ベルリン-東と西が出会う場所。ドイツにありながらドイツではない町。歴史の影に彩られた栄光と悲運の世界都市。そんなベルリンの奥深い魅力をリアルタイムでお届けするブログです。Since 1. August 2005


by berlinHbf

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中村真人 (Masato)
神奈川県横須賀市生まれ。早稲田大学第一文学部を卒業後、2000年よりベルリン在住。ベルリンの映像制作会社勤務を経て、現在はフリーのライター、ジャーナリスト。


ベルリンガイドブック
「素顔のベルリン」増補改訂版
¥1,680
ダイヤモンド社
(Amazon、全国各書店にて発売中)

本書は2009年10月発行「素顔のベルリン」の増補改訂版です。2013年に改めて新規取材を行い、データを更新。レストランやショッピング、コラムなどのページも増量し、より充実したガイドブックに生まれ変わりました。

Amazonにてネット購入ができます。



『街歩きのドイツ語 』
¥1,575
三修社

豊富なビジュアルとドイツ語フレーズを楽しめる1冊。基本のあいさつ表現から、街にまつわるドイツ語豆知識まで、ガイドブックとともに旅に役立つ会話集です。




『素顔のベルリン 過去と未来が交錯する12のエリアガイド 』
¥1,575
ダイヤモンド社
(2009年発売)

地球の歩き方シリーズ初、待望のベルリンガイドブック誕生!比類なき歴史を抱えつつ、明日へ向かって日々進化し続ける首都ベルリン。「ドイツで最もドイツらしくない」といわれるこの町の知られざる魅力を、現地在住著者が12のエリアにわけて徹底紹介。


現在のトップ画像は、ベルリン在住のイラストレーター、高田美穂子さんによるオリジナル作品です(詳しくはこちらより)

ベルリン更新情報
2013/02/20 up

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執筆、ガイド、コーディネートなどのご依頼、お問い合わせはこちらまで(これまでの出版・寄稿実績)→
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<   2011年 09月 ( 8 )   > この月の画像一覧

『素顔のベルリン』の増刷

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私の最初の著書『素顔のベルリン』が、お蔭さまでこの度増刷されることになりました。大変うれしく思うと共に、これまで多くの方々にご覧いただいてきたこと、心より感謝申し上げます。この本が出版されてからかれこれ2年近くが経ち、データも少しずつ変わっているため、今回のタイミングで全てのデータを更新しました。この2年間の特に大きな変更点は、「公共博物館・美術館の毎週木曜夕方以降の入場無料制度が廃止になったこと」(残念…)、そして「ライヒスターク(連邦議会議事堂)の入場が事前申し込み制に変わったこと」でしょうか。また、P47で紹介した「イントフェルト・ショコラーデン」、P81の「ブリューベーカー」がそれぞれ店じまい、移転したため、別の物件に差し替えています。他にも、カイザー・ヴィルヘルム記念教会が昨年秋から大規模な改修工事に入っているなど、ベルリンは絶えず動きがある町。そこで、旅行等で来られる方々のお役に立てればと、近々ベルリンの更新情報をこのブログの左欄に設置し、折に触れて更新していけたらと思っています。
(追記:ベルリン更新情報というコーナーを早速作ってみました。左欄にも載せてあります)

今回の増刷は、改訂という形ではないため、Amazon等で注文されても新しい方を指定して選ぶことはできないそうです。これについては申し訳なく思います。巻末に「初版第2刷発行」と書かれている方が新しい方ですので、書店で探される際の目安にしていただけたらと思います。

今後ともよろしくお願いいたします。

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by berlinHbf | 2011-09-30 23:15 | ベルリンを「読む」 | Comments(10)

ベルリン更新情報

2011年9月に拙著『素顔のベルリン』の第2刷が出版されましたが、ベルリンは大小問わず日々動いています。そこで、観光等でこの街に来られる方に少しでもお役に立てればと、『素顔のベルリン』の初版から大きく変わっている点を中心に情報を随時更新していきたいと思います。以下のページ数は同書のものです。

2011年10月1日更新
P43
「涙の宮殿」
2011年9月15日、かつての国境検問所はGrenzErfahrungen(国境体験)を常設展示とするミュージアムとしてオープンしました。入場無料です。
http://www.hdg.de/berlin/traenenpalast-am-bahnhof-friedrichstr/

