ベルリン-東と西が出会う場所。ドイツにありながらドイツではない町。歴史の影に彩られた栄光と悲運の世界都市。そんなベルリンの奥深い魅力をリアルタイムでお届けするブログです。Since 1. August 2005


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中村真人 (Masato)
神奈川県横須賀市生まれ。早稲田大学第一文学部を卒業後、2000年よりベルリン在住。ベルリンの映像制作会社勤務を経て、現在はフリーのライター、ジャーナリスト。


ベルリンガイドブック
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本書は2009年10月発行「素顔のベルリン」の増補改訂版です。2013年に改めて新規取材を行い、データを更新。レストランやショッピング、コラムなどのページも増量し、より充実したガイドブックに生まれ変わりました。

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現在のトップ画像は、ベルリン在住のイラストレーター、高田美穂子さんによるオリジナル作品です(詳しくはこちらより)

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夏の終わりに聴くヴァルトビューネ2011

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日本からのお客さんがここのところ相次ぎ、しばらく間が空いてしまいました。

今週はベルリン・フィルのヴァルトビューネのコンサートを聴いてきました。これを聴けたのは、何ともラッキーというか不思議な巡り合わせでした。この公演、本来ならベルリン・フィルのシーズン最後のコンサートとして7月頭に行われるはずで、私が日本にいる時期と重なっていました。ところが、まさかの豪雨により、次のシーズン開始直前の8月末に延期されることに…(非常に珍しいことです)。日本に帰国中、私は久々に小学校時代の音楽の先生にお会いし、8月半ばにベルリンに遊びに来る予定の話をしていました。「せっかくだからコンサートにでもお連れしたいけど、この時期はまだシーズンオフだしなあ」。ふと、ヴァルトビューネの延期のニュースを思い出し、調べてみたらスケジュール的にドンピシャだったというわけです。

山本典子先生は私に音楽の楽しさと喜びを教えてくださった方。小学校2年生になった最初の頃、転校してきたばかりの学校の掃除の時間に、えも言われぬほど美しく、心ときめく音楽が教室のスピーカーから流れてきました。私はたちまち虜になったのですが、それがモーツァルトの「アイネ・クライネ・ナハトムジーク」でした。自分にとって音楽というものに魅了された最初の瞬間だったと言うことができます。大分後になって、毎日給食後約15分間の掃除の時間に合わせてこの曲を選んだのが山本先生だったことを知りました。

その先生と一緒にベルリン・フィルを聴けるというのは、実に感慨深いことでした。先生夫妻の他、一緒に来られた娘さん夫妻たちと、23日のコンサートを聴きに行きました。この日の午後、突然雷が鳴り、「まさかまた延期?」との思いも一瞬よぎりましたが、天気は何とか持ちこたえてくれました。

今年の指揮はリッカルド・シャイー。ベルリン・フィルの客演も10年ぶりだとか。何といっても、冒頭のショスタコーヴィチのジャズ組曲第2番がよかったです。軽妙で陽気で、どこかノスタルジック。夏の終わりの夕暮れ時にしみじみ聴くには最高の音楽なのかも。有名なワルツ2では、前の方に座っていた年配のお客さんたちが肩を揺らしながらメロディーを口ずさんでいました。続く、ニーノ・ロータがフェリーニの映画「道」のために書いた音楽の組曲では、物悲しい「ジェルソミーナのテーマ」がヴァイオリン、トランペットと楽器を変えて何度も夜空に鳴り響きます。

いつもなら、休憩が始まる頃はまだ明るいのですが、さすがに8月も終わり頃になればもう真っ暗。後半のメインはレスピーギの「ローマの松」。古代ローマの円形劇場を模して造ったヴァルトビューネでこの曲を聴けるというのが最大の楽しみだったのですが、PAの限界なのか、想像していたスペクタクルな効果はもうひとつ足りなかったかなあというのが正直なところ(後でDVDで見たらまた違う印象かもしれませんが)。でも、いつもながら、このコンサートはその場で聴けただけで幸せな気分になります。途中眠そうにしていた先生の孫のかわいい双子ちゃんも、アンコールの「ベルリンの風」では大はしゃぎでした。

山本先生との思い出でもうひとつ重要なのは、リコーダーの魅力を教えてくれたこと。先生はリコーダーのアンサンブル指導に非常に熱心で、高学年の頃、周りはほとんど女の子しかいない音楽クラブに入れてもらって、私はそこでソプラノリコーダーを吹いていました。有名無名問わず、ここでもかけがえのない音楽にいくつも出会いました。

