ベルリン-東と西が出会う場所。ドイツにありながらドイツではない町。歴史の影に彩られた栄光と悲運の世界都市。そんなベルリンの奥深い魅力をリアルタイムでお届けするブログです。Since 1. August 2005


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中村真人 (Masato)
神奈川県横須賀市生まれ。早稲田大学第一文学部を卒業後、2000年よりベルリン在住。ベルリンの映像制作会社勤務を経て、現在はフリーのライター、ジャーナリスト。


ベルリンガイドブック
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本書は2009年10月発行「素顔のベルリン」の増補改訂版です。2013年に改めて新規取材を行い、データを更新。レストランやショッピング、コラムなどのページも増量し、より充実したガイドブックに生まれ変わりました。

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現在のトップ画像は、ベルリン在住のイラストレーター、高田美穂子さんによるオリジナル作品です(詳しくはこちらより)

ベルリン更新情報
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12月の公演より

例年1月、2月のベルリンの舞台シーンというのは極めて充実しているのだが、今月は自分の懐事情もあって、なかなか思うように足を運べずもどかしい思いをしている。12月は知人の方が急遽行けなくなったチケットで聴かせていただくという、そうそうないことが重なったので、その反動だと思うことにしたい。少し時間が経ってしまったけれど、先月観たり聴いたりしたものを、ここでざっと振り返ってみたいと思う。

エマーソン弦楽四重奏団 (12/12)
何といっても、メインのモーツァルトの弦楽五重奏曲がすばらしかった。アメリカ出身のベテランの四重奏団に、BPO首席ヴィオラの清水直子さんが紅一点で加わる。清水さんは第2ヴィオラという一番地味な役回りだったのだが、全体のバランスに常に気を配りながら演奏するその存在感は際立ったものがあった。加えて舞台姿が美しいので、私は清水さんの方ばかりを見ていたかも^^;)。4楽章の主部に入ってからの流れるような音楽は、とりわけ至福だった。

Franz Schubert
Quartettsatz c-Moll D 703
Charles Ives
Streichquartett Nr. 2
Wolfgang Amadeus Mozart
Streichquintett g-Moll KV 516

フィルハーモニア・カルテット (12/17)
ショスタコーヴィチの弦楽四重奏のチクルスの最終回で、晩年の13、14、15番という大作が並んだ。とりわけ15番は全ての楽章が叙情楽章という特異な音楽ゆえ、聴く方も相当エネルギーが要るのだが、この日は演奏者だけでなく聴き手も集中力を最後まで切らすことがなかったように感じた。ショスタコの弦四はまだあまりよくわからないけれど、すごい音楽だなとは思った。

ジョン・アダムズ "A Flowering Tree" - ラトル指揮ベルリン・フィル - (12/21) 
11月にウィーン初演されたばかりの、アメリカの作曲家ジョン・アダムズによる新作オペラで、南インドの民間伝承を基にしたというメルヘンチックな内容。「愛」や「徳」などをテーマにしている点で、モーツァルトの「魔笛」との関連性も見られるそうだ。音楽はカラフルで現代音楽にしては親しみやすく(傑作と呼べるのかどうかはわからないけど)、ジャワからやって来た3人のエキゾチックなダンスも秀逸で、最後は大いに盛り上がった。
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「コシ・ファン・トゥッテ」 - コミッシェ・オーパー - (12/25)
クリスマスに観たオペラ。こういう日にオペラやっても客足はどうなんだろうと思って行ってみると、ほとんど満席状態だった。それもカップルや家族連れが多い。24日は家族と家で過ごして、25日は揃って劇場に足を運ぶ人が多いのかもしれない。すでに一度観ている舞台だったが、私の2005年モーツァルト・イヤーを締めくくるにふさわしい楽しくも充実した内容だった。最後のベルリンらしいオチに、お客さんは大いに沸く。

Musikalische Leitung: Markus Poschner, Inszenierung: Peter Konwitschny, Fiordiligi: Tatjana Gazdik, Dorabella: Elisabeth Starzinger, Guglielmo: Klaus Kuttler, Ferrando: Nicholas Sales, Despina: Gertrud Ottenthal, Don Alfonso: Dietrich Henschel

「椿姫」 - シュターツ・オーパー - (12/26)
ペーター・ムスバッハ演出によるこの「椿姫」は、演出がユニーク。ここでのヴィオレッタはほとんど精神病の一歩手前で、舞台の上では常にふらふらしている。彼女の目には、自分の周りの人間は全て敵に見えているようだ。しかしそんな彼女のセクシャルな魅力は比類なく、あのジェロモン(アルフレードの父親)さえも言い寄りかねない様子。加えて、このヴィオレッタはメイクといい、ヘアスタイルといい、あのマリリン・モンローにそっくり!ムスバッハは、60年代のアメリカのセックス・シンボルを現代のトラヴィアータにダブらせたのかもしれない。

Musikalische Leitung: Dan Ettinger, Inszenierung: Peter Mussbach, Violetta Valéry: Anna Samuil, Flora Bervoix: Katharina Kammerloher, Annina: Maria Petrašovská, Alfredo Germont: Saimir Pirgu, Giorgio Germont: Alfredo Daza