P106
カイザー・ヴィルヘルム記念教会
2010年10月から大規模な改修工事が行われています(予定では2012年夏まで)。現在、戦災を受けた主塔部は完全に覆われていてビルのような外観を呈していますが、以前のように内部見学は可能です。

P78
ライヒスターク(現連邦議会議事堂)
2010年末にここを標的としたテロ警告が出されて以来、屋上のドームの見学は事前申し込み制に変わりました。以下のサイトより、オンライン申し込みが可能です。これまで通り入場は無料ですが、希望者が多いため見学希望日の遅くとも2日前までに申し込みを済ませる必要があるとのこと。また、見学する際はパスポートをお忘れなく。

http://www.bundestag.de/besuche/kuppel.html (独語)
http://www.bundestag.de/htdocs_e/visits/kupp.html (英語)

P25など
「毎週木曜日の閉館4時間前から国立の博物館・美術館の入場が無料になる制度」は、残念ながら2010年9月末をもって廃止になりました。
http://www.berlin.de/orte/museum/freier-eintritt/index.php#

P47
「イントフェルト・ショコラーデン」
いつの間にか店じまいになりました。第2刷では別の物件に差し替えてあります。

P81
「ブリューベーカー」
Sバーンのベルビュー駅前からモアビット地区のマルクトハレ内に移転しました。詳細はhttp://www.brewbaker.de/にて。

2012年12月24日更新
P31の地図
P102
ケネディ博物館は、パリ広場からミッテのAuguststraße 11-13にある旧ユダヤ人女学校内に移転しました。
http://www.thekennedys.de

2013年2月20日更新
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P60の「カレーソーセージ食べ歩き」のコラムで紹介している「カリーヴルスト・ベルリン&フレンズ Currywurst Berlin & Friends」は、残念ながら、昨年秋から閉店休業の状態です。映画『ベルリン・天使の詩』にも登場する有名なインビスだけに、オーナーが変わってもお店が引き継がれることを願っていますが・・・。

今後も折に触れて更新していきたいと思います。
by berlinHbf | 2011-09-29 23:57 | ベルリンのいま

発掘の散歩術(14) -ミース・ファン・デル・ローエのバースデーパーティー-

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夕暮れ時のレムケ邸で踊る人たち (2011-08-14)

アレクサンダー広場からトラムのM4に揺られること約25分。ヴァイセンゼーという湖を過ぎて間もなく、ブッシュ・アレー/ハンザ通りという停留所で降りた。普段ベルリンの西側に住んでいる私にとっては、同じ市内とは言え、ここまで来るとさすがに遠くに来た感を抱かせる。このホーエンシェーンハウゼン地区には、つい20年ちょっと前まで秘密警察シュタージの刑務所があった。そんな過去も、実際の距離以上に「遠さ」を感じさせる要因になっているかもしれない。

今歩いている辺りには、2つの小さな湖が双子のように並ぶ。1つはオランケゼーで、これは氷河時代に自然生成された湖。通り1つ隔てたオーバーゼーは、19世紀末にビール会社が窪みに水をたくわえて造ったという人工湖だ。周辺はごく普通の住宅街だが、東独時代はシュタージの関係者が多く住み、その特徴として呼び鈴のネームプレートが必ず白紙になっていたそうだ。一般市民は安易に立ち寄れない場所だったのだろう。

夕暮れ時、そんなぞっとする歴史を持つ住宅群の向こうから、とてつもなく陽気な音楽が鳴り響いてきた。発信源はオーバーゼーの畔に立つミース・ファン・デル・ローエ・ハウス(通称レムケ邸)。今年生誕125周年を迎える同名の建築家の「バースデーパーティー」が行われると聞いてやって来たのだ。

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1932年から33年にかけて、印刷会社の社長で、子どものいなかったカール・レムケ夫妻の「天気の良い日には庭に延びるような、こぢんまりとした控え目な住居」という希望から、当時バウハウスの校長だったミースが設計した邸宅だ。L字型の平屋建築で、構造は非常にシンプル。ちょうどL字の角にある入り口から中に入ると、庭に面した側はどちらも大きな窓ガラスがはめ込まれ、光がまばゆいばかりに差し込む空間になっている。目の前の大きな庭と直につながっているような錯覚を受けるほどだ。自然との一体感を強調した平屋というのが、どこか東洋的でもあるせいだろうか、非常にモダンなのにとてもしっくりきた。

