ベルリン-東と西が出会う場所。ドイツにありながらドイツではない町。歴史の影に彩られた栄光と悲運の世界都市。そんなベルリンの奥深い魅力をリアルタイムでお届けするブログです。Since 1. August 2005


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中村真人 (Masato)
神奈川県横須賀市生まれ。早稲田大学第一文学部を卒業後、2000年よりベルリン在住。ベルリンの映像制作会社勤務を経て、現在はフリーのライター、ジャーナリスト。


ベルリンガイドブック
「素顔のベルリン」増補改訂版
¥1,680
ダイヤモンド社
(Amazon、全国各書店にて発売中)

本書は2009年10月発行「素顔のベルリン」の増補改訂版です。2013年に改めて新規取材を行い、データを更新。レストランやショッピング、コラムなどのページも増量し、より充実したガイドブックに生まれ変わりました。

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『街歩きのドイツ語 』
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豊富なビジュアルとドイツ語フレーズを楽しめる1冊。基本のあいさつ表現から、街にまつわるドイツ語豆知識まで、ガイドブックとともに旅に役立つ会話集です。




『素顔のベルリン 過去と未来が交錯する12のエリアガイド 』
¥1,575
ダイヤモンド社
(2009年発売)

地球の歩き方シリーズ初、待望のベルリンガイドブック誕生!比類なき歴史を抱えつつ、明日へ向かって日々進化し続ける首都ベルリン。「ドイツで最もドイツらしくない」といわれるこの町の知られざる魅力を、現地在住著者が12のエリアにわけて徹底紹介。


現在のトップ画像は、ベルリン在住のイラストレーター、高田美穂子さんによるオリジナル作品です(詳しくはこちらより)

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震災孤児のためのチャリティーコンサート

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1月30日に行われたチャリティーコンサートで、見事な演奏を披露したピアノトリオ“Take 3”

2011年3月の東日本大震災では、東北地方で240人の子どもが両親を、1400人弱の子どもが片方の親を亡くしました。昨年秋、このような震災孤児を支援するNPO法人“KIBOU”がベルリンに発足。1月末、この法人が主宰するチャリティーコンサートに足を運ぶ機会がありました。

この夜登場したのは、エーブン・ユー(ピアノ)、ユージン・ナカムラ(ヴァイオリン)、ノルベルト・アンガー(チェロ)の若手3人からなるピアノトリオ“Take 3”。メインに選ばれたベートーヴェンのピアノトリオ《幽霊》の2楽章が始まると、みるみるうちに照明が落とされ、舞台中央でほのかに灯されたロウソクが、作品名にふさわしい幽玄な雰囲気を作り出しました。このユニークな演出の後、フィナーレでは一転して、音楽家たちが体を揺さぶりながらのエネルギッシュな演奏を披露。客席を埋めた聴衆からは、盛大な拍手が送られました。

“KIBOU”を主宰するベルリン在住の柏木博子さんに、話を伺いました。柏木さんはデュッセルドルフのドイチェ・オーパー・アム・ラインなど、長年ドイツのオペラ劇場で活躍したソプラノ歌手。震災によってこれだけ多くの孤児が生まれたことに衝撃を受け、また昨年春初めて被災地を訪れた際に案内してくれた地元の記者が、涙ながらに現状を伝える姿を前に「何かしなければ」と思ったそうです。

そんなとき、柏木さんは「子どもの村東北」が仙台市に作られる計画を耳にします。「子どもの村」とは、親を亡くしたり、事情があって実の親と暮らせない子どもたちを、孤児院のように集団で養育するのではなく、「村」の敷地の中で里親やほかの子どもたち数人と共同で生活させることで、家庭に近い環境で育てるというもの。もともとSOS-Kinderdorfとして第2次世界大戦後のオーストリアで誕生し、現在は世界133カ国で活動しています。