これまたラッキーなことに、ヴァルトビューネの翌日、今度はベルリン大聖堂でフルートのエマニュエル・パユらによるバッハの夕べが開かれることを知り、こちらも先生たちと聴いてきました。すでにCDになっているピノックとのバッハのフルートソナタ4曲がメイン。フルートとチェンバロ、チェロの精妙なやり取りを味わうには、いかんせん教会のキャパが大き過ぎましたが、それでも、パユがソロで1曲だけ吹いたテレマンのファンタジー第7番は圧巻。音楽の根幹をなすフレーズごとの最初の低音の厚みと空間的広がりが素晴らしく、しばしば1本の笛で奏でられていることを忘れてしまうほどでした。

山本先生は昨年定年を迎えられたのですが、いまもほとんどフルタイムで横須賀市内の小学校で音楽を教えておられるそう。今後も元気でご活躍いただきたいものです。またベルリンに来られたら、今度はフィルハーモニーにもお連れしたいと思っています。

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by berlinHbf | 2011-08-28 23:57 | ベルリン音楽日記 | Comments(7)
Commented by tsu-bu at 2011-08-29 20:49 x
ヴァルトビューネの記事は毎年楽しみにしていましたが、今年はその時期に帰国されていたのであきらめていました。ラッキーでしたね。
夜空に鳴り響く「ジェルソミーナのテーマ」・・・想像しただけでウルウルしてしまいます。
音楽の楽しさを教えてくださった先生との、今も続く交流に、出会いの大切さを思います。素敵ですね。
帰国時の講演会の際は、ご迷惑、ご心配などおかけし、心苦しく思っています。いろいろありがとうございました。おかげさまで、元気な毎日を過ごしています。秋のイベント<art-Link上野ー谷中>の準備も今日でやっとひと段落し、ほっとしているところです。またコメントさせていただきます。
Commented by mamebito at 2011-08-30 00:13
ヴァルトビューネのご感想も恩師との素敵な旧交と想い出話も、読んでいてとても温かい気持ちになりました。Masatoさんの文章から伝わるお人柄の背景を垣間見た心地でした。
暮れ行く夏の森に響くジャズ組曲のワルツ…想像したら最高に叙情的でぴったりですね。BPOへのシャイー来演もとても気になっていました。きっと日本でもしばらくしたらNHKが放映してくれるはず。楽しみです。
Commented by berlinHbf at 2011-08-31 04:26
tsu-buさん
久しぶりのコメントありがとうございます!
先日はご丁寧にお便りありがとうございました。お礼をお伝えするのがすっかり遅くなってしまいましたが、こちらからもまた書きますね。とにかくまたお元気に活動されていることが本当に何よりです。

mamebitoさん
先日はコメントのお返事ありがとうございました。応援のお言葉、大変うれしく拝読しました。
ヴァルトビューネで聴くジャズ組曲、正直あんなに心にじんわり沁み入るとは思いませんでした。アンコールの2曲もやはりショスタコーヴィチ?こちらは大変キレのいい演奏でした。近年、バッハやメンデルスゾーンなどで鮮烈な録音を世に出しているシャイーですから、BPOとの再共演にも期待してしまいますね。
Commented by みほりっくす at 2011-09-05 13:14 x
はじめまして中村さん。ワタシは、8月20日から29日まで、ベルリンを拠点としてドイツ旅行に行っておりました。
その際、中村さんの著書をバイブルのように携えて歩き回りました。おかげさまで、とっても充実した旅となりました。色々なガイドブックを見てきましたが、あの著書は、素晴らしい完成度ですね!歴史的なことからディープなことまで、手に取るようにベルリンを知り尽くすことができました。
 運よく、ヴァルトビューネのチケットも入手でき、中村さんと同じ空間にいることができていたのだと思うと、なんだかとっても嬉しくなりました。
 すっかりドイツにはまりそうです。
これからもブログ、楽しみに見せていただきます。(ドイツの余韻にひたりながら・・・・)
Commented by berlinHbf at 2011-09-10 00:40
みほりっくすさん
はじめまして、コメントありがとうございました。
同じコンサートにいらっしゃったんですね!ベルリンご滞在中に、私の本も存分に活用してくださったそうで、とてもうれしいです。これからもがんばって更新しますので、どうぞよろしくお願いします。
Commented by くりちゃん at 2011-09-21 09:59 x
11月に高校生400名をつれ、ベルリンへ修学旅行へ行きます。計画に当たり、御本をずいぶん参考にさせていただきました。グルーネヴァルト駅17番線で生徒たちは何かを感じてくれるでしょうか。
Commented by berlinHbf at 2011-09-25 16:55
くりちゃんさん
高校生400人でベルリンへ修学旅行ですか、すごいですねえ。まだまだ日本人観光客が少ないベルリンに若い人々が大挙して来てくださるのはうれしいです。きっと生きた歴史を学ぶ場になるかと思います。よいご旅行になりますように。

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