ベルリン-東と西が出会う場所。ドイツにありながらドイツではない町。歴史の影に彩られた栄光と悲運の世界都市。そんなベルリンの奥深い魅力をリアルタイムでお届けするブログです。Since 1. August 2005
by berlinHbf
中村真人 (Masato)
神奈川県横須賀市生まれ。早稲田大学第一文学部を卒業後、2000年よりベルリン在住。ベルリンの映像制作会社勤務を経て、現在はフリーのライター、ジャーナリスト。

『素顔のベルリン 過去と未来が交錯する12のエリアガイド 』
¥1,575
ダイヤモンド・ビッグ社
(Amazon、全国各書店にて発売中)
地球の歩き方シリーズ初、待望のベルリンガイドブック誕生!比類なき歴史を抱えつつ、明日へ向かって日々進化し続ける首都ベルリン。「ドイツで最もドイツらしくない」といわれるこの町の知られざる魅力を、現地在住著者が12のエリアにわけて徹底紹介。
Amazonにてネット購入ができます。

『街歩きのドイツ語 』
¥1,575
三修社
豊富なビジュアルとドイツ語フレーズを楽しめる1冊。基本のあいさつ表現から、街にまつわるドイツ語豆知識まで、ガイドブックとともに旅に役立つ会話集です。

NHK「テレビでドイツ語」テキスト
¥380(毎月18日発売)
NHK出版
前期(4〜9月)は水と緑の美しいドイツ第2の都市ハンブルクが舞台。テキストの読み物で「ハンザ都市を巡る」を連載中。5月号ではハンブルク(後編)を取り上げています。
ベルリン更新情報
2011/10/1 up!
ベルリン個人ガイドのご案内
執筆、ガイド、コーディネートなどのご依頼、お問い合わせはこちらまで(これまでの出版・寄稿実績)→
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1/28 up!「Mein erstes Buch」
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こちらにまとめました。
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当ブログの写真や文章に関する、無断での転写・転用を禁じます。
© Copyright 2005-2012 Masato Nakamura. All Rights Reserved



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『街歩きのドイツ語 』
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カテゴリ:ベルリンを「読む」
- 『音遊人』6月号「ドイツ特集」[ 2012-04-26 00:12 ]
- 『街歩きのドイツ語』の増刷が決まりました[ 2012-04-25 18:08 ]
- ドイツニュースダイジェスト 生誕150周年特集「森鴎外とベルリン」[ 2012-03-06 16:44 ]
- 『素顔のベルリン』と『街歩きのドイツ語』がべるりんねっと789にて購入可能に[ 2011-12-21 20:30 ]
- 橋口譲二『Hof ベルリンの記憶』[ 2011-12-12 18:22 ]
- 『素顔のベルリン』の増刷[ 2011-09-30 23:15 ]
- 『街歩きのドイツ語』(三修社)のご紹介[ 2011-05-14 13:06 ]
- 三修社より『街歩きのドイツ語』を出版します![ 2011-05-06 15:29 ]
- 2010年に読んだ本から -香港、ソ連、中国、エルベの東-[ 2011-01-10 12:54 ]
- 橋口譲二『Hof ベルリンの記憶』とプレンツラウアー・ベルク(2)[ 2010-12-16 12:15 ]
『音遊人』6月号「ドイツ特集」

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『街歩きのドイツ語』の増刷が決まりました

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ドイツニュースダイジェスト 生誕150周年特集「森鴎外とベルリン」