目の前で、比較的年配の男女がブギウギのリズムに乗り、両手を派手に動かしながら踊っている。その奥の芝生では人々がピクニックのようにくつろいでいる。アットホームな雰囲気が心地良い。ノリノリで踊っている中に日独協会のシュミットさんのお顔を見付けた。私たちに気付くと、レムケ邸のことを少し教えてくれた。

ミースはナチス台頭後の1938年にアメリカに亡命。レムケ夫妻は1945年までこの家に住んでいたが、戦後はソ連に接収され、1960年代から壁崩壊まではシュタージ関連の施設として利用されていたという。統一後、市民活動によってホーエンシェーンハウゼン区に買い取られ、現在は税金と友の会の募金で運営されているそうだ。

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湖に面した広大な庭には、「Mies 125」の文字が至るところに

「Mies 125」というかっこいいロゴが入った大きなじょうろを持っている人を何人か見かけた。これは20ユーロで購入でき、そのうちの何割かが募金に回されるそうだ。「なんでじょうろなの?」とも思ったけれど、じょうろで庭の草木に水をやるように、時間を掛けてレムケ邸とそこでのアートを育ててきた地元の人たちに敬意を感じて、1つ持って帰った。
ドイツニュースダイジェスト 9月16日)


Information
ミース・ファン・デル・ローエ・ハウス
Mies van der Rohe Haus


ミースが亡命前最後に手掛けた邸宅でもある。東独時代に何度も改築されたが、2000~02年にかけて、建物と庭はオリジナルの設計図に沿って造り直された。この空間に調和する作家の展覧会が定期的に開かれており、11月27日までユルゲン・パルテンハイマー展が開催される。入場無料。晴れた日は庭園の散歩も気持ちがいい。

開館:火~日11:00~17:00
住所:Oberseestr. 60, 13053 Berlin
電話番号:(030) 970 006 18
URL:www.miesvanderrohehaus.de


新ナショナルギャラリー
Neue Nationalgalerie


ベルリン市内でミースの建築を味わうなら、やはりこちら。1968年ミース晩年の作品で、巨大な鉄骨の天井を側面の軽やかなガラスが支えているかのように錯覚させるモダン建築の傑作。現在はマックス・ベックマンの自画像展が開催中で(10月3日まで)、11月からは1945~68年の作品の常設展が予定されている。

営業:火水金10:00~18:00、木10:00~22:00、土日11:00~18:00
住所:Potsdamer Str. 50, 10785 Berlin
電話番号:(030) 266 424242
URL:www.neue-nationalgalerie.de

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by berlinHbf | 2011-09-25 10:30 | ベルリン発掘(東) | Comments(2)

追悼クルト・ザンデルリンク

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大指揮者のクルト・ザンデルリンクが亡くなったそうですね。享年98歳。あとわずか1日で99歳の誕生日だったといいます。2007年に彼の95歳のバースデーコンサートを聴く機会があり、この時どなたかが「次はマエストロの100歳の誕生日をここでお祝いできることを!」と挨拶され、何となく現実になりそうな気がしていたのですが、願いは叶いませんでした。もう十分長生きされたとはいえ、ついにこの日が来たかという思いです。

私がベルリンに来てまだ間もない頃、幸運にもザンデルリンクさんの実演に2回ほど接することができました。最初は2001年2月、シュターツカペレ・ベルリンのオーケストラ公演で、ショスタコーヴィチのチェロ協奏曲第1番とブラームスの交響曲第2番でした。ブラームスが驚異的な名演で、冬の寒い夜でしたが、「ああ、本物のブラームスを聴いた!」とじんとくる感動が腹の底まで残りました。そして、2回目は2002年5月の引退コンサート。これはCDにもなっていますが、あんなにうねり昂るシューマンの4番のシンフォニーは聴いたことがありません。この時89歳とは思えないほど、指揮ぶりもエネルギッシュでした。コンツェルトハウスのバルコニー席から、全身の血が沸騰するような思いで聴いたのをまだ生々しく記憶しています。

