ベルリン-東と西が出会う場所。ドイツにありながらドイツではない町。歴史の影に彩られた栄光と悲運の世界都市。そんなベルリンの奥深い魅力をリアルタイムでお届けするブログです。Since 1. August 2005


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中村真人 (Masato)
神奈川県横須賀市生まれ。早稲田大学第一文学部を卒業後、2000年よりベルリン在住。ベルリンの映像制作会社勤務を経て、現在はフリーのライター、ジャーナリスト。


ベルリンガイドブック
「素顔のベルリン」増補改訂版
¥1,680
ダイヤモンド社
(Amazon、全国各書店にて発売中)

本書は2009年10月発行「素顔のベルリン」の増補改訂版です。2013年に改めて新規取材を行い、データを更新。レストランやショッピング、コラムなどのページも増量し、より充実したガイドブックに生まれ変わりました。

Amazonにてネット購入ができます。



『街歩きのドイツ語 』
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三修社

豊富なビジュアルとドイツ語フレーズを楽しめる1冊。基本のあいさつ表現から、街にまつわるドイツ語豆知識まで、ガイドブックとともに旅に役立つ会話集です。




『素顔のベルリン 過去と未来が交錯する12のエリアガイド 』
¥1,575
ダイヤモンド社
(2009年発売)

地球の歩き方シリーズ初、待望のベルリンガイドブック誕生!比類なき歴史を抱えつつ、明日へ向かって日々進化し続ける首都ベルリン。「ドイツで最もドイツらしくない」といわれるこの町の知られざる魅力を、現地在住著者が12のエリアにわけて徹底紹介。


現在のトップ画像は、ベルリン在住のイラストレーター、高田美穂子さんによるオリジナル作品です(詳しくはこちらより)

ベルリン更新情報
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ベルリン個人ガイドのご案内

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ポツダムで聴くフリードリヒ大王の音色

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Nikolaisaal Potsdam

ベルリンでクラシックのコンサートに行くとなると、どうしてもフィルハーモニーかコンツェルトハウスが中心になる。もちろん教会のコンサートもたくさんあるし、時にはクラブが会場になることもある。でも、考えてみたら、ベルリン広しといえども本格的なコンサートホールとなるとこの2つしかない。大変贅沢な悩みではあるのだが、たまには違う場所で音楽を聴いてみたくなる。そんな時にこんなコンサートを見つけた。カンマーアカデミー・ポツダムのシンフォニーコンサートで、指揮がピノック、フルート独奏がベルリン・フィルのパユというもの。そうだ、ポツダムへ行こう!

ポツダムへはSバーンでも行けるが、30分に1本出ている赤のレギオナールバーンの2階席に乗ると、少しは旅行気分が味わえる。とはいえ、ポツダムへの距離感はなかなか微妙なものがあり、ツォー駅からわずか19分でポツダム中央駅に着いてしまう。1時間ぐらい乗れれば、もう少しゆっくり本を読んだり、寝たりということができるのになあと思うが、わずか20分で全く違う雰囲気の街に来たという実感を持てるのだから、やはりポツダムは魅力的。

中央駅からトラムに乗ってアルター・マルクトへ。当夜の会場であるニコライザールは、この広場の前のニコライ教会のことかと思っていたが、そうではなく、ここから徒歩5分ぐらいのWilhelm-Staab-Str.という通りにある。背の低い古典主義様式の建物が壮麗にずらりと並ぶ中の一角に、コンサートを聴きに来た客が次々に入って行くが、一見してここがコンサートホールとは思えない。中庭を抜けた奥にもう1つ建物が面していて、そこがホワイエになっている。お客さんの年齢層はベルリンに比べるとかなり高めか。ベルが鳴って人の流れに沿ってさらに奥へと行くと、まるでポツダムのアインシュタイン塔の曲線を思い起こさせる、どこか表現主義的な(?)斬新なホールが姿を現した。入り口からこの内装は想像できなかったから、新しいホールとの出会いは面白い。

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この夜はプログラムがまた魅力的。最初と最後にハイドンの序曲と交響曲「オックスフォード」が置かれ、その間にカール・フィリップ・エマヌエル・バッハの短いシンフォニア、そしてベンダとクヴァンツのフルート協奏曲が並ぶ。つまり、フリードリヒ大王のチェンバロ奏者、ヴァイオリンの名手(コンサートマスター)、フルート教師という、大王の側近にいた音楽家の作品を続けて聴けるという趣向。実はほぼ同じプログラムのコンサートがベルリンでもあったのだが、フリードリヒ大王の宮廷文化に憧れを抱く私としては、ぜひともポツダムで聴いてみたかった。

