらよりご予約いただけますし、書店には7月19日頃から並び始めるとのことです。『素顔のベルリン』が多くの方に読まれ息の長い本になったことを感謝すると共に、新しい『ベルリンガイドブック』もどうぞよろしくお願いいたします。

ベルリンを舞台にしたノンフィクションを書き上げるのが私の次なる目標です。
by berlinHbf | 2013-07-17 23:57 | ベルリンを「読む」 | Comments(12)

和解礼拝堂のライ麦畑(前編) 〜取り残された教会〜

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和解礼拝堂(右)とライ麦畑の前のフィッシャーさん夫妻

ベルナウアー通りに面したかつての壁の緩衝地帯には、数年前から緑の芝生が植えられるようになった。初夏のこの季節、芝生の上を歩いて行くと、緑に混じって鮮やかな小麦色が目に入ってくる。「和解の礼拝堂」という名の小さなプロテスタント教会を囲むように、ライ麦が一面に生い茂っているのだ。周囲は住宅街というこの場所に突如出現するライ麦畑のことをずっと不思議に思っていたのだが、先日、長年この教会の牧師を務めてこられたマンフレート・フィッシャーさん(65)にお話を伺う機会があり、私の疑問は氷解した。

1961年の突然の壁建設により、東西の境界線上にあったベルナウアー通りの住民は大きな悲劇に見舞われた。何とか西側に逃げようと、決死の覚悟でアパートの上階から飛び降りる東側住民の映像をご覧になった方もいるだろう。19世紀末に造られた和解教会は2つの壁の間の緩衝地帯に取り残され、そこに誰も立ち入りできないという異常事態に陥っていた。1965年、教区(ゲマインデ)の西側の人々は、壁のすぐ手前に鉄骨の新しい教会を建てた。1975年、フィッシャーさんはこういう状況下で牧師となり、ここを仕事場兼住居としながら、毎日灰色の壁を見ていた。

壁の前に住むと言っても、ドラマチックな出来事がそう起こるわけではない。「壁を越えようとする脱走者を見たことはありませんね。稀に警報アラームが鳴ることはありましたが、緩衝地帯の上をさまようウサギなどの小さな動物に反応してのことでした」

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www.kirche-versoehnung.deより拝借

1985年1月、そんな静かな日常で、突如「ドラマチックな」事件が起きた。緩衝地帯に取り残された和解教会が、東ドイツ政府によって爆破されたのだ。「壁は、人も建物も何もかもを破壊したので、こうなることもある程度は予想できた。しかし当時、東西間の雪解けが進んでいただけに、『一体なぜ今になって?』という思いでした。東独政府としては、監視の邪魔になるという現実的な理由だけでなく、あんな場所に教会を残しておくのは、対外的なイメージの悪化につながると考えたのでしょう。実際は、あの爆破によって東独に対する人々の印象はさらに悪くなったのです。ともあれ、元々の教会が破壊されたことで、もうあそこには戻ることができないのだ、壁の時代は今後もずっと続くのだと思っていました」

そのわずか4年後、壁は突如崩壊した。分断された教区が再び1つになったことは、もちろんフィッシャーさんにとって喜ばしいことだったが、気掛かりな点もあった。無用の長物となった壁が猛烈な勢いで撤去されていったことだ。

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「教会」を改装して造られたベルリンの壁記録センター

「防衛のための壁はほかの町にもありましたが、ベルリンの壁は完全な『監禁』目的で造られました。それが街のど真ん中を横切っていたんですよ。『負の遺産とは言え、歴史の記憶の一部は留めなければ』と、私たちや文化財保護団体などは強く声を上げたんです」

長い月日を要することになるものの、それはベルナウアー通りの壁を記念碑として残す動きにつながっていった。(次回へ続く)
ドイツニュースダイジェスト 7月5日「ベルリン 発掘の散歩術」より)


