ベルリン-東と西が出会う場所。ドイツにありながらドイツではない町。歴史の影に彩られた栄光と悲運の世界都市。そんなベルリンの奥深い魅力をリアルタイムでお届けするブログです。Since 1. August 2005


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中村真人 (Masato)
神奈川県横須賀市生まれ。早稲田大学第一文学部を卒業後、2000年よりベルリン在住。ベルリンの映像制作会社勤務を経て、現在はフリーのライター、ジャーナリスト。


ベルリンガイドブック
「素顔のベルリン」増補改訂版
¥1,680
ダイヤモンド社
(Amazon、全国各書店にて発売中)

本書は2009年10月発行「素顔のベルリン」の増補改訂版です。2013年に改めて新規取材を行い、データを更新。レストランやショッピング、コラムなどのページも増量し、より充実したガイドブックに生まれ変わりました。

Amazonにてネット購入ができます。



『街歩きのドイツ語 』
¥1,575
三修社

豊富なビジュアルとドイツ語フレーズを楽しめる1冊。基本のあいさつ表現から、街にまつわるドイツ語豆知識まで、ガイドブックとともに旅に役立つ会話集です。




『素顔のベルリン 過去と未来が交錯する12のエリアガイド 』
¥1,575
ダイヤモンド社
(2009年発売)

地球の歩き方シリーズ初、待望のベルリンガイドブック誕生!比類なき歴史を抱えつつ、明日へ向かって日々進化し続ける首都ベルリン。「ドイツで最もドイツらしくない」といわれるこの町の知られざる魅力を、現地在住著者が12のエリアにわけて徹底紹介。


現在のトップ画像は、ベルリン在住のイラストレーター、高田美穂子さんによるオリジナル作品です(詳しくはこちらより)

ベルリン更新情報
2013/02/20 up

ベルリン個人ガイドのご案内

執筆、ガイド、コーディネートなどのご依頼、お問い合わせはこちらまで(これまでの出版・寄稿実績)→
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2011年夏、関西への旅

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今年のことをあれこれ振り返りたいなと思いつつ、あっという間にこんな時期になってしまいました。まずは、この夏の思い出として、6〜7月に一時帰国した際関西を旅した時のことを書いてみたくなりました。7月のある日、東海道新幹線でまず向かったのは京都。

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11年ぶりの京都でした。一緒に行った母が四条にある杉本家の町家が公開されているというので見に行くことに。江戸時代に造られた邸宅が興味深いのはもちろん、そこに行くまでの京都の路地を歩く感覚が心地よかったです。

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ちょうど祇園祭の期間で、祭りの気分を少し味わえました。次はいつ来られるかはわからないけれど、一度住む感覚で滞在してみたい街ですね。

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手作りのちらしを配っていた地元の小学生。

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鴨川の周りを少し散歩して、夕方京阪電車に乗って枚方へ。母の学生時代の旅仲間のお宅に泊めていただきました。

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翌日は午前中、昨年度徳島大学でのベルリンをテーマにした授業でご一緒した弘田陽介先生にお会いし、中之島近辺の面白い建築を案内していただきました。大阪市中央公会堂(写真)や、特に見応えのあったネオ・バロック様式の中之島図書館など。洋館ではないですが、日本最古の幼稚園という愛珠幼稚園など、大阪の中心部(まさにミッテ)に意外に古い建築が多く残っていて新鮮な散策でした。

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明治の大阪から今度は70年代の東ドイツへ??次にお邪魔したのは、尼崎でDDR PLANET 東ドイツ空間プラネットという、東ドイツの住空間をイメージしたギャラリーを開いている友人のイスクラさん。ここに飾られている雑貨類は、彼女が旧東独の街の蚤の市で集めて回ったもの(買うこともできるそうです)。大阪の住宅街の中の一室が見事にDDR調のノスタルジックな雰囲気に包まれていて、アイスコーヒーをいただきながらのオスト(東)談義は楽しいものでした。

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基本的に週末しか開いていないそうですが、機会があったらぜひ訪ねてみてください。

その後、駆け足で兵庫芸術文化センターへ。佐渡裕さん指揮のオペレッタ「こうもり」の初日を聴きました。兵庫の芸文を訪れるのは初めてでしたが、とことん聴き手を楽しませる舞台。オペレッタ、落語、宝塚(?)の要素が混在し、オペラのこういう見せ方があるのかと笑いながらも感心することしきでした。終演後は佐渡さんにもご挨拶でき、関西まで行った甲斐がありました。