全曲に渡って、ピノックが立ってチェンバロを弾きながら指示を飛ばす室内オケの躍動的な響きが素晴らしい。特に、パユが吹いた2曲のフルート協奏曲は圧巻だった。ベンダのホ短調の協奏曲は冒頭から強い表現意欲を感じる作品で、この時代に生まれたフルート音楽の水準の高さを再認識したし、クヴァンツの協奏曲は上品な中にどこかユーモアも感じられて、大王のくつろいだ姿が見え隠れする。パユのフルートの音の空間の広がり方は今更ながらすごいと思う。極小のピアニッシュモ1つ取っても、その響きの豊かさでオーケストラと完全に渡り合っている感じ。そして彼の楽器を口に付ける時のあの「自然さ」は何なのだろう。少なくとも「楽器を構える」という感じじゃないんだよなあ。ちなみに、ニコライザールの休憩時のチャイムはフリードリヒ大王が創案したあの「音楽の捧げもの」(大バッハ)の冒頭のメロディーで、思わず微笑んでしまった。

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かなり大きなホールだったのに、このユニークな構造ゆえ、どこかの邸宅での私的コンサートを楽しんだかのような錯覚を覚える。通りに出ると、人気のない暗闇の向こうからカッポカッポと馬車の音が聞こえてくるような趣。ベルリンでのコンサートとはまた違う余韻を味わいつつ、ナウエン門の下にある「カフェ・ハイダー」で遅い夕食。たまには違う場所で音楽を聴くのもいいものである。来年はフリードリヒ大王の生誕300周年。ポツダムで「音楽のささげもの」でも聴けたら最高だろうなあ。

Sa, 19.02.2011 19:30 
Nikolaisaal - Potsdam

Joseph Haydn
Ouvertüre zu "Orfeo ed Euridice ossia L'anima del filosofo"
Carl Philipp Emanuel Bach
Sinfonie D-Dur Wq 183 Nr. 1
Franz Benda
Flötenkonzert e-Moll
Johann Joachim Quantz
Flötenkonzert G-Dur
Joseph Haydn
Sinfonie Nr. 92 G-Dur “Oxford”

Emmanuel Pahud Flöte
Trevor Pinnock Dirigent
Kammerakademie Potsdam

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by berlinHbf | 2011-02-28 23:54 | ベルリン音楽日記 | Comments(9)

クロイツベルクの天然リンクでスケートを楽しむ

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ここ数日の猛烈な寒さのせいで、昨日クロイツベルクのEngelbecken(天使の池)の前を通りかかったら、完全に凍結していました。看板には「氷が張った時の立ち入りは禁止。生命の危険!」と書かれていましたが、氷の上でキャーキャー言いながら遊んでいる人たちに誘われて、入ってしまいました。

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このブログの前からの読者の方なら、この風景に見覚えのある方もいらっしゃるかも。向こうに見えるのは聖ミヒャエル教会。昔ちょうど東西の国境だった地点です。本格的に滑る人は、ここでスケート靴に履き替えます。

関連記事:
クロイツベルク時空散歩(3) - 水路とコンクリートの狭間で - (2007-05-04)

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おお、ベビーカーを持って湖上を歩く人も^^;)。

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教会の反対側を見渡すと、旧西側(クロイツベルク)は19世紀末〜20世紀初頭のアルトバウのアパートが多く並びます。

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その反対側の旧東側(ミッテ)は、統一後に造られたと思われる新しいアパートが並んでいました。奥にはアイスホッケーのゲームをしているグループも見られます。とにかくみんなうまい。

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小さな池とはいえ、これだけ大きな氷の上を歩くのは北国ならでは。結構興奮しました。でも、この向こうは見るからにちょっと危険そう。

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厳寒の数日が終わり、今日から最高気温は氷点下から脱するみたいです。氷の上を歩けるのも、昨日がこの冬最後だったのかもしれません。

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by berlinHbf | 2011-02-25 17:21 | ベルリン発掘(境界) | Comments(3)