Information
ベルリンの壁・記憶の場所
Gedenkstätte Berliner Mauer


ベルリンの壁の歴史を知る上では必見の場所。壁建設当時の映像が見られ、屋上が展望台になっている記録センターは、本文に登場する1965年建造の教会を改装したもの(2階のステンドグラスにその名残が見られる)。2010年には北駅近くにビジターセンターが完成した。記念碑は最終的に、壁公園の方まで拡張される予定。

開館(記録センターとビジターセンター):
火〜日9:30〜19:00(冬期は〜18:00)
住所:Bernauer Str. 111, 13355 Berlin
電話番号:030-467 9866 66
URL:www.berliner-mauer-gedenkstaette.de


和解教会
Versöhnungskirche


1894年に完成した赤煉瓦造りによるネオゴシック様式の教会。壁の建設後、教会の塔は東独の国境警備兵の監視塔として使われていた。東独政府による爆破の後、2000年、その跡地に後編でご紹介する和解礼拝堂が建てられた。礼拝堂のすぐ横には、和解教会の建物跡が地面に刻まれているほか、かつて教会で使われていた鐘が並べられ、毎日12時に鳴らされる。
by berlinHbf | 2013-07-16 11:01 | ベルリン発掘(境界) | Comments(0)

ベルリン王宮の再建始まる

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Schlossplatz (2012-04-06)

このブログを始めた2005年から折に触れて、ベルリンの王宮広場の移り変わりをお伝えしてきましたが、この6月、ついに王宮の再建工事が始まりました。冒頭の写真は昨年4月の様子。この数年間、芝生が敷かれ市民の憩いの場だった旧共和国宮殿の跡地は、いつの間にか様子が大きく変わりました。

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6月16日は取材で慌ただしい日だったのですが、夕方に何とか間に合いました。王宮の定礎式が行われた数日後というこの日曜日、Tag der offenen Baustelleとして工事現場が一般に公開されたのです。今後5年以上はかかる国家的な大工事、中を歩ける機会もそうないだろうと思いぜひ見てみたかったのでした。

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フンボルト・ボックスの横から敷地内に入ると、仮説の通路に沿って歩けるようになっています。特設ステージで演奏されるビックバンドの音楽が鳴り響く中、先へと行ってみました。

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共和国宮殿の時代のものか、鉄骨の残骸が生々しい形で置かれていたりもします。写真を撮っていたら、隣から「何だかアート作品みたいね」という声が聞こえてきました(笑)。

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一番奥に人だかりができています。何が置かれているのでしょうか?

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これこそが王宮の礎石。重さ2.5トンのこの石は、バンベルクの工房が1950年に破壊された王宮の第4門の破片を組み込んで作ったものだそうです。多くの人がこの前で記念撮影をしていました。

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その翌日、別の用事があってフンボルト・ボックスに上ったのですが、昨日歩いた道は消え去り、もう何事もなかったように工事が再開されていました。

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奥に見える建物の正面ファサードこそ、旧王宮の第4門です。1950年に東独政府は王宮を爆破したわけですが、この第4門はカール・リープクネヒトがドイツ社会主義共和国の宣言をした場所ということで、国家評議会の建物に組み込んだのです。先ほどの礎石に第4門の破片が混ざっているのも、表面の「1443 - 2013」の文字も、「王宮再建」の象徴的な意味が込められてのことでした。

共和国宮殿の解体と王宮の再建を巡ってはいまも賛否両論分かれているほどですが、ここまで来たらもう引き返すことはできないでしょう。王宮広場がいよいよ本格的に動き出しました。


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ベルリン王宮の再建始まる=巨費に批判も-ドイツ
 【ベルリン時事】ドイツのベルリン中心部で12日、第2次大戦中に連合軍の空爆を受けて廃虚となり、その後、旧東独政府が破壊したベルリン王宮の再建工事が始まった。2019年完成の予定で、博物館や大学施設として利用する。
 旧王宮は15世紀半ばに一部が建立され、18世紀初めにほぼ完成。大戦中の空爆で炎上し、修復は可能だったが、王宮を「軍国主義の象徴」とする旧東独政府が1950年に爆破した。
 旧東独は76年、跡地に人民議会の議場のほか、コンサートホールやボウリング場などの娯楽施設を備える「共和国宮殿」を建設した。しかし、90年のドイツ統一直前、大量のアスベスト(石綿)の使用が判明して閉鎖され、2008年に解体した。
 横120メートル、縦200メートルの巨大な新王宮の建設費は5億9000万ユーロ(約760億円)。欧州が債務危機に直面する中、巨額な費用に批判の声も上がっており、シュテルン誌の世論調査では、再建に反対との回答は65%で、賛成の30%を大幅に上回った。(2013/06/13-07:38)
by berlinHbf | 2013-07-11 15:07 | ベルリン発掘(東) | Comments(1)