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帰り際、新大阪駅で国鉄時代からの特急型電車が停まっていて思わず写真を撮ってしまいました。列車名が「こうのとり」というのも◎ とはいえ、来年3月にはブルートレインの「日本海」も廃止になるそうで、時代の流れを感じると共に、汽車旅の楽しさを味わわせてくれる長距離列車が消えていくことを寂しく思います。

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今年の日本滞在で悲しかったのが、このブログでも何度かご紹介した実家のネコのモモちゃんが病気で死んでしまったこと。この写真を撮った頃はまだ動けていたのですが、日に日にやせ衰え、私が日本を発った数日後にあの世に旅立ったそうです。毛並みのきれいな、上品なネコちゃんでした。

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もう2匹のミントくんとルナちゃんは元気に仲良くやっているそうです。そんなに一生懸命何を見ているの?

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来年は少しでも穏やかで平和な1年になることを祈念して!

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by berlinHbf | 2011-12-29 22:11 | ドイツから見た日本 | Comments(9)

三修社の「街歩きのことばフェア」のご案内

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今年『街歩きのドイツ語』を出版させていただいた三修社の編集部の方よりご案内が届きました。現在、紀伊國屋書店ららぽーと豊洲店コーナンブックス市川原木店などで、海外旅行向けの語学本のフェアを行なっているそうです(どちらも来年1月中は続いているとのこと)。

先日スペインを旅して楽しかったことの1つが、バルやレストランで片言のスペイン語を話そうと幾度も試みたこと。昔イタリア語を少し勉強したことがあったので、会話本に載っていたスペイン語の数字の数え方を見ると、いろいろな記憶がよみがえってきました。当然、類似性は強いけれども違う言語なので、間違って口を突いて出てしまうこともある。でも、バルの店員さんたちは皆それぞれちゃんと(時には笑顔で)反応してくれ、そういうことが結構旅の思い出になるものだと思います。

これから海外旅行に出るという方、お近くにお越しの際は、ぜひお立ち寄りください。

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by berlinHbf | 2011-12-28 23:57 | その他 | Comments(0)

『素顔のベルリン』と『街歩きのドイツ語』がべるりんねっと789にて購入可能に

拙著『素顔のベルリン』(ダイヤモンド・ビッグ社)と『街歩きのドイツ語』(三修社)の2冊を、この度ベルリンの生活情報サイトのべるりんねっと789のミーティングポイント(場所はこちら)、及び同オンラインショップでも扱っていただけることになりました。これによって、本書をベルリン在住の方はもちろん、ドイツ国内やヨーロッパの他国にお住まいの方も購入可能になりました。大変うれしく思っています。

素顔のベルリン』(べるりんねっと789ショップのページへ)
街歩きのドイツ語

ちなみに、べるりんねっとを主宰されている六草いちかさんが今年出された『鷗外の恋 舞姫エリスの真実』(講談社)は、今年読んだ中でもっとも面白かった本のうちの1冊。こちらも社交辞令でなく一読をおすすめしたい本です。来年2012年は鴎外の生誕150周年ですし、この本のことはまた改めてご紹介したいと思っています。

また、『素顔のベルリン』の方は、ベルリン・ミッテの森鴎外記念館(Mori-Ôgai-Gedenkstätte)でも購入いただけるようになりました。こちらもよろしかったらご利用いただけたらと思います。

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by berlinHbf | 2011-12-21 20:30 | ベルリンを「読む」 | Comments(0)

ドイツ人家庭で味わうクリスマス

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このブログでも何度か紹介している知人のフレンツェルさん夫妻(ウリさんとウラさん)を12月に訪ねる際、毎回楽しみにしているのがクリスマス用の種々のお菓子を出してくださること。紅茶をいただきながら、これらのお菓子を味わうのは格別なのです。レープクーヘンやAachener Printenなど、いくつかの種類は以前以下の記事でご紹介しましたね。

関連記事:
ドイツのクリスマス用ケーキ種々 (2007-11-27)
10年目の出会いと別れ (2011-10-22)

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日本でもおなじみのシュトレン。実はスーパーのKaiser'sでこの時期売られているドレスデン製のもの。これが結構本格的なお味。

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こちらの皿にはチョコレートやマジパンやら。外側はチョコレートがけ、中はジンジャーが入ったお菓子は、特においしかったです。

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こちらはアドベント・クランツ(アドベント・リース)。今日は第4アドベントなので、最後のロウソクにも火が灯っていることでしょう。