「以前ドイツの『子どもの村』を支援していたこともあり、これは素晴らしいアイデアだと思いました。設立資金の援助をしたい気持ちと、若手の音楽家に演奏の場を提供したいというかねてからの想いが結び付いて、NPO法人にしようと決意したんです」(柏木さん)

ドイツでNPOを作るには煩雑な手続きが必要とされますが、専門知識を持つ友人の助けにより、わずか1カ月の準備期間で設立。活動の趣旨に共感したベルリン・フィルやシュターツカペレのメンバーをはじめとする優秀な音楽家が、無償で演奏を引き受けてくれることになりました。

「ギブ・アンド・テイクの関係を大事に、来てくださる方に募金をお願いするだけでなく、音楽的にも質の高いものを提供したかった。多くの方々の支援でここまでくることができましたが、目的は『子どもの村』を作ることだけではなく、その先にもあります。今後も継続してコンサートを開催していきたいと思います」と語る柏木さん。

震災2周年直前の3月6日(水)、ポツダム広場近くのマタイ教会(St. Matthäus-Kirche)で行われるコンサートでは、ベルリン・フィルの若手メンバーからなるカルテットがシューベルトの「死と乙女」などを演奏。また、仙台の河北新報の提供により、被災地の今を伝える写真パネルが会場に展示される予定です。詳細はwww.fk-kibou.orgより。
ドイツニュースダイジェスト 3月1日)
by berlinHbf | 2013-02-28 12:07 | ドイツから見た日本 | Comments(2)

NHK「テレビでドイツ語」2013年3月号 - タリン -

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NHK「テレビでドイツ語」のテキストに昨年4月から連載させていただいた「ハンザ都市を巡る」の連載が、一応の最終回を迎えました。今回訪れたのは、エストニアのタリン。振り返ってみると、当初の想像以上に地理的に大きな広がりを持った旅となりました。ハンブルク、リューベック、ブレーメン、ロストック、リューネブルク、ヴィスマール、ブルージュ(ベルギー)、ゴスラー、グダニスク(ポーランド)、そしてハンザ都市の最北端に位置するタリン。

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トーンペアの丘からのタリン旧市街の眺め

こうして都市名を並べてみるだけでも、いろいろな記憶が蘇ってきます。新旧の港の風景が印象深いハンブルク。華やかさと哀愁が同居したリューベックの破風屋根。ロストックの船乗りの酒場で出会った3人組にビールをご馳走になったこと。リューネブルクの「新ハンザ同盟」の祭りの賑わい。ブルージュの旧市街で何度も聴いたカリヨンの調べ。山間の町ゴスラーの清涼な空気。夜の10時半に駅に着いたものの、ホテルの場所を勘違いし、路頭に迷ったグダニスク。その美しさに改めて感動し、旧市街の路地を夢中で歩き続けたタリン・・・

海外取材まで実現できたのは、ハンザ都市の歴史的意義を理解してくださったNHK出版のスタッフの方々あってのことで、細かなサポートと共に、心よりお礼を申し上げます。原稿料をいただいて旅行記を書くのは、小学生のときに宮脇俊三さんの旅行記に出会って以来、漠然と抱いていた夢でもあったので、毎回楽しく貴重な経験をさせていただきました。限られた紙面ゆえ、原稿をいかに削るか毎回格闘していましたが、それもまたいい勉強でした。

「一応の最終回」と書いたのは、訪れてみたいハンザ都市がまだいくつもあるからです。例えば、北ドイツのシュトラールズント、ハンザ同盟の在外商館があったベルゲン(ノルウェー)、ノヴゴロド(ロシア)、ゴトランド島のヴィスビー(スウェーデン)などなど。今後も旅と調査を続けて、いつか1冊の形にまとめられたらと願っています。

1年間お付き合いいただき、どうもありがとうございました。
by berlinHbf | 2013-02-26 22:31 | ドイツ語関連 | Comments(0)

驚きのトンネル強盗事件の行方は?