明治時代を代表する文豪、森鴎外(1862 〜1922)。2012年は鴎外の生誕150年の記念年である。日本においてはもちろん、かつて鴎外が留学したベルリンでも、誕生日の2月17日にフンボルト大学主宰の記念式典が行われるなど、この文豪への関心がいま再び高まっている。
鴎外は1884年から88年までの約4年間、陸軍軍医としてドイツに留学し、その間ライプツィヒ、ドレスデン、ミュンヘン、ベルリンで学んだ。『舞姫』を挙げるまでもなく、とりわけベルリンは鴎外にとって思い入れの強い街だったようで、後の作品にも繰り返しその影響を読み取ることができる。
この機会に改めて鴎外の作品と向かい合ってみてはどうだろう。昨年、その著作『鴎外の恋 舞姫エリスの真実』(講談社)を通して、エリスのモデルとなった人物エリーゼ・ヴィーゲルトについて決定的な新事実を発見したベルリン在住のフリーライター、六草いちかさんに話をうかがった。いざ、鴎外の生きた19世紀末のベルリンへ!(インタビュー・構成:中村真人)
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『素顔のベルリン』と『街歩きのドイツ語』がべるりんねっと789にて購入可能に
拙著『素顔のベルリン』(ダイヤモンド・ビッグ社)と『街歩きのドイツ語』(三修社)の2冊を、この度ベルリンの生活情報サイトのべるりんねっと789のミーティングポイント(場所はこちら)、及び同オンラインショップでも扱っていただけることになりました。これによって、本書をベルリン在住の方はもちろん、ドイツ国内やヨーロッパの他国にお住まいの方も購入可能になりました。大変うれしく思っています。
『素顔のベルリン』(べるりんねっと789ショップのページへ)
『街歩きのドイツ語』
ちなみに、べるりんねっとを主宰されている六草いちかさんが今年出された『鷗外の恋 舞姫エリスの真実』(講談社)は、今年読んだ中でもっとも面白かった本のうちの1冊。こちらも社交辞令でなく一読をおすすめしたい本です。来年2012年は鴎外の生誕150周年ですし、この本のことはまた改めてご紹介したいと思っています。
また、『素顔のベルリン』の方は、ベルリン・ミッテの森鴎外記念館(Mori-Ôgai-Gedenkstätte)でも購入いただけるようになりました。こちらもよろしかったらご利用いただけたらと思います。
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『素顔のベルリン』(べるりんねっと789ショップのページへ)
『街歩きのドイツ語』
ちなみに、べるりんねっとを主宰されている六草いちかさんが今年出された『鷗外の恋 舞姫エリスの真実』(講談社)は、今年読んだ中でもっとも面白かった本のうちの1冊。こちらも社交辞令でなく一読をおすすめしたい本です。来年2012年は鴎外の生誕150周年ですし、この本のことはまた改めてご紹介したいと思っています。
また、『素顔のベルリン』の方は、ベルリン・ミッテの森鴎外記念館(Mori-Ôgai-Gedenkstätte)でも購入いただけるようになりました。こちらもよろしかったらご利用いただけたらと思います。
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橋口譲二『Hof ベルリンの記憶』

昨年秋、写真家の橋口譲二さんから20年前のプレンツラウアー・ベルクの写真を何枚か渡され、「今度出版する写真集のために、それらの写真に写っているアパートの場所を調べてもらえないだろうか」という依頼を受けた。その時の模様は、「橋口譲二『Hof ベルリンの記憶』とプレンツラウアー・ベルク」で2回に渡ってご紹介した。
関連記事:
橋口譲二『Hof ベルリンの記憶』とプレンツラウアー・ベルク(1)
橋口譲二『Hof ベルリンの記憶』とプレンツラウアー・ベルク(2)
当初の予定からは遅れたものの、橋口さんの写真集は今年初頭に無事刊行された(ありがたいことに協力者として名前も入れていただいた)。私にとっても、思い出深い1冊。ここでご紹介したいと思う。
橋口譲二さんに初めてお会いしたのは、2年前の年末、ベルリン日独センターで行われた講演会の時だった。同センターに勤務されているある方の奥様が、ちょうど刊行されたばかりの拙著『素顔のベルリン』を橋口さんにプレゼントしてくださり、講演会の後にご紹介いただいたのだった。私の母と同い年の橋口さんは、とてもシャイで物腰穏やかな方という印象を受けた。
こういうご縁から、橋口さんがベルリンに来られる際にお会いするようになった。6月に私が一時帰国した際は、橋口さんのお住まいの吉祥寺を少しご案内いただいた後、駅中のカフェでお茶をした。ベルリンでも東京でも、橋口さんとカフェでご一緒する時のゆったりとした時間の流れ方が好きだ。表現者としての大事なアドバイスをくださることもある。口調はいつものように穏やかでも、そんな時には、橋口さんの芯の強さと厳しさを垣間見る。一度、「(あるテーマを)自分の中だけに抱え込むことも大事ですよ」と言われたことがある。ブログやらTwitterやらで、ちょっとしたつぶやきさえも簡単に公にできる時代。目に見えるわかりやすい結果ばかりをどこか求めていた私ははっとした。私も一応Twitterはやっているし、その利点も否定はしないけれど、あれこれつぶやくだけで何となく物事をわかったような気になったり、自分にとって何が大事なのかを見失わないようにしたいと思う。そして、できることなら、橋口さんやその「弟子」の星野博美さんのように、あるテーマを自分の中で抱え込み思考を深めていく延長で、作品を積み重ねていけたらと願う。