ホテル・ボゴタ終焉の危機

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ホテル・ボゴタの重厚なロビー (2013-03)

現在、ベルリン西地区の目抜き通り「クーダム」ことクアフュルステンダムを歩いていると、周辺一帯が急激な変化の渦中にあるのを実感します。昨年、ツォー駅近くに高層ビルが完成し、5つ星ホテル「ヴァルドルフ・アストリア」が開業。また5月にはウーラント通り駅前に欧州最大規模の「アップルストア」がオープンし、話題を呼びました。しかし、急激な資本の流入による街の変化には、必ず影の側面が伴います。「ホテル・ボゴタ」廃業危機のニュースは、このホテルのファンだけでなく、少なからぬ市民にも衝撃を与えました。

クーダムから一歩入ったシュリューター通りにあるホテル・ボゴタは、1964年から3世代にわたって家族で営まれている瀟洒なホテル。単に歴史ある宿というだけではなく、戦前は若き日のヘルムート・ニュートンがこの中のアトリエで修行を積み、戦後直後は非ナチ化審議の舞台として指揮者フルトヴェングラーがこの場に立つなど、ベルリンのいくつもの歴史を物語る場所です。私自身、このホテルに初めて入ったとき、重厚なロビーの雰囲気だけで圧倒されたのを覚えています。

関連記事:
橋口譲二さんが案内するホテル・ボゴタ (2010-01-27)

しかし、5月頭に地元紙が報じた内容によると、「宿泊費は20年前と変わらないが、建物の家賃は年々上がる一方」(支配人のヨハヒム・リスマン氏)という状況や、近年のホテル間の競争の激化による予約数の減少などから、数カ月前からホテル側が家賃支払い不能に陥り、建物の所有主から10月下旬の退去通告を命じられているとのこと。所有主の意向では、改装の後、オフィスや商店が入居する予定といいます。

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中庭空間に展示中の末宗美香子さんの作品

地元紙、特にターゲスシュピーゲル紙が繰り返し報道した反響は大きく、公開討論の場が設けられ、廃業阻止のための署名活動も起こっています。このホテルが地元の人々にも愛されてきたのは、開かれた文化の場という側面があってのこと。芸術に造詣の深いリスマン氏の意向で地上階は写真展示の場になっており、朗読会やジャズのコンサートも定期的に開かれています。現在、吹き抜けの中庭を彩っているのは、日本人作家の末宗美香子さんの作品。宿泊客でなくても、見学はいつでも可能です。

厳しい状況ではあるものの、まだ100%廃業が決定したわけではありません。ベルリンに来られる際は、ぜひ一度ホテル・ボゴタにお泊まりになってはいかがでしょう。豪華ホテルではありませんが、旅の記憶にきっと残る愛すべき宿です。クーダムからまた1つ、文化の灯火が消えないことを願いつつ……。www.bogota.de
ドイツニュースダイジェスト 7月5日)

関連リンクをいくつかご紹介します:

HOTEL BOGOTA署名活動のサイト(日本からでもご参加できます。もしよろしかったらご協力ください)
https://www.openpetition.de/petition/online/das-hotel-bogota-soll-leben

橋口便り(写真家橋口譲二さんのHP)
http://www.apocc.org/hashiguchi-berlindiary.htm

BZ
Traditions-Hotel Bogota steht vor dem Aus (2013-05-04)

Berliner Zeitung
HOTEL BOGOTÁ: Rabatz im Kiez des alten und des neuen Geldes (2013-06-17)