残念だったのは、確か2000年秋に予定されていたベルリン・ドイツ響とのシューベルトの「グレイト」、2002年1月シュターツカペレとのショスタコーヴィチの交響曲第8番、同年6月のベルリン・フィルとのショスタコーヴィチの交響曲第6番のコンサート、そのいずれもがキャンセルになってしまったこと。もしどれか1つでも実現していたらきっとすごい体験になっただろうに、と今でも思います。あと、私がベルリンに来る直前、ベルリン・フィルと共演したシベリウスの交響曲第2番や、私がちょうど一時帰国中で聴けなかった2001年9月のベルリン放送響とのブルックナー交響曲第3番の録音など、将来的に日の目を見ることがあればと願っています。

冒頭の写真は、確か2003年か04年、フリードリヒ通りのDussmannでザンデルリンク自伝出版の記念イベントが行われた際、ご本人よりいただいた直筆のサイン。私は普段楽屋に出向いて音楽家のサインをもらうことはめったにしないのですが、この時は特別でした。引退コンサートのCDのブックレットに書いていただいたサイン、私の宝物の1つになっています。

マエストロ・ザンデルリンクのご冥福を心よりお祈りします。

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9月25日のモルゲンポスト紙の訃報欄より

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by berlinHbf | 2011-09-22 00:35 | ベルリン音楽日記 | Comments(2)

記憶の鉄路をたどる(3) - グライスドライエックの貨物駅跡(下) -

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Gleisdreieck(2008-08-17)

前回のつづき)
工事中のグライスドライエックの敷地内を西に向かって歩いて行くと、やがて現役の線路に行き着いた。ここからは夕暮れ時のポツダム広場のビル群がよく見渡せた。

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これは中央駅から南に行く列車が通る幹線。ちょうどSüdkreuz方面から来た列車が、かなりのスピードで駆け抜けて行った。

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大分暗くなってきたので、Möckernstr.側の出口に戻ろうとした。途中横切ったこの2本の線路は、あまり廃線という風には見えない。

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この線路の行方が気になって、自転車を置いて北側へ歩いてみた。すると…

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昔の貨物駅らしきものの跡が見えてきた。建物には明かりも付いており、今にも向こうから列車がやって来そうな気配がある。

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ビーチバレーのコートを横目に広大な敷地から出た。この日の探訪から3年経った今日、まさか先ほどのレールの上を特別列車に乗って走ることになるとは思わなかった(この模様は改めて別の機会に)。

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by berlinHbf | 2011-09-18 21:15 | ベルリン発掘(西) | Comments(0)

ベルリンの壁 記憶の場所

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壁建設50周年の式典に際し、ドイツの各政党から贈られた花束

初めてベルリンに来た方に、ベルリンの壁の遺構を見せると、「意外に低いんですね」とか「背が高い人なら、よじ登れそう」という感想を漏らされることがあります。そう感じるのはやむを得ないことなのかもしれません。観光客によって削られ、中心部にわずかばかり残る1枚の壁を前にしても、当時そこで何が起きたかを想像するのは難しいからです。

今年の8月13日、壁建設からちょうど50年を迎えました。ミッテのベルナウアー通りでは、ヴルフ大統領やメルケル首相も参列しての追悼式典が行われ、同時に拡張工事が続けられていた「ベルリンの壁 記憶の場所(Gedenkstätte Berliner Mauer)」が正式にオープンしました。

同月のある日、地下鉄U8のベルナウアー通り駅で降りて、なだらかな坂を下りながら新しい部分を歩いてみました。外側の壁があったラインに沿って、茶褐色の鋼材の柱が壁を想起させるように並び、当時の無人の緩衝地帯は広大な芝生に変わっています。東独側の後背壁や金網の柵も一部は保存され、国境警備兵用の小道もその跡をたどれるようになっています。

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敷地内をいくつも横切る、かつての逃亡トンネルの跡

芝生の上を歩いていると、茶褐色の板が地面に埋め込まれているのに気付きました。これは、かつてこの壁際に建っていたものの、東独政府によって爆破されたアパートの敷地跡でした。さらに、今度は緩衝地帯を横切る線が目に留まりました。これは1962年に東から西への逃亡を試みて掘られたトンネルの跡。このように、東西分断時代の出来事がさまざまな形で可視化され(ところどころに当時の写真や音声資料も設置されています)、訪れる人は歩きながら発見し、当時を具体的にイメージできるようになっているのです。

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壁の建設によって爆破されたアパートの土台部分

シュトレーリッツァー通りから北駅方面を見下ろす眺めは、広々と敷き詰められた緑の芝生によって、爽やかな気分をもたらしてくれました。しかし、当時はこの芝生がすべて砂地で、厳密な監視網が160キロ近くも続いていたことを思い出した瞬間、今度は壁の恐るべき規模に思いが至りました。

