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ベルリン-東と西が出会う場所。ドイツにありながらドイツではない町。歴史の影に彩られた栄光と悲運の世界都市。そんなベルリンの奥深い魅力をリアルタイムでお届けするブログです。Since 1. August 2005


by berlinHbf

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中村真人 (Masato)
神奈川県横須賀市生まれ。早稲田大学第一文学部を卒業後、2000年よりベルリン在住。ベルリンの映像制作会社勤務を経て、現在はフリーのライター、ジャーナリスト。


ベルリンガイドブック
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本書は2009年10月発行「素顔のベルリン」の増補改訂版です。2013年に改めて新規取材を行い、データを更新。レストランやショッピング、コラムなどのページも増量し、より充実したガイドブックに生まれ変わりました。

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現在のトップ画像は、ベルリン在住のイラストレーター、高田美穂子さんによるオリジナル作品です(詳しくはこちらより)

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レオニダス・カヴァコスが弾くブラームス

レオニダス・カヴァコスが弾くブラームス_e0038811_06284044.jpg
© Daniel Regan

しばらく音楽会から足が遠ざかっていた。先週は体調を崩したり、気持ちにやや余裕がなかったせいもある。机の上で作業しながら、好きな音楽をかけたり、よくかけているKulturradioから流れてくる音楽に耳を傾けるのももちろん楽しい。が、この数週間に聴いた音楽の記憶が吹っ飛んでしまうような2つの実演に接してしまった。記憶の新しいところから10日のベルリン・ドイツ交響楽団の演奏会から書いておきたい。

この演奏会、実はある知人が用事で行けなくなり、私にお声をかけてくださったのだった。ブロックAの前から4列目という、特にヴァイオリンのカヴァコスを聴くには最高の席だった。黒一色のスーツを着たカヴァコスと若手指揮者のダーヴィド・アフカムが登場。カヴァコスは長髪に眼鏡という出で立ちが特徴的だ。ブラームスのヴァイオリン協奏曲は、あの雄大な序章が鳴り始めたときから、心の中が充実感で満たされる思いがする。カヴァコスはオーケストラの方を向いており、表情は伺えないが、彼の内なる緊張感がじわじわ高まり、聴き手にまである種の気が伝わってくるのは、今回の特等席ならでは^^。そこへ、ヴァイオリンのソロが勢いよく切り裂く。

協奏曲の演奏で特に肝心なのは、当然ながら最初にソロが入ってくる部分だろう。ここでオケとソリストの両者がうまくかみ合い、互いを高め合う予感のようなものが生まれれば、聴き手にある一定以上の感動は約束される。その点、この夜のカヴァコスは最初の数分の技巧的なソロで、聴き手を虜にしてしまったといえるかもしれない。少なくとも私は彼の奏でる音楽にずっと釘付けの状態だった。体温のある美しい音色、左手の技術の確かさはもちろんなのだが、彼の場合、よほど弾く姿勢がいいのか(もちろんそればかりではないだろうが)、どんな箇所でも体の芯がぶれず、音楽が求心力を失うことがない。カヴァコスという人は、物事をある形の中に冷静に収めようとする面と、感情を自然な形で表に出そうとするロマンチックな側面とが、高い次元でとてもバランスよく融合しているように感じられるのだ。

長さをまったく感じさせなかった1楽章。2楽章のオーボエのメロディーを受け継いで音楽がゆっくり膨れ上がっていくところも感動的だった。フィナーレではジプシーのリズムが弾ける。冒頭のリズムが繰り返される過程で、カヴァコスはさりげなく遊びの装飾も加え、一段と血沸き肉踊る音楽となってゆく。高校生のときから好きな曲だが、ソリストとオーケストラががっぷりに組んでの、このようなゾクゾクするような時間を体験したことは今までなかった。

私がカヴァコスを初めて聴いたのは、2003年5月の彼のベルリン・フィルとのデビュー公演だった。オール・シベリウスのプログラムで、ヴァイオリン協奏曲のほか、ベルグルントが交響曲の第6と第7番を振ったのだ。録音が残っていたら、改めてじっくり聴き直したい想い出の演奏会である。私は舞台左サイドの階段の踊り場で立って聴いていたのだが、すぐ隣の貴賓席を見たら、往年のベルリン・フィルの名コンサートマスターだったシュヴァルベさんがいらした。カヴァコスの演奏を身を乗り出すように聴き入り、演奏が終わると、歓声を上げて拍手を送っていたのをよく覚えている。私自身、初めてカヴァコスを聴いたこのとき、はっと揺り動かされる瞬間が何度かあった。その後、彼はベルリン・フィルにソリストとして定期的に呼ばれるようになり、数年前はアーティスト・イン・レジデンスも務めた。日本ではまだそれほどの知名度はないようだが、現代最高のヴァイオリニストの一人なのは間違いない。古典、現代問わず、今後も聴き続けていきたい音楽家だ。

長身でなかなかハンサムな若手指揮者アフカムは、ショスタコーヴィチも好演した。もっとも、この夜私にとってはブラームスの印象が強すぎて、他がややかすんでしまった感は否めない。

DAVID AFKHAM
Leonidas Kavakos Violine
Deutsches Symphonie-Orchester Berlin


Anton Webern
Sechs Stücke für Orchester op. 6 (1928) 
Johannes Brahms
Violinkonzert D-Dur 
Dmitri Schostakowitsch
Symphonie Nr. 15 A-Dur

by berlinHbf | 2014-04-12 23:57 | ベルリン音楽日記 | Comments(3)
Commented by PH at 2014-04-15 14:27 x
はじめまして、ブログを少し前から拝読させていただいてます。Kavakosのヴァイオリン、何度か聴いたことがありますが私も素晴らしいと感じています。記事にもありましたベルグルント指揮のシベリウスの演奏会は2002年ではなく2003年5月ではなかったでしょうか?この演奏会私も足を運びました。協奏曲の3楽章途中でKavakosの楽器の弦が切れるか何かで演奏が止まってしまい、3楽章を最初からやり直したと記憶しています。後半の交響曲6番7番を含めて非常に印象的な演奏会でしたね。
Commented by berlinHbf at 2014-04-17 17:57
PHさん
はじめまして、コメントをありがとうございます。
このときのコンサートを聴かれた方からのコメントをいただけるとは、びっくりしています。ご指摘の通り、確かに2003年の公演でしたね(早速訂正しました)。私が聴いたときは3楽章でそのようなトラブルはなかったので、聴かれたのは別の日だったようです。今は亡きベルグルントのシベリウスを聴けたのがいい想い出ですが、このときはまだシベリウスの後期作品にそこまで親しみがなかったので、このときの録音が残っていたらいつかじっくり聴き直したいものです。
Commented by PH at 2014-04-20 04:52 x
こんにちは、こちらこそコメントに感謝いたします。私も恥ずかしながら2003年当時は6番7番の交響曲は難解な曲という印象でしたが、それでもこの演奏会は強く記憶に焼きついているので、録音が残っていれば是非聴いてみたいと思っています。ラジオ放送はなかったようなので録音が出てくる可能性は高くないかも知れませんが、、、。今はデジタルコンサートホールで簡単に演奏会の追体験ができる良い時代になりましたね。

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