ベルリン-東と西が出会う場所。ドイツにありながらドイツではない町。歴史の影に彩られた栄光と悲運の世界都市。そんなベルリンの奥深い魅力をリアルタイムでお届けするブログです。Since 1. August 2005


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中村真人 (Masato)
神奈川県横須賀市生まれ。早稲田大学第一文学部を卒業後、2000年よりベルリン在住。ベルリンの映像制作会社勤務を経て、現在はフリーのライター、ジャーナリスト。


ベルリンガイドブック
「素顔のベルリン」増補改訂版
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(Amazon、全国各書店にて発売中)

本書は2009年10月発行「素顔のベルリン」の増補改訂版です。2013年に改めて新規取材を行い、データを更新。レストランやショッピング、コラムなどのページも増量し、より充実したガイドブックに生まれ変わりました。

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豊富なビジュアルとドイツ語フレーズを楽しめる1冊。基本のあいさつ表現から、街にまつわるドイツ語豆知識まで、ガイドブックとともに旅に役立つ会話集です。




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地球の歩き方シリーズ初、待望のベルリンガイドブック誕生!比類なき歴史を抱えつつ、明日へ向かって日々進化し続ける首都ベルリン。「ドイツで最もドイツらしくない」といわれるこの町の知られざる魅力を、現地在住著者が12のエリアにわけて徹底紹介。


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カテゴリ:ベルリン音楽日記( 149 )

嵐の後のヴァルトビューネ

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昨日のヴァルトビューネのコンサート、本番40分前の様子です。実は、夕方に1時間近く大雨が振り続き、6月のベルリン・フィルのときの悪夢(?)が脳裏をよぎりました。が、天気は奇跡的に回復し、青空のもとコンサートを楽しむことができたのです。昨年に続き小学校時代の恩師と聴きに行ったので、本当によかった・・・。公演の模様は、後日改めてレポートするつもりです。

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by berlinHbf | 2012-07-30 17:28 | ベルリン音楽日記 | Comments(2)

早稲田大学交響楽団のベルリン公演2012

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ベルリン・フィルハーモニーに登場した早稲田大学交響楽団 © Tetsuro Kanai

東日本大震災から1周年となる3月11日、早稲田大学交響楽団がベルリン・フィルハーモニーで公演を行い、大成功を収めました。

早稲田大学交響楽団は、同大学の学生約300人からなるアマチュア・オーケストラ。1978年にベルリンで行なわれた第5回青少年オーケストラ・コンクールで優勝して以降、定期的に海外公演を行うようになり、世界的にも知られる存在となりました。

今回のベルリン公演は、2月から3月にかけてドイツとオーストリアの12都市をめぐる第13回目の海外公演「ヨーロッパツアー2012」の一貫として行われたもの。ツアーの日程はかなり前から決まっていたそうですが、奇しくもベルリン公演が3月11日に重なったことから、東日本大震災の追悼演奏会となりました。指揮は、長年に渡って同交響楽団の指導を務めてきた田中雅彦氏です。

前半のR.シュトラウスの「アルプス交響曲」は、大規模な楽器編成と高度な演奏技術が要求される、アマチュアが取り上げることは稀な作品。しかし、冒頭の夜明けから荒々しい嵐の場面まで、若い学生たちがオーケストラとしての高い表現力を存分に披露します。約1時間の大曲ですが、低音に重きを置いた豊かなハーモニーが途切れることなく、聴衆からは驚きに満ちた空気が生まれていました。

後半のハイライトを飾ったのは、今回のツアーが初演という、由谷一幾氏の「和太鼓と管弦楽のための協奏曲」。過度にエキゾティズムに偏らない緻密な論理性に貫かれた音楽で、3人の和太鼓奏者とオーケストラとの息を呑むような緊張感に満ちた交感の後、堰を切ったようにブラボーの嵐が起こりました。

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2013年には創設100周年を迎える早稲田大学交響楽団 © Tetsuro Kanai

アンコールでは「荒城の月」が追悼曲として奏でられ、最後の「ベルリンの風」では口笛が飛び交い、聴衆は総立ちに。ベルリン・フィルが本拠地とするこのホールでもめったに起こらない、幸福な一体感が生まれたのでした。

終演後、楽団員代表の高野和也さん(教育学部4年)に話を聞きました。
「これまで各地の公演で温かい拍手をいただきましたが、ベルリンのお客さんの反応はダントツでした。全く驚いたというのが正直なところで、一生忘れられないと思います」

今回の演奏会は、ベルリン・フィルの映像配信サイト「デジタル・コンサートホール」による生中継が実現。インターネットでこのコンサートを聴いていた東京在住の知人が、後でこんな感想を送ってくれました。
「最後の『ベルリンの風』は、この1年ずっと心の中に半旗を掲げる想いで過ごしてきたその重しを一瞬外してくれたような気がして、改めて音楽の持つ力の大きさに気付かされました」