特に多くの人が集まっていたのは、遺跡のような形で保存された当時のアパートの地下部分の周り。ここは「人々の苦しみ」というテーマで、ある日突然終わりを告げられた人々の日常生活や、引き裂かれた人間関係が綿密なリサーチに基づいて紹介されています。

「壁のことを知りたい」という気持ちでベルリンに初めて来る方に対して、私はイーストサイドギャラリーやチェックポイント・チャーリー跡よりも、まずこのベルナウアー通りに来ることをお勧めしたいと思います。
ドイツニュースダイジェスト 9月9日)

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by berlinHbf | 2011-09-13 13:40 | ベルリン発掘(境界) | Comments(3)

記憶の鉄路をたどる(2) - グライスドライエックの貨物駅跡(上) -

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Gleisdreieck(2008-08-17)

先週末、建設中だったグライスドライエックの公園の一部がオープンするという新聞記事を目にした。グライスドライエックは地下鉄U1とU2の駅名にもなっているが、ポツダム広場の南側に位置するかつて貨物駅だった広大な敷地(以前、以下の記事でご紹介しています)。このニュースを読んで、3年ほど前の夏にあの敷地内を探索したことを思い出し、ここにアップしたいと思う。

関連記事:
天使の降りた場所(12) - 都心の中の無人地帯 - (2006-10-16)
100年の重みに耐えた橋 - 天使の降りた場所(13) - (2006-10-18)

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ベルリンの中心部に残る空き地として、ここはもっとも気になる場所だった。Möckernstr.側の入り口から中に入ると、ビーチバレーのコートがあり(今はもうないかもしれない)、柵を越えて自転車でその奥へと初めて入ってみた。

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北はラントヴェーア運河、南はモヌメンテン通りまで35ヘクタールの敷地に、アンハルター貨物駅(東)とポツダム貨物駅(西)の2つの大きな操車場があった。私がいるのはアンハルター側。1952年まで、ここに鉄道が走っていた。

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あちこちで工事の様子が伺える。さすがにこんな場所に来る物好きはそういないが、犬を連れて散歩している人を見かけた。この向こうには旧アンハルター駅がある。つまり、アンハルターを出た列車は必ずここを通っていたことになる。

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さらに南側に歩くと、昔の詰所のような建物の跡が見えてきた。

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その先には、以前「100年の重みに耐えた橋 - 天使の降りた場所(13) -」で紹介した鉄橋がいくつも延びていた。この上を鉄道が走ることはもうないが、この橋は一種の文化財として公園に組み込まれることになっている。いつかこの上を歩くのが楽しみだ。

(つづく)

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by berlinHbf | 2011-09-10 00:40 | ベルリン発掘(西) | Comments(5)

眞峯紀一郎さんインタビュー - 9/9のチャリティーコンサート -

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9月9日、ベルリンのカイザー・ヴィルヘルム記念教会で、東日本大震災のチャリティーコンサートが開催される。ベルリンのプロオーケストラに在籍する約15人の日本人音楽家が一同に会するという初めての試みだ。このコンサートのまとめ役を引き受けているのが、ヴァイオリニストの眞峯紀一郎さん。長年、ベルリン・ドイツ・オペラとバイロイト祝祭管弦楽団で弾き、定年後は教育活動でドイツ中を奔走、また <バイロイト・フェスティバル・ヴァイオリンカルテット>のメンバーとしても演奏活動を続ける眞峯さんに、このコンサートに向けての意気込みを伺った。
ドイツニュースダイジェスト・独日なひと 9月2日)

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眞峯紀一郎 まみね・きいちろう
ヴァイオリニスト
1941年東京生まれ。5歳の時から長野県松本市にて鈴木鎮一に師事(才能教育第一期生)。国立音大卒業後、69年旧西ベルリンに留学、翌年ベルリン・ドイツ・オペラ管弦楽団に入団し、73年よりバイロイト祝祭管弦楽団のメンバーにもなる。82年以来、ベルリンのカイザー・ヴィルヘルム記念教会のバッハ合唱団の理事、バッハ・コレギウムの責任者を務めている。
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ベルリンのプロオーケストラに在籍する日本人音楽家のほぼ全員が集まって、1つのコンサートをするというのは初めてのことだそうですね。どういう経緯で実現することになったのでしょう?