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銀行強盗に使われたトンネルの様子を地元紙が初公開。容疑者の顔写真も

つい先日、新聞に地下トンネルらしき写真が大きく掲載されました。厚さ50センチはありそうなコンクリートの壁をくり抜いた穴の向こうに、トンネルが奥へと続いています。天井を木の柱で補強するなど本格的な造り。一見して、素人が簡単に真似できるようなものではないことがわかります。

実はこれ、ベルリンのシュテーグリッツ地区で先月起きた銀行強盗に使われたトンネルなのです。犯人はフォルクス銀行の反対側の通りにある地下駐車場のスペースを偽名で借り、そこから45メートルもの長さを掘って、銀行の地下金庫室に到達したというのですから驚くほかありません。

犯行は1月14日の未明に実行され、早朝に付近住民が駐車場の煙に気付き、消防署に通報したことで事件が明るみになりました。犯人は痕跡を消すために火を放ったのですが、その時すでに(1600のうち309の)貸金庫を荒らして逃亡。被害額は明らかにされていません。

この駐車場は他の駐車スペースが見えにくい構造になっており、犯人は土木作業員を装っていたといいます。しかし、これほど大掛かりな採掘作業が数ヶ月に渡って行われていたにも関わらず、誰も気付かなかったというのは実に不思議。

ベルリンの地下トンネルというと、壁のあった時代、東から西への逃亡のために掘られたものが有名で、映画化もされています。そんなまさに「映画のような」今回の銀行強盗劇。トンネルの天井の柱を支えるために使われた木の補強材が、ドイツでは売られていないタイプのため、警察は犯人の来歴を含め調査を続けています。果たして犯人は捕まるのか。ベルリンの人々も驚くやら呆れるやらで、事件の行方を見守っています。
はまかぜ新聞 2月8日)


あれから1ヶ月半が経ちますが、2月頭に「現場に残された犯人のDNAが有力な手がかりに」というニュースが報じられて以来、目立った動きは見られません。トンネル事件解決の「出口」が早く見えることを願いたいです。

関連記事:
隠しトンネル、銀行強奪 ベルリン 数カ月かけ掘り痕跡残さず逃走(SankeiBiz)
by berlinHbf | 2013-02-25 23:57 | ベルリンのいま | Comments(8)

ショスタコーヴィチとの2日間

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Philharmonie Kammermusiksaalのゲネプロより

あれから早1週間が経ってしまいましたが、私にとってはやはり大きなイベントだった、フィルハーモニー室内楽ホールでの本番のことを書いておきたいと思います。2月15日のコンサートは、昨年よりもお客さんがたくさん来てくださり、(舞台後方の席はともかく)舞台から見た前方と左右両側は、かなり埋まっていました。

さて、そんな感じで本番が始まったのですが、並笛(一般のフルート)で臨んだ冒頭のリストの《死の舞踏》。どうも唇が楽器の歌口にベストポジションに当たっていない感じが続き、個人的にはやや不本意な出来となってしまいました。その前の教会と違って、ご存知のようにフィルハーモニーは、舞台の全方向が客席に囲まれているので、客席を意識し出してしまうと、どんどんナーバスになってきてしまう・・・。続く新作ではアルトフルートのソロが1箇所あるのですが、今まで1回のブレスで吹けていたのに、変なところで余分に息継ぎをしてしまいこちらも反省。「音楽にとって絶対的に大事なのは呼吸」と先日聞いた対談で鈴木雅明さんもおっしゃっていましたが、体が硬直してしまうと、呼吸も自然にできなくなってしまうのですね。

そんな感じで個人的には少し残念な結果だったのですが、ハンス・アイスラー音大で学んだスイス人ピアニストBeatrice Berrutさんの演奏は素晴らしかったし、オケのメンバーであり、映画音楽の分野ですでに活躍しているHector Marroquinさんのソプラノとオーケストラのための新作も、上々の評判でした。

