ベルリン-東と西が出会う場所。ドイツにありながらドイツではない町。歴史の影に彩られた栄光と悲運の世界都市。そんなベルリンの奥深い魅力をリアルタイムでお届けするブログです。Since 1. August 2005


by berlinHbf

プロフィールを見る

S M T W T F S
1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30 31

中村真人 (Masato)
神奈川県横須賀市生まれ。早稲田大学第一文学部を卒業後、2000年よりベルリン在住。ベルリンの映像制作会社勤務を経て、現在はフリーのライター、ジャーナリスト。


ベルリンガイドブック
「素顔のベルリン」増補改訂版
¥1,680
ダイヤモンド社
(Amazon、全国各書店にて発売中)

本書は2009年10月発行「素顔のベルリン」の増補改訂版です。2013年に改めて新規取材を行い、データを更新。レストランやショッピング、コラムなどのページも増量し、より充実したガイドブックに生まれ変わりました。

Amazonにてネット購入ができます。



『街歩きのドイツ語 』
¥1,575
三修社

豊富なビジュアルとドイツ語フレーズを楽しめる1冊。基本のあいさつ表現から、街にまつわるドイツ語豆知識まで、ガイドブックとともに旅に役立つ会話集です。




『素顔のベルリン 過去と未来が交錯する12のエリアガイド 』
¥1,575
ダイヤモンド社
(2009年発売)

地球の歩き方シリーズ初、待望のベルリンガイドブック誕生!比類なき歴史を抱えつつ、明日へ向かって日々進化し続ける首都ベルリン。「ドイツで最もドイツらしくない」といわれるこの町の知られざる魅力を、現地在住著者が12のエリアにわけて徹底紹介。


現在のトップ画像は、ベルリン在住のイラストレーター、高田美穂子さんによるオリジナル作品です(詳しくはこちらより)

ベルリン更新情報
2013/02/20 up

ベルリン個人ガイドのご案内

執筆、ガイド、コーディネートなどのご依頼、お問い合わせはこちらまで(これまでの出版・寄稿実績)→
masatoberlin[AT]
yahoo.co.jp

ドイツ語ブログ
Berlin no kaze
1/18 up!「Schreiben auf deutsch über Japan」

※お願い
当ブログの写真や文章に関する、無断での転写・転用を禁じます。
© Copyright 2005-2015 Masato Nakamura. All Rights Reserved





検索

フォロー中のブログ

ニューヨークの遊び方
foggyな読書
おやぢの部屋2
怠け者の備忘録
庭は夏の日ざかり
資料館の書庫から
Morios Tagebuch
Prost Familie!
田口ランディ Offic...
長坂道子「ときどき日記」
ほにゃく犬の字幕ほにゃく日記
まめびとの音楽手帳
blue in green
毎日ベルリン!
大栗博司のブログ
好きを仕事にする大人塾「...
Trans Europe...
ヤッホー!今日はどちらへ?
ドイツ木組みの家街道 -...
Sayako's Con...
こなな日記 Vol.2

外部リンク

<   2008年 04月 ( 19 )   > この月の画像一覧

伝説のハンザ・スタジオ

e0038811_1383862.jpg
ベルリン中心部のポツダム広場は、この街の栄光と挫折を知る場所だ。ここ10年で未来都市のように生まれ変わり、東西分断時代の荒野のような光景を想像するのはもはや難しくなった。そのすぐ南のケーテナー通りを歩くと、周囲とは異彩を放つように戦前の重厚な建物が見えてくる。これは「マイスターザール」と呼ばれる往年の舞踏会場で、今回の舞台「ハンザ音響スタジオ(Hansa Tonstudio)」はその中にある。
e0038811_1334579.gif
1964年にマイゼル兄弟によって設立されたハンザ・スタジオは、72年に現在のケーテナー通りに移転してきた。ベルリンの壁のそばにあったことから「Hansa by the Wall」と呼ばれ、数々のレコーディングが行われた伝説のスタジオだ。

e0038811_1532160.jpg
18年前からここで音響技師として働いているアレックス・ヴェンデさんに話を聞いた。当初、スタジオは全部で6つあり、スタジオ1と大きなマイスターザールの二つがメーンスタジオとして使われていた。後者は93年、戦前の雰囲気を残すイベント会場として復活し、スタジオとして使われることはなくなったものの、現在も大小3つのスタジオが多くのミュージシャンに愛用されている。7月までの予約は完全に埋まっているのだそうだ。