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ウラさんは、かわいらしい小物やオーナメントをたくさん持っていて、写真を撮りたいと言ったら、わざわざ火を付けてくださいました。これはRäucherhausといって、火を付けた小さなお香を中に入れると、煙突部分から煙が出てくるというもの。同じ仕組みの人形が有名ですね。

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スウェーデン製というハート形のローソク立て。

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これはハルツ地方の木の人形。頭の部分に坑夫のマークがありますが、ハルツ地方は元々鉱山の多い地域。昔はこの人形を窓側に向けて、鉱山労働者の男たちが帰宅するのを家族は待っていたのだそうです。

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こちらは天使バージョン。

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アパートの入り口付近に飾られていた星の飾り。ベツレヘムの星をイメージしており、Herrnhuter Sternという名でこの時期ドイツでは至る場所で見かけます。先週スペインに行ってきて思うのは、クリスマス前の華やかさや光というのは、周りの暗さや寒さがあってこそ引き立つものなのかなあということ。ドイツのクリスマスはやはり格別だと思います。

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by berlinHbf | 2011-12-18 13:50 | ベルリンの人々 | Comments(4)

ドイツの演劇人から東北の演劇人へ

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被災地を巡る「夢トラック劇場」の上演から © ARC>T
 
 東日本大震災が世界を揺るがした2011年も終わろうとしています。ベルリンでも多数のチャリティー活動が行われましたが、今回はおそらくまだあまり知られていない、ドイツの演劇人・文化人の支援活動をご紹介したいと思います。
 少しずつ復興が進む被災地にあっても、どうしても手が届きにくいのが文化関連施設。そんな中、草の根的な運動を応援しようと、クロイツベルクにあるドイツ国際演劇協会(ITI Germany)が、この春いち早く東北演劇支援イニシアチブを結成。ドイツ中の劇場に呼び掛けました。自ら東北の被災地支援や世界の反原発に関する催しを行うほか、これまでに約4万ユーロを日本赤十字社に、またベルリン森鷗外記念館副館長のベアーテ・ヴォンデさんらが仲介役となって、約1万2000ユーロを仙台のARC>Tに送ったそうです。ARC>Tは、東北で活動する芸術家のプラットフォームとして震災後に立ち上がったグループ。「トラックの荷台を舞台にした夢トラック移動劇など、使える施設もままならなかった震災直後から、芸術家、文化人として今できることを精一杯続けています」(ヴォンデさん)。青少年向けのワークショップや老人ホームでのレクリエーション、知的障害者を対象とした工房でのダンス、美術活動を主催するほか、演劇人が多く在籍していることから、演劇公演の支援も彼らの強み。そんな彼らですが、7月以降、給料が出ていないそうです。それでも、同事務局長の鈴木拓さんはこう語ります。
 「東北の文化を途切れさせてはいけません。自分たちが今報われなくても、いつかまたいろいろな公演が戻って来た時に、彼らが活動しやすいようにするのが自分たちの務めですから」。

 一方、ベルリン民族学博物館は「Eine Brücke nach Japan 日本に架ける橋」というイベントを6~10月という長期間にわたって行い、写真展、講演会、ワークショップ、オークションなどで集めた約2000ユーロがARC>Tへ送られたそうです。
 「ドイツの人々が日本の状況を心配し、心から応援してくれているのが本当にありがたかったです。一方で、夏以降はチャリティーを企画の表に出しにくくなってきたのも事実。今後は、チャリティーとは少し違う形で被災地の人々を支援できないかと考えているところです」(民族学博物館でチャリティー公演を企画した長尾果林さん)。
 活動の内容は異なるものの、ヴォンデさんも長尾さんも、想いは共通しています。
 「ドイツの名立たる演劇・文化団体が日本の演劇と文化を応援しています。大変な時期だと思いますが、逆に言えば文化の新しい基盤を築ける可能性も秘めているはず。東北の文化復興のために頑張る人たちへの支援を、日本の方々にもぜひお願いしたいです」。
 被災地の今が伝わってくるARC>TのHPとブログはこちらより。http://arct.jp
ドイツニュースダイジェスト 12月16日)

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ドイツの著名な演劇雑誌「Theater der Zeit」の10月号が東日本大震災以降の日本の演劇を特集。ここでもARC>Tの活動が紹介されています。

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by berlinHbf | 2011-12-15 18:58 | ドイツから見た日本 | Comments(0)