人は1人も出てこないのに、また一見廃墟のようにも見えるほど建物は朽ちているのに、不思議なぬくもりの感じられる写真が並んでいる。それは、そこに人がずっと住み続けてきたこと、そしてそれらのアパートが19世紀末から20世紀初頭にかけて建てられたことも関係していると思う。橋口さんは、この写真集の巻末のエッセイでこう綴っている。
街並と身体と気持ちの相性というと変だが、僕はこの街とこの街で暮らす人々が気に入っていた。程良い道幅、家並と同じように蛇行する道路、停留所から次の停留所が見える路面電車のトラム。トラムの走る速度はちょっと頑張れば自転車でも追い越せてしまう。蛇行する道路もトラムも昔から存在していたことを思うと、世紀末から20世紀初頭にかけて出来あがった街は人間の感覚や生理に寄り添っていた気がする。11年前、このベルリンに来て、最初にたまたま住んだアパート以来、私はアルトバウのアパートの魅力に取り憑かれた。この街で3回引っ越しているが、住まいは全てアルトバウだった。ゆったりした間取りと、幾世代に渡って人々が住んできた歴史の醸し出す安心感が心地よかったのだと思う。写真集「Hof」には、アパートの内部の階段やいぶし銀のように渋い光沢を放つ階段のてすりの写真なども挿入されていて、私はそれを見ながら最初に住んだティーアガルテンの築100年のアパートでの生活を思い出した。あるいは、夏の暑い日、(6年間住んだ)クロイツベルクのアパートの入り口から中に入った瞬間、ひんやりとした空気に体が包まれたことを。ベルリンが歩んできた歴史と、私個人の歴史が時に重なり合うのを感じた。
この写真集が私のもとに届いたのは、3月初頭だった。
しばらくの間、この本を枕元に置いて、寝る前にぱらぱらめくりながら楽しんでいた。そうこうするうちに、あの大震災が日本を襲った。
毎日深夜までショッキングな津波の映像を見てから、この本を開くと、写真の奥にまた違う光景が見えてきた。3月14日だったか、丘の上から「自分の店が流されたことよりも、(店の)歴史が途切れてしまったことの方がくやしい」と絞り出すように語っていた陸前高田の酒屋のおじさん。倒壊した家の瓦礫をかき分けながら、思い出の写真を必死に探す人々…。
あの光景を思うと、ベルリンのミッテやプレンツラウアー・ベルクの古いアパートが戦災を逃れ、地震などの自然被害にも遭わず、その貴重なアパートが1949年生まれの日本人の写真家によって記録され、20年もの間フィルムが大切に保管され、2011年という年に出版され得たということが、とても幸運でかけがえのないことのように思えるのだ。
今回の地震や津波で家を失った人々が、橋口さんの言う「人間の感覚や生理に寄り添った」住まいに再び戻れることを心から願う。

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『素顔のベルリン』の増刷

私の最初の著書『素顔のベルリン』が、お蔭さまでこの度増刷されることになりました。大変うれしく思うと共に、これまで多くの方々にご覧いただいてきたこと、心より感謝申し上げます。この本が出版されてからかれこれ2年近くが経ち、データも少しずつ変わっているため、今回のタイミングで全てのデータを更新しました。この2年間の特に大きな変更点は、「公共博物館・美術館の毎週木曜夕方以降の入場無料制度が廃止になったこと」(残念…)、そして「ライヒスターク(連邦議会議事堂)の入場が事前申し込み制に変わったこと」でしょうか。また、P47で紹介した「イントフェルト・ショコラーデン」、P81の「ブリューベーカー」がそれぞれ店じまい、移転したため、別の物件に差し替えています。他にも、カイザー・ヴィルヘルム記念教会が昨年秋から大規模な改修工事に入っているなど、ベルリンは絶えず動きがある町。そこで、旅行等で来られる方々のお役に立てればと、近々ベルリンの更新情報をこのブログの左欄に設置し、折に触れて更新していけたらと思っています。
(追記:ベルリン更新情報というコーナーを早速作ってみました。左欄にも載せてあります)
今回の増刷は、改訂という形ではないため、Amazon等で注文されても新しい方を指定して選ぶことはできないそうです。これについては申し訳なく思います。巻末に「初版第2刷発行」と書かれている方が新しい方ですので、書店で探される際の目安にしていただけたらと思います。
今後ともよろしくお願いいたします。
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『街歩きのドイツ語』(三修社)のご紹介