Der Tagesspiegel
Bogota darf nicht sterben! (2013-06-03)
Berlin ist nicht Bogota (2013-06-08)
Vom Hotel Bogota zur East Side Gallery: Das einmalige Berlin verschwindet (2013-06-09)
Hotel Bogota vor dem Aus: Jetzt will der Bezirksbürgermeister vermitteln (2013-06-21)
Gutachter warnt vor größeren Umbauten im Hotel Bogota (2013-06-26)
by berlinHbf | 2013-07-06 13:20 | ベルリンのいま | Comments(6)

ブレヒトの「イエスマン」と「ノーマン」

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「イエスマン」の舞台から。魁人君が「特にハラハラした」と語るシーン ©Paul Green

現在、シャルロッテンブルク地区のシラー劇場で公演を行うベルリン国立歌劇場では、上演が極めて稀な作品に出会えることがあります。5月末、劇場横のヴェルクシュタットという小規模の会場で行われた「イエスマン」と「ノーマン」も、まさにそんな体験でした。

1930年、劇作家のベルトルト・ブレヒトは作曲家のクルト・ヴァイルと共同で、日本の能「谷行」をもとにした「イエスマン(Der Jasager)」を作ります。「教育オペラ」として構想されたこの作品は同年6月、ベルリン・ノイケルン地区のギムナジウムで上演されました。

ある教師が、生徒たちと共に危険な峰越えの旅をすることになります。生徒の中に母子家庭の少年がいて、母親の病気を治す薬を手に入れるため、同行を志願。しかし、山越えの途中で少年が病気で動けなくなると、教師は少年に「このような旅で病気になった者は、谷に投げ込まれなければならない」という習わしを説き、「イエス」か「ノー」かという究極の選択を迫るのです……。

幕が開くと、全員お面とピンク色の衣装をまとった若い男女が、諧謔味(かいぎゃくみ)のあるヴァイルの音楽に乗って現れ、30分程の短いオペラが始まりました(演奏はベルリン・シュターツカペレのメンバー)。

大人の歌手に混じって少年役を演じたのは、木下魁人(かいと)君(11歳)。国立歌劇場の合唱団に所属する日本人の両親を持つ魁人君は、現在ギムナジウムに通いながら、同歌劇場少年合唱団のメンバーとしても活躍中です。「トスカ」の羊飼いの少年役など、すでにいくつものオペラで舞台経験を重ねているだけに、歌唱ぶりは堂に入ったもの。難易度の高い20世紀のドイツ語オペラを暗譜で歌うだけでも大変なのに、弟子たちの肩の上を歩くアクロバティックなシーンまでこなし、谷に落とされる直前では緊迫した演技を見せました。

残酷な結末であることや、谷に落とされる理由が原作とブレヒト作とでは異なることから、初演を観た生徒たちの間で疑問や討論がわき起こり、ブレヒトはその後、結末を変更した「ノーマン(Der Neinsager)」を新たに作りました。彼は2作続けて上演されることを望んだものの、結局ヴァイルがそれに曲を付けることはありませんでした。

この日の舞台を興味深いものにしたのは、休憩の後、1990年になって東独出身の作曲家ライナー・ブレーデマイヤーがブレヒトの原作に曲を付けた「ノーマン」が上演されたことでした。こちらも魁人君が少年役を務め、話の展開はほぼ同じ。しかし最後、少年は新しい認識を示し、助けられるのです。

喝采に包まれた終演後、魁人君に感想を聞いてみました。「歌詞は自然に覚えられたけれど、最初の作品はボーイソプラノ、次はアルトと声の高さが違うので、続けて歌うのは大変でした。3月からリハーサルが始まり、今日が最後の舞台。終わってしまって寂しいです」。

ちなみに、「イエスマン」は1932年に日本でも初演されていますが、このとき少年役を歌ったのは、後に国民的歌手となる藤山一郎さんでした。
ドイツニュースダイジェスト 6月21日)
by berlinHbf | 2013-07-01 22:53 | ベルリン文化生活 | Comments(0)

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