NHK「テレビでドイツ語」3月号

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NHK「テレビでドイツ語」2011年3月号のテキストが発売になりました。今年度締めくくりの号は、ベルリンのSバーンが表紙ですね。「映画で歩くベルリン」の最終回、できたら21世紀に入ってからの「いまの」ベルリンを描いた作品を紹介したかったのですが、残念ながら日本に紹介された適当な作品がない・・・。ということで、結局1998年の『ラン・ローラ・ラン』を取り上げました。でもそれが不本意というわけでは必ずしもなく、再び見直してみたらいろいろな発見がありましたし、このシリーズでは肝心のミッテ地区をまだほとんど取り上げていなかったので、そういう意味でもよかったかなと思っています。これで最後かと思うと、寂しい気持ちもありますが、熱心なスタッフと読者の皆さんに後押しされながら、毎回楽しく書かせていただきました。1年間どうもありがとうございました。4月からの放送では、ベルリンからミュンヘンへと舞台が移るそうです。

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by berlinHbf | 2011-02-20 13:04 | ドイツ語関連 | Comments(7)

ギャラリー・ラファイエットで魚料理を食する

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ドイツに住んでいて時々どうしても恋しくなるのが魚です。

フリードリヒ通りに面したフランス系のデパート、ギャラリー・ラファイエット(Galeries Lafayette)。ここの地下に魚料理を食べさせるお店があると友達から教えてもらい、先日日本からのお客さんと足を運んで来ました。食品売り場のコーナーを歩いて行くと、上りのエスカレーターの目の前にありました!ちょうど牡蠣のシーズンだったので、食べている人もちらほら。ショーケースには新鮮なお魚がずらりと並んでいます。

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黒板に書いてある手書きのメニューはとても読みにくい^^;)。ウェイターさんは、白身魚2種類とイワシの盛り合わせ(18ユーロ)を勧めるのでそれにしてみることに。で、出てきたのがこちらです。

レモンをたっぷりかけていただいたところ、これが大変美味でした^0^。白身魚の種類は残念ながらわからなかったのですが、淡白でくせのない味わい。イワシのグリルはかなり香辛料が効いていて、それがまた香ばしくて食欲をそそります。ライスはこちらにはよくあるパサパサ系だったものの、サラダのドレッシングに至るまで、それを補って余りある満足度でした。日本に住んでいた時は、焼き魚で感動することなんてほとんどなかったのですが、こちらではもう大変貴重なご馳走です。

エスカレーターのすぐ近くのテーブルで食べていたら、香ばしい匂いがそばを通りかかる人々の心に触れたのか、たちまち周りのテーブルが一杯になりました(笑)。決して安くはありませんが、魚が恋しくなったら、訪ねてみてください。

Galeries Lafayette Berlin
Friedrichstraße 76-78
10117 Berlin

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by berlinHbf | 2011-02-17 15:48 | ベルリン発掘(東) | Comments(6)

発掘の散歩術(7) - シェーンハウゼン宮殿 凝縮された歴史 -

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庭園側から望むシェーンハウゼン宮殿

今から来年のことを話していたら鬼に笑われてしまうかもしれないが、2012年はフリードリヒ大王(1712~86)の生誕300周年。そのメモリアルイヤーに向けて、縁のあるベルリンとブランデンブルクでは記念行事の準備が着々と進められている。大王と言えばポツダムのサンスーシ宮殿が名高いが、今回はその影に隠れてはいるものの、実に興味深い歴史を持つ、もう1つの宮殿をご紹介しよう。

U2の終点パンコウ駅で降り、オシエツキー通りを北に進むと、緑に囲まれたのどかな風景の向こうに、どこか女性的な優美さを備えたバロック様式の宮殿が見えてくる。これがシェーンハウゼン宮殿だ。

宮殿の歴史は17世紀後半にさかのぼる。オランダ出身で名門ドーナ家の伯爵夫人がこの地を買い取り、オランダ風の館と酪農場を建てさせたのが始まりらしい。その後、館は建て替えられ、新興国のプロイセンがこの地を買い取った。初代フリードリヒ1世はバロック様式の宮殿へと規模を拡大し、裏手に豪華な庭園を作り上げた。

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シェーンハウゼン宮殿前のエリーザベト・クリスティーネ(1764年以降)