音楽を専門としない学生から成るアマチュア・オーケストラが、30年以上に渡ってベルリンはじめ、欧州の檜舞台で公演を続けてきたという例は世界的に見ても稀でしょう。この日、ベルリンの聴衆から送られた温かくも熱狂的な拍手は、毎年少しずつメンバーが入れ替わりつつも、時間を掛けて積み重ねられた彼らとベルリンの友好関係を物語っているようで、3.11から1年ということもあり、一層の重みをもって感じました。
ドイツニュースダイジェスト 4月6日)

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by berlinHbf | 2012-04-04 23:14 | ベルリン音楽日記 | Comments(0)

ライプツィヒ聖トーマス教会合唱団の来日公演

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Thomaskirche Leipzig (2012-01-06)

1月にライプツィヒで取材した聖トーマス教会合唱団(トマーナコア)が間もなく来日するので、ここで紹介させていただきたいと思います。バッハが音楽監督(カントール)を務めていたトマーナコアは、今年誕生から800周年(!)を迎えます。今回のツアーはその一貫として行われるもので、演目はバッハの「マタイ受難曲」。私がライプツィヒを訪れた1月6日は、メモリアルイヤーのオープニングを飾る礼拝が行われ、その午後現在のカントール、ビラーさんにお話を伺うことができました。そのインタビューは、ジャパン・アーツの合唱団ブログでご覧いただけます。1日バッハに浸れた幸福な日でした。

ゲオルク・クリストフ・ビラーへのインタビュー
【その1】聖トーマス教会合唱団について
【その2】マタイ受難曲について

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その後、来日公演のプログラムにも合唱団800年の歴史について記事を書かせていただくことになり、実際にトマーナコアで歌っていた人に話を聞くことができないかなあと思っていたところ、たまたまドイツ人の知人にそのことを話したら「私の知り合いに1人いるわよ!」。私が目の色を変えたら、その場で電話してくれ、翌日話を聞きに行けることになったのです。

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それが、現在ベルリン放送合唱団のテノールの団員であるトーマス・コーバーさん。彼は東独時代の1975年から84年までトマーナコアで歌っていました。きれいに整理されたアルバムを見ながらの思い出話は、時を経つのも忘れるほど楽しいものでした。この写真で見せてくれているのは、1977年の来日公演のちらしです。

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面白かったものをいくつかお見せしましょう。これは1979年10月7日、ベルリンの共和国宮殿(!)で行われた東ドイツ建国30周年の記念式典で歌ったときのプログラム。一般の市民は西側に自由に旅行に行けなかった時代、トマーナコアはある種の特権的な役割を担っていました。他の学校の生徒から妬まれることもしばしばあったとか。

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東独時代からの恒例行事、ドレスデンの聖十字架合唱団とのサッカーの対抗試合の記事。

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左の人物、誰だと思いますか?ロックバンド「ディー・プリンツェン」でボーカルを務めるゼバスティアン・クルムビーゲルです。800年の歴史を持つトマーナコアは、こんな異才も輩出しています。

来日公演のプログラムで3ページの記事を書いておりますので、コンサートに行かれる機会がありましたら、ぜひお読みいただけたらと思います。

関連:
- 聖トーマス教会合唱団&ゲヴァントハウス管弦楽団2012 ジャパン・アーツ
- ドキュメンタリー映画"Die Thomana"(2月16日よりドイツで一般公開が開始)
- バッハのモテット「聖霊はわれらが弱きを助けたもう」(トマーナコアの合唱で。コーバーさんがバッハのモテットで一番好きと言っていた曲で、最近の私のお気に入り)

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by berlinHbf | 2012-02-25 14:16 | ベルリン音楽日記 | Comments(4)

BKA劇場で聴く現代音楽

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インビスCurry 36(左)のすぐ横にあるBKA劇場。この右手に入り口がある

ベルリン市内を南北に走る地下鉄U6 のメーリングダム駅(Mehringdamm)周辺は、カレーソーセージの有名店Curry 36や人気のケバブ屋などが連なり、平日でも深夜まで人通りが絶えません。この界隈に面白い小劇場があると聞いて、先日足を運んできました。

駅から地上に出てすぐのメーリングダム34番地。建物の入り口に掲げられた看板に従って、中庭に続く道を進むと左手にドアがあり、エレベーターで上がった5階が劇場「BKA Theater」の入り口でした。