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後半のショスタコーヴィチの交響曲第12番。こんな曲を自分で演奏することなど最後だろうという思いで吹きました。この交響曲は第1楽章が規模・技術からいって一番難しい。ピッコロはいままでいろいろな曲を吹いてきましたが、これほど激しく細かく動き回る上、High CやHが多く出てくる曲は初めてです。1917年のロシア革命を描いているだけあって、「壮絶」「絶叫」という表現を使いたくなる箇所が多い一方で、突如不気味なまでの静寂が訪れる瞬間があり、2楽章の「ラズリーフ」など、人の気配が皆無の極北の場所に連れて行かれたような趣さえあります。このコントラスがショスタコーヴィチを味わう醍醐味のひとつなのかもしません。変拍子のリズムが特徴的な3楽章の「アヴローラ」の後半、ついに10月革命の火ぶたが切られ、われわれも白熱したまま「人類の夜明け」と題されたフィナーレへとなだれ込んでいきました。

アマチュアゆえの稚拙な部分はありましたが、オーケストラも指揮者のAntoine(最近ハンス・アイスラー音大の指揮科を卒業したばかり)も、そして私も(笑)、持てる力を出し切れたのではないかと思います。たくさんの拍手をいただいた上、友人・知人も結構来てくれて、まあとにかく格別な夜でした。

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演奏会後の打ち上げもあって、まだ興奮覚めやらない翌日、今度はコンツェルトハウスへ。ちょうどコンツェルトハウスで開催中の「ロシア・フェスティバル」の一環で、ショスタコーヴィチの交響曲第13番が取り上げられたのです。第12番と第13番は、ショスタコーヴィチの交響曲の中で唯一作品番号が連続している2曲で、どちらも演奏される機会が極めて稀。それを2日続けて聴けるのも何かの縁かと思い、足を運んだのでした。

キタエンコ指揮のオーケストラの演奏が始まってすぐに、渋く濃い色合いのオーケストラの響きに魅せられました。暗みがかった世界がすっと体に入ってくる感じ。さすが東のオーケストラというべきか、ベルリン・フィルが演奏してもおそらくこういう音にはならないでしょう。プラハ・フィルの男性合唱団がまた、この感情の振幅の激しい音楽を見事に歌い上げていました。ウクライナのバビ・ヤールのユダヤ人虐殺や反ユダヤ主義を描いた重苦しい第1楽章、第2楽章「ユーモア」の圧倒的な迫力。スターリン時代の恐怖政治を描いた第4楽章で、暗闇の中をもがいているような感覚を味わっているうち、ふっと光が差し込んできたようなフルートの2重奏から、最終楽章へと入ります。自分が中に入って体験した第12番の壮絶な世界から、1つの連作という形でここまでたどり着いたような気がしました。ショスタコーヴィチの作品に対してさらに愛着が深まり、機会があれば自分でもまた演奏したいと強く思った、今回の音楽体験でした。

KONZERTHAUSORCHESTER BERLIN
PRAGER PHILHARMONISCHER CHOR (Männer)
DMITRIJ KITAJENKO
ARUTJUN KOTCHINIAN Bass

Nikolai Rimski-Korsakow
"Die Sage von der unsichtbaren Stadt Kitesch" - Suite aus der Oper
Modest Mussorgsky
"Lieder und Tänze des Todes", für Bass und Orchester bearbeitet von Edison Denissow
Dmitri Schostakowitsch
Sinfonie Nr. 13 b-Moll op. 113 für Bass, Männerchor und Orchester (nach Gedichten von Jewgeni Jewtuschenko)
by berlinHbf | 2013-02-23 16:45 | ベルリン音楽日記 | Comments(2)