橋口譲二『Hof ベルリンの記憶』

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昨年秋、写真家の橋口譲二さんから20年前のプレンツラウアー・ベルクの写真を何枚か渡され、「今度出版する写真集のために、それらの写真に写っているアパートの場所を調べてもらえないだろうか」という依頼を受けた。その時の模様は、「橋口譲二『Hof ベルリンの記憶』とプレンツラウアー・ベルク」で2回に渡ってご紹介した。

関連記事:
橋口譲二『Hof ベルリンの記憶』とプレンツラウアー・ベルク(1)
橋口譲二『Hof ベルリンの記憶』とプレンツラウアー・ベルク(2)

当初の予定からは遅れたものの、橋口さんの写真集は今年初頭に無事刊行された(ありがたいことに協力者として名前も入れていただいた)。私にとっても、思い出深い1冊。ここでご紹介したいと思う。

橋口譲二さんに初めてお会いしたのは、2年前の年末、ベルリン日独センターで行われた講演会の時だった。同センターに勤務されているある方の奥様が、ちょうど刊行されたばかりの拙著『素顔のベルリン』を橋口さんにプレゼントしてくださり、講演会の後にご紹介いただいたのだった。私の母と同い年の橋口さんは、とてもシャイで物腰穏やかな方という印象を受けた。

こういうご縁から、橋口さんがベルリンに来られる際にお会いするようになった。6月に私が一時帰国した際は、橋口さんのお住まいの吉祥寺を少しご案内いただいた後、駅中のカフェでお茶をした。ベルリンでも東京でも、橋口さんとカフェでご一緒する時のゆったりとした時間の流れ方が好きだ。表現者としての大事なアドバイスをくださることもある。口調はいつものように穏やかでも、そんな時には、橋口さんの芯の強さと厳しさを垣間見る。一度、「(あるテーマを)自分の中だけに抱え込むことも大事ですよ」と言われたことがある。ブログやらTwitterやらで、ちょっとしたつぶやきさえも簡単に公にできる時代。目に見えるわかりやすい結果ばかりをどこか求めていた私ははっとした。私も一応Twitterはやっているし、その利点も否定はしないけれど、あれこれつぶやくだけで何となく物事をわかったような気になったり、自分にとって何が大事なのかを見失わないようにしたいと思う。そして、できることなら、橋口さんやその「弟子」の星野博美さんのように、あるテーマを自分の中で抱え込み思考を深めていく延長で、作品を積み重ねていけたらと願う。

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話が逸れてしまった。写真集『Hof ベルリンの記憶』は、橋口さんが20年もの間「抱え込んできた」写真が中心になっている。壁崩壊直後、旧東のミッテとプレンツラウアー・ベルクの古いアパートやそのホーフ(中庭)を写したものだ。

人は1人も出てこないのに、また一見廃墟のようにも見えるほど建物は朽ちているのに、不思議なぬくもりの感じられる写真が並んでいる。それは、そこに人がずっと住み続けてきたこと、そしてそれらのアパートが19世紀末から20世紀初頭にかけて建てられたことも関係していると思う。橋口さんは、この写真集の巻末のエッセイでこう綴っている。
街並と身体と気持ちの相性というと変だが、僕はこの街とこの街で暮らす人々が気に入っていた。程良い道幅、家並と同じように蛇行する道路、停留所から次の停留所が見える路面電車のトラム。トラムの走る速度はちょっと頑張れば自転車でも追い越せてしまう。蛇行する道路もトラムも昔から存在していたことを思うと、世紀末から20世紀初頭にかけて出来あがった街は人間の感覚や生理に寄り添っていた気がする。
11年前、このベルリンに来て、最初にたまたま住んだアパート以来、私はアルトバウのアパートの魅力に取り憑かれた。この街で3回引っ越しているが、住まいは全てアルトバウだった。ゆったりした間取りと、幾世代に渡って人々が住んできた歴史の醸し出す安心感が心地よかったのだと思う。写真集「Hof」には、アパートの内部の階段やいぶし銀のように渋い光沢を放つ階段のてすりの写真なども挿入されていて、私はそれを見ながら最初に住んだティーアガルテンの築100年のアパートでの生活を思い出した。あるいは、夏の暑い日、(6年間住んだ)クロイツベルクのアパートの入り口から中に入った瞬間、ひんやりとした空気に体が包まれたことを。ベルリンが歩んできた歴史と、私個人の歴史が時に重なり合うのを感じた。