中に入ると目の前がバーになっており、その奥に舞台があります。いくつかの客席ごとにテーブルが置かれ、ろうそくが灯されていて、なかなか良い雰囲気。それにしても、クロイツベルクの雑踏の一歩入った奥にこんな劇場があったとは、新鮮な驚きでいっぱいでした。

このBKA劇場とは、Berliner Kabarett Anstalt(ベルリン・カバレット施設) の略。1988年創業の私営劇場で、その名の通り、カバレットやコメディー、シャンソンなど軽妙な大衆劇を上演しています。

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もう1つ、この劇場をユニークなものにしているのは、毎週火曜日20時半からの「Unerhörte Musik(聴いたことのない音楽)」という現代音楽のシリーズでしょう。ベルリンは現代音楽が比較的頻繁に取り上げられる環境にありますが、それでも一般的には馴染みの薄いジャンルであることは確か。その現代音楽を毎週定期的に取り上げるシリーズを展開しているのは、ドイツ全土でもここだけだそうです。

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BKA劇場のメインホール Foto: Jürgen Baumann

この夜、私が聴いたのはハンガリー人によるデュオ。ツィンバロム(エニコ・ジンゼリ)とトロンボーン(アンドラーシュ・フェイェール)という組み合わせは極めて珍しいと思います。しかも、ジョルジュ・クルタークやクリスティアン・ヨストらを除けば、初めて聴く作曲家の作品(新作も含め)ばかり。しかし、内容は大変充実したものでした。ツィンバロムはハンガリーの民族楽器として知られていますが、この日は特殊奏法が駆使されたり、演奏者の歌と混じり合ったりと、古代メソポタミアに端を発するという「世界最古の楽器の1つ」の多彩な響きに浸ることができました。

チケットは当日券12ユーロ(割引8ユーロ)と割安。コンサートホールでのコンサートと違って、打ち解けた雰囲気の中、ビールを飲みながら音楽を楽しめるのも魅力でした。肩肘張らずに未知の音楽の世界に飛び込んでみたいという方に、ぜひお勧めしたいシリーズです。
www.unerhoerte-musik.de
ドイツニュースダイジェスト 2月10日)

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by berlinHbf | 2012-02-14 11:53 | ベルリン音楽日記 | Comments(0)

ネルソンス&ベルリン・フィルのR.シュトラウス

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ベルリン国際映画祭のポスターが並ぶポツダム広場周辺 (2012-02-02)

●日本の皆さんもニュース等でご存知だと思うけれど、中・東欧では先週から極寒の日が続いていて、昨日も最低気温−13度ぐらいまで下がった。手袋はもちろん耳元までかぶる帽子はもはや必須。午後、手袋なしで歩いてみたけれど、5分も経つともう耐えられなくなる。こうも寒いとどうしても家にこもりがちになるが、幸い天気はいいし、身を切るような寒さの中コンサートに行くのは結構好きである。

●当夜はアンドリス・ネルソンス指揮のベルリン・フィル。2007年6月にベルリン・ドイツオペラのオケのコンサートで初めて彼を聴き、強烈なインパクト受けてからもうすぐ早5年。その間の躍進ぶりは目覚ましく、いつの間にかバイロイト音楽祭やベルリン・フィルの定期にも呼ばれるような存在になっている。ベルリン・フィルを振るのも今シーズンすでに2回目だとか。

●前半はブラームスのヴァイオリン協奏曲。ソロはベルリン・フィルのコンマスのブラウンシュタイン。こういう曲をそのオケのコンマスが務めてコンサートが成り立つのはやはりすごいこと。冒頭の序章で、彼は第1と第2ヴァイオリンの間に入って一緒にオーケストラパートも弾いていた。その後も、長い間奏のときは一歩下がってこの場所に戻り、周りの音に耳を傾けるなど、いつもの仲間と室内楽を楽しんでいるような、そんな趣さえあった。もちろんソリストとしての腕も見事だったけれど、改めてブラウンシュタインのヴァイオリンをじっくり聴いて、彼の音や節回しに潜む独特の哀愁味を感じた。最近彼が出したソロアルバムを視聴したときも(「自分のルーツと深くつながった小品ばかりを選んだ」と語っている)同じ印象を受けていたが、それがユダヤ人としての素性と関係しているかどうかはわからない。でも、20世紀の大ヴァイオリニストの系譜につながるような、渋みやくすんだ音色を聴き取ることができたのは興味深かった。

●後半はシュトラウスの「英雄の生涯」。要のヴァイオリンソロを樫本大進さんが弾いたのだが、これがもうあまりに見事で感嘆。「英雄の生涯」はベルリン・フィルの他の2人のコンマスのソロでも聴いたことがあるけれど、樫本さんの音は一段ときめ細やかでまろやかな美しさをたたえ、往年のミシェル・シュヴァルベもかくやと思わせるほど巧みだった。ネルソンスの指揮も素晴らしい。演奏中、絶えず何をしたくてたまらない小動物のように動き回るのだが、横の流れを大事にしているため、音楽のうねりが途切れることがない。内側からの充実を伴った、ふっくらと肉感的で丸い響きが生まれてくるのである。こんなにオペラティックで感興豊かな「英雄の生涯」は初めてで、彼の棒でシュトラウスのオペラを聴いてみたくなる!