それにしてもなぜ当時、こんな辺ぴな場所が録音会場に選ばれたのだろうか?

「理由は簡単だよ。ここがとても静かだったからだ。周囲には何もなかったし、200メートル歩けばもう壁。アーティストはレコーディングに集中することができた。そして間違いなく、この特異な環境が彼らにインスピレーションを与えたのだろうね」
e0038811_1432814.jpg
77年、西ベルリンに滞在していたデヴィッド・ボウイは、壁際にたたずむ恋人に着想を得て、名曲「ヒーローズ(Heroes)」を書き、ハンザ・スタジオで録音した。ベルリンの壁崩壊直後の90年にはU2が「アクトン・ベイビー(Achtung Baby)」を、その他イギー・ポップ、デペッシュ・モードなど、ここでレコーディングをした名だたるアーティストを挙げると枚挙にいとまがない。

e0038811_1541460.jpg
ヴェンデさんはミックスルームも見せてくれた。
「ここから一体、何曲のヒットソングが生まれたことか。大きなミキサーは80年に約140万マルクで購入したそうで、見た目は古いけれどクオリティーは本当にすばらしい。今ならきっと、ものすごい価格がつくだろうね」

e0038811_145267.jpg
2006年まで現存していた「壁」。いまはもうない。

スタジオを後にすると、周囲の風景がそれまでとは少し違って見えてきた。マイスターザールの周りは建物が乱立し、今では空き地を探すのさえ難しい。この近くにほぼ唯一残っていたオリジナルの壁も、2年前に取り壊されてしまった。だが、東西分断時代のベルリンだけが持っていたあの空気感のようなものは、例えばデヴィッド・ボウイという稀有なアーティストとハンザ・スタジオとの出会いによって、音として永遠に遺されることになったのだ。
ドイツニュースダイジェスト 5月2日)

人気blogランキングへ
by berlinHbf | 2008-04-30 19:07 | ベルリン音のある街 | Comments(4)

市民投票は成立せず

e0038811_22372789.jpg
ドイツ:「冷戦の遺物」テンペルホフ空港、閉鎖確実に 市民投票不成立

 【ベルリン小谷守彦】ベルリンにあるテンペルホフ空港の存廃をめぐる市民投票が27日行われ、存続を求める票は州憲法が規定する定足数(全有権者の25%の賛成)に達せず、存続を求める「市民決議」は不成立に終わった。東西冷戦によるベルリン封鎖(1948~49年)で西側の物資空輸作戦の受け入れ先となった同空港は、市の決定通り今年10月に閉鎖されることがほぼ確実になった。毎日新聞 2008年4月28日 東京夕刊

こういう結果となりました。
何より投票率(36.1%)が低かったことが大きな敗因で、街中を埋め尽くした看板に象徴される派手なキャンペーンとは裏腹に、市民の関心は意外と低かったことが浮き彫りとなった形です。冒頭の新聞記事の見出しは、「大部分のベルリーナーにとって、テンペルホーフはどうでもよい」。

e0038811_0373577.jpg
あの共和国宮殿の解体が最後までもめたように、多少なりとも西ベルリン市民のアイデンティティーと関わっているこのテンペルホーフ空港の閉鎖も、まだ最後まで何が起こるかわかりませんが、空港は予定通り10月31日で閉港になることは確実となりました。夏以降は記念イベントなども行われることでしょう。9月20日と21日には、ベルリン・フィルが3人の指揮者(ラトル、ハーディンク、ボーダー)のもとシュトックハウゼンの「グルッペン」という大オーケストラ作品を空港内の格納庫で演奏することになっています(詳細はこちら)。あの広大な歴史ある空間に、いったいどんなサウンドが響きわたるのか、いまから興味津々です。