パノラマで体感する「ベルリンの壁」

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パノラマ館の外観。展示期間は2013年末までの予定

かつて東西の国境検問所があったチェックポイント・チャーリーの跡地は、年間を通して多くの観光客が訪れる場所。昨年秋からここで、ベルリンの壁をテーマにしたパノラマ展「Die Mauer(壁)」が開催され、話題を呼んでいます。

制作したのは建築家でアーティストのヤデガール・アッシジ。アッシジといえば、一昨年秋にペルガモン博物館の前で行われた特別展「ペルガモン―古代首都のパノラマ」を当レポートでご紹介していますが(そのときの記事はこちら)、あのときと同じく、ガスタンクを思わせる高さ18メートルの円柱の塔が会場です。

暗闇の中を入っていくと、J・F・ケネディーやヴァルター・ウルブリヒトといった冷戦時代の政治家たちの有名な演説が聞こえてきます。そして徐々に明るくなり、目の前に壁の風景が現れました。1980年代のクロイツベルク地区、ゼバスティアン通りとルッカウアー通りの角にある架空の工事現場から東ベルリンを眺めているという設定です。

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高さ15メートル、幅60メートルのサイズで再現されたパノラマ
© asisi


雲が重くたれ込める秋の日、左側のアパートのすぐ目の前にまで立ちはだかっている壁。グラフィティーを描く人や記念撮影をする観光客の姿が見え、その向こう側には東側の広大な緩衝地帯が広がります。人の気配がほとんど感じられない中、監視塔の国境警備兵が双眼鏡でこちら側を覗き、緩衝地帯に取り残された1軒のアパートには人影が。自分の意志では決して来られない西側を目の前にして、あの人は一体どんな思いで「こちら」を眺めているのか……。

原寸大で再現された風景だけに、そのリアル感は相当なもの。しかし、写真で知る当時の風景とは微妙に違うことに気付きました。アッシジの説明によると、「当時の生活の表情をできるだけ多く見せるため、歴史的に完全な形で再現することにはこだわらなかった」。パノラマの左側半分が実際の風景を忠実に再現しているのに対し、右側半分は視界の邪魔になる建物を取り除き、代わりに当時この地区で一般的に見られた不法占拠のアパートを置くなど工夫。パンクスや街角のインビスなど、細かいディテールまで観察のし甲斐がありました。

壁があった時代の日常。それは、現在のベルリンの姿しか知らない人にとってはあまりに異常な風景です。しかし80年代当時、このパノラマで描かれた界隈に実際に住んでいたアッシジは語ります。「当時は壁のある生活が当たり前で、人間はあんな状況にも慣れてしまうものだ。でも、いつどこでそれが再び起こらないとは限らない」。

現在のチェックポイント・チャーリーはすっかり観光地化しているため、少しでも壁があった時代の空気を感じてみたいという方にお勧めのスポットです。

Die Mauerのオープン:毎日10:00~18:00
入場料:10ユーロ(割引8,5ユーロ)
www.asisi.de
ドイツニュースダイジェスト 2月15日)


関連記事:
ヴァルデマー通りの壁 - 天使の降りた場所(19) - (2007-02-01)
(ゼバスティアン通りとルッカウアー通りの角の風景。2006年に撮った写真ですが、あれから新しいアパートがどんどん建ち並び、壁跡としての面影はほとんどなくなってしまいました)
by berlinHbf | 2013-02-15 00:53 | ベルリン発掘(境界) | Comments(3)

ベルリンで楽しむアマチュアオーケストラ

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Erlöserkirche Potsdam (2012-07)

1年半ぐらい前から、再びアマチュアのオーケストラでフルートを吹いています。ベルリン自由大学より援助を受けているJunges Orchester der FUというオーケストラ。学生オケの部類に入るのかもしれませんが、年齢制限のようなものはないので、私を含めて「元学生」の人もかなり混じっています(笑)。