事の発端は全くの偶然でした。今年5月、路上で久し振りにヴァイオリニストの知人に会いました。彼女の子どもが通っているベルリン日本語補習校の父兄の間で、ベルリンのオーケストラに在籍する日本人音楽家が集まって、何かできないだろうかという話が出たそうです。どなたかまとめてくれる人がいないだろうかと、その役に私の名前が挙がっていたところで、ちょうど私にばったり会ったというのです。正直言いまして、最初は無理だろうと思いました。こういうことは今までベルリンで実現したことがないし、私の時代に比べたら日本人音楽家の数もずっと増えている。1つにまとめ上げるのは大変でしょう。

そこでまず、ヴァイオリニストの町田琴和さん(ベルリン・フィル)と日下紗矢子さん(コンツェルトハウス管)に御相談したところ、大変協力的で、そこからすうっと決まっていきました。会場に関しても、長年お付き合いのあるカイザー・ヴィルヘルム記念教会に問い合わせてみると、候補の9月9日が運良く空いていました。ベルリン・フィルの樫本大進さんにもお尋ねしてみたら、「この日に予定されていたコンサートがキャンセルになりそうなので、その場合は喜んで出演します」と言ってくださいました。皆さんがとても意欲的なことに加え、いくつもの幸運が重なって実現できることになりました。

「なぜ日本人じゃないといけないのか」「なぜオーケストラの団員でないといけないのか」と叱責も受けました。多くの仲間たちに声を掛けられず、残念に思っていますが、決して国粋主義でもエリート主義でもありません。今回が初めてですし、20人以上をまとめるだけでも大変。もちろん皆さんに手 伝っていただいていますが、これ以上増えると私1人では難しい。そこでベルリンのオーケストラのメンバーで固めて、足りないパートは補うというやり方にしました。間口を広げ過ぎるとキリがありません。アンサンブルの特徴も大切です。ベルリンのオーケストラの日本人メンバーが集まって何かをやるということで、対外的にアピールできるのではないかと思ったのです。

今回のコンサートのプログラム構成について教えていただけますか。

練習時間が限られているので、プログラム構成には吟味を重ねました。皆で演奏するのは、まずエルガーとアイヴズの曲。4年ほど前、ヴォルフガング・ヴァーグナーのグドルン夫人が亡くなった際、追悼式典でバイロイトの仲間がアイヴズ作曲の『答えのない質問』という曲を演奏しました。地震、津波に加えて原発問題と、どうやって対処するべきなのか、解決策が見えていない(まさに「答えのない」)状況の中、ふとこの曲のことを思い出しまして、今回絶対入れたいと思いました。この曲には管楽器が必要なのですが、これもうまい具合に編成に合うメンバーが見付かりました。

それから、親交のあるスロヴァキア人の作曲家、ラディスラフ・クプコヴィチ教授が、私たちの編成に合わせて『2011年3月11日の犠牲者のために』という新曲を書いてくださいました。彼は一時期、前衛作曲家のシュトックハウゼンとも仕事をしていましたが、「こういう音楽に将来はない」と考え、調性音楽に戻った作曲家なので、どんな曲になるのか楽しみにしています。

それ以外に、ベルリン在住の作曲家、番場俊之さん作の < Odor of Time > というヴァイオリンのデュオ、モーツァルトのオーボエ四重奏曲、ドヴォルザー クの弦楽三重奏曲、バッハの2つのヴァイオリンのための協奏曲を演奏します。指揮はベルリン在住歴の長い沼尻竜典さんにお願いしました。今回のライブ録音をCDにして、売り上げを寄付する計画も決まりました。

集まった募金は仙台フィルに届けられるそうですね。

せっかくこれだけのメンバーが集まるのだから、募金の目的や送り先を明確にしたいと考えました。私たちはオーケストラプレーヤーなので、仙台フィルには知っている仲間もいるし、指揮者の山下一史さんや小泉和裕さんは昔ベルリンで学んだ人たち。オーケストラ同士で励まし合いたいと思ったのです。ありがたいことに、日本大使館をはじめ、ベルリン日本商工会や日独センター、独日協会、日本語補習校も全面的に後援してくださることになりました。

震災直後は、「こんな時、音楽は何の役にも立たないのでは」と感じている音楽家も私の周りにはいました。今、日本は大きな危機に直面していますが、こういう困難な時期において音楽が果たせる役割は何でしょうか。