人気blogランキングへ
by berlinHbf | 2008-04-29 16:22 | ベルリンのいま | Comments(6)

どうなる?テンペルホーフ空港

e0038811_658627.jpg
ここ最近、このマークの入ったポスターや立て看板をベルリンの街中で見かけないことはありません。ベルリンに3つある空港の中でも特異な歴史と建築物で知られるテンペルホーフ空港の今後については、昨年「テンペルホーフ空港の将来は?」で書きましたが、今年10月末での閉港に反対する人は依然多く、この日曜日Volksentscheidという名の住民表決が実施されることになったのです。この表決の結果に法的な決定力があるわけではないものの、空港閉鎖でここまでの事態になったことに門外漢の私は正直驚いています。

e0038811_17463544.jpg
いろいろな意見があるのでしょうが、数日前にお会いした生粋のベルリーナー、ウルリッヒさんの声をご紹介しましょう。
テンペルホーフは閉港すべきだよ。私は9歳のときにベルリン空輸(Luftbrücke)を経験し、当時のことはよく覚えているけれど、もう60年近く前の話だろ。反対活動のキャンペーンの中心にいるのは、経済界や自家用飛行機が街の中心に着陸できなくなって困る金持ち連中ばかりじゃないかな。CDUは一斉に声をあげて反対しているけど、そもそも10年以上前にテンペルホーフの閉港を最初に言い出したのは、CDUのディープゲン市長(当時)なのは知っているかい?空港の建物は歴史的に貴重だし、残すべきだとは思うけれど、ほとんど飛行機が飛ばないのに莫大な維持費を考えると、空港の続行は馬鹿げている。とはいえ、空港を閉鎖した後に、あの膨大な敷地をどう活用するべきなのか、それは私にもわからない・・・
こういう意見がある一方で、先日メルケル首相(CDU)が「テンペルホーフ空港は、多くの人にとって、また私個人にとっても、ベルリン空輸によってこの町のシンボルだ」と閉港に反対する発言をし、たちまち賛否両論の渦が巻き起こりました。

e0038811_730358.jpg
私は当然投票権を持っているわけではないし、閉港に賛成でもどうしても反対というわけでもありませんが、今日の市民投票の行方はとても気になりますね。結果が出たら、別紙にも書くつもりです。

人気blogランキングへ
by berlinHbf | 2008-04-27 01:34 | ベルリン発掘(西) | Comments(10)

プレンツラウアーベルクの"Malzcafe"

e0038811_3104198.jpg
私がベルリンに戻ってからの肌寒い日々がうそのように、今週はすばらしい晴天が続きました。

e0038811_3105832.jpg
久々にプレンツラウアーベルクに赴き、Danziger StraßeとKnaackstraßeの角にある"Malzcafe"というカフェに入りました。知人に連れられて初めて入ったのですが、感じのいいお店でした。

e0038811_3111513.jpg
内装はオリエンタルな雰囲気も入っていて、ちょっと独特です。

e0038811_3113570.jpg
大きな窓からは、青空に映える黄色のトラムが斜めの角度で見えて、これまたいい感じ^^)。

e0038811_311528.jpg
チキン入りの大きなサラダ(7.3ユーロ)を頼んでみたら、これがおいしかった。新鮮な野菜と、パリパリのチキンのハーモニーが絶妙。おいしいものを食べて、私もようやく元気になってきました。

Malzcafe, Knaackstr. 99,
tel. 030-440 47 227.