●それにしても、ブラウンシュタインのブラームスに大進さんのシュトラウスと、コンチェルトを2曲分聴いたような気分が残った。これがオーケストラのコンサートマスターによる演奏なのだから、いまさらながらベルリン・フィルのずば抜けた能力を思い知らされる。ただ、華やかなプログラムにしては、客席にはちらほら空席が目立った。ポディウムの舞台席が用意されていなかったのも少々意外。

Berliner Philharmoniker
Andris Nelsons Dirigent
Guy Braunstein Violine

Johannes Brahms
Violinkonzert D-Dur op. 77
Richard Strauss
Ein Heldenleben

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by berlinHbf | 2012-02-02 12:56 | ベルリン音楽日記 | Comments(3)

ヤナーチェクの「死者の家から」@Staatsoper Berlin

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Schlesische Straße in Kreuzberg

10月はいくつもの素晴らしい音楽を生で聴くことができたが、とりわけ忘れがたいのがシュターツ・オーパーで観たヤナーチェクのオペラ「死者の家から」。2日のプレミエに加え、9日、14日と計3回も体験することができた。そのうちの2回は、この公演を聴くのを主目的にはるばるタイの南部、及びニューヨークの近郊からやって来た知人とご一緒した。ワグネリアンなどとは数の上で比べるべくもないけれど、世にヤナーチェキアンなる人たちも確かにいるのだ(笑)。

ピエール・ブーレーズが指揮、パトリス・シェローが演出したこの舞台は、2007年のウィーンのプレミエで大きな評判を呼び、エクス・アン・プロヴァンスの上演をライブ収録したDVDがすでに出ている。今回のベルリンではサイモン・ラトルが指揮をすることが大きな聴きものだった。まず印象的だったのが、劇の開始部分。客席はすでに静まり返っているのになかなか暗くならない。「あれ?」と思っていたら、突然ぱっと暗転してあの鮮烈極まりない序曲が鳴り響く。喉元にいきなり鋭いナイフを突きつけられたような緊張が走った。ラトルは最初から指揮台に待機していたようで、聴衆を一気に劇の中に引き込むのに効果的な演出だったように思う。ここから休憩なしで、全3幕の1時間40分の舞台が始まる。

それにしても、何とも不思議なオペラである。ドストエフスキーの「死の家の記録」を元にヤナーチェクが生涯最後に書き上げたオペラ。登場人物はほぼ男性のみ。政治犯の男が監獄に連れ込まれるところから始まり、最後釈放されるところで終わる。その間、筋だったストーリーがあるわけではなく、明確な主役がいるわけでもない。ただ、主役級の役柄、ルカ、スクラトフ、シシコフの3人による長いモノローグがあり、ここは音楽的にも極めて重要だ。第2幕には、復活祭の日に囚人たちが素人芝居を演じる場面(劇中劇)があり、彼らが喜び騒ぐ様子に、緊張が続くこのオペラの聴き手もちょっとほっとさせられる。全体を通して、男声合唱が担う役割も見逃せない。

このオペラのテーマは何なのだろうか。シェローがベルリンの新聞のインタビューの中で語っていたが、タイトルは「死者の家から」だが、このオペラを観て感じるのはむしろ「生」であり、「生へのエネルギー」である。では、ラストシーンで鷲に託される「自由」が主題かというと、それもちょっと弱い。政治犯の男は、確かに最後「自由」を得るが、そもそもなぜ自由になるかが明らかにされない。彼を解放する監獄の所長は酒で酔っぱらっており、単なる彼の気まぐれで釈放したようにも見える。やはり、この作品のテーマという意味で重要だと思うのは、ヤナーチェクがこの作品のスコアの扉に書いたという「どんな人間にも、神聖なひらめきというのはあるものだ」という言葉、そして集団劇としての側面である。監獄の中での集団生活の中から、ふとしたきっかけからある者が口を開き、身の上を語り始める。彼らは殺人などの犯罪を犯しながらも、それなりの理由があって罪を犯すに至ったのだった。周りの囚人たちは時々茶々を入れながらも、だまって聞いている。それによって、ある感情が集団の中で共有される。そして、1つ1つのモノローグは、お互い無関係なようでいて、どこかつながっている。そこもまた興味深い。シェローの演出では最後、スクラトフとアリェヤの2人が舞台に残され、それぞれ踊り、苦しみもだえながら幕が下りる。物語が終わったという完結感がない。結局ヤナーチェクは、監獄という特殊な状況を主題に選びつつ、それまでのオペラとは全く違う手法で、いつどこにでもある普遍的な人間の姿を描こうと試みたように思える。