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リハーサルは、学期期間中の毎週日曜日の夜に3時間。本番のコンサートは、基本的に2月と7月の年2回です。去年2月の本番では、チャイコフスキーの交響曲第5番、メンデルスゾーンの《フィンガルの洞窟》とヴァイオリン協奏曲を演奏しました(これがそのときの様子。フィルハーモニーの室内楽ホールが会場)。個人的には、大好きなメンデルスゾーンの2作品を演奏できたことが何よりうれしかったです。

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去年7月のコンサートは、リムスキー=コルサコフの《シェラザード》がメインの演目でした。このときはピッコロを吹いたのですが、いくつかの難所も含めて、大変やり甲斐のある作品でした。これはクロイツベルクのエマウス教会での本番の様子。

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練習は週1回とはいえ、仕事をしながら毎週参加するのは、ときに負担に感じることもあります。それでもなかなかやめられないのは、やはり楽しいからなのでしょう。1つの作品に、半年近く浸れるのはアマチュアの1つの特権(?)というべきか、それが名作の場合、喜びはさらに高まります(プロの場合は、大抵数回のリハでもう本番ですからね)。今回のメインの曲は、ショスタコーヴィチの交響曲第12番というかなり珍しい曲。一般的にショスタコの中ではあまり世評の高い作品ではないのですが、やはり何ヶ月も付き合うと、自然と愛着が沸いてきます。CDを通して聴いただけではわからないであろう、リズムの面白さや細部への発見があったり、全曲を通して吹いたときのエネルギーの放出感を体で感じたりなど。

あともう一つ、アマチュアオケの中で演奏してみると、それを通してその国の社会が見えてきます。と言うとちょっと大げさですが、少なくとも人と人との関係性が見えてくるというのはありますね。例えば、リハーサルの様子を見ていると、彼らがどういう学校教育を受けてきたか、授業がどんな雰囲気で行われているのか、ということが何となく伝わってくる。とにかく、日本の学生オケとは全然違います。日本だと、指揮者やトレーナーの方が立場が上で、静かに、ありがたくお話を拝聴するというムードがありますが、こちらでは指揮者(それがベテランだろうが、学生指揮者だろうが)とオーケストラは基本的に対等の関係で向かい合っているように思います。だから、指揮者が指示を出しても、そこで自然とやり取りが生まれるし、「どうして?」と理由を問うときもある。それはもちろん、彼らが学校や家庭でそういう教育を受けてきたからでしょう。

まあその一方で、日本の「真面目な」世界からやって来た者としては、「忍耐力がないなあ」と感じることもしばしば。プローベ中なのに、休みの小節が長いと本やレポートを読み出したり、時には後ろからハリボのグミが回ってきたり(笑)。これが日本だったら、血相を変えて怒ったり、注意したりする先輩がいるでしょうが、そういう人もいないので、私もまあそういうものかと思うようにしています(笑)。こういう環境で、授業をする学校の先生は大変だろうなと想像したり・・・。

でも、音楽の楽しみ方が自然でいいなあと感じることも多いです。例えば、ベルリン・フィルのライブを観ていると、エマニュエル・パユとアルブレヒト・マイヤーが演奏中なのに向かい合って、冗談めかした仕草をするときがありますが、アマチュアでもそういう「遊び」が自然と起こる(日本だったら、こういうところでも血相を変えて怒る先輩がきっといますが)。あと、日本が初めて出場した1998年のワールドカップフランス大会で、日本代表が本選の直前にフランスのアマチュアチームと練習試合をした際、「フランス代表より全然下手なのに、パスの回し方は(フランス代表と)同じだった」というようなことを日本の選手が言ったそうですが、それと同じようなことは音楽にも当てはまるように感じます。

私にとっては、音楽を通して得られる、とても面白い異文化理解の場といえるかもしれません。

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今回私にとってちょっと特別なのが、1回のコンサートで3種類のフルートを吹くこと。リストでは並笛を、新作ではアルトフルートを、ショスタコーヴィチではピッコロを吹きます。こんなことは初めてなので、ちょっとドキドキしています。