2014年4月追記:
このカフェはいつの間にかなくなりました。


人気blogランキングへ
by berlinHbf | 2008-04-25 20:41 | ベルリン発掘(東) | Comments(4)

「記憶の列車」@グルーネヴァルト駅

e0038811_1831100.jpg
月曜日(21日)の新聞を見ていたらクラウス・ヴォーヴェライト ベルリン市長が、この日グルーネヴァルト駅に停車している「記憶の列車」を見学に訪れるというので、再度足を運んでみることにした。以前「17番線」でご紹介したグルーネヴァルト駅は、戦時中ベルリンのユダヤ人の大多数が収容所に送られたという場所である。

e0038811_18458.jpg
リヒテンベルク駅のときと違って、重厚な蒸気機関車が客車を牽引していた。車体を見ると、「1919年ポーゼン(現ポズナニ)製」とあり、あちこちに花が献花されている。ドイツでSLを見るのは初めてのことだった。列車が停車していたのはあの「17番線」ではなかったが、向かいにSバーンがひっきりなしに停まるホームにおいては、日常性とのつながりを感じさせていたように思う。

e0038811_1842829.jpg
久々の晴天ということもあって、おそらく2時間待ちと思われる行列ができていた。

e0038811_1845458.jpg
17時30分、ヴォーヴェライト市長が現れた。展示を一巡してから、「記憶の列車」の主催者と共に挨拶を始めた。記憶を社会の中で共有することの重要さを語った市長は、今回のドイツ鉄道の対応を批判。ここで拍手が起こった。そうかと思えば、現在存続か廃止かで大きな話題になっているテンペルホーフ空港について、野次を受ける場面も。

e0038811_1852152.jpg
挨拶が終わると、今度はテレビの取材で大混雑に。

e0038811_1854429.jpg
帰り際、カメラを向けたらこちらを見て軽く頷いてくれたヴォーヴェライト市長。

e0038811_1862647.jpg
駅の地下通路ではクレズマーの物悲しい音楽が響き渡っていた。

e0038811_1864317.jpg
テレジンシュタットで殺害されたユダヤ人夫婦のひ孫が情報提供を求めている、こんな張り紙を見つけた。彼らにとっては、60年以上も過去の話というより、自分のルーツとも密接に関わる切実な問題なのだろう。

e0038811_1871175.jpg
「記憶の列車」は、これからブランデンブルク、ザクセン州を巡回した後、ドイツの終戦記念日の5月8日にアウシュヴィッツに到着することになっている。

参考
グルーネヴァルト駅17番線

人気blogランキングへ
by berlinHbf | 2008-04-24 12:06 | ベルリンのいま | Comments(11)

「記憶の列車」@リヒテンベルク駅

e0038811_16143762.jpg
ベルリンへ戻った翌週、久々に新聞を見ていたら、ちょうどベルリンに「記憶の列車(Zug der Erinnerung)」という展示列車が来ていて大きな話題になっていることを知った。これは、ナチスによるホロコーストの犠牲になったヨーロッパ中の子供たちを追悼する移動展示で、昨年11月にフランクフルトを発って以来、ドイツ中の都市を巡回し、これからベルリンの5つの駅で展示されることになっていた。主催者側は当初ベルリン中央駅での展示を希望していたが、ドイツ鉄道(DB)が実務上の理由から拒否したため抗議行動にまで発展していたことも知った。その他、DBは、この列車の走行や駅に停泊させるための料金を請求してきたらしいが、何しろドイツ鉄道の前身は、かつてナチスと手を組んでホロコーストの実行に協力したドイツ帝国鉄道だけに、「記憶の列車」の主催者側は余計ナーバスになっていたのかもしれない。

e0038811_16145937.jpg
先週火曜日のこの日、「記憶の列車」は東のリヒテンベルク駅に停まっていた。展示車両は2両で、一度に中に入れる人数が限られていることもあってか、かなりの行列ができていた。どうしようかと思ったが、とりあえず並んでみることに。結局、寒い中1時間以上待つことになり、風邪をこじらせてしまうのだが・・・