先日お知らせした『街歩きのドイツ語』(三修社)が5月末に無事発売されることとなったので、今日はもう少し詳しくこの本をご紹介したいと思います。
旅行会話集って、何となく旅先に持って行くけれども、結局あまり使わないで終わってしまうことが多いと思うんです。この本のお話をいただいた時、旅先で実際に使ってもらえる本になるよう、思わず口に出してみたくなるフレーズがたくさん載った、そしてドイツ人は実際にこういうことを言っているのか現地で確かめてみたくなるような、そんな本にしたいと思いました。もちろん実用性を重視しての上です。文法の説明はごく最低限に留めてあり、また通して話すのが難しいような長いフレーズもほとんど入れていません。私が初めてドイツに来た時、持参した会話集の最初のページには、「はじめまして」のドイツ語訳として"Ich freue mich, Sie kennenzulernen."と書かれていましたが、不思議なことにこのフレーズをドイツ人の口から発せられるのを一度も聞いたことがありません。もっともらしく聞こえるけれど、実際使われることがほとんどない言い回しは省き、例えばカフェのシーンなど、日常の中で頻繁に耳にするやり取りばかりを厳選して選びました。
といっても、個人旅行でドイツに来た場合、道を聞いたり、カフェやスーパーに入る時以外は、ドイツ人と会話のやり取りをする機会はそうないのが普通です。そのことを考え、単なるフレーズ集でなく、街を歩く時、こういうことを頭に入れておくと便利、もしくは歩くのが一層楽しくなる、という視点から(日本とは違う)ドイツの日常をたくさん紹介しています。例えば、トイレの使い方、番地を見つける時のコツ、街の看板や標識、アパートの建築様式、街で見かける動物、歴史プレート、スーパーでの買い物の仕方といったようなことで、旅行ガイドブックには意外と載っていない情報ばかりです。写真が豊富なちょっとしたドイツのミニ生活カタログ(?)として、いますぐ旅行に行く予定のない方にも楽しんでいただけたらと思っています。
著者は私になっていますが、いろいろな方々が寄せてくださった視点や意見を通して、本書は出来上がりました。出張でたまにドイツに来る友人、ベルリンに住み始めたばかりのカップル、ドイツ人の知人夫婦、他の街に留学している友達など、様々な立場の方から、「こういうフレーズを紹介しては?」とか「地下鉄に乗る場面で、あのことを説明してほしい」といった有益な意見をたくさんいただきました。特に、ベルリン在住2年の妻には多くの場面で助けてもらい、最後の方では連日の徹夜のチェック作業にも付き合ってくれました。10年もドイツに住んでいていると、大体のことが当たり前になってしまい、滞在して間もない人の意見に気付かされることが多かったです。
あと結構重要なポイントとして、この本はアクセントを入れて読むべきほぼ全ての箇所を太字にしてあります。これは結構な労力を必要とし、ボールド入れをしていない会話集もあるので、どうしようかと悩みました。最終的には、ネイティブチェックを引き受けてくださったOさんの、「ドイツ語はイントネーションが違うと、全く通じないことがあるから入れた方がいい」との意見から、彼に全てのフレーズを読んでもらって太字入れをしました。編集者やデザイナーの方にもかなり面倒な作業だったことと思います。この場を借りて、ご協力いただいた全ての方々にお礼を申し上げます。
ご覧のように、デザインも素敵な感じに仕上がりました。ドイツの三色旗のカラー、バウハウスの字体なども取り入れたデザインにもご注目ください。今月末発売の『街歩きのドイツ語』(三修社)、どうぞよろしくお願いいたします(Amazonでの予約はこちらから)。
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三修社より『街歩きのドイツ語』を出版します!
今月末、語学書籍などの出版で知られる三修社より『街歩きのドイツ語』という新書サイズの本を出版させていただくことになりました。平たく言えば、ドイツ語の旅行会話集なのですが、ドイツ語の知識ゼロで旅行に来るという方はもちろん、ドイツ語がある程度できる方やドイツに住んだことのある方にも面白く読んでもらえる本にしようと努めました。また、日本と違うドイツの日常もたくさん紹介しています。ベルリンを中心とした街角の写真も私が撮ったものです。すでにAmazonのサイトにて予約できるようになっていますので(こちらより)、興味がおありの方、どうぞよろしくお願いいたします。詳細はまたこのブログで案内させていただくつもりです。
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2010年に読んだ本から -香港、ソ連、中国、エルベの東-