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アマチュアの演奏ですので、積極的にお誘いすることもできないのですが^^;)、もしご興味がありましたら、足をお運びいただけると幸いです。10日(日)がクロイツベルクのエマウス教会、15日(金)がフィルハーモニーの室内楽ホールで行われます。

Konzerte im Wintersemester 2012-13
Sonntag 10.02.2013 16:00
Emmauskirche, Lausitzer Platz (U Görlitzer Bhf)

Freitag 15.02.2013 20:00
Kammermusiksaal der Philharmonie

Programm:
Franz Liszt
Totentanz für Klavier und Orchester

Hector Marroquin
El Enemigo für Sopran und Orchester (Uraufführung)

Dmitri Schostakowitsch
12. Symphonie "Das Jahr 1917"

Junges Orchester der FU - Berlin
Künstl. Leitung - Antoine Rebstein
Klavier - Beatrice Berrut
Sopran - Julia Baumeister

Eintritt:
Kammermusiksaal: 15 / 12 / 8 €
Emmauskirche: 10 €
by berlinHbf | 2013-02-09 00:52 | ベルリン音楽日記 | Comments(6)

発掘の散歩術(31) - クロイツベルクの夜は長い -

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バー「ヴェンデル」の内装。グラフィティのような壁絵が目を引く

現在私が住んでいるのは、ヴィルマースドルフという西側の地区。地下鉄の駅やスーパーマーケットが近くにあり、生活する上では便利な住宅街なのだが、ときどきふと6年間住んだクロイツベルクの、特に夜の雰囲気が懐かしくなる。

氷点下に冷え込んだ週末の夜、家でぬくぬく過ごすのも悪くないとは思いつつ、それでも敢えて重装備をして地下鉄に飛び乗った。

地下鉄U1のシュレジア門駅(Schlesisches Tor)。ベルリンがまだ市壁によって囲まれていた時代、ここにシュレジア地方(現在はポーランド領)に続く門が建っていたことからこの地名が残っている。元々労働者街として発達し、壁があった1980年代までは西ベルリンの最東端に位置したことから、場末の雰囲気を漂わせた、うら寂しい街だったと聞く。

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シュレージッシェ通りの巨大グラフィティ(2011年)。どうやって描いたのだろう?

ユーゲント・シュティールの美しい装飾が残るシュレジア門駅を出て、現在はカフェやバー、クラブが多いことで知られるシュレージッシェ通りを歩いてみた。トルコ系のケバブ屋が2軒、競うように並ぶ先に行くと、インド料理屋、ピンク色の妖しい照明が目を引くバー、バックパッカー用の安宿など、店の種類は多彩で不揃いだ。馴染みだったカフェがいつの間にかベトナム料理店に変わるなど、入れ替わりもちらほら目に付いた。

“Zur fetten Ecke”(ふとっちょの角)という店の横を通る。いわゆるEckkneipe(角の飲み屋)と呼ばれる、クロイツベルク地区に典型的な造りの飲み屋で、まるで1970年代のヒットソング『クロイツベルクの夜(Kreuzberger Nächte)』に登場しそうな店である。大いに惹かれたが、中を覗くと煙草の煙が漂っていたので、残念ながらパス。

結局この夜は、駅の近くのバー「ヴェンデル」で飲んだ。鉄骨がむき出しの天井、半分グラフィティのようにも見える壁絵、ソファもテーブルも統一感がないのだが、それでも居心地がいいと感じられるから不思議だ。入り口に近い席しか空いていなかったので、煙草を吸う人が外に出入りする度に、寒い風がビュービュー入ってくる。奥ではDJがレコードを回し始めた。