驚くべきことに、この特異なオペラをヤナーチェクは73歳の時に作曲したのだった。亡くなる前年の12月、彼は「私の最高の作品かもしれない最新のオペラを仕上げている。血が吹き出そうになるまでに興奮している」と手紙に残しているが、今回のラトル指揮シュターツカペレの演奏は、まさに作曲家自身がこの作品に込めた情熱と興奮が直に伝わってくるすごい演奏だった。歌手では、ルカ役のテノールŠtefan Margitaが特に光っていた。ベテランのHeinz Zednikが老人役で滋味ある表現を聴かせてくれたのもうれしかった。シシコフ役を歌ったRoman Trekelは、正直配役ミスだったか。一本調子で、歌にも色艶が乏しい。ここの音楽全体の中でも特に「熱」を感じる部分だけに残念だ。ただ、このモノローグの最中、舞台裏から静かに聞こえてくる男性合唱は、神聖なまでに美しかった。

3回目の公演では、奮発して最前列の席を買った。ラトルの指揮姿を真横からつぶさに眺められたし、舞台も間近で臨場感が違う。やはり高い席にはそれだけの価値はあるなあと久々に感じた。その公演では言葉にできないほど感激し、終演後シラー劇場の楽屋口に駆け込み、ちょうど車に乗り込むところだったラトルをつかまえて一言二言こちらの気持ちを伝えることができた。ほんの短い間だったけれど、つい先ほどまで渾身の棒を振っていた指揮者本人が目の前にいるのかと思うと、心時めいた。サイモン・ラトルは人の気持ちを全身で受け止めてくれる方だった。

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2007年のウィーンから始まって、エクス・アン・プロヴァンス、ミラノ、ニューヨークなど、世界数カ所で上演されてきたこの舞台も、今回のベルリンが最後だという。シェロー曰く、「これ以上繰り返しても機械的になるだけ」とのこと。確かに演ずる方も聴く方も高い集中力を要求されるし、日常的にそうしょっちゅう観たい作品でもない。今回は連日ほぼ満席だったが、普通なら集客の面でも苦労する演目だろう。

いずれにせよ、ヤナーチェクの作品群の中でも、私にとってはどこか謎めいていた「死者の家から」が、今回の上演を通じて大好きになった。おそらく今後この舞台のDVDを観る時は、音楽と共に2011年という年を思い出すことになるだろうと思う。人間の無力さ、愚かさ、素晴らしさ・・・かつてないほど人間存在そのものを考えさせられた年に、この作品の真価を描き出した舞台に出会えたことに感謝したい。

Musikalische Leitung Simon Rattle
Inszenierung Patrice Chéreau
Künstlerische Mitarbeit Thierry Thieû Niang
Bühnenbild Richard Peduzzi
Kostüme Caroline de Vivaise
Licht Bertrand Couderc
Chor Eberhard Friedrich

Alexander Petrowitsch Gorjantschikow Willard White
Schischkow Pavlo Hunka
Roman Trekel 14|17 OKT
Aleja, ein junger Tatar Eric Stoklossa
Filka Morozow im Gefängnis als Luka Kusmitsch Štefan Margita
Der große Sträfling Peter Straka
Der kleine Sträfling Vladimír Chmelo
Der Platzkommandant Jiří Sulženko
Der ganz alte Sträfling Heinz Zednik
Der Koch Alfredo Daza
Der Pope Arttu Kataja
Skuratow John Mark Ainsley
Tschekunow Ján Galla
Der betrunkene Sträfling Florian Hoffmann
Der junge Sträfling Olivier Dumait
Dirne Susannah Haberfeld
Ein Sträfling in der Rolle des Don Juan und des Brahminen Ales Jenis
Kedril Marian Pavlovič
Schapkin Peter Hoare
Tscherewin Stephan Rügamer
Staatskapelle Berlin
Staatsopernchor

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by berlinHbf | 2011-11-12 23:48 | ベルリン音楽日記 | Comments(7)

新博物館に鳴り響くフルートの音色

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Neues Museum (2007-09)

●ペルガモン博物館で開催されている話題の特別展「ペルガモンー古代首都のパノラマ」を見てきました。このパノラマ展のことは今度改めて紹介するつもりですが、最近ペルガモン博物館とその発掘の歴史を改めて勉強する機会があり、古代世界についての興味が高まっているのを自分の中で感じます。博物館島といえば、9月末にここでちょっと素敵なコンサートを聴いたのを思い出しました。