e0038811_16151758.jpg
狭い車内は人であふれていた。これはギリシャのIoanninaという町のゲットーで強制連行された後、アウシュヴィッツで殺害された女の子に関するパネル。

e0038811_161533100.jpg
消えたユダヤ人家庭の跡を探し求める、高校生の授業の研究発表も展示されていた。

e0038811_1616128.jpg
展示の最後の方で、捕虜を収容する列車の時刻表というのを見つけた。「1943年5月17日より有効」とあり、発行元はドイツ帝国鉄道。

e0038811_16163125.jpg
例えばこのページはシュテティン発、ベルリン・シュテティン駅行きの列車の時刻表。これを見ただけではわからないが、一体どういう人が乗せられて来たのかと思う。

e0038811_16165060.jpg
広々とした博物館で見るのとはまた違う感覚がある。犠牲になった子供たちの大部分が家畜用の貨車で運ばれていった事実も、訪れるものは想起することになるだろう。

(つづく)

参考
アウシュヴィッツへの旅(1) - Different trainsに乗って -
ポツダム広場駅の「死への特別列車」展

人気blogランキングへ
by berlinHbf | 2008-04-23 09:53 | ベルリンのいま | Comments(4)

佐渡裕さんインタビュー - 「音楽の友」5月号 -

e0038811_410373.jpg
最近発売された「音楽の友」誌の5月号に(冒頭のカラーページ)、指揮者の佐渡裕さんのインタビュー記事を書かせていただきました。このインタビューは、2月下旬に佐渡さんがベルリンのコンツェルトハウス管弦楽団に客演した際に行われたもので、内容はドイツのオーケストラの魅力や芸術監督を務める兵庫県立芸術文化センターでの活動など。この4月から新司会者を務める「題名のない音楽会」についての囲みレポートもあるそうです。インタビュー記事のほか、写真も私が撮りました。一読いただけると大変うれしく思います。

人気blogランキングへ
by berlinHbf | 2008-04-20 00:22 | ベルリン音楽日記 | Comments(8)

赤い電車が110周年

e0038811_2052271.jpg
久々に日本に帰って、京浜急行の赤い電車を見ると懐かしさが込み上げてくる。都心と三浦半島を結ぶ京浜急行が、今年で創業110周年を迎えたという。

e0038811_20523056.jpg
子供の頃、電車を眺めているのが好きだった(乗るのはもっと好きだったが)。マニアというほどでもないのだが、電車を見て心ときめく性質はいまでもどこかで残っている気がする(笑)。旅行するときは、(距離にもよるけれど)バスや飛行機よりも、できることなら鉄道でとまず考える。

e0038811_20525587.jpg
京急といえば赤だけだと思っていたが、いつか帰ったときこのようなブルーに塗り替えられた列車も走っていてびっくりした。でもなかなかよろしい。

e0038811_20532093.jpg
もっと驚いたのがこちら。110周年を記念した電車で、昔の車両に合わせて、わざわざえんじ色に塗り替えたのだとか。

e0038811_20534293.jpg
京急堀ノ内駅付近にて。

e0038811_2054893.jpg
京急久里浜駅で見かけた110周年の展示。子供の頃、あの木製のブレーキハンドルにあこがれたものです(笑)。

e0038811_20544843.jpg
京急といえば昔はこの電車が主流だったのだが、もうほとんど見かけなくなった(その後、この1000系は2010年に廃止になりました)。

線路はどこまでもつながっている。
19世紀生まれ鉄道は、人やモノの輸送手段として多大な貢献を果たし、町と町、地域と地域、異なる世界同士を結びつけた。それは幼い頃の私のようにある種の憧れを伴うが、同時に世界を均質化させていくことにもつながったといえる。次回は鉄道をめぐるもう一つの話です。

人気blogランキングへ
by berlinHbf | 2008-04-19 15:23 | ニッポン再発見 | Comments(2)

