ベルリン-東と西が出会う場所。ドイツにありながらドイツではない町。歴史の影に彩られた栄光と悲運の世界都市。そんなベルリンの奥深い魅力をリアルタイムでお届けするブログです。Since 1. August 2005


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中村真人 (Masato)
神奈川県横須賀市生まれ。早稲田大学第一文学部を卒業後、2000年よりベルリン在住。ベルリンの映像制作会社勤務を経て、現在はフリーのライター、ジャーナリスト。


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外国語を学ぶということ

新年ということで、自分の今年の抱負の一つでも書いてみることにしたい。

何を今さらと言われてしまいそうだけれど、今年は初心に戻ってドイツ語の力をもうワンランク、できたら数ランクアップさせることに力を注ぎたいと思う。

私がベルリンにやって来た6年前と比べて即座に思うのは、この間の情報ネットワークのすさまじい成長ぶりである。それは、20年前、30年前の海外生活を経験した方ならなおさら実感されることだろう。インターネットのお陰で、いまやドイツにいようがベトナムにいようが日本の情報が即座に手に入るようになった。さらに近年はMixiやらYouTubeやらSkypeといった新しい形態のネットワークが次々と登場し、これらにハマってしまうともうキリがない。周りには日本人の友達も少なからずいる。海外生活で日本語に飢えるのはしょうがないとしても、ドイツにいるにも関わらず日常生活は日本語の情報に埋め尽くされるということになりかねないのだ。昔の人が国を背負っての覚悟でやってきた留学というものも、最近はずっと気楽に実現できるようになった。ベルリンではここ数年ワーホリで来る日本人が増えていると聞く。

私自身、ドイツ生活が長くなってドイツ語に触れる時のヨロコビみたいなものが薄れてきているのを正直感じる。以前に比べるとドイツ語が通じるようになったのはいいとしても、自分が持っている乏しいボキャブラリー内で会話をやり取りすることに慣れてしまい、語彙を増やす努力が疎かになってきてしまった。これではいけない。なぜ自分がわざわざコムズカシイドイツ語の世界に敢えて飛び込んできたのか、ここでもう一度問い直さなければと思う。

今まで様々なドイツ語の授業を受けてきたけれど、一番楽しかったものはとなると私は真っ先に大学4年の秋を思い出す。ドイツの名の付く学科にいたにも関わらず、面白いと思える授業が少なく(いや、それを言い訳に)大したものを得ることなく卒業しようとしていた当時の私は、一念発起して偶然キャンパスで知り合ったドイツ人の留学生に個人授業を嘆願したのだった。

コブレンツ出身のアドリアンという自分より数歳年上のその留学生は、私の願いに対して気楽に応じてくれた。週1回、彼のアパートに通う日々が始まった。アドリアンのレッスンでは市販のテキストは使わない。最初に雑談してその日のテーマを決め、白紙にメモをとりながら彼がそのテーマの話をするというもの。シンプルだが、これがとても楽しかった。経済が専門というアドリアンはいろいろなことをよく知っていた。さらに絵を描くのが上手で、毎回愉快なイラストを添えてくれた。

ちょうどベルリンの壁が崩壊して10年という時期のある日、アドリアンが「なぜベルリンの壁が崩壊したのか」を詳しく説明してくれたことがあった。ベルリンの壁について私は学校で習っていたしテレビで映像を見たこともあったけど、ドイツ人からドイツ語で説明を受けるというのは初めてのことだった。当時のゲンシャー外相がプラハで東独市民を前に言ったこと、ハンガリーの国境開放、ゴルバチョフが壁崩壊の直前に言った言葉・・・彼はもちろんその場にいたわけではない。だが、ものすごいリアル感があった。目から鱗が落ちる思いだったと言ってもいい。ドイツ語を通じて全く新しい世界が自分の目の前に広がるのを感じたのだ。

他にもアドリアンは、「ドイツのクリスマス」や「教育制度」、「資本主義と社会主義の違い」といったテーマについてもわかりやすく私に話してくれた。もちろん毎回楽しいイラスト付きで。その時のメモ帳は今も実家に取ってある。

アドリアンにはかれこれ長いこと会っていないが、元気だろうか。
ドイツ語に限らず外国語を学ぶということは、全く新しい世界を自分の中に取り入れることである。あの時のヨロコビを私はもう一度取り戻したい。

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by berlinHbf | 2007-01-04 03:01 | ドイツ語関連 | Comments(10)
Commented by zaichik at 2007-01-04 19:55 x
「外国語を学ぶということ」はヨロコビだけではなく、辛さも伴う気がします。ネイティブにしか理解できない微妙なニュアンスや言葉以前にある背景や感覚といったもの。どんなに頑張っても理解できないことが、どうしても出てきてしまう。ただ、それは日本人同士でもそうなのかもしれませんね。言葉はあくまでも手段なので、一番大事なのは相手を理解しようとする気持ちなのかもしれません。

確かに「外国語を学ぶということ」で、そういった普段は気付かない点に目を向けられることもヨロコビに繋がるのかもしれません。
Commented by コモ エスタ at 2007-01-04 19:57 x
こんばんは。いつも楽しく拝読しております。

たしかに我々が大学に入学したころと比べると、格段に世の中変わっていると思いますね。ご指摘のとおり、情報ネットワークが全然違う!

