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ベルリン-東と西が出会う場所。ドイツにありながらドイツではない町。歴史の影に彩られた栄光と悲運の世界都市。そんなベルリンの奥深い魅力をリアルタイムでお届けするブログです。Since 1. August 2005


by berlinHbf

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中村真人 (Masato)
神奈川県横須賀市生まれ。早稲田大学第一文学部を卒業後、2000年よりベルリン在住。ベルリンの映像制作会社勤務を経て、現在はフリーのライター、ジャーナリスト。


ベルリンガイドブック
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本書は2009年10月発行「素顔のベルリン」の増補改訂版です。2013年に改めて新規取材を行い、データを更新。レストランやショッピング、コラムなどのページも増量し、より充実したガイドブックに生まれ変わりました。

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現在のトップ画像は、ベルリン在住のイラストレーター、高田美穂子さんによるオリジナル作品です(詳しくはこちらより)

ベルリン更新情報
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ヴァルトビューネ2007体験記

ヴァルトビューネ2007体験記_e0038811_18475997.jpg
さて、今回は先週日曜日のヴァルトビューネのコンサートの話をしよう。コンサートそのものについては別の場所でも書くかもしれないので、ここでは写真を交えながら場の雰囲気を中心に伝えられたらと思う。

私がヴァルトビューネでのベルリン・フィルのコンサートを初めてテレビで見たのは、1992年の夏だった。指揮はジョルジュ・プレートル。当時私は高校生だったが、「クラシックのコンサートでこんなのがあるんだ」とひたすら驚き感動したのを昨日のことのように覚えている。以来いつか生のヴァルトビューネを体験したいなと漠然と思っていたが、15年経ってその希望が叶うことになった。

ヴァルトビューネ(「森の舞台」の意)はベルリンの西の郊外シャルロッテンブルク地区にある。Sバーンの最寄り駅はオリンピックスタジアムの隣、Pichelsbergだ。7時に友達と駅で待ち合わせ、人の流れに沿って細い遊歩道を歩いて行く。まさにピクニックコンサート。この道のりをたどるときから、森の劇場でのコンサートはすでに始まっているといえるのかもしれない。

10分近く歩くと、スタジアムの西側のGlockenturmにたどり着く。この塔までは来たことがあった。その目の前がヴァルトビューネへの入り口になっており、すごい人だかりだ。私の知り合いは中に入るだけで1時間近くも並んだという。私たちは開演が近づいていたこともあってか、10分ぐらいで順番が回って来た。そこで荷物チェックを受けて中に入るのだが、サッカーなどに比べると大分甘いようだ。それもそのはず、隣のオリンピックスタジアムには何度も来ているけれど、お客さんの顔ぶれがサッカーとはかなり違う。すでに酔っ払って大声を上げている男どもはいないし、大事な試合の前の殺気立った雰囲気もない。家族やカップルで来ている人たちが多いようだった。みんな、1年に1度のこの日を心待ちにして来ているのだ。

ヴァルトビューネ2007体験記_e0038811_18481257.jpg
入り口を抜けてなだらかな森の坂を下っていくと、視界が開けてくる。テレビでおなじみのあの風景が目に飛び込んできた(冒頭の写真)。まだコンサート開演40分前なのに、席はもう9割近く埋まっているのに驚く。開場はすでに6時からで、ブロック内は自由席なので席を確保するため早くから来ている人が多いようだ。手作りの弁当を食べながら、みんなわいわい楽しくやっている。なぜか私は、小学生のとき初めて西武球場で生の野球を見たときの記憶がよみがえってきた。「そういえばあの球場も森に囲まれていたな」と、そんなことを思い出しながら歩いていると、自分もわくわく楽しい気分になってきた。