2月、3月のベルリンの公演から

ベルリンに戻って、またコンサートなどに通いたいところですが、どうやら本格的に風邪をひいてしまったので(もうベルリンてば寒過ぎ!)、家で安静にしているこの機会に、2月3月に聴いたり観たりした公演を簡潔に振り返ってみようと思います。

リミニ・プロトコール『100% BERLIN』 (HAU1) (2/2)
クロイツベルクのヘッベル劇場(HAU1)創立100周年に際し、スイスの演劇集団「リミニ・プロトコール」によって制作された『100% BERLIN』という新作。出演者は100人の出自も年齢もさまざまな「普通の」ベルリーナー。共通の質問に答え、ある人から自分の身近な人へとリレーする形で100人が選ばれたという。その過程が舞台上で明らかにされることで、同時にベルリンの「いま」が浮かび上がってくるという大変面白い試みだった。鉄道模型に熱中するスイスの老人を描いたという、3月の彼らの日本公演『ムネモパーク』も観てみたかったなあ。

ビエロフラーヴェク指揮ベルリン・ドイツ響 (2/5)
ヤナーチェクの「死者の家から」序曲、シマノフスキの交響曲第4番、スークのアスラエル交響曲という極めて渋いプログラムながら、充実した演奏で東欧の響きを堪能。チェコの名指揮者ビエロフラーヴェクの公演を聴くのは、コンサートとオペラ併せて今回が4度目だが、いまのところハズレがない。音楽に内在するドラマを過不足なく、しかも無理なく表出できる指揮者だと思う。今後も聴き続けていきたい音楽家の一人。

ラトル指揮ベルリン・フィル (2/16)
ベートーヴェン・チクルスの第2弾で、8番と「田園」、その合間にヴェーベルンの作品が織り込まれるというプログラム。ラトル&ベルリン・フィルを初めて聴いたのが、2001年4月でメインはやはり「田園」だった。あのときもとても感動したのだが、偶然にもメルケル首相が臨席したこの日の演奏も特別の高みにあった。実際、ラトルはベルリン・フィルとも田園交響曲をすでに何度も取り上げているし、よほど作品との相性がいいのだろうと思う。逆に言えば、5番や9番では、まだ確固たる評価が築けていないということかもしれない。今月のチクルス後半に注目。

ベルリン放送響メンバーによる室内楽 (2/29)
連邦経済省内にある歴史的なホールという珍しい会場でのコンサート。後半のブルックナーの弦楽五重奏というのは初めて聴いたが、よかった。普段ヤノフスキの棒のもとで演奏している彼らならではの構築感ある演奏で、ハーモニーにも厚みがある。わずか5人ながらブルックナーの交響曲を聴いているかのようだった。

ツァグロゼク指揮コンツェルトハウス管 (3/7,8,9)
ツァグロゼクの指揮ぶりは相変わらず角張っているというか、ぎこちなささえ感じさせるのだが、生れてくる音楽は(なぜか?)いい。この日のメインはブルックナーの交響曲第6番。今までほとんど馴染みがなかったのだけれど、何とすばらしい音楽だったかと気付かされた。アダージョの美しさはブルックナーの全交響曲の中でも際立った高さにあるし、1楽章とフィナーレは7番以降の作品に比べると崇高さは薄いものの、その分足取りが軽く、聴いていてわくわくしてくる。日本に帰ったときヨッフム指揮バイエルン放送響のCDを買い求め、最近よく家でかけている。前プロのシューベルトの交響曲第3番は、素朴だがどこか捨てがたい魅力のある曲。