ベルリン放送交響楽団が、ペルガモンの隣の新博物館でシーズン中に何度か室内楽コンサートを催しています。何より場として興味があったのと、今回はプログラムが特に魅力的だったので足を運んで来ました。入り口から階段を上って行くと、そこはGroße Treppenhalleという大きな吹き抜けのホールで、階段を上り切ったところがこの夜のコンサートの舞台。両脇の椅子はすでにいっぱいだったので、私はその上の階段に座ることにしました(冒頭の写真は、博物館がオープンする前の一般公開の時に撮ったものです)。

●この夜は、ベルリン放送響のフルートのメンバー3人を中心としたアンサンブル。バッハのカンタータ「アポロとパンの争い」のアリアの編曲を始め、ギリシャ神話の牧神「パン」を1つのテーマにしたプログラムが、古代美術を収める博物館として造られたこの空間でしかなしえない特別な音楽体験へと導いてくれました。Harald Genzmer作曲のアルト・フルートの「パン」は、副首席のルドルフ・デーブラー氏のふくよかで深みのある音色が素晴らしかったし、Johannes Wallmannのフルート・トリオのための曲では、3本のフルートが舞台とその上の階上の左右に分かれて演奏。特殊技法や奏者の発声も混じり合い、西洋的とも東洋的ともいえない不思議な音世界に浸りました。

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中でも感動したのは、ドビュッシーの「シリンクス」(パンの笛)でしょうか。パンのエピソードが舞台上から読み上げられた後、首席のシャーフ氏がこの位置からあのどこか物悲しいメロディーを奏でます。天井から降り注いでくる、たゆたうような艶やかな調べは、残響豊かな空間の効果もあってまさに絶品でした。最後は、同じドビュッシーの晩年の傑作「フルートとヴィオラとハープのためのソナタ」。無限のファンタジーをはらみ、聴く度に幻想の森の中をさまよっているような気持ちになる音楽です。フィナーレの音楽は疾走しているかのようで、聴いていて気分は高まってくるのだけど、汗をかくというよりは体の中にいつも風が吹き抜けている、そんな感じでしょうか。オーケストラの中で聴くフルートもいいけれど、もっと根源的な、笛の音が持つちからを感じさせてくれるコンサートでした。

Do 29.09.2011 | 20:30 Uhr
Neues Museum Berlin | Kammerkonzert
Ulf-Dieter Schaaff | Flöte
Rudolf Döbler | Flöte
Markus Schreiter | Flöte
Gernot Adrion | Viola
Magdalena Zimmerer | Harfe
Mitglieder des Rundfunk-Sinfonieorchesters Berlin

Johann Sebastian Bach
"Der Streit zwischen Phoebus und Pan" - Kantate BWV 201, Arie Nr. 9, bearbeitet für Altflöte, Viola und Harfe
Harald Genzmer
"Pan" für Altflöte solo
Claude Debussy
"Bilitis - Six Epigraphes Antiques" für Flöte und Harfe,
daraus drei Sätze
Johannes Wallmann
"Schilf in Händen" - Musik im Raum für Flötentrio
Claude Debussy
"Syrinx" für Flöte solo
Johann Sebastian Bach
"Der Streit zwischen Phoebus und Pan" - Kantate BWV 201, Arie Nr. 13, bearbeitet für zwei Flöten, Altflöte und Harfe
Claude Debussy
Sonate für Flöte, Viola und Harfe

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by berlinHbf | 2011-10-30 13:08 | ベルリン音楽日記 | Comments(2)

コーミッシェ・オーパーの「利口な女狐の物語」新演出

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© Monika Rittershaus

●コーミッシェ・オーパーで「利口な女狐の物語」のプレミエを観てきました。今シーズンでインテンダントの任期が終わるアンドレアス・ホモキの演出。指揮はアレクサンダー・ヴェルデニコフでした。1956年にヴァルター・フェルゼンシュタインによって演出された名プロダクション以来、この作品が同劇場で上演されるのは半世紀ぶりだそうです。

●幕が開くといきなり森番が1人でたたずんでおり、序曲が始まると、いきなり彼の若かりし頃の(?)結婚式の場面になります。どうやら、森番がこれまでの自分の人生を回顧するという設定の演出だったようです。幕が上がってすぐ、コオロギとキリギリスがバレエ音楽を奏でる場面がありますが、2役とも人間の姿。「あれ、動物が出てこないなあ」と思った矢先、舞台が転換してほとんど同じ小屋の舞台装置の上に、今度は動物のマスクをかぶった歌い手がずらりと並んでいるのです。それはメルヘン的というよりは、プログラムに抜粋が載せられていたカフカの「変身」を想起させるような、どこかグロテスクな世界でした。