いまでも覚えています。大学に入学したとき、メディアネットワークセンターなる機関があり、そこでインターネットなるものができると聞いて入学後ふらっとのぞいてみたときのことを。たしか当時は「モザイク」というネットスケープよりさらに前のブラウザ。そのブラウザを使ってネットをしたときは「おお、世界とつながった」という感動を覚えたことをいまでも覚えています。

高校卒業後、アメリカに留学し、アメリカにずっといる友達も「昔は手紙でやりとりしていたのが懐かしい」と話していました。たった10年で、それ以前の10年よりはるかに社会は縮まってしまったのでしょう。ただ、そうなると・・・。

周りは日本人だらけで、そのまま日本語が通じるのでなにしにきてるかわからなくなる人、はたまたネットという世界にこもってしまう人も出てきてしまうでしょうね。

つねに目的を見失わず、がんばってください!って、僕もですけれどね(苦笑)

Commented by berlinHbf at 2007-01-05 01:14
>zaichikさん
>「外国語を学ぶということ」はヨロコビだけではなく、辛さも伴う気がします。
おっしゃる通りだと思います。僕は今でもドイツ語がイヤになることがありますが、それは自分の惰性心だけでなく、zaichikさんの言う「辛さ」も絡んでのことなんだろうと思います。ドイツ語に関わる時間が長くなればなるほど、その気持ちが増しているような気もします。でも苦労して相手を理解できた時や気持ちを共有できた時の喜びも、忘れないようにしたいですね。

>言葉はあくまでも手段なので、一番大事なのは相手を理解しようとする>気持ち
まさにこれです!これがなかったら、外国語でその国の人と話す意味はないと思います。

僕の文に欠けていた視点を指摘してくれて感謝です!
Commented by berlinHbf at 2007-01-05 01:24
>コモ エスタさん
僕が初めてネットに触れたのは大学1年の冬、当時一部話題になっていた立花隆のHPを見てみたくて、友達に使い方を教えてもらいました。当時はあまりピンとこなくて、Eメールを始めるようになったのは3年生になってからでした。ちょうど海外にも友達ができた時期だったので、彼らとやり取りをしていてこれはすごいと思ったものです。

僕がベルリンに来た当初はパソコンをまだ持っていなくて、実家や友達によく手紙や絵葉書を書いていました。それが最近は、スカイプで実家の家族と話したり、ミクシィで昔の友達とも簡単にコンタクトが取れてしまう。なんだかあの頃が懐かしいですね^^;)。
Commented by KIKI at 2007-01-05 03:44 x
気楽に外国に来られる私たちは、本当に恵まれているんだと、よく思います。昔の人と比べてもそうだし、現代でも、そういう機会の無い人がたくさんいるわけだしね。
世界を見渡せば、母語が書けない人がいまだに多くいる一方で、私は恵まれた環境で勉強しているということ。発展途上国の問題を扱っていたとき、このアンフェアさに悩みました。
外国語を学ぶということ、外国で勉強できるということ、いや、そもそも勉強できるということが、実はとっても恵まれたことなんでしょうね。
Commented by shio at 2007-01-05 13:19 x
こんんちは!
10月に一度コメントを寄せました。
覚えていてくれてるといいな~(^^)

抱負、とても良いですね!
私はどんなことに対しても、
まず「辛さ」を感じてすぐにくじけるクチです(笑)

だけど何かを理解しようと自分が努力して、
そのモノの表面を覆う膜を破って
もう少し深く触れられるようになった時の
喜びは、やっぱりステキです。

それが、マサトさんの言う
「全く新しい世界を自分の中に取り入れること」
私が好きな表現でいうと、
「成長する」ということなんだな~と、
ブログを読んでいて考えさせられました。

今年もまた、くじけながらも
オズオズとクヨクヨとモタモタと、
それでも新しい世界を押し広げていきたい!
と励まされました。

どうもありがとう。
Commented by madonotabi at 2007-01-06 02:36
明けましておめでとうございます。
berlinHbfさんの今年の抱負を読ませていただき、自分も身の引き締まる思いです。楽な方法で通ってしまう色々な事に慣れてしまってはいけない。もう一歩先の努力が出来るのに色々な言い訳をしてやらないでしまっていることを反省します。
ベルリンで受けた衝撃を忘れないで私もがんばりますね。
今年もどうぞよろしくお願いします。
Commented by berlinHbf at 2007-01-07 00:44
>KIKIさん
あまりに情報が氾濫している環境にあってつい忘れがちですけど、外国語を勉強できるということは本当に恵まれたことなのですよね。国家の思想統制のため外国語を勉強できない環境にある国もあるし、日本でも英語が敵国語だった時期がありました。

ドイツ語、ここまできたらもう一生逃げられないかもしれないので、どうせならもっと果敢に挑みたいと思います(笑)。
Commented by berlinHbf at 2007-01-07 00:55
>shioさん
10月にいただいた時のコメントを読み直しました。
もちろん覚えています。素敵なコメントありがとうございました。

>今年もまた、くじけながらも
>オズオズとクヨクヨとモタモタと、
>それでも新しい世界を押し広げていきたい!

私もまさにそんな気持ちです!
語学の勉強というのは非常に地道な作業なので、なかなか成果は見えにくいですが、それでも前は使わなかった言葉がふと自然に口から出たりすることがあって、そういう時はうれしくなります。

shioさんの今年の抱負は何でしょうか。
今年もどうぞよろしくお願いします!
Commented by berlinHbf at 2007-01-07 01:08
>madonotabiさん
旅行から帰られたのですね。お帰りなさい!
旅のご報告を楽しみにしています。

madonotabiさんもドイツ語の勉強を続けられているそうで、うれしいです。お互いがんばりましょう。
ドイツ語は格変化やら覚えることがたくさんありますが、最初にそこを乗り越えてしまうと後で楽になると思いますよ。
私もそこで苦労したクチなのであまりエラそうなことは言えませんが(笑)。
今年もどうぞよろしくお願いします。

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