バティアシュヴィリ、ルルーらによる室内楽 (3/13)
「本当にびっくりした!」というのが正直な感想。そのくらい彼らの楽器を操る能力の高さ、アンサンブルの自在さはずば抜けた水準にあったから。オーボエのルルー、ヴァイオリンのバティアシュヴィリ、ヴィオラのタメスティット、チェロの石坂団十郎が、ブリテン、ドホナーニ、モーツァルトなどを演奏。オーボエのルルーはソロで聴くのは初めてだったが、その表現力はすごい。フレージングはどこまでも丸く、音楽に包容感がある。彼の演奏姿を見ていると、オーボエが突然指揮棒に見えたり、楽器の音がソプラノの声に聴こえてくる瞬間さえあり、楽器の存在というものを感じさせないのだ。とにかく根っからの音楽家なのだろう。1ヶ月前なのに、このコンサートの楽しさはまだ体に残っている。

ヤーコプス指揮ベルリン古楽アカデミー (3/16)
昨年のテレマンの「忍耐強いソクラテス」の記憶が新しい同コンビが、テレマンのブロッケス受難曲という知られざる作品を演奏。今回も期待を裏切られることはなく、3時間を越える演奏時間も苦にならず。これぞ至福のひととき。初めて聴いた曲だけど、バッハの悲壮感あふれる受難曲とはまた違った魅力のある作品だと思った(ソロ・パートの役割も大分違うようだし)。このコンビがCDに録音してくれたら、買ってじっくり聴いてみたい。

日本滞在中も、何か聴きに行きたいと思っていたんですが、時間があまりなかったのと、どうしてもこれはというプログラムが見つからず、結局母校の学生オーケストラの演奏会に一度足を運んだだけでした。

人気blogランキングへ
by berlinHbf | 2008-04-17 14:06 | ベルリン音楽日記 | Comments(0)

「情報のさばき方―新聞記者の実戦ヒント」(外岡秀俊著)

e0038811_2112830.jpg
先日、小学校時代の同級生に渋谷で久々に会った際、「物を書いて何かを伝えていくつもりなら、ぜひ読んでおくといい。あの佐藤優も推薦しているみたいだし」と言って勧められた新書。筆者は朝日新聞の編集局長で、「情報をつかむ」「よむ」「伝える」の3章に分け、記者としての長年の経験をわかりやすく、惜しげもなく披露している。とてもいい本だった。本書のひとつの「鍵」となっているのが疋田桂一郎さんという筆者の先輩記者の言葉で、本の中で何度も紹介されるのだが、これが示唆に富んでいる。

自分がとりわけ興味深く読んだのは、最近自分でも関わる機会のある「インタビュー」についての箇所(カッコ内は疋田さんの言葉)。
上手なインタビューとは、相手が話しながら、自分でも想定していなかった言葉を見いだし、その言葉の発見に思わず心を動かすような場面を引き出す対話です。下手なインタビューとは、これまでのインタビュー記事をなぞるような定型の問答に終始し、相手も自分も、何の発見もなく終わる対話です。

「取材の時は、どういう順序で聞いたら相手が答えやすいかを考える。記事にまとめる時は、どうしたら理解しやすいかで順序を考える。多くの場合、両者は一致しない。質問のしかた、質問内容も実際と記事では全く違ってくる。これは話し言葉と書き言葉の違いだけではない」

「間違っても、こちらの論理を押しつけて相手を誘導することがないようにと心掛ける。とりわけ寡黙なひとの場合に、そうする。じれないで、何分間でも、その人の答えが出て来るのを待つ」。ここが肝心です。自分の頭で考えた論理を押しつけて、相手の発言にしてしまう取材には説得力がありません。相手が自分の言葉を見つけるまで待ち、その人ならではの言葉を発見したときに、初めて語ったという喜び、聞き出せた、という嬉しさがこみあげます。その感動を共有できたときに、インタビューは成功した、といえるでしょう。
この他にも、「情報力の基本はインデックス情報」、「文章における『事』『理』『情』のバランス」、「『位置情報』の基本は地理と歴史」、といったテーマから、メモをとるコツや写真を撮るときの重要な点にも触れられ、お得感の高い1冊でした。

人気blogランキングへ
by berlinHbf | 2008-04-16 14:29 | その他 | Comments(2)