プロイセン時代、ここのもっとも有名な居城主は、フリードリヒ2世(大王)の「妃」だったエリーザベト・クリスティーネである。よく知られているように、厳格な父親による強制的な結婚は、2人に幸福な結果をもたらさなかった。大王は最初から彼女に関心がなかったようで、ほどなくして別居状態に陥った後、ポツダムに籠る。失意のエリーザベトは1740年から没するまでの60年近く、毎年夏の3カ月をここで過ごすこととなった。

1階はそのエリーザベトに関する展示。暖炉や家具類は当時のもので、訪れる者を18世紀の宮廷生活に誘う。200年以上も昔のものとは思えない、花をモチーフにした壁紙の美しさには特に目を見張った。

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圧巻だったのは、2階中央にあるフェストザール(祝祭の間)。この宮殿の中で、唯一完全にロココの内装が残された部屋だ。まるで生きた植物と見紛う天井の装飾の見事さは(丹念な修復技術も特筆されるべきだろう)、言葉にならないほど。

次の部屋へ入った瞬間、別の時代にいきなりタイムスリップしたような感覚を味わった。どこかレトロなピンク色の壁紙とグリーンの椅子。東独のデザインに特別の関心がなくても、ここに来ればピンとくる人は多いはずだ。エリーザベトの没後、荒れ果てていた宮殿は東ドイツの建国と共に長い眠りから覚め、約10年間、東独大統領の居城として使われたのである。初代大統領ヴィルヘルム・ピークの執務室がその横に並ぶ。当時、東独の最高幹部たちはすぐ近くのマヤコフスキー環状通りに住んでいたため、この周辺一帯は外部世界と完全に隔離されていたという。

最後に見たのは、1964年以降、外国からの国賓のゲストハウスとして使われていた部分。ホー・チ・ミンやカストロ、カダフィらがここに宿泊し、最後の客人は1989年10月、東独建国40周年の式典でベルリンを訪れたソ連のゴルバチョフ夫妻だった。その1カ月後、壁は崩壊。翌年6月、ドイツの再統一に関する「2プラス4会議」が開催されたのも、この宮殿に面した別の建物である。

見学を終えて、私は思わずため息をついた。ベルリンとポツダムにプロイセンの宮殿は数多くあれど、18世紀の優雅なロココから20世紀末の激動の再統一まで、ドイツの歴史をこれほど凝縮した場所もそうはない。ともかく一度は訪れる価値のある宮殿である。
ドイツニュースダイジェスト 2月11日)


Information
シェーンハウゼン宮殿
Schloss Schönhausen

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花をモチーフにした18世紀の壁紙(1階)
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東独時代、国賓のゲストハウスのバスルーム(2階)

宮殿の展示は、王妃の居城、宮殿と公園の歴史、ドーナ=シュロビッテン家の芸術コレクション、東ドイツ時代に関するもの、に大きく分けられる。少し町外れに位置するが、中心部からパンコウ(Pankow)駅まで地下鉄1本で、そこからは徒歩約15分。裏手の庭園は散歩にも最適だ。2009年末の再オープン以来、客足は好調だという。

開館:10~3月は土日の10:00~17:00(ガイドツアーによる見学のみ)。4~9月は月曜を除く10:00~18:00
(火~金はガイドツアーによる見学のみ)。
住所:Tschaikowskistraße 1, 13156 Berlin
電話番号:(030)4039 4926 10
URL:www.spsg.de


ガストハウス・マヤコフスキー
Gasthaus Majakowski


かつて東独の最高幹部たちが住んでいたマヤコフスキー環状通りにあるレストラン。19世紀の邸宅を生かして造られただけあって、優雅な雰囲気の中、季節の素材を生かした新感覚のベルリン料理を味わえる。もちろんカフェとしても利用できるので、シェーンハウゼン宮殿を見学した後に立ち寄ってみてはどうだろう。

営業:月~金12:00~。土日祝11:00~。
ただし、11~5月の毎週月曜は定休日。
住所:Majakowskiring 63, 13156 Berlin
電話番号:(030) 4991 8250
URL:www.majakowski-gasthaus.de

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by berlinHbf | 2011-02-13 13:09 | ベルリン発掘(東) | Comments(0)