お酒が飲めないので、普段こういう場所にはめったに連れて来ない妻だが、「大音量で音楽がかかって、人もこんなにいるのに、この騒がしさには嫌な感じがない。酒に任せ、溺れることがないというか、地に足を付けて飲む様子が大人という感じね」と会社員時代に日本の居酒屋で感じたことと比べて、こんな感想を口にした。

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入り口の前には、煙草を吸う人の姿が。クロイツベルクでも禁煙の店が増えてきた

数日後、シュレジア門駅の近くに10年以上住む友人のホルガーに、この界隈の魅力を聞いてみた。「そうだねえ。このキーツのいいところは、インターナショナルで家賃が安いところかなあ。でも、最近は観光客が増えて、家賃も上がる一方だし、もう少し静かなエリアに引っ越していいかなとも時々思うよ」との答え。

時代や人の流れに逆らえないのはこのエリアも例外ではないが、そこに集う人がいる限り、クロイツベルクの夜は続くのだ。
ドイツニュースダイジェスト 2月1日)


Information
ヴェンデル
Wendel


シュレジア門駅近くのバー。アートスペースとしても力を入れており、地元のアーティストによる内部展示は定期的に変わる。月曜はジャズやヒップホップ、週末はDJが音楽を彩る(詳細は下記HP参照)。ドリンクの種類は豊富かつ安価で、ビールも含めオーガニックドリンクが多いのが嬉しいところ。簡単な軽食も用意されている。

オープン: 月~金16:00~、土日14:00~
住所: Schlesische Str. 42, 10997 Berlin
電話番号: 030-6107 4029
URL: www.wendel.nstp.de


チャレット
Chalet


少し前までHeinz Minkiという名で知られていたお店を、昨年夏、伝説な“Bar25”のクルーが新しいクラブとしてオープンさせた。1859年に税関として造られた煉瓦の建物 は、1800年頃をイメージした内装に模様替えされ、サロンの雰囲気を併せ持つ。音楽は主にテクノだが、ジャンルを限定せず年齢層も多様とか。背後には大きな庭があり、夏はビアガーデンの雰囲気も楽しめる。

オープン: 木金土の夜(詳細は下記HP参照)
住所: Vordem Schlesischen Tor 3, 10997 Berlin
電話番号: 030-6107 4029
URL: www.chalet-berlin.de


関連記事(長野順二さんによる回想録):
クロイツベルク回想録1988-89(4) - パンクたち - (2009-10-29)
by berlinHbf | 2013-02-06 12:28 | ベルリン発掘(西) | Comments(0)

『音遊人』2013年3月号「ウィーン特集」

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ヤマハの会員誌『音遊人』の3月号が刊行されました。昨年は6月号のドイツ特集でお世話になりましたが、今回の特集は「ウィーン 音楽に向かう旅」。実は昨年11月、ニコラウス・アーノンクール指揮によるモーツァルトのコンサートを聴きたくて、ウィーン行きの手配をした直後に、『音遊人』より執筆と取材同行の依頼をいただいたのでした。これもご縁かと思い、エッセーでは「ウィーンとモーツァルト」というテーマで、自分と音楽との出会いと絡めて書かせていただきました。

ヤマハが伝統を引き継ぐウィンナホルンやベーゼンドルファーの工房訪問、パウル・バドゥラ=スコダのインタビュー、ウィーン国立バレエのコペティートア滝澤志野さんの話など、内容は豊富です(村川荘兵衛さんによる写真は今回も素敵)。「ウィーンとモーツァルト」といえば、私の脳裏に浮かぶのがフリードリ・グルダ。彼の弾くモーツァルトは昔から大好きでした。その奥様の祐子グルダさんが「楽都の現在を彩る2人のアーティスト」という寄稿を寄せられています。

ヤマハフィーリングクラブ向けの会員誌ですが、ヤマハ特約店の書籍売り場にも置かれているとのこと。よかったら一読いただけると幸いです。
by berlinHbf | 2013-02-01 11:42 | 欧州を感じる旅 | Comments(2)

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