日本語の本を読みたいだけ読める環境にないので、数は自ずと限られてしまうのだが、とりわけ深く心に残ったのは『オリガ・モリソヴナの反語法』(米原万里著。集英社文庫)と『転がる香港に苔は生えない』(星野博美著。文春文庫)の2冊。もう何年も前に出た本なので、読まれた方も多いかもしれない。前者はスターリン時代を中心とする旧ソ連と60年代のプラハ、後者は返還直前の香港を舞台にした長い物語。フィクションとノンフィクションという違いはあれど、人間への好奇心と深い洞察(かつ柔軟な視線)を持ち合わせた筆者による、ある種の気迫と執念に貫かれた作品であることなどは共通していて、しばらく忘れていた読書の醍醐味を味わわせてくれた。お二方ともジャーナリストではないので、何かを伝えるのに統計やデータの提示から入ることはしない。だが、何の予備知識がない読み手をもその世界に引き込み、スターリン時代のソ連の非人間的な恐怖政治だったり、返還直前の香港の人々の心のざわつきだったりを眼前に鮮やかに伝えてくれるところが素晴らしい。これは並の歴史家やジャーナリストではそうできない仕事だろう。心からおすすめしたい本。
星野さんの著作では、他に『愚か者、中国をゆく』(光文社新書)も読んだ。これは1980年代にご自身が経験した中国旅行の話。硬座の過酷な体験談も出てくるが、それでもこれを読んだらいつか列車に乗って中国を旅してみたくなる。でも、ベルリンからはやはり遠い世界だ。久々に日本に帰ると、1日でも日本に長くいたいと思ってしまうから、アジアを旅するのはまだしばらく先になるかなあ。
中国関連では、佐藤千歳さんの『インターネットと中国共産党』(講談社文庫)も面白かった。佐藤さんは私の大学のオーケストラ時代の先輩で、現在北海道新聞の記者をされている。最初の2冊に比べると、まさに新聞記者の視点で書かれているが、目まぐるしく動く社会と報道の現実を「人民網」編集部の現場にいた経験を元に、丁寧かつスリリングに伝えてくれる。この本が出た後、佐藤さんは同社の北京支局長になられたそうで、今後のご活躍にも期待したい。
ドイツ関連では、最近読んだ『ドイツの二大文化圏―ドナウの南とエルベの東<ドイツ地誌入門>』(鈴木喜参著。大学教育出版)をご紹介しておきたい。教科書のような客観的なスタイルで書かれているので、どこか無味乾燥な解説本を想像していたのだが、実際読んでみたら筆者の長年の研究とフィールドワークが生かされた、静かな情熱が伝わって来る本だった。同じドイツでもベルリンとミュンヘンが全く異なる雰囲気の街であることは誰でも知っているが、その文化圏の相違がどのように生まれたか、自然・歴史・宗教・産業・社会などさまざまな角度から、わかりやすく解説した本はありそうでなかったと思う。旅行でドイツに行かれる方にもおすすめ。
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橋口譲二『Hof ベルリンの記憶』とプレンツラウアー・ベルク(2)


よく見ると結局これでもなかったのだが、同じプレンツラウアー・ベルク地区内でも共通して見られるアパートの建築スタイルがあるのは、ちょっとした発見だった。ゼーネフェルダー通りをさらに歩くと、次に曲がるのがレーマー通り。その角に差し掛かったところで、私は思わず「あっ」と声を上げ、そのまましばらくぼうっと佇んでいた。


今度は細部を確認する必要はなかった。一瞬でここだと確信したからだ。通りの店は全て変わっていたが(おそらく大部分の住人も?)、2枚の写真を見比べるといかにオリジナルに忠実に修復したかがよく見て取れる。寒い日の午後だったが、私の気分は高揚していた。橋口さんからの依頼がなかったら、プレンツラウアー・ベルクの普通のアパートに、これほどまでに感動的に「出会う」ことはなかっただろうと思う。
家に戻って早速橋口さんに報告したら、大変喜んでくださり、「このまま中村さんのブログで書かれたらどうでしょう。住所探しとはいえ、ウロウロされることで、中村さん自身が発見をされているからです。ウロウロするのは、僕と中村さんは分野は違えど基本中の基本です」と長年ベルリンを歩いてきた方ならではのことを書いてくださった。実はその後もいくつか似た依頼をいただいたが、そちらの建物は結局どうしても見つからず、とても残念だった。写真集『Hof ベルリンの記憶』の発売予定日は、当初の予定から遅れ、年明けの1月25日になったそうです。ベルリンの1つの文化遺産にもなり得る写真集を、皆さんにもじっくり見ていただきたいと思います。私も非常に楽しみです。
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