プラーク広場とカフェとケストナーと

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もう大分前になりますが、ベルリンの戦前の写真集を眺めていたら、プラーク広場(Prager Platz)という円形が特徴的な広場に出会いました。日本語に訳すと「プラハ広場」。ベルリンが西に拡張する19世紀後半に開発された一帯で、地図で見ると、プラーク広場は大通りのブンデスアレーを挟んだニコルスブルク広場とシンメトリックにデザインされたのがよくわかります。冒頭の写真は1911年の絵はがき。当時のプラーク広場の様子をよく伝えてくれます。

この広場が実は自宅から歩いて行ける距離にあることを知ったのは、ヴィルマースドルフに引っ越して少し経ってからのことでした。

U9のGüntzelstraße駅の北側出口を上がると、目の前に大きなオーガニックスーパーが建っています。後ろを振り返ると、『ベルリン・天使の詩』に登場するインビスが見えるはず(以前こちらでご紹介)。そのまま北側にまっすぐ行くとベルリン在住者ならおなじみ、日本食レストラン「一心」(Ishin)のブンデスアレー店(Bundesallee 203)が右手に見えてきますが、今回はオーガニックスーパーの前で右折し、トラウテナウ通りを歩いて行きましょう。

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駅から広場へは歩いて3分もかかりません。冒頭の絵はがきとほぼ同じアングルから撮った写真がこれ。右手はモッツ通り、左手はプラーク通り。この辺りは戦争の被害が著しく、残念ながら戦前の趣はほとんどありません。これらのモダンな建築群は、1987年以降ベルリン国際建築展(IBA)のプロジェクトで造られたものです。この写真の右端に、たまに行くカフェが見えるので、ちょっと行ってみましょう。

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Prager Platz 6にあるCafé BagCo。セルフサービスのごく普通のカフェなのですが、ここでくつろぐ時間はなかなかいいものです。

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私たちのお気に入りは、大きな窓に面したこのカウンター席。足がつかえやすくて、お世辞にも座りやすい構造ではないのですが^^;)、本や新聞を読みながら広場を行く人々を時折ぼんやり眺めるのが好きなのです。

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右手にはプラーク通りが奥へと続きます。昨年『エーミールと探偵たち』の舞台を調べている時に知ったのですが、作者のエーリッヒ・ケストナーは1920年代当時、プラーク通り6番地に住んでいたのですね。原作の序文にある、(自宅の窓からプラーク広場の方を眺めながら)「手ごろなお話が通りかからないかなあと考えていた」(池田香代子訳)という箇所からあれこれ想像したり、映画の中のシーンを思い出したりしていると、カフェでのひと時が一層味わい深くなるのであります。

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Café BagCo
Prager Platz 6
10779 Berlin
Tel: (030) 54737954

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by berlinHbf | 2011-02-09 23:08 | ベルリン発掘(西) | Comments(11)

角田鋼亮さんの卒業演奏会を聴く

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2月になると大学の冬学期も終わりに近づき、私の周りでも日本に完全帰国する友達がちらほら出てきましたが、その1人、指揮者角田鋼亮さん(HPはこちら)の卒業演奏会を最近聴いてきました(角田さんと知り合ったのはかれこれ5年ぐらい前で、その間このブログでも何度かご紹介してきました。下記参照)。彼はハンス・アイスラー音楽大学でディプロームを取得した後、国家演奏家資格課程(Konzertexamen)でさらなる研鑽を積み、この度コンツェルトハウスでの卒業演奏会(兼卒業試験)を迎えたわけです。

関連記事:
指揮者角田鋼亮さんインタビュー(1)(2) (2008.01)

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毎年2月に行われる卒業演奏会(Absolventenkonzert)に出演する学生は、コンツェルトハウス管弦楽団という一流のプロオーケストラと共演する機会が得られます。演奏されたのは、ブリテン、コルンゴルト、ショパン、チャイコフスキー。出演者のプロフィールを読むと、1980年前後に生まれた人が多く、国籍はフランス、ブルガリア、中国、ロシア、日本とさまざま。ドイツの音大なのにドイツ人が1人もいないというのには、何とも不思議な気がします。

この日は夕方にもう1つ用事があり、私は後半から聴くことになりました。かなり腕の立つ奏者でも、ステージマナーがまだどこかぎこちなかったりということはあるのですが、オーケストラの人たちはそんな若い音楽家の門出を温かく送ろうとしているのが、よく感じられました。