●少なくともこのオペラの演出の1つの方向性である、「動物がたくさん登場し、子供でも楽しめるメルヘン調の演出」にする意図はホモキにはなかったようです。Verwandlung(変身、転換)というのが1つのキーワードと言えるでしょうか。動物の世界の出来事を全て人間の世界に置き換えており、4面の舞台装置を使って人間界と動物界が頻繁に行き来します。面白かったのは、あなぐま役を兼ねる神父の他、校長に雄鳥役もやらせていたこと。森番、神父、校長が最初から最後まで何度も登場し、自然の悠久さよりも、人生の「苦み」を強調した舞台だったように思います。その中心にいるのがやはり女狐で、男たちを惑わすセクシーな存在として描かれていました。

●全体的に音楽と歌い手たちの動作の連動性は見事でした。いかに緻密に稽古を重ねられてきたことがよくわかります。一方で、間奏音楽に至るまで情報を詰め込み過ぎて、観ていてどうも落ち着かない気分だったのも否めません。ヤナーチェクのオペラの多くは1時間半程度と短く、1幕も30分程度。舞台展開もスピーディーです。元々が動物を主人公にしたオペラなので、限られた時間の中であれもこれも人間界に置き換えようとすると、どうしてもどこか「説明調」になってしまうのです。第2幕の終盤の女狐と雄狐のラブシーンなど、音楽的に重要な部分で肝心の音楽に浸らせてくれない、と感じたこともありました。このオペラの魅力と同時に演出の難しさも感じた次第です。それでも、見どころの多い舞台だったことは確かで、第3幕のクライマックスの音楽ではいつもながら鳥肌が立ちましたね。今夜からシラー劇場で始まる新演出の「死者の家から」も、大変楽しみにしているところです。

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by berlinHbf | 2011-10-03 18:15 | ベルリン音楽日記 | Comments(3)

追悼クルト・ザンデルリンク

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大指揮者のクルト・ザンデルリンクが亡くなったそうですね。享年98歳。あとわずか1日で99歳の誕生日だったといいます。2007年に彼の95歳のバースデーコンサートを聴く機会があり、この時どなたかが「次はマエストロの100歳の誕生日をここでお祝いできることを!」と挨拶され、何となく現実になりそうな気がしていたのですが、願いは叶いませんでした。もう十分長生きされたとはいえ、ついにこの日が来たかという思いです。

私がベルリンに来てまだ間もない頃、幸運にもザンデルリンクさんの実演に2回ほど接することができました。最初は2001年2月、シュターツカペレ・ベルリンのオーケストラ公演で、ショスタコーヴィチのチェロ協奏曲第1番とブラームスの交響曲第2番でした。ブラームスが驚異的な名演で、冬の寒い夜でしたが、「ああ、本物のブラームスを聴いた!」とじんとくる感動が腹の底まで残りました。そして、2回目は2002年5月の引退コンサート。これはCDにもなっていますが、あんなにうねり昂るシューマンの4番のシンフォニーは聴いたことがありません。この時89歳とは思えないほど、指揮ぶりもエネルギッシュでした。コンツェルトハウスのバルコニー席から、全身の血が沸騰するような思いで聴いたのをまだ生々しく記憶しています。

残念だったのは、確か2000年秋に予定されていたベルリン・ドイツ響とのシューベルトの「グレイト」、2002年1月シュターツカペレとのショスタコーヴィチの交響曲第8番、同年6月のベルリン・フィルとのショスタコーヴィチの交響曲第6番のコンサート、そのいずれもがキャンセルになってしまったこと。もしどれか1つでも実現していたらきっとすごい体験になっただろうに、と今でも思います。あと、私がベルリンに来る直前、ベルリン・フィルと共演したシベリウスの交響曲第2番や、私がちょうど一時帰国中で聴けなかった2001年9月のベルリン放送響とのブルックナー交響曲第3番の録音など、将来的に日の目を見ることがあればと願っています。

冒頭の写真は、確か2003年か04年、フリードリヒ通りのDussmannでザンデルリンク自伝出版の記念イベントが行われた際、ご本人よりいただいた直筆のサイン。私は普段楽屋に出向いて音楽家のサインをもらうことはめったにしないのですが、この時は特別でした。引退コンサートのCDのブックレットに書いていただいたサイン、私の宝物の1つになっています。

マエストロ・ザンデルリンクのご冥福を心よりお祈りします。

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9月25日のモルゲンポスト紙の訃報欄より

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by berlinHbf | 2011-09-22 00:35 | ベルリン音楽日記 | Comments(2)