この写真集が私のもとに届いたのは、3月初頭だった。
しばらくの間、この本を枕元に置いて、寝る前にぱらぱらめくりながら楽しんでいた。そうこうするうちに、あの大震災が日本を襲った。
毎日深夜までショッキングな津波の映像を見てから、この本を開くと、写真の奥にまた違う光景が見えてきた。3月14日だったか、丘の上から「自分の店が流されたことよりも、(店の)歴史が途切れてしまったことの方がくやしい」と絞り出すように語っていた陸前高田の酒屋のおじさん。倒壊した家の瓦礫をかき分けながら、思い出の写真を必死に探す人々…。

あの光景を思うと、ベルリンのミッテやプレンツラウアー・ベルクの古いアパートが戦災を逃れ、地震などの自然被害にも遭わず、その貴重なアパートが1949年生まれの日本人の写真家によって記録され、20年もの間フィルムが大切に保管され、2011年という年に出版され得たということが、とても幸運でかけがえのないことのように思えるのだ。

今回の地震や津波で家を失った人々が、橋口さんの言う「人間の感覚や生理に寄り添った」住まいに再び戻れることを心から願う。

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この橋口さんの『Hof ベルリンの記憶』の写真展が、現在大阪のニコンサロンで開催中です(21日まで)。お近くにお住まいの方は、ぜひ足をお運びいただけたらと思います。

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by berlinHbf | 2011-12-12 18:22 | ベルリンを「読む」 | Comments(3)

ノイケルンのアドヴェント、マラガの憲法記念日

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先週の日曜日は、毎年第2アドヴェント恒例、ノイケルンのクリスマスマーケットに行って来ました。ここのマルクトはあまり商業的な匂いがしないことと、広場周辺のどこか牧歌的な雰囲気と併せて、ベルリンの好きなクリスマスマーケットの1つです。いつかブログで紹介してからもう4年になるのですね。

関連記事:
ノイケルンでの第2アドヴェント - リクスドルフという場所 - (2007-12-13)

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広場の中央にある素敵なデザインのインビス。リクスドルフに来るといつも何か発見があるのですが、今回も改めて取材で訪れたいと思わせるものに出会いました。

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この日の気温は5度前後。昨年の今頃は連日大雪だったことを思うと、今年はまだ全然いい方ですが、いかにもベルリンの12月の空という気がします。

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そのベルリンから飛行機に3時間10分ほど乗って、スペインのアンダルシア地方に数日前やって来ました。マラガに離陸する直前、地中海の大海原の彼方にアフリカ大陸がはっきりと見えました。ここはモロッコまでわずか100キロ、ヨーロッパ最南端の地域です。夜でも気温は15度ぐらい。クリスマス用のイルミネーションもドイツのとは大分違います。何より、22時を過ぎても子供連れの家族が元気よく街を闊歩しているのに驚きました。いつもこんな感じなのか、それとも次の日がスペインの憲法記念日で祝日だったためかはわかりませんが。

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旧市街の広場にて。クリスマスツリーの飾りの横に、オレンジがたわわに実っています。いくら南欧とはいえ予想もしなかった組み合わせで、さすがにびっくりでした。

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ベルリンではこの時期至るところにもみの木を見かけるのですが、マラガでは1本も見かけませんでした。これは単純に樹木の育つ気候上の違いかもしれませんが、クリスマスを迎える街の雰囲気もヨーロッパの北と南とでは大分違うなあと感じた次第です。スペインのクリスマスを何とか見つけようと必死になっていた妻がやっと見つけたのがこれ。何とも力の抜けたクリスマスツリーだこと(笑)。

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祝日の夕方、大勢の人の流れに沿って港の方に行ってみると、椰子の並木道に沿ってマーケットが立ち並んでいました。

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スペインに来てからほぼ毎日快晴!この時期、こんなに太陽の日を浴びれるなんて、それだけで幸せな気分になります。

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大聖堂の前には、キリストの誕生を描いた光のオブジェが飾られていて、地元の人たちが記念撮影をしていました。

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イスラム教徒支配時代の城砦、ヒブラルファロ城からの眺め。

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by berlinHbf | 2011-12-08 20:14 | 欧州を感じる旅 | Comments(0)

発掘の散歩術(17) -ヤギが闊歩する「都会の中のパラダイス」-

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ツィーゲンホーフの夏の様子。週末になると家族連れで賑わう

昨年夏のある日、シャルロッテンブルク宮殿の南側のダンケルマン通りを歩いていた時のこと。ごく普通の建物から中庭に抜ける道に、人の流れができていた。何だろうと思い、その流れに吸い寄せられるように中庭に抜け出ると、そのまぶしい光景に私は一瞬、自分が見ているものを疑った。