「オレステイア」 - ドイツ座 - (12/27)
オペラを2本観た後に、タールハイマー演出による演劇を観ると、その肉体表現の激しさにびっくりしてしまう。原作はアイスキュロス作のギリシア悲劇ゆえ、内容が内容なのだが、激しく血は飛び散るし、俳優さんは激しく叫ぶし、素っ裸も普通に出てくる。客席の一番前の列に座ったら、服が汚れないようにと係りの人からビニールシートを渡された。語り部はドイツ座専属と思われる俳優さんたちで、コーラスのように常に同じセリフを斉唱するのだが、粗野な迫力に満ちている。作品のエッセンスだけを抽出したような舞台で、1時間半足らずでさくっと終わり。ベルリンにいるのだから、演劇ももっと観なければと思う。
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ペトレンコ指揮コミッシェ・オーパー管 (12/30)
こちらで取り上げました。

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by berlinHbf | 2007-01-26 19:09 | ベルリン音楽日記 | Comments(8)
Commented by ausdrucksvoll at 2007-01-28 20:24
こんにちは!
ヴィオラの清水さんは欧州で活躍する邦人音楽家として私にとって一番の理想の存在です。彼女のベルリン・フィルでの試用期間のエピソード等を聞いたら、音楽家たるはかくあるべきなのかな、と考えるようになりましたし、私は事あるごとに彼女のそのエピソードを思い出し、心掛けるようにしています。昨年ベルリンを訪れた時に、幸運にも偶然道ですれ違った時は本当に小躍りしたい気分でした☆
Commented by ふみ at 2007-01-30 00:15 x
こんにちは、一度コメントさせていただいた横須賀の者です。
マサトさんのブログ、引き続きのぞかせていただいてます。
「椿姫」を世田谷で観る機会があり、ベルリンでももう一度、と思っているところでこの記事を発見。気が逸ります。
2月からベルリンですのですれ違うこともあるかもしれませんね。
Commented by berlinHbf at 2007-01-30 02:46
>ausdrucksvollさん
こんにちは、コメントありがとうございます!
数年前、朝日新聞(だったか?)に載った清水さんのインタビュー記事を、私も読んだことがあります。試用期間中はとにかく練習練習の毎日で、週末はその反動から家で寝てばかり。「日本のサラリーマンのようでした」と語っていたのを思い出します。彼女の演奏には、表現の大胆さがある一方で、日本人の美点である細やかさや周りへの気配りといったものを感じることもできますね。ausdrucksvollさんも、ぜひ清水さんの後に続いてください。応援しています!
Commented by berlinHbf at 2007-01-30 02:51
>ふみさん
コメントありがとうございます!
>一度コメントさせていただいた横須賀の者です。
はっきりとした記憶がないのですが、津久井の方でしょうか?間違っていたらごめんなさい。横須賀からのコメントとはうれしい限りです。

2月からベルリンにお住まいになるのですか?
この「椿姫」は舞台装置がほぼゼロというシンプルな舞台ですが、総合的にはなかなか楽しめると思います。どうぞよいご滞在を!
Commented by waldtaube at 2007-01-31 03:00 x
はじめて書き込ませていただきます。天使ダミアンを演じた俳優の故郷に住んでいるものです。

引き取っていただいた「コシ」と「椿姫」のチケット、楽しんでいただけたのならなによりです。さて、私は以前ワシントンDCに住んでいましたが、エマーソン四重奏団はジュリアード四重奏団と共にそこを本拠地としていたので思い出深い演奏会をいくつも聴くことができました。定期演奏会は会員で占められていてなかなか券が手に入らないので、わざわざNYまで足を運んだりもしました。はじめて彼らを聴いたときには、カーネギーホールの最前列で首を痛くしながら「こんなに内声が充実したカルテットがあるものか」と驚嘆したものです。2人のVn奏者が掛け合うときなど、全く対等のVolumeでなるんですね。この時、逆に、私がそれまで実演で聞いた全てのSQでは大なり小なり1st Vnに比重が偏っていたのだと思い知らされたのです。DuttonのムラのないVlaの音色も魅力的でした。ソロが近づいて彼が楽器をちょっと客席の方に向けて構える時の胸の高鳴りが蘇って来るようです。懐かしい!
Commented by berlinHbf at 2007-02-01 03:16
>waldtaubeさん
初コメントどうもありがとうございます!
12月のオペラのご報告(といっても非常に簡潔ですが・・・)が遅くなり、申し訳ありませんでした。どちらも通い慣れている劇場なのですが、クリスマスの時期ということで、 普段とは違った雰囲気の中で楽しませていただきました。

エマーソン四重奏団は初めて聴きましたが、やはりすばらしい実力を持つ団体ですね。おっしゃる通り内声部が充実していて、ヴィオラ奏者の大きな体を動かしながらのたっぷりした弾きっぷりも印象的でした。アメリカでの名声ぶりもよく伝わってきましたし、あの大きなカーネギーホールでカルテットのコンサートが成り立つというのもすごいですよね。
Commented at 2007-02-04 12:38 x
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented by berlinHbf at 2007-02-05 10:00
>湯冷ましさん
ご意見ありがとうございました。
今後記事を書く際に考慮させていただきます。

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