トリを飾った角田さんの指揮するチャイコフスキー作曲の幻想序曲『ハムレット』は、素晴らしかったと思います。曲全体を把握した丁寧な指揮ぶりは相変わらずで、十分にドラマチックでありながら、伝統的にロシア音楽に強いこのオーケストラから深みのある音色を引き出していたように感じました。

本人から本番後の写真撮影を頼まれ、掲載許可もいただいたので、あと何枚かその時の様子をご紹介します。

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見事なオーボエのソロを披露した奏者を立たせる場面。

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最後はオーケストラ側からも拍手を受ける。

審査員は、師のクリスティアン・エーヴァルト氏の他、ヴァイオリニストのコリヤ・ブラッハー氏やホルニストのノイネッカー氏など、そうそうたる顔ぶれだったそうですが、結果、最優秀の成績で、ドイツ国家演奏家資格を取得することになったとのこと。素晴らしいことですが、角田さんのTwitterにはこう書かれていました。「とはいえ全く浮かれていられず、『学生』という身分に終止符を打つことになるわけで、一層責任を持って一つ一つの音楽・仕事に向き合っていきたいと思います」。

角田さんと知り合ってから、指揮者という職業の一端を垣間見させてもらう機会がいろいろあったわけですが、印象に残っている彼の言葉の1つが、「どのオーケストラであっても、最初のリハーサルの前夜は緊張で寝られないことが多い。例えどんなに曲の事を勉強していても」というもの。そういえば、最近読んだ佐渡裕さんのインタビューでも、似たような言葉に出会いました。「僕らの仕事は1回ごとに新しいものを創っていく連続なので、根拠のない自信はもてないです」(Skyward誌。2010年8月号より)。

棒1本で世界を渡って行く指揮者という仕事の魅力、そしてその厳しい世界に思いが至ります。実際、例えばこのコンツェルトハウス管弦楽団の定期演奏会に客演指揮者として呼ばれるのは、相当大変なことなのだと想像しますが、現在30歳の角田さんのプロの指揮者人生はまだ始まったばかり。定年のない指揮者の世界では、彼はあと半世紀ぐらい(!)は振り続けることになるわけで、時間をかけてじっくり音楽を熟成させていってほしいと願っています。日本でもヨーロッパでも、またいつか角田さんの創る音楽に耳を傾けるのが楽しみです。まずは、卒業おめでとう!

Absolventenkonzert der Hochschule für Musik »Hanns Eisler« Berlin
Konzerthausorchester Berlin
Adrian Pavlov
Rustam Samedov
Jiannan Sima
Kosuke Tsunoda

Guillaume François Tenor
Alec Frank-Gemmill Horn
Zhijiong Wang Violine
Nadeshda Tselouikina Klavier

Benjamin Britten Serenade für Tenor, Horn und Streichorchester op. 31
Erich Wolfgang Korngold Konzert für Violine und Orchester D-Dur op. 35
Fryderyk Chopin Rondo à la Krakowiak für Klavier und Orchester F-Dur op.14
Fryderyk Chopin Variationen über »La ci darem la mano« für Klavier und Orchester op. 2
Pjotr Tschaikowsky »Hamlet« Fantasie-Ouvertüre nach Shakespeare op. 67

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by berlinHbf | 2011-02-06 22:21 | ベルリン音楽日記 | Comments(2)

歴史博物館のヒトラー展

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あえて写真を排したヒトラー展のポスター

昨年10月に始まったドイツ歴史博物館の「ヒトラー展」は、公開当初からドイツ内外で大きな話題を集め、12月末の時点で見学者数はすでに16万人を超えています。2010年の博物館全体の訪問者数も、記録を更新したそうです。

この展覧会の正式名は、「ヒトラーとドイツ人 民族共同体と犯罪」。ナチスの独裁体制は、ヒトラー自身のカリスマ性だけで説明できるものではなく、幅広い層のドイツ人の期待があったからこそにほかなりません。この展覧会の特徴は、ヒトラー個人だけではなく、それまで無名だったヒトラーを「総統」にまでのし上げた、当時のドイツの社会状況やドイツ人の精神状況にも焦点を当てていることです。