終戦直後、私は疎開先の松本(長野県)で鈴木鎮一先生にヴァイオリンを習い始めました。「日本が戦争に負けて貧しい時に、男の子にヴァイオリンなんかやらせて何の役に立つのか」と言って石を投げる人もいたので、母は目立たぬよう、風呂敷に包んでヴァイオリンを運んだそうです。  

私は30年近くベルリンのバッハ・コレギウムのコーディネートを仰せつかっているのですが、先輩の話では、戦後間もない頃にバッハのカンタータを演奏した時、オーケストラのメンバーのギャラは(燃料の)コークス1本だけだったそうです。そういう時代でも聴衆はいっぱいだったそうで、音楽を求める心は、生きているんですよ。  

心を潤す、豊かにする。動物と人間との違いはそこにあるように思います。心の豊かさというのは、私たちが人間として誇りに思っていいこと。音楽が人間の活力に、と言わないまでも、何か心に温かさや喜びを与えるものであれば、それで良いのではないでしょうか。それは、秤にかけてプラスマイナスで計算できるものではありませんよね。  

日本では、有名な曲をやらないとコンサートにお客さんが入らないとよく言われます。でも、皆さんの心に安らぎを与えられるのならば、それでもいいじゃないですか。音楽や芸術というのは、目に見えないところで人々にとってプラスになると私は信じています。今度の僕らのコンサートは、ポピュラーな曲ばかりではありません。でも、新作だからといって耳をふさがなくてはならない曲はないと思います。ですから、1人でも多くの方に聴きにいらしていただきたいです。

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東日本大震災チャリティーコンサート

カイザー・ヴィルヘルム記念教会
2011年9月9日(金)20時〜
入場無料

Kaiser-Wilhelm-Gedächtniskirche
Breitscheidplatz, 10789 Berlin
gedaechtniskirche-berlin.de

Programm:
 Edward Elgar: Serenade e-Moll für Streichorchester Op.20
 Wolfgang Amadeus Mozart: Oboequartett F-Dur KV 370
     Ryoichi Masaka Oboe, Mika Yonezawa Violine,
     Masae Kobayashi Viola, Kleif Canarius Violonvello
 Toshiyuki Bamba: Odor of Time for two Violins 1986/1990
     Mika Bamba, Keiko Kido Violinen
 AntoninDvorak* : Terzett C-Dur Op.74 für zwei Violinen und Viola
     Daishin Kashimoto, Kotowa Machida Violinen, Naoko Shimizu Viola
 Charles Ives: The Unanswered Question
 Johann Sebastian Bach: Konzert d-Moll für zwei Violinen BWV 1043
     Sayako Kusaka, Kotowa Machida Violinen
 Ladislav Kupkovic: Für die Opfer des 11. März 2011

樫本大進氏が演奏出来ない場合は、A.Dvorak のTerzettoの代りにP.Hindemithの Trauermusikを清水直子氏がソリストとして演奏。

指揮: 沼尻竜典(びわ湖ホール芸術監督)

出演:
 ヴァイオリン/樫本大進、町田琴和、伊藤マレーネ (ベルリン・フィル)、日下紗矢子 (ベルリン・コンツェルトハウス・オーケストラ)、米沢美佳 (ベルリン・コミッシェオパー)、番場美佳 (ベルリン・ドイツ交響楽団)、矢袋美沙 (ベルリン放送交響楽団)、木戸恵子 (ベルリン・ドイツオペラ)、星秀圃、眞峯紀一郎
 ヴィオラ/清水直子 (ベルリン・フィル)、小林雅恵 (ベルリン・コミッシェオパー)、今津文恵、クリストあずさ
 チェロ/クライフ・カナリウス (ベルリン・コミッシェオパー), 峰本更 (ベルリン・ドイツ交響楽団)
 コントラバス/青江宏明 (ベルリン・コミッシェオパー)
 フルート/ロベルト・レルヒ (ベルリン・ドイツオペラ) 他
 オーボエ/真坂亮一 (ベルリン・コミッシェオパー)
 クラリネット/リヒアルト・オーベルマイヤー (ベルリン・ドイツ交響楽団)
 トランペット/四本喜一

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by berlinHbf | 2011-09-01 14:18 | ベルリンの人々 | Comments(2)

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