夏の終わりに聴くヴァルトビューネ2011

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日本からのお客さんがここのところ相次ぎ、しばらく間が空いてしまいました。

今週はベルリン・フィルのヴァルトビューネのコンサートを聴いてきました。これを聴けたのは、何ともラッキーというか不思議な巡り合わせでした。この公演、本来ならベルリン・フィルのシーズン最後のコンサートとして7月頭に行われるはずで、私が日本にいる時期と重なっていました。ところが、まさかの豪雨により、次のシーズン開始直前の8月末に延期されることに…(非常に珍しいことです)。日本に帰国中、私は久々に小学校時代の音楽の先生にお会いし、8月半ばにベルリンに遊びに来る予定の話をしていました。「せっかくだからコンサートにでもお連れしたいけど、この時期はまだシーズンオフだしなあ」。ふと、ヴァルトビューネの延期のニュースを思い出し、調べてみたらスケジュール的にドンピシャだったというわけです。

山本典子先生は私に音楽の楽しさと喜びを教えてくださった方。小学校2年生になった最初の頃、転校してきたばかりの学校の掃除の時間に、えも言われぬほど美しく、心ときめく音楽が教室のスピーカーから流れてきました。私はたちまち虜になったのですが、それがモーツァルトの「アイネ・クライネ・ナハトムジーク」でした。自分にとって音楽というものに魅了された最初の瞬間だったと言うことができます。大分後になって、毎日給食後約15分間の掃除の時間に合わせてこの曲を選んだのが山本先生だったことを知りました。

その先生と一緒にベルリン・フィルを聴けるというのは、実に感慨深いことでした。先生夫妻の他、一緒に来られた娘さん夫妻たちと、23日のコンサートを聴きに行きました。この日の午後、突然雷が鳴り、「まさかまた延期?」との思いも一瞬よぎりましたが、天気は何とか持ちこたえてくれました。

今年の指揮はリッカルド・シャイー。ベルリン・フィルの客演も10年ぶりだとか。何といっても、冒頭のショスタコーヴィチのジャズ組曲第2番がよかったです。軽妙で陽気で、どこかノスタルジック。夏の終わりの夕暮れ時にしみじみ聴くには最高の音楽なのかも。有名なワルツ2では、前の方に座っていた年配のお客さんたちが肩を揺らしながらメロディーを口ずさんでいました。続く、ニーノ・ロータがフェリーニの映画「道」のために書いた音楽の組曲では、物悲しい「ジェルソミーナのテーマ」がヴァイオリン、トランペットと楽器を変えて何度も夜空に鳴り響きます。

いつもなら、休憩が始まる頃はまだ明るいのですが、さすがに8月も終わり頃になればもう真っ暗。後半のメインはレスピーギの「ローマの松」。古代ローマの円形劇場を模して造ったヴァルトビューネでこの曲を聴けるというのが最大の楽しみだったのですが、PAの限界なのか、想像していたスペクタクルな効果はもうひとつ足りなかったかなあというのが正直なところ(後でDVDで見たらまた違う印象かもしれませんが)。でも、いつもながら、このコンサートはその場で聴けただけで幸せな気分になります。途中眠そうにしていた先生の孫のかわいい双子ちゃんも、アンコールの「ベルリンの風」では大はしゃぎでした。

山本先生との思い出でもうひとつ重要なのは、リコーダーの魅力を教えてくれたこと。先生はリコーダーのアンサンブル指導に非常に熱心で、高学年の頃、周りはほとんど女の子しかいない音楽クラブに入れてもらって、私はそこでソプラノリコーダーを吹いていました。有名無名問わず、ここでもかけがえのない音楽にいくつも出会いました。

これまたラッキーなことに、ヴァルトビューネの翌日、今度はベルリン大聖堂でフルートのエマニュエル・パユらによるバッハの夕べが開かれることを知り、こちらも先生たちと聴いてきました。すでにCDになっているピノックとのバッハのフルートソナタ4曲がメイン。フルートとチェンバロ、チェロの精妙なやり取りを味わうには、いかんせん教会のキャパが大き過ぎましたが、それでも、パユがソロで1曲だけ吹いたテレマンのファンタジー第7番は圧巻。音楽の根幹をなすフレーズごとの最初の低音の厚みと空間的広がりが素晴らしく、しばしば1本の笛で奏でられていることを忘れてしまうほどでした。

山本先生は昨年定年を迎えられたのですが、いまもほとんどフルタイムで横須賀市内の小学校で音楽を教えておられるそう。今後も元気でご活躍いただきたいものです。またベルリンに来られたら、今度はフィルハーモニーにもお連れしたいと思っています。

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by berlinHbf | 2011-08-28 23:57 | ベルリン音楽日記 | Comments(7)

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