住宅街にあって、そこだけすっぽり大きな空間が生まれている。木々が茂り、小さな牧場で餌を食べているヤギたち。その奥には土を盛り上げて作ったすべり台が置かれ、子どもたちがきゃっきゃ言いながら滑り降りている。静かに佇んでいる老人の姿もちらほら。ベルリンの街を歩いていると、時々宝物を掘り当てた気分になることがあるが、この日がまさにそうだった。

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行儀よく小屋に戻るツィーゲンホーフのヤギたち。それぞれに名前が付けられている

あれから1年、あの空間の秘密を知りたくてダンケルマン通りを再訪した。晩秋の平日ゆえ、広大な中庭は閑散としていたが、放し飼いにされたヤギの親子がいきなり私を迎えてくれた。たまたまここで出会った年配の女性、ドロテー・トルンパさんに話を伺うことができた。

この不思議な空間の名は、「ツィーゲンホーフ」。「ヤギの中庭」という意味だ。1970年代まで、ここには奥に至るまで古い住宅が密集していた。その多くは日当りが悪く、トイレも共同という状況にあったという。その後、市の再開発によって裏手のアパートは解体され、新しい建物が建つことが決まっていた。ところが、地域住民が大反対し、当時は住宅占拠運動も盛んだった場所柄、とうとう市の決定を覆してしまった。その後、住民が独自に木を植え、芝生を植え、ほどなくしてヤギ、ニワトリ、ガチョウといった動物が連れられて来た。いまやシャルロッテンブルク地区の公共の緑地であり、自主運営しているキーツの人々の努力の成果でもある。「子どもたちにとっては、自然の仕組みを学べる場所としても貴重です。日本の皆さんに紹介してもらえるのなら、『都会の中のパラダイス』と書いておいて(笑)」とトルンパさん。

親切にも、トルンパさんは通称クラウゼナー・キーツと呼ばれるこの界隈を案内してくれた。「このキーツのいいところは昔からの顔なじみの人が多いこと。1つの村という感じかしら。昔ここに住んでいた私の知人など、30年近く海外で暮らしていたのだけれど、最近また戻って来たんです。居心地がいいのよね」。

一方で、シャルロッテンブルクという地区からすると少し意外だが、決して裕福なエリアではない。ベルリン市がまとめた社会的状況の統計によると、全434の対象区域のうち、306位だという。「裕福な人もいれば貧しい人もいる。いろいろな人が程よく混ざり合って住んでいるのも、このキーツの良さだと思うの。東のプレンツラウアー・ベルク地区など、いつの間にか裕福な人ばかりになってしまったでしょう」。そういえば、20世紀初頭、ベルリンの庶民を愛情込めて描いた画家ハインリヒ・ツィレが住んでいたのもこの界隈だった。

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19世紀末、ハインリヒ・ツィレが撮った写真。煙突の右隣の建物が、ゾフィー・シャルロッテン通りの彼のアパート

気が付くと、「ブロート・ガルテン」というオーガニックパン屋の前に着いていた。このクラウゼナー・キーツは、2020年までに環境保護のモデル地区になることを目指しているそうだ。
ドイツニュースダイジェスト 12月2日)


Information
ツィーゲンホーフ
Ziegenhof


シャルロッテンブルクの住宅街にある6000㎡の緑地。この夏、子ヤギが誕生し、現在5匹に。「昨年までは区から補助金が出ていたのですが、不況の影響でカットされてしまいました。今はこの農園で作っているハチミツや絵はがきなどを販売して、それを運営費に充てています」とトルンパさん。日中はいつでも中に入れる。

住所:Danckelmannstr. 16, 14059 Berlin
電話番号:(030)3256 577
URL:www.klausenerplatz-kiez.de


ブロート・ガルテン
Brotgarten


1978年創業のベルリン最古のオーガニックパン屋の1つ。ブランデンブルク州の農園の全粒粉を自家製の製粉機で毎日ひいてパンを作っている。種類豊富なパンやケーキをその場で食べられるほか、平日の14時までは隣のビストロで食事もできる。地域住民の集いの場でもあり、このキーツに関するパンフレットも置かれている。

営業:月〜金7:00〜18:30、土7:00〜14:00、日7:00〜15:00
住所:Seelingstr. 30, 14059 Berlin
電話番号:(030)322 8880
URL:www.brotgarten.de

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by berlinHbf | 2011-12-02 17:23 | ベルリン発掘(西) | Comments(0)

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