カテゴリ

Deutsch
ベルリン中央駅
ベルリンのいま
ベルリン個人ガイド
ベルリン発掘(西)
ベルリン発掘(東)
ベルリン発掘(境界)
ベルリン発掘(全般)
ベルリン思い出話
ベルリンの人々
ベルリン音楽日記
ベルリン文化生活
ベルリン子育て日記
ベルリンを「観る」
ベルリンを「読む」
ベルリンあれこれ
ベルリン天使の降りた場所
ベルリン音のある街
ベルリンクイズ100
ベルリンリンク集
ドイツ全般
ドイツから見た日本
サッカーWM2006他
欧州を感じる旅
- 2005ウクライナ紀行
ドイツ語関連
ニッポン再発見
その他
BZ Lexikon (Berlin)
BZ Lexikon (1-50)
BZ Lexikon (51-100)
BZ Lexikon (101-150)
BZ Lexikon (151-200)

タグ

(113)
(112)
(111)
(107)
(105)
(97)
(96)
(87)
(86)
(78)
(73)
(67)
(66)
(64)
(58)
(55)
(54)
(46)
(42)
(40)

以前の記事

2015年 08月
2015年 07月
2015年 06月
2015年 05月
2015年 04月
2015年 03月
2015年 02月
2015年 01月
2014年 12月
2014年 11月
more...

最新のコメント

山根正次のサインが「玄洋..
by 浦辺登 at 10:25
コメントありがとうござい..
by berlinHbf at 04:46
今、NHKBSで「ベルリ..
by 流れ星 at 01:14
Yozakuraさん ..
by berlinHbf at 02:26
Masatoさま  肝..
by Yozakura at 12:34
Masatoさま  未..
by Yozakura at 12:26
kokhavさん こち..
by berlinHbf at 06:13
長い間、ありがとうござい..
by kokhav at 22:30
焼きそうせいじさん 大..
by berlinHbf at 05:57
年に1回の日本での授業に..
by 焼きそうせいじ at 19:31
ヒガシモンさん 詳細な..
by berlinHbf at 17:02
kokhavさん >み..
by berlinHbf at 16:49
冬風さん コメントあり..
by berlinHbf at 16:46
続き…今回ドイツ宛へ物を..
by ヒガシモン at 15:44
マサトさん>ご返信ありが..
by ヒガシモン at 15:20
おかえりなさいませ。 ..
by kokhav at 23:31
ベルリンからの長旅お疲れ..
by 冬風 at 20:21
ヒガシモンさん こうい..
by berlinHbf at 18:51
軒国彦さん はじめまし..
by berlinHbf at 18:48
桑原さん ご丁寧なコメ..
by berlinHbf at 17:49

ブログパーツ

※この時計の時刻は、閲覧しているパソコンのものであり、必ずしも正確な時間とは限りません

最新の記事

10年分の感謝、ひとまずのお..
at 2015-08-03 23:23
上棟式を迎えたベルリン王宮
at 2015-07-18 22:29
指揮者キリル・ペトレンコのこと
at 2015-07-13 23:09
発掘の散歩術(60) - 番..
at 2015-07-08 14:18
ポツダムの新庭園へ!
at 2015-07-04 10:49
発掘の散歩術(59) - 7..
at 2015-06-13 16:43
マルティン・グロピウス・バウ..
at 2015-06-08 10:18
山梨での週末
at 2015-06-02 00:54
長男誕生3、4ヶ月目 - 日..
at 2015-05-23 21:39
旧カール・マルクス書店が文学..
at 2015-05-17 14:12
ドイツニュースダイジェストの..
at 2015-05-10 15:00
発掘の散歩術(58) - S..
at 2015-05-10 13:48
変わりゆくツォー駅周辺
at 2015-05-01 18:52
「西ベルリン」の回顧展
at 2015-04-20 21:23
NHK『テレビでドイツ語』新..
at 2015-04-10 17:01

記事ランキング