昨年の12月末、この展覧会に足を運んできました。雪が降る中にもかかわらず、客入りは上々。地元のドイツ人だけでなく、観光客の割合もかなり高いようでした。展示は全部で8つのカテゴリーから成り、「総統神話」から「終わりなきヒトラー」まで時系列に並んでいます。当時の写真やポスターだけでなく、ヒトラーの直筆メモや『我が闘争』の各国語版など、興味深い展示物が目白押しでした。

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© dapd

前半の展示物で特に印象に残ったのは、写真や映像に記録されたヒトラーに熱狂する一般市民の表情、そして彼の43歳の誕生日に寄せられた市民からの手紙の数々です。「親愛なる総統へ」などの文面で始まるメッセージを眺めていると、老若男女問わず、ドイツ人のヒトラーへの期待感は本物だったのだと今さらながら実感します。

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© dapd

ナチスによる暴力がエスカレートし、やがて戦争へと突入する後半部分で私の心に刻まれたのは、ユダヤ人の迫害に関する展示です。「この村へのユダ ヤ人の立ち入りは望まれない」と書かれた看板や通りのど真ん中で辱めを受ける若いユダヤ人女性……。

当展覧会のキュレーターである歴史学者のハンス=ウルリヒ・ターマー教授とジモーネ・エルペル教授は、(展覧会の副題の)「民族共同体(Volksgemeinschaft)」についてこう説明しています。「この概念のシステムは、受け入れと排除の原理によって成り立っていた。根本にあるのは人種差別的な思考であり、それゆえ暴力を核に持つイデオロギーだった」。ヒトラーに熱狂した人々は、排除される側へ想像力を巡らすことには鈍感だったのでしょう。

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会場のI.M.ペイ設計による歴史博物館の新館

これと同次元で語ることはできませんが、現在ヨーロッパではイスラム系の移民排斥など、右傾化の動きが顕著に見られるようになってきています。ベルリン工科大学・反ユダヤ主義研究センターのヴォルフガング・ベンツ教授は、「19世紀の反ユダヤ主義と現代の反イスラムの動きには、排除の原理などで共通点が見られる」と不穏な分析をしています。

「ヒトラーとドイツ人が引き起こした膨大な犯罪は、いかにして起こったのか」。この問いは、現代を生きる私たちも避けて通ることができないのではないかと感じました。 当初は2月初旬までの開催予定だったこの展覧会、大きな反響を受けて2月27日まで延期されることになりました。貴重な機会をお見逃しなく。
www.dhm.de (開館は毎日10:00~18:00、金曜は21:00まで)
ドイツニュースダイジェスト 2月4日)

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by berlinHbf | 2011-02-03 12:40 | ドイツ全般 | Comments(6)

日独交流150周年の記念切手

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先ほどポストを開けてみたら日本からの手紙が届いていました。久々に手紙をいただく方だったので、うれしい気分で封を切ろうとした時、ふと切手に目が入りました。「おお、ブランデンブルク門のクワドリガだ!」。

ご存知の方もいらっしゃると思いますが、日独交流150周年の今年、日本とドイツでほぼ同時期に記念切手が発売されます。一足先、1月末に日本側で発売されたのが、こちら↓(詳細は日本郵便のHPにて)

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ノイシュヴァンシュタイン城やブランデンブルク門の他、バンベルクの旧市街やツォルフェライン炭鉱業遺産群など、ドイツの世界遺産もモチーフになっています。左側に見える奈良の薬師寺とレーゲンスブルク旧市街は、日独の共通モチーフとして、2月3日からドイツで発売される記念切手のデザインにもなります。ちなみに75セントがレーゲンスブルクのドーム、55セントが奈良の薬師寺です(同じ日に、フランツ・リストの生誕200年の切手も発売!1枚55セント)。

もう1つ耳寄りな情報。今年から、ドイツから日本へ送る際の郵便料金が変わりました。これまで別々のカテゴリーだった「ヨーロッパ」と「それ以外の海外」の区別がなくなり、ヨーロッパだろうが、日本だろうが、ポストカードは75セント、標準サイズの手紙も同じく75セントに統一されたんです(Deutsche Postの国際郵便の料金)。これまで日本へポストカードを送るだけで1ユーロかかっていたので、ドイツから日本に送る人にとっては朗報といえるでしょう。そういうわけで、この記念切手は私もセットで購入しようと思っています。

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by berlinHbf | 2011-02-01 14:10 | ドイツから見た日本 | Comments(4)

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