さて、前半が始まって感じたこと2つ。まず巨大スピーカーを通して伝わってくるベルリン・フィルのサウンドに、最初は相当な違和感を覚えた。正直これだったらテレビで見た方が音はいいのでは、と思ったくらい。だが、こればかりは言ってもしょうがないし、時間が経つにつれて耳は大分慣れてきた。そしてもう一つ意外だったのは、みんな静かに聴いているということ。なにせこれだけ多くの人が集まっているわけだから、演奏中も客席は何となくざわついているイメージがあったが決してそうではなかった。2曲目のディーリアスの「ブリッグの定期市」という曲のことを知っていた人はこの中に何人いただろう。時折子供の泣き声とかは聞こえてくるものの、2万人のお客さんがこの美しい音楽に静かに耳を傾けているのは、私にはなかなか不思議な光景だった。ヴァルトビューネのコンサートは確かに一つのお祭りかもしれないけど、それでもみんな音楽を聴くためにここに集まって来ているのだ。

ヴァルトビューネ2007体験記_e0038811_18482744.jpg
Stephen Houghによる見事なピアノソロによるラフマニノフが終わって(さらにアンコール付き)、前半は終了。これは休憩中の様子。ヴァルトビューネは、もともとはヒトラーが古代ギリシャの野外劇場をイメージして作らせたもの。傾斜が思いの外きつい。階段でつまづいたら大怪我をしそうだ。

ヴァルトビューネ2007体験記_e0038811_1848502.jpg
さて後半。コンサートが始まる前はやや曇り気味だったが、空の表情は刻々と変化し、後半が始まった頃には抜けるようなブルーの空になった。グルーネヴァルトの森の冷気が肌に心地よい。そして時折聞こえてくる小鳥のさえずり。これはテレビで見ていたときはわからなかったものだ。

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最後の数曲に入ると、花火をたく人がちらほら出てくる。これは上の屋台で売られているらしい。

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やがて、私のすぐ後ろの女性2人(親子だろうか?)や開演前に食べ物を分けてくれた隣のおじさんにもその波は広まり、掛け声を出す人も増えてきてますますにぎやかに。

ヴァルトビューネ2007体験記_e0038811_18493321.jpg
アンコール2曲の後、ラトルと聴衆との楽しい掛け合いがあってから、待ってましたとばかり恒例の「ベルリンの風(Berliner Luft)」へ!手拍子する人や踊りだす人。そして急斜の客席に口笛がこだまする(こんな感じです)。

ヴァルトビューネ2007体験記_e0038811_184951100.jpg
最後はご覧のように総立ちに。
8時15分から始まったこのコンサート、終わったのは10時40分を回っていた。人ごみをかき分け、違うブロックで聞いていた友達と合流し、最寄の駅にたどり着いた頃には11時半近くになっていた。今年のヴァルトビューネはかなり渋めのプログラムだったけれど大変楽しめたし、私としてはあの場にいられただけでうれしかった。

Sonntag 17. Juni 2007 20:15 Uhr
Berliner Philharmoniker
Sir Simon Rattle Dirigent
Stephen Hough Klavier
Wenzel Fuchs Klarinette

Emmanuel Chabrier
España
Frederick Delius
Brigg Fair: an English Rhapsody
Sergej Rachmaninow
Rhapsodie über ein Thema von Paganini für Klavier und Orchester op. 43
Antonín Dvořák
Slawische Rhapsodie D-Dur op. 45 Nr. 1
Claude Debussy
Première Rapsodie für Klarinette und Orchester
George Enescu
Rumänische Rhapsodie Nr. 1 A-Dur op. 11 Nr. 1

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by berlinHbf | 2007-06-22 13:51 | ベルリン音楽日記 | Comments(14)
Commented by rbhh at 2007-06-23 05:23
こんにちは。マサトさんも行かれてたんですねっ!!
私も長年の夢がかなって行ってきました。そして今記事を書いたばかりです。のちほどトラックバックさせていただきますね。
私もあのスピーカーを通しての音に最初とっても違和感を感じました。でもとっても楽しかったので、また来年以降も絶対に行くつもりです。
Commented by まねき猫 at 2007-06-23 08:51 x
マサトさん、こんにちは♪
思わず「おぉぉっ~」と声をあげてしまいました(笑)
初めて知りました(^_^;
観客の人たちの表情から、このコンサートがいかにすてきなものかわかります。
Commented by Yozakura at 2007-06-23 11:59 x
WaldBu:hne2007、報告と感想を拝見。
 この野外コンサートで開催された演奏会の模様は、YouTubeなどに多数、投稿・掲示されています。雰囲気が楽しくて、頻繁に視聴していますが、参加者の感想や会場の実況に接したのは、実は今回が初めて。
 音楽ファンからこのコンサートが愛されている理由が、よく分かりました。森のピクニック、お疲れ様でした。御元気で。
2007/06/23(梅雨の中休み、五月晴れの朝に) Yozakura 敬白
Commented by ラッパ@たか at 2007-06-24 17:32 x
私も一度は現地で聴きたいデス!!
写真で雰囲気楽しめました♪
Commented by nyf1403 at 2007-06-24 20:32
はじめまして、kaninchenさんのところからまいりました。
テレビ中継の最後の方だけ鑑賞しました。ラトルは燕尾服でない衣装も素敵、とずれた感動をしたのは私です。
ベルリンには、まだ、オット共々いったことがありません。いつ行けるのかな、と。友人は、休暇を決めてからコンサートのチケットを用意するんでなく、チケットをとるのが先だよ、って言っていました。
Commented by kaninchen at 2007-06-25 00:29 x
こんにちは。私のところでまさとさんのこの記事のリンクを張っておきましたが、名前を書いていないので、アクセスしてみないと誰のページか分からないようになっています。
ヴァルトビューネ、本当に最高でしたね。自然と音楽が調和した素敵なコンサートでした。
私のブロックの周りには結構日本人のグループの方の姿が目立ちましたが、そちらのブロックはいかがでしたか?
Commented by berlinHbf at 2007-06-25 05:55
rbhhさんも、あの場におられたんですね!
あの日は天気に恵まれましたよね。昨夜はランランとバレンボイムのコンサートがあそこで行われたようです。昼間は天気が大荒れでしたが、無事に終わったでしょうか。
Commented by berlinHbf at 2007-06-25 05:57
>まねき猫さん
本当に雰囲気がすばらしいんです。近々日本でも放映されるかもしれませんから、番組表をチェックしていてくださいね。
Commented by berlinHbf at 2007-06-25 07:16
>Yozakuraさん
コメントありがとうございます。ヴァルトビューネに足を運んだのは私も今回が全くの初めてで、開場に向かうところからドキドキしました。来年は南米音楽のプログラムだそうで、今年以上に盛り上がりそうな気がします。
Commented by berlinHbf at 2007-06-25 07:26
>ラッパ@たかさん
楽しんでいただけたようでうれしいデス。
ラッパの演奏も本当にすてきでしたよ。
Commented by berlinHbf at 2007-06-25 07:41
>nyf1403さん
はじめまして!テレビでご覧になりましたか。私も録画しておいたので、そのうちもう一度見直そうと思っています。ヴァルトビューネのチケットはかなりの人気ですが、売り出しの時期を見逃さなければ何とか手に入るのではないでしょうか。ただ、席がカテゴリー別になってから値段が大分高くなりましたね。
Commented by berlinHbf at 2007-06-25 07:45
>kaninchenさん
リンク張っていただきありがとうございました!
私がいたブロックは日本人はほとんど見かけませんでした。近くに招待客の席があったのですが、そこには食べ物(その他?)が入った手提げ袋が各席に置いてあり、中身がかなり気になりました。大相撲の升席みたいでしたね^^;)。
Commented by gramophon at 2007-06-25 18:06 x
いいなあ。仕事ばかりでしたから、まだ一度も行ったことありません。Berliner Luftを聞くと、ベルリンだなあと思います。
Commented by berlinHbf at 2007-06-28 09:11
>gramophonさん
>Berliner Luftを聞くと、ベルリンだなあと思います。
私もそう思いますね。ウィーンのラデツキー行進曲みたいなものでしょうか。他にベルリンらしい響き、音楽は何があるかなあと最